『惡の華 ~ハナガサイタヨ会 vol.2~』レポート

OPテーマ『惡の華』の候補曲は、全部で50曲もあった!? 『惡の華』の音楽制作に深く関わるゲストが登場した『惡の華 ~ハナガサイタヨ会 vol.2~』をレポート

 2013年6月2日(日)、都内にあるパセラリゾーツ銀座店にて、現在放送中の人気アニメ『惡の華』のファン向けイベント『惡の華 ~ハナガサイタヨ会 vol.2~』が行われた。

 今回で2回目となる同イベントは、『惡の華』の“音楽”にスポットを当てた内容で展開された。ASA-CHANGさん(エンディングテーマ『花 -a last flower-』を提供)や、しのさきあさこさん(オープニングテーマ『惡の華』のプロデュース/ボーカル担当)とのトークのほか、深澤秀行さん(音楽担当)によるBGM演奏も実施されるなど、中身の濃いイベントとなった。

 本稿では、その時の模様をレポートしていこう。


<出演者>
植田慎一郎さん(春日高男役)
松崎克俊さん(山田役)
長濵博史さん(監督)
押見修造さん(原作者)
深澤秀行さん(音楽担当)
しのさきあさこさん(オープニングテーマ「惡の華」をプロデュース、兼ボーカル)
ASA-CHANGさん(エンディングテーマ『花 -a last flower-』を提供)


●オープニングトークから楽曲の話題で大盛り上がり!

 イベントの冒頭では、植田さんがオープニングテーマ『惡の華』の歌詞を絶賛。「歌詞に(作品の)全てが込められている。それがやばいです!」と興奮気味に語っていた。押見さんも「言葉に出しづらいくらい、かっこいい」と、アニメの内容とオープニングテーマの感想を述べていた。MCの松崎さんが、監督はどれくらい音楽に関わっているのかという質問をぶつけると、長濱さんはシーンに合わせて「ここの曲は外してほしい」と注文することはあっても、曲の細かな内容を指示することはないと回答。基本的には、音響監督のたなかかずやさんに任せているとのことだ。

 オープニングトークがひとしきり落ち着いたところで、エンディングテーマ『花 -a last flower-』を提供したASA-CHANGさんが登場した。ASA-CHANGさん、および『花 -a last flower-』の大ファンであったという押見さんは当初、「『花 -a last flower-』に近い雰囲気の楽曲を、『惡の華』で使用したい』」と長濱さんに相談したところ、「じゃあ、そのまま『花 -a last flower-』を使用すればいいのでは?」ということになり、ASA-CHANGさんにオファーしたのだという。

 『惡の華』を執筆しているとき、「頭の中で再生できる」くらい『花 -a last flower-』を聴き込んでいたという押見さんは、「非常に救われる感じがする」とコメントし、同楽曲へのリスペクトを語った。ちなみに、2013年6月26日(水)には、『惡の華』コンセプトE.P『惡の花譜』が発売される。こちらのCDには『花 -a last flower-』のフルバージョンも収録されているので、ぜひ期待してほしいとのことだ。

 また、劇中で『花 -a last flower-』を聴いたASA-CHANGさんは、「(楽曲が流れる)タイミングだけでこんなにも印象が変わるんだなと思いました」と率直な感想を述べる。アニメを実際に観た感想を求められると、「吸い込まれる感じがする」「呼吸が止まるような感覚」と、独特の表現で絶賛。さらに、ASA-CHANGさんが「(いい意味で)アニメっぽくない」と言うと、長濱さんは「アニメと実写の中間を目指した」とコメント。試聴者に、「これは、アニメなの?」と思われるような表現を目指すべく、あのような制作手法を選択したらしい。

●OPテーマのPVは木更津で撮影!

