“MELL FIRST LIVE TOUR 2008「SCO..

MELLが初の全国ソロライブツアーを開催。押井守監督作品の主題歌も披露!“MELL FIRST LIVE TOUR 2008「SCOPE」”

 8月20日にファーストアルバム『MELLSCOPE』をリリースし、10月24日から初の全国6カ所のソロライブツアー『MELL FIRST TOUR 2008 SCOPE』を敢行したMELL。ホームタウンの札幌でのツアーラストを控えた11月3日、東京・SHIBUYA-AXでライブを行った。

 ステージ中央にサブステージに続く階段があり、大きな柱が4本配置された神殿のようなセット。またステージから客席方向にあるセンターステージへ伸びる花道があるなど、普段のSHIBUYA-AXとはまったく違った雰囲気に驚く。


●押井監督の新作『斬~KILL~』の主題歌も

 客電が暗転するとミステリアスなBGMが流れ、ステージには長い火柱が上がり、黒衣のモンク(僧衣)を身に纏った二人がそれぞれステージ袖の左右から現れる。そしてステージ上段のサブステージに黒装束をまとうMELL。バンドが激しいビートを刻むとファーストアルバム『MELLSCOPE』収録の重厚なナンバー「Under Superstition」を熱く歌う。黒衣の二人は尚も大きな旗を振り続けた。MELLの独特で存在感を持った力強いステージパファーマンスに最初から圧倒される。ヘビーなギターフレーズから始まる「Way beyond there」では伸びやかなボーカルとダンスに息をのむ。

 3曲目の「KILL」は11月19日リリースの4thシングルで、押井守監督の映画『斬~KILL~』の主題歌。ハードだがドライブ感のある楽曲でMELLのボーカルに酔いながらも「この曲をテーマにした『斬~KILL~』はどんな映画なのだろう?」という好奇心もかきたてた。

 3曲激しいナンバーを歌った後、「東京の皆さん、どうも今晩は! MELLです。『MELL FIRST LIVE TOUR 2008 SCOPE』へようこそ。今日は時間の許す限り、最後の最後まで一緒に自由なスタイルで楽しんでください」とあいさつ。また「KILL」について初の実写映画の主題歌であり、それが押井監督の作品であったことへの喜びを語りつつ、「ぜひ映画館に足を運んでください。スクリーン上で会えるかもしれないし……」と何かを匂わす発言も。また「KILL」のPVを押井監督が手がけたことが話題になっているが「監督から『ギリシャ神話に出てくる冥界の女王、ヘカテのイメージで撮りたいんです』と言われて。女神といえば太陽やお花のそばにいるイメージがあったんですけど、調べたらヘカテだけは真っ暗闇で照明を1つだけ照らしている方でした(笑)。従順なドーベルマンと共になりきって演じました。ぜひPVを見てください」と説明した。

 5曲目の、「KILL」のカップリング曲「On my own」は同映画『斬~KILL~』のED曲になっている、幻想的なバラードナンバーだ。最初の衣装とは対照的な白いドレスに着替えたMELLを幾筋の赤いライトが照らす。歌い終わると曲を解説する「『斬~KILL~』は4つのストーリーで構成されていて、生と死がテーマになっていますが、それぞれ誰対誰、のような対決軸があって。映画を観終わった時、さまよった魂達が帰るべきところに帰るイメージで詞を書きました。『KILL』も『On my own』も皆さんの中で自由なストーリーを描きながら楽しんで聴いてください」。

 また4曲目の「no vain」でキーボードセットから飛び出し、センターステージで妖艶なダンスを披露した気になる人物も紹介。元ソフトバレーの森岡賢氏でこのツアーの東名阪だけに参加するスペシャルゲストだ。「MELLとして活動する前から『こんな風な曲を作れたら』とか『こんな風にダンスができたら』とずっとあこがれていた方です。参加していただいてうれしいです」とMELLもうれしそう。森岡は華麗なキーボードプレーや魅惑のダンスでステージを盛り上げた。

