音質を追求した志方あきこライブの感動をレポート!

新旧の楽曲を音質を追求してパフォーマンス! “『志方あきこライブ2011 ~ライラニア~』Akiko Shikata Live 2011 ~laylania~”レポート

 「古びた音盤(レコード)から流れるオルゴールの旋律は、夜が見せける幻の楽団「ライラニア」からの招待状。民族楽器が奏でる調べに、歌い手の力強くも儚い歌声が絡み合い、誘(いざな)われた観客たちの手拍子が宴に華を添えていく…」

その言葉に相応しいライブが、8月11日にMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて開催された。志方あきこが描き出した幻の想楽団の奏でた美しき世界観を、ここにお届けしよう。


●場内に優しく流れる美しいオルゴールの調べ。これから誘われゆく「ライラニア」への扉が開く合図のように…。

 やがて会場中を闇が覆うと同時に、お面を被った支配人が舞台上へ登場。彼の招きに導かれ、この日の舞台を彩るメンバーたちがステージ上へ。すると、客席後方中央の扉が開かれ、片手に花篭を携えた志方あきこが姿を現した。美しいオルゴールの音色と眩いスポットライトに照らされ、イタリア語と思しき言葉で観客に語りかけながら、通路左右の観客たちに一輪の花を次々に手渡し、届かない場所へは投げ与えてゆく。最前列の男性にはウサギのお面を渡しつつ、さらに女性のお客さんには、うさ耳をプレゼントするなんて姿も!

「ライラニアへようこそ!」

メンバーたちによるジャズ的アプローチの伴奏に乗せ、一夜限りの饗宴(カルナヴァル)の幕開けを飾る「LAYLANIA」が紡がれ出した。秘めた情熱の香りに導かれて、会場中の観客たちの心が「ライラニア」に誘い込まれていく…。

落ち着いた、ムーディな伴奏が流れ出した。その調べが妖しい旋律を奏で出し、少しアンニュイな表情で「La corolle」を艶やかに歌い出すと、次第に熱を帯びてゆく演奏。そして……。

 激しいリズムを刻み出したヴァイオリンの調べとパーカッションの躍動的なリズム、そして重奏的なハーモニーワーク。情熱的な旋律の数々を会場中へ解き放った……かと思えば、一転、秘めた想いを語るよう、たおやかな音色に様変わりしてゆく。激しさと穏やかさ、2つの表情を巧みに使いわけながら「誰ガ為ノ世界」を凛々しく、力強く歌いあげていった。

 ここで最初のMCが挟まれる。「今回のステージでは、CD発売から日がたっていない楽曲は原曲に忠実に、それ以外の楽曲は新しい切り口を楽しんでいただくためにアレンジを変えながらお届けしてゆく」ことを説明。果たして、新旧様々な楽曲が、どんな装いを持ってこの空間に広がっていくのか、とても楽しみになってきた。

その調べに触れた瞬間、目の前に、壮麗な星空や地平まで続く雄大な荒野が広がった。「Ec Tisia」の演奏が始まると同時に、心の中へ牧歌的な風景が浮かび上がってきた。麓麗な世界へ誘うその歌声へ、誰もがスーッと心を溶け込ませてゆく。

悲哀な音色もほのかに漂う、ノスタルジックなコンチェルトと朗々とした歌声が、会場中へ染み込むように広がり出した。「白夢の繭~Ricordando il passato~」が誘う幻惑的な世界。その歌声と演奏は、楽曲が進むにつれ、天空へ吸い込まれていきそうな雰囲気さえ描き出していた。そして……。

想いを告白するように、込み上げゆく感情をグッとこらえながら歌った「片恋」。この手の、恋の想いを歌いかける刹那な表情も、志方あきこの魅力を司る一面だ。

ここで2度目のMCが。今回のステージで積極的にトークを繰り広げたことについて、「わたしは楽曲をお客様に「自由」に楽しんでいただくことが一番と思っていて、自分を前に出すことで楽曲の世界観を壊したり余計なイメージを与えることが怖かった。だけど、素顔のダメな自分を「良いよ」と言っていただける皆さんのお蔭で、今回は積極的にしゃべるようにしています」。そのようなことを、ここでは述べてくれた。



