
明日への希望を秘めた1stソロアルバム。南里侑香さんインタビュー
梶浦由記さんのソロプロジェクト「FictionJunction」への参加など、音楽アーティスト活動も行っている人気声優/歌手・南里侑香さんの1stソロアルバム『ロンド ・・・月の記憶をたどって。』が完成した。
今作はこれまでのタイアップ曲はもちろん、南里さん自身が作詞を手がけた楽曲含む新曲もパッケージされた全14曲の充実作。スティングのエンジニア: Simon Osborneがシングル曲「輝跡」(輝跡 -kiseki- (London Re-Mix))は、「雫」のリミックスを手がけ、風味堂・渡和久さん、ミュージカル俳優・石井一孝さん、さらにはアイルランドのトップケルトミュージシャンが新曲の制作に参加――と豪華クリエイターが参加していることもトピックスのひとつだ。
そんな豊かなサウンドに乗って届く南里の広がりある歌声の裏には 「この先」へと向かう決意や覚悟すらも感じさせるが、彼女がこのアルバムに込めた本当の想いとは何なのか――その真意を問う。
南里侑香さん
●音楽が好き」ってシンプルな気持ちを大切にしたい、そして……もっと新しいことにチャレンジしたいなって
――昨年を振り返ってみるとどんな年になったと思いますか。
南里侑香さん(以下、南里):去年はソロデビューして3年目の年になったんですけど、いろいろなことを感じたし、いろいろなことをできた年になったというか……自分のなかで凄く大きな分岐点になりました。これからもずっと音楽に携わっていきたいなと改めて痛感した1年でしたね。
――そう思ったきっかけがあったんですか?
南里:一昨年の秋から1年間生放送でインターネットラジオ「A&G ARTIST ZONE 2h」のパーソナリティを務めさせてもらってたんです。その時、皆さんからダイレクトにメールが届いて……自分の曲を聴いて下さっているかたと近い距離感でお話するのは初めてに等しかったのですごく嬉しくて、音楽を通して皆さんと直接会える機会をもっと増やしたいなと思ったんです。そうしたら大きいイベントで歌わせて頂くことも以前よりどんどんと楽しくなって。自分のなかでそういう意識が変化した年になりました。
――その変化は少なからず音楽性にも影響を与えました?
南里:そうですね。前はチャレンジすることが怖かったり──「私らしく歌おう」「私の音楽を探さなきゃ」って意識しすぎて何も答えが出ない時もありました。でも、そういう経験をさせてもらったことで、「ソロになってまだ3年目なんだから自分らしさが何か分からなくて当たり前なのかもしれないな」って考えられるようになれたんです。「音楽が好き」ってシンプルな気持ちを大切にしたい……そして、もっと新しいことにチャレンジしたいなって。
――むしろ、その何事にもチャレンジしていく姿勢が「南里さんらしい」のかもしれないですね。
南里:そうですね。新しいことにチャレンジしながら歌っていくことが楽しいんだと今回改めて思えたんです。むしろ、先が見えちゃったら面白くないのかなって(笑)。
――でもまさに今おっしゃっていたことの答えが、今回のアルバムにはギュッと詰め込まれていますよね。
南里:はい。既存曲を7曲、新曲を6曲収録させてもらっているんですが、既存曲だけも既にカラーがしっかりついているんです。だから最初は「ひとつのカラーを持ったアルバムにしなきゃ!」って思い込んでいてどうやってまとめようかと思っていたんですけど、これだけ既存曲の存在感が強いと統一感のあるアルバムにはできないんじゃないかなって(笑)。
そんなことを考えていたら、プロデューサーの野崎(圭一)さんが「そうする必要はないよ。好きなことやっていいよ」って言って下さったんです。それで「今まで歌ったことのないバラードを歌いたい」「今までとは違う楽曲を歌いたい」っていうことを野崎さんに伝えました。
――野崎さんには具体的にどんな要望を伝えたんですか?
南里:壮大なバラードを歌ってみたいなっていう思いが強かったのでアルバムの最初と最後がバラードにしたいという話を最初にしました。そして最近、柿島(伸次)さんにお世話になることが多いんですが、柿島さんの作る王道のバラードがとっても好きなので柿島さんらしいバラードを書いてもらいたいなって(M-14/ Andante アンダンテ)思ったんです。
あと――私は風味堂さんのファンなので「渡(和久)さんの歌が歌えたらこの上なく幸せだな」と思っていたら野崎さんがお願いしてくださって渡さんが作詞・作曲とピアノを担当してくださったんです(M-4/サヨナラ)。叶うとは思ってなかったのですっごく嬉しかったですね。しかも、今回は私の初舞台のミュージカルでお世話になった石井(一孝)さんも楽曲を書いてくださったんです(M-3/アイ・マイ・ミー・・・mine)。当時私は中学生で石井さんの義理の娘になる役だったんです。子供だった私に、いつも親切に色々なことを教えて下さったり、いつも面白い話をして下さって。千秋楽の日に「これ俺の好きなCDだから聴いてみなよ」ってもらったCDが洋楽のAORの作品だったんです(笑)。
まだ中学に入りたての年齢だったので洋楽にあまりふれたことがなかったのですが、それを毎晩のように聴いて……未だにその作品をよく聴いているんです。だから、音楽においても人生においても石井さんは私の原点なんです。
そんな石井さんに楽曲を書いてもらいたいなと思ってお願いしたら快く引き受けて下さいました。音楽活動もされている方なので楽曲については「お任せで」って感じだったんですけど、出演する舞台によって好きな音楽が変わったりするそうなのでどんな楽曲があがってくるか楽しみで。今回お願いしたときはスパニッシュにハマっていた時期だったのか、熱い曲をいただきました(笑)。
『ロンド ・・・月の記憶をたどって。』/南里侑香
発売日:2012年3月14日(水)
価格:
[初回限定盤]3885円(税込)
[通常盤]3045円(税込)
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●「私はこの道をずっと歩いて行くんだな」ってシンプルなことに気付けた
――初回限定盤にスペインで撮りおろしたDVDが収録されていますが、今回のアルバムを制作するにあたって「自分探しの旅」と称してスペインに出向かれたんですよね。なぜまたスペインだったんですか?