●アルバムまでの軌跡、その想いをファンに

 そして簡単なプロフィール説明に。99年にI'veがインディーズでリリースした女性ボーカルのコンピレーションアルバム『regret』でMELLとしてデビューし、2006年にアニメ『BLACK LAGOON』のOP曲「Red fraction」でメジャー進出したこと。そして今年の8月にファーストアルバム『MELLSCOPE』をリリースするまでの過程や、なぜ英詞で作詞し、歌うかについては「小さい頃にABBAを聴いて、そのハーモニーや世界にあこがれて洋楽を歌うようになったのが歌手を目指すきっかけだったんです。そしてI’veの高瀬(一矢)さんと出したユーロビートのコンピレーションダンスアルバムでABBAのカバーを歌ったのが最初でした。その流れから私のオリジナル曲に英詞の曲が何曲かあります。私の曲というとバイオレンスとか怖いお姉さんとか血と硝煙、死などの世界が多いです(笑)。もちろん私も嫌いではありません。その対極にあるやさしさやほっとする気持ちを手に入れることがいかに難しいか、同時に知ることができるので。私の曲の中にもほっとできる曲が何曲かあります。この曲を聴いた時、誰か大切な人を頭に浮かべて『守りたいな』と思ったり、今いない人はいつか、そういう人が現れた時、『よかったね』とポンと肩を叩くような曲になったらと思って歌います」と話してから「Permit」を歌う。アコースティックギターと宇宙を連想させるような澄んだシンセサウンドにのせて、しっとりとしたミディアムチューンを歌った。続く『ハヤテのごとく!』のED曲にもなったセカンドシングル「Proof!」は広大さを感じさせる、やさしいナンバーだったが、その後、一転して激しいドラムビートと共に森岡氏が雄たけびを上げながらステージを縦横無尽に移動し、ダンスパフォーマンス。その勢いにのり、「kicks!」へ。攻撃的なサウンドは一瞬で会場をダンステリアに変えた。会場のあふれ出るパワーにMELLも興奮。「みんなの『kicks!』が効いたよ! すごいパワーだね」

 ぶ厚いサウンドでMELLを鼓舞するバンドを楽しく紹介した後、真剣な表情になり、とつとつと語り始める。

「どの場所でも皆さん、温かい笑顔をくれました。私はファーストアルバムを出すまで10年という月日を要しました。その10年の間、待ってくださった方にはずっと申し訳ないなと思って、いつかこの日が来ることを夢見ていました。アルバムのタイトルチューン『SCOPE』が思いついた時、最初は今まで皆さんに応援していただいた想いを楽しいメッセージで描こうと思っていました。世の中や歴史の負の部分、心の暗闇を、冷静に私の潜望鏡、“SCOPE”でのぞいて、もっと客観的に描けると思ったんです。だけどアルバムの制作を進めている間に、自分の視界がかすんできて、何を描いたらいいか、わからなくなりました。それは他人事だと思っていた人の暗闇や歴史の爪あとなどの中に私もいるんだって。私自身がつらかった日の事や断ち切ったと思っていた事が実は何も切れていないことがわかって。たった10年のキャリアで人の痛みを描こうなんてと、初めてそこに気が付いた時、戒めのためにアルバムに刻まなきゃいけないと。『10年待って、またこんな暗い、こんなアルバムで始めるのか』と思った人もいるでしょう。でも自分の気持ちに正直になるしかなかった。音も光もない一人の部屋で月を見ていた時、同じように凍えた心を持つ人がいたら、同じ闇を照らす光は月一つだよね。ここを見ていれば温かい日に出会えるかもしれないと。その想いを込めてアルバムを作りました。何年か何十年後にこのまま生きていって、年老いた時、『MELLのファーストアルバムのメッセージはなんて幼じみてて生真面目で不器用だったな』と笑ってくれるような、穏やかで大きな未来に生きていたらいいなと今はそう思います」と話し終えるとアルバムのタイトルチューンの「SCOPE」に。訴えかけるようなメッセージ、そして響き渡るラウドに心をわしづかみにされるような感覚に襲われる。そして次の曲では最初にタイトルを絶叫してファーストシングルの「Red Fraction」。ノイジーなエフェクトがかかるボーカル、サビでエネルギーを弾けさせるよう。激情は止まらない。会場もこぶしを突き上げる。ラストは「これからも歌を通して、皆さんのほんの少しの心の支えになれれば」と語るとピアノが旋律を奏で、バラードナンバー「The first finale in me」を大切に歌い上げる。この場にいる人達の平穏を願うように。