確かに、楽曲の持つ世界観へ浸るのも嬉しいことだが、それとはまた切り離し、志方あきこという一人のアーティストの素顔に触れることも、また観客たちにとっては嬉しい出会いや発見になる。

ここで、8月24日に発売となったTVアニメ『いつか天魔の黒ウサギ』のエンディングで流れている「空蝉」が奏でられた。荘厳なハーモニーワーク、力強く躍動的な歌声が、麗美な表情となって昇華されてゆく。

続く、雅びやかな舞台劇を描き上げた「まほろば」では、ノスタルジックかつ和な装いを持った夜の世界へと誘ってくれた。

ここでMCにて「Sorriso」の解説が。志方あきこのライブでは"皆勤賞"となる、かならず演奏を行う楽曲。いつもなら、ピアノの音色を背景に唄い始めるところを、今回はアコギの調べを背に穏やかに歌い出し、やがてクラシカルな楽団の音色が重なりあってゆく2011年バージョンとして演奏。最初は美しくも繊細な小さな波紋が、次第に、輪郭くっきりとした鮮やかな波紋となって広がってゆくよう心へ響いてきたことが、嬉しい喜びだった。

 「Lost Children」では、熱い衝動を秘めた伴奏に乗せ、同じ夜の宴の風景を紡ぐ中でも、とても躍動的な表情として描きあげていた。その情熱的な調べに乗せ、満員の観客たちも、熱い手拍子を舞台上へ返していた。

ここで再度のMC。「空蝉」と同様、天野月とのコラボレーションによる「Lost Children」を受け、CDジャケットのアイデアを披露したのちに、夜の楽団「ライラニア」には太陽は強敵、と…。観客の手拍子の力を借りて、一緒に雨を降らせて太陽を退治(?)しましょう!

 MCを受けての「晴れすぎた空の下で」では、観客の手拍子に包まれて演奏は進み、
楽曲が終了すると同時に一瞬の雷鳴と豪雨が降りはじめた。

ここでベースプレーヤーの大野氏に鼻眼鏡!暖かい拍手への感謝の想いを伝えるかのように、ふたたび花篭を手にした志方あきこが客席へ降り、花束を客席の人たちへ投げ振る舞い始めた。さらに観客の男性にも鼻眼鏡が!

観客とのやり取りの後演奏されたのは、情熱的かつオリエンタルな世界観を持った「Chi vuol la zingarella」。ライラニア楽団を象徴する軽快で晴れやかなマーチング演奏に乗せ、会場中の人たちと「クワッ、クワッ」と掛け合いを行いながら、各楽団員のソロを交えつつ一体化した盛り上がりを描きあげてゆく場面も。

ゆったりとした舞台劇の中へ、穏やかな表情のもと身も心も投じていった「うみねこのなく頃に」や「うたかたの花」。この2曲の連なりは、時の流れさえ忘れさせるほど、心を穏やかな凪へと導いてくれた。

そして本編最後は、アラビアンな旋律も舞い踊った五拍子ナンバー「ロマの娘」を奏で、桃源郷へと想いを馳せながら、舞台劇の幕は閉じていった。

アンコールでは、コミカルな表情を持った「EXEC_EP=NOVA/.」を通し、場内へ派手やかな空気を描きあげれば、一転、大地の創世さえ想像してしまう荘厳な民族シンフォニア「METHOD_METAFALICA/.」を演奏し、会場中の人たちを雄大な世界へと誘ってゆく。そして最後は、勇壮な「金環食」を凛々しくも高らかに歌いあげ、久遠の世界へと誘った音楽の旅を、志方あきこは締めくくってくれた。

今回は、音質を追求した結果として、比較的狭い会場でのライブとなったが、次回は、もっと広い会場で、より大勢の人たちが触れられる環境も考えているそうなので、ぜひ志方あきこの描き出す妖幻な世界の住人となって楽しんでいただきたい。(TEXT:長澤智典)

>>志方あきこライブ


    

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