南里:ヨーロッパに行ってみたかったんです。大学でクラシックを専攻していたので周りの友達はみんなヨーロッパに行っていて、私もいつか行ってみたいなって。スペインかイタリアで迷ったんですけど、スペインの風景を見てみたくて行ってきました。景色がすごくキレイで……得たものがたくさんありましたね。その後にロンドンにも行ったんですけど、ロンドンの景色も素晴らしくて「ここに住みたい!」って盛り上がりました(笑)。東京に長年住んでいるせいかあのロンドンの都会的な雰囲気がすごく落ち着きました。
――ロンドンでは伝説のアビーロードスタジオにアイルランドのトップケルトミュージシャンたちを集めて今回のサウンドの一部をレコーディングしたそうですね。
南里:そうなんです。私もそのレコーディングにお邪魔させてもらって演奏を聴かせてもらったんですけど、すごく贅沢な体験をさせてもらったなって。私はアイリッシュ・フルートやハープギターの存在を知らなかったので「こういう楽器もあるんだ!」って勉強になったし、重なっていく個性的な音を聴いて「こういう音を録ろうと思った野崎さんは凄いな!」って改めて思いました(笑)。
日本に戻ってきてから歌詞を書いて私の歌をレコーディングしたんですけど、その時の風景や感覚を思い出しながら歌えたので行き詰ることなく制作できましたね。
――必然的にこれまでとは違った歌詞になったと思うんですけど、歌詞はどんな想いを込めようと思いましたか?
南里:私は3曲歌詞を書かせてもらったんですが 「アイ・マイ・ミー・・・mine」と「春風によせて」は曲を聴いたときに自然に感じたことを書こうと思っていて。ただ柿島さんの書いてくださった「Andante アンダンテ」という最後の曲はスペイン、ロンドンの旅で感じたものを歌詞にしたいなっていう気持ちがあって。向こうでは本当にいろいろなことを感じて……最終的に「未来って明るいんだな」って思ったんです。自分探しの答えは出なかったかもしれないけど、「私はこの道をずっと歩いて行くんだな」ってシンプルなことに気付けたんですよね。そういう思いをこの曲には詰め込みました。
――その想いと『ロンド ・・・月の記憶をたどって。』というタイトルはリンクしているんじゃないかなと思うんですが、どういう由来なんでしょうか。
南里:スペインを旅しているときに過去の自分がずっと見えている気がしていたんです。過去の自分っていうのは何かに悩んでいたり迷っていたりする自分なんですけど、その自分と一緒に旅しているような気分になったというか。……そういうことを感じるっていうのは孤独を感じていたからだと思うんですよ。見知らぬ土地にずっといたので「いますぐ家に帰れないんだ」っていう不安感がやっぱりあったんですよね。
でも窓の外を見たら、日本で見る月と同じ月が輝いていて。空を見ているだけで日本に帰ったような気持ちになって、思わずホッとしちゃったんです。まるで過去の自分と今の自分が月に見守られてる気分になったんですよね。私が生まれる前からずーっと空に浮かんでいる月に「あなたのことちゃんと覚えてるよ、大丈夫だよ」って肯定してもらっているような感じっていうか……その感覚を聴いてくれる人に伝えたいなって。
――みんなそれぞれ迷いを持って生きていて当然不安もあるけど「それでも大丈夫だよ。だから一緒に前に進んでいこう」という包み込むようなメッセージを楽曲からも感じます。それこそ「月」の存在のような、すごく希望のあるアルバムですよね。
南里:そう言っていただけると嬉しいですね。私自身今でも迷いはあるんですけど「それでも良いんだよ」ってみんなにも伝えたいというか……。そういう気持ちが少しでも伝わったら良いなって思います。今の私ができることを全て詰め込むことができたベストなアルバムになりました。
――では最後に2012年5月13日(日)新宿BLAZEで行われるワンマンライヴについてメッセージをいただければ。
南里:ファーストソロライヴなので今から楽しみです。こんなにたくさんの曲を歌うのは多分初めてだと思うので、自分にとっての初めての日を皆さんと一緒に過ごせたら嬉しいですね。
◆『ロンド ・・・月の記憶をたどって。』/南里侑香
発売日:2012年3月14日(水)
価格:
[初回限定盤]3885円(税込)
[通常盤]3045円(税込)
※初回限定版には、「月導-Tsukishirube-」「輝跡-kiseki-」のMusic Clipと、スペインで撮影したドキュメンタリータッチの映像入りDVDに加え、5月13日ソロライブの先行予約案内封入!
◆1stソロライブ『ロンド』開催決定!!
2012年5月13日(日) @新宿BLAZE
16:15開場 /17:00開演
スタンディング 5500円(税込)
※チケット一般発売日:4月14日(土)10:00~
>>南里侑香 公式サイト
>>南里侑香 - Space Craft Group
[インタビュー&文・逆井マリ]




![<b> 『ロンド ・・・月の記憶をたどって。』/南里侑香</b><br> 発売日:2012年3月14日(水) <br>価格:<br> [初回限定盤]3885円(税込) <br> [通常盤]3045円(税込)<br>発売元<br>販売元](https://img.animatetimes.com/news/visual/2012/1331531521_1_2.jpg)





















