●感動のエンディング、次回のライブにも期待だ

 アンコールは「Permit」と共にI’veのコンピレーションアルバム『COLLECTIVE』に収録されていた「egen」で疾走感のあるナンバー。「この曲でみんなで盛り上がりたいなと。アメリカのテキサスでライブをやった時も全然知らないのに、この曲で盛り上がってのってくれたんです」と笑顔。また「このツアー前に事務所にいったら『スカイガールズ』のフィギュアが3体届いていて。ツアー前日はすごく緊張して心細かったけど、家でその3人に『私の主題歌って間違ってなかったよね』とか『私はあなた達をちゃんと空に飛ばしてあげたのかな』とか『空に初めて飛んだ時、どんな気持ちだったの?』とか語りかけたら、3人から『意外と肝っ玉が小さいだね。そんなんで来てくれる人が満足してくれると思うの?』と喝を入れられた感じがしました。あの曲で夢を叶える気持ちを彼女達にささげたんです。彼女達は『スカイガールズ』の世界にある、そんな気持ちをみなさんにちゃんと伝えてきてと背中を押されたような気がして。皆さんにもいつか夢の空を飛んだよという報告をお互いにできたらいいなと思っています。この曲でみんなで思い描く夢の大空を飛びましょう!」と話し、テレビアニメ『スカイガールズ』のOP曲「Virgin’s high!」を元気よく気持ちよさそうに歌った。

最後に「みんなで夢を叶えてください!」と叫び、ステージを後にしたが会場の「もう1回コール」に呼び寄せられると感激のあまり、涙声になりながら、「東京の皆さんのパワーはすごいです。こんなにたくさんの方に出会えて、本当にここまで歌ってきてよかったと思います。また来てもらえるように頑張って大きくなって、また東京に戻ってきたいと思います。その時は今日みたいな元気で素敵な笑顔を見せてください! これからもMELLをよろしくお願いします」とお礼を述べると温かい拍手が送られた。

ライブの終わりを惜しみながらも意を決したように、「この曲にパワーの全部をぶつけて! みんなで歌って!」と絶叫し、ダブルアンコール「砂漠の雪」を熱唱した。この日、最後の曲を歌い終え、頭を下げ、バンドメンバーが去るとMELLの曲がBGMに流れる。すると会場の大合唱が起こり、ビックリするMELL。「こんなの予想してなかった。うれしい。本当にまた会いましょう!」と感動のエンディングで幕を閉じた。

 初めてのソロライブツアーで独特の世界観を構築し、MCコーナーでは喜びや想いの丈を語ってくれたMELL。今回のツアーにかける想いはパフォーマンスはもちろんセットリストの全曲に、自身が作詞した曲をセレクトしたことからも感じられた。各会場で温かく大きな拍手で迎えられたMELLが約束通り、また素晴らしい曲を作り、ステージに戻ってくる日はそう遠くはない気がする。そう思えた一夜だった。

<SET LIST>

1.Under Superstition
2.Way beyond there
3.KILL
4.no vain
5.On my own
6.Permit
7.Proof
8.kicks!
9.SCOPE
10.Red fraction
11.The first finale in me
ENCORE
12.Egen
13.Virgin’s high!
DOUBLE ENCORE
14.砂漠の雪

「KILL」/MELL
11月19日発売
DVD付き初回限定盤 1,890円(税込)
通常盤 1,260円(税込)
発売:ジェネオンエンタテインメント
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