ALI PROJECTコンサート「月光ソワレVII」をレポート

ALI PROJECTの幻想的で荘厳華美な舞台劇が幕を開ける――コンサート「月光ソワレVII -Les Papillons-」をレポート!

 最新アルバム『Les Papillons』を手に、お馴染み「月光ソワレ」が開催になりました。「月光ソワレVII -Les Papillons-」と題された今回の日時と舞台は、7月6日・NHKホール。その麗しき舞台劇の模様を、さっそくお伝え致します。

 毎回、オーケストラを従えながら行う、ALI PROJECT恒例のコンサート「月光ソワレ」。第7回目を迎えた今宵のタイトルは、「月光ソワレVII -Les Papillons-」。題名に記されたように、6月にリリースした最新アルバム『Les Papillons』を軸に据えたメニューを構築。

 さらに今回は、5月に発売したベスト盤『QUEENDOM』関連の楽曲もラインナップへ加え、まさに最新モードのALI PROJECTの姿を、訪れた人たちの眼前へ提示してくれた。

 毎回のことだが、ALI PROJECTのオリジナル・アルバムは、1枚ごとに明確なコンセプトやテーマ性が貫かれている。いや、「アリカさんの意思や想いが、1曲ごと色濃く注入されている」と言ったほうが正しいだろう。

 その曲たちが1枚のアルバムという形へ集約され、そこへ一つのタイトルが掲げられたとき、「深い想いの敷きつめられた玉石満載な作品」になるわけだ。

 『Les Papillons』に関しても、聞き手の捉え方次第で、いく通りもの答えを導き出せる作りが成されていた。と同時に、アリカさん自身が、「みずからの中にある明瞭な想いや願い」を「楽曲」という形に投影していることからもわかるように、「1曲1曲の中に、具体的な想いやテーマ性」も濃縮されていた。

 この日のステージでは、演奏の間に間に挟んだMCごとに、演奏した楽曲に詰め込んだアリカさん自身の想いを、曲ごとに振り返る語りのもと、一つ一つの歌に込めた真意を懇切丁寧に伝えてくれた。

 メニューの構築面でも、アルバム『Les Papillons』と同じように『ハピヨン輪廻』から幕を開け、美しい調べを通し、毒潜ませた桃源郷へ観客たちを優しく導き入れたうえで、一つ一つの物語の中へ会場中の人たちの心を落とし込んでいった。

 いや、落とし込むというのは失礼か。「曲ごとに広がる迷宮の中へと誘い、それぞれの楽曲ごとに、音源で味わったのとはまた違った光(魅力)を感じ(味わい)させていた」と言ったほうが正解かも知れない。

 美しき浪漫漂う『パピヨン輪廻』から、悲愴/悲哀な調べに乗せ、刹那の扉を開けた『胡蝶夢心中』。

 『秘密の花園』で、穏やかな心模様に包まれたと思ったら、続く『天体瑠璃星万華鏡』の頃には、軽やかに心舞い踊る感覚を覚えていた。

 アルバム『Les Papillons』には、クラシックの名曲をアレンジした楽曲もいくつか収録。メルヘンな世界へ飛び込み、悠久な感覚を味わえた『眼帯兎と包帯羊のMarchen』では、物語の展開に合わせ、次々と曲の表情を変化させながら、聞き手の気持ちを、そのドラマの主人公へ変えてく感覚さえ抱かせてくれた。

 アルバム『Les Papillons』に綴れ織った世界観を、曲順を変え、重奏なオーケストラでの生演奏を通し立体化。そうしたことで、音源を通して感じていた気持ちとはまた違った感覚で、楽曲ごとに映像が見えてきた。

 それが、コンサートという、生身の感覚へ想いを伝えてゆくことの楽しさや醍醐味でもあるわけだが。

 勇壮な音の調べに切ない美しさを抱いた『エルフの娘は地上に降り』や、同じく、美しき刹那心覚えた『灰桜』を通した、たおやかな景。


 中盤では、『革命の血脈』や『亂世エロイカ』など、闘争心掻き立てる曲たちを、より重奏な演奏を通し、凛々しさを与えていけば。『Troubadour』や『絶國TEMPEST』を通し、臨場感あふれるシンフォニックな舞台劇を描きあげていく場面も登場。

 『修羅と蝶』や『百合の日々は追憶の中に潜み薫る』のよう、たおやかな表情浮かべる楽曲を通し、心地好いまどろみを覚え。

 本編最後を飾った『逢魔蛾城の伯爵』を通し、ふたたびシンフォニックな舞台劇を描きながら、一度荘厳華美な舞台劇の幕は閉じていった。

 今にも感情零れそうな表情で唄いあげた『君の名を』。七夕を前にした夜にぴったり寄り添う歌として、アンコールの最後に唄い奏でた、たおやかでオリエンタルなムード描きあげた『共月亭で逢いましょう』と、2時間半に渡って繰り広げられた、今宵のコンサート。

 ここまで、駆け足で楽曲たちを紹介してきたが。「月光ソワレ」の醍醐味は、一つ一つの生音の調べが、一つの大きなウネリを描き出したときに生まれる、揺れる感情のような血の通った調べたちによる高揚。その音色の上へ、魂を注ぎ込むように唄いあげてゆく宝野アリカさんの声色との絶妙なコラボレート。

 その2つの感情が重なりあったときに生まれる、心にバーッと立体的な風景広がってゆくドラマ性にこそある。

 さらに、今回のステージで言えば、1曲1曲に対する解説を施しながら、改めて『Les Papillons』に詰め込んだ想いや世界観を理解/捉えさせ、また、いろんな角度から物語に詰め込んだ真意を探り取らせるという楽しみも与えてくれた。

 「今年後半は地下活動を中心にしてゆく」と語っていたALI PROJECTだが、10月23日には「V-ROCK FES」にも出演したりなど、潜伏しながらも、いろんな情報は発信していくことだろうから、ぜひ、こまめにALI PROJECTの動きを追いかけ続けていて欲しい。

<TEXT:長澤智典>


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