『吸血少女 対 少女フランケン』西村監督がアニメを語ったインタビ

好きだったアニメは『戦闘メカ ザブングル』でした―― 8月15日公開『吸血少女 対 少女フランケン』西村喜廣監督にインタビュー!(後編)

 8月15日(土)から、シアターN渋谷、シネマート新宿他、全国で順次公開される映画『吸血少女 対 少女フランケン』。原作は内田春菊氏のコミック。そのエッセンスをベースにしつつ大胆にアレンジ。アクションあり、スプラッタ要素もありながら笑いも満載の、日本のホラー映画史の新地平を切り開く意欲あふれる一作に仕上がっている。

 ヒロインの吸血鬼・有角もなみを演じるのはグラビアアイドルとしても活躍している川村ゆきえさん。もなみに彼女の血液入りチョコをもらって、“半吸血鬼”になってしまうイケメン男子高生・水島樹権に斎藤工さん。水島に恋心を抱き、彼に近づくもなみに嫉妬するクラスメートの富良野けい子役には乙黒えりさんと、キャスティングも魅力的だ。

 今回アニメイトTVでは、友松直之氏とともに、共同監督を務めた西村喜廣氏にインタビュー。アニメにも大きな影響を受けたという西村氏に、子供の頃好きだったアニメの話から、実写の監督の視点から見た“アニメ観”などをうかがった。

●これからも新しい表現がアニメからは出てきて欲しい

――中島哲也氏などCM出身監督による緻密な映像や、『トランスフォーマー』のように、アニメならではだったジャンルも実写化されるようになって、アニメの未来に不安な部分もありますが……。

西村監督:アニメには衝撃的な部分がたくさんあったじゃない。『マクロス』のミサイル(板野サーカス)とか。『トゥルーライズ』なんかもマネしてたし。最初にそれがアニメっていうのは衝撃的だし。俺は『DAICON FILM』(ガイナックスの前身となったアニメ制作集団・DAICON FILMによる日本SF大会で上映されたアニメーション)とか観てたし、あれは紙とセル画だからあの表現が出来たわけで、今はそれがコンピューターでどうにかできるようになってるけれど、そういう新しい表現がアニメからは今後も出てくるんじゃないかなって思うんですけど。


―― 一方精神的な部分で、いい意味でハングリーさや、過激さが今回の作品からは感じることができました。ガングロ部やリスカ部など、今だとアニメより実写のほうが活気や自由があるんじゃないかとも思います。

西村監督:遠慮している部分はありますし、僕らがそういうことになっちゃっているだけで。こないだ『空の境界』を観ましたけど血とか出てるし。CGだと血を描いても過激さが無くなってくるんですよ。今回も最初の戦いのところはアナログでやってるんで、あれはあれでいいインパクトになってると思うし、ラストはラストでいいCG表現になってると思うし。そこは使い分けになると思うんですよね。


――ギャグマンガを実写でやっているような作品でした。実写の本数も増えていて、数が多いと、いろんな可能性を持った作品が出てきそうですよね。

西村監督:いや、数が多いと安く作らされるから。予算少ないですからね。そこからどれだけ過激なものが作られていくかっていうと、それは少ないと思うんですけど、流れとしてはそういうのはやろうとしてもできないんですよ。ベースがないと。「これがやりたいんだ!」っていうベースがないと。
最近は『片腕マシンガール』と『東京残酷警察』っていう2つの作品があったからこそ、今の段階が踏まえられているところがあって、そっからどうやって遊んでいこうかって、考えているところが多いので。でも今後は、どんどんアニメ的な演出が増えていく気がしますよ。


――監督の制作意欲のベースというのは、どこにあるんでしょうか?

西村監督:最近はホッピー(酒)かな(笑)。要するにそれは僕の中に吸収されていることで“これを狙っていこう”というのは逆に考えないですね。“俺『マッドマックス2』みたいの作りたいんだよ”という意識では作っていないから。そういう意識で作るとそれだけになっちゃうんですよね。吸収されているものはベースとして“あるんだけど、ない”ような状態になっていて、そこから新しいものをやっていくときに、にじみ出てくるものなんですよね。


――今回の映画って内田春菊さんのマンガが原作ですが、マンガは以前からご存知だったんですか?

西村監督:1回読んだことはあったんですが、ほとんど覚えてなかったですね。


――映画化の話はいつ?

西村監督:去年の12月ぐらいに、話がありました。


――オリジナルの要素については友松監督とお二人で考えたのですか?

西村監督:最初に友松さんが脚本を書いていて、結構原作に忠実だったんですね。その脚本を基に、僕が監督をやるということで、「もうちょっと違う方向性でやらせてくれ」って提案をして、ガングロ部、リスカ部や、最後の東京タワーでの戦いのシーンを入れたい、と言う話をしました。


――監督のなかで、一番力が入ったのは?

西村監督:撮影時間が短いのでひたすら撮らなきゃいけない。やりたいことはあるわけですよ。撮影スケジュールが100だとしたら、やりたいことは150ぐらい。普通だと撮りきれないぞ、みたいなことがあって、無理やりにでもギューッと詰め込んで2週間ぐらいで撮りきらないといけない。そこが労力がかかったところですね。
 実写の映画って、撮り直すってことはお金がかかるってことなので、検証していくような形じゃなく、気合いを入れて“バーン”って撮らなきゃならないから。うちらは新しいことをやるってことに関しては、あらかじめ考えておかなきゃいけない。設計を全部立てておかなきゃならない部分がある。賭けみたいなとこがあるから、その偶然性がパワーになってるってことはありますね。


――編集なども監督がされたんですか?

西村監督:編集は1ヶ月、撮影は2週間で、あと準備期間が1ヶ月ぐらいという強行軍。金がないからです(笑)。編集もそこの(作業場の机を指して)MacのFinal Cutでやったんです。


――今後、実写の監督としてアニメに期待する部分は?

西村監督:今後のアニメには作家性がすごく欲しいです。『パプリカ』とか好きだったんだけど、なぜみんな同じように見えてくるのかがわからない。あと、新しい発見をまた出来たらいいなというのはありますね。


――それでは最後に映画をご覧になる方へのメッセージを。

西村監督:映画については、僕の演出はアニメを意識してるところが多いので、アニメ好きな人も楽しめると思いますね。


――最後、東京タワーでの乙黒さんは、もはやロボットものの最後に出てくるメカみたいですよね。

西村監督:ああいうところとかも、実写なのにアニメっぽい部分は結構出てると思うんですよね。そういうところの演出もアニメっぽさが結構出てると思うんで、アニメーションが好きな人でも全然観れる映画だと思います。


西村喜廣監督プロフィール
1967年生まれ、東京都出身。
中学生の頃から自主映画で造形をはじめ、撮影、照明、美術、特殊メイク、などすべて独学で学ぶ。
95年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門で自主制作作品『限界人口係数』が審査員特別賞を受賞。その後も多くの作品に参加。
劇場映画初監督作品は「TOKYO SHOCK」シリーズの第二弾『東京残酷警察』(2008年)。


『吸血少女 対 少女フランケン』は、8月15日(土)より、シアターN渋谷、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー

『吸血少女 対 少女フランケン』は、8月15日(土)より、シアターN渋谷、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー

(C) 2009 PONYCANYON/Concept Films
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