 続いては、オープニングテーマ『惡の華』のPV上映を挟んだのち、しのさきあさこさんが登場。『惡の華』の世界観を基に、ストーリー仕立ての展開になっているという本PVは、木更津で撮影されたものだそうだ。また、PVのラストにUFOが登場するのだが、これは実力派の廃材アーティストが作ったという本格的なシロモノとのこと。すでに取り壊されているとのことだが、その完成度の高い造形に、ステージからは驚きの声が挙がっていた。

 続いては、楽曲の話題へ。OP『惡の華』は、春日Ver、仲村Ver、佐伯Ver、群馬県桐生市Ver、の4種類が作られていることはご存じの通りだと思う。しのさきさんによると、OP『惡の華』を制作する際は、なんと一週間で50曲もの候補曲を作り、その中から4曲を厳選したのだという。中には、まったく違うテイストの曲もあったとのことだ。ちなみに原曲のデータは、USBメモリーを無くしてしまったため、その所在が分からないのだとか。別のスタッフが持っているかもしれないとも言っていたので、見つかったらぜひお披露目してほしいところである。

 OP『惡の華』といえば、アニメの内容とリンクした歌詞が好評を得ている。しのさきさんは、原作コミックを何度も読み、作品の世界観やキャラクターの特徴などを熟知した後、歌詞の執筆を行ったと話していた。「仕方がなくってここにいる、どこへ行っても同じだ」というフレーズは、「まさに仲村を表現している」と、押見さんや長濱さんも絶賛していた。

 加えて、ゲストボーカル(テレビ放送時のOPは、ゲストボーカルが歌っている)についても、キャラクターのイメージに合う歌声の人を、志乃咲さん自身がセレクトしたらしい。それに対し、植田さんと長濱さんは「本当にキャラクターが歌っているように聞こえるのが凄い」と率直なコメント。

 また、OP『惡の華』の群馬県桐生市Verにおいて、歌詞で初めて「惡の華」という単語が登場するのだが、これについては、(アニメ版のOPで)ラストに持ってきたのは正解だと、出演者一同が口を揃えて賛同していた。春日、仲村、佐伯Verでは登場しなかった「惡の華」がここに来てついに現れるという意味で、「ラスボスみたいだよね」と冗談っぽく話していた。


●深澤さんが『惡の華』のBGMに関わることになった経緯とは?

 その後も、歌詞やアニメ版に関する話題でトークは進んでいき、しのさきさんとのトークは終了。10分間の休憩を挟んだ後、続いては、深澤さんによるBGM演奏がスタート。『悪の華』の映像をバックに、アニメ版のBGMが淡々と流れ出すと、まるで会場内だけが異世界に飛ばされてしまったような感覚に陥る。深澤さんの音楽が、『惡の華』に与えている影響は凄いものがあると理解できた瞬間だった。

 演奏が終わると、深澤さんがトークに参加。まず注目が集ったのは、演奏に使った楽器 モジュラーシンセサイザーだ。深澤さん曰く、モジュラーシンセサイザーは「原始的な楽器」「シンセサイザーの原始の姿」とのこと。「こういう楽器でも、未だに曲が作れるのだから面白い」と、深澤さんならではの視点でモジュラーシンセサイザーの魅力を語っていた。

 続いては、深澤さんが『惡の華』のBGMに関わることになった経緯について語った。深澤さんはもともと、原作版『惡の華』の大ファンだったそうで、新刊の帯に「2013年、アニメ化決定」のコピーが踊っているのを見て、ぜひとも音楽を担当したいと思ったのだという。しかしアニメ化するのを発表したくらいだから、すでにスタッフも固まって制作は本格的に進んでいると思い、「声はかからないもんだな」と半ば諦めていたとのこと。

 そこでマネージャーに相談したところ、キングレコードに知り合いがいるということで、口をきいてみるという流れに。すると、まだ音楽は決まってないとのことで、晴れて制作スタッフの1人として参加することになったのだそうだ。まさか自分が参加できるとは思っていなかったと、とても嬉しそうに話していた。

 その後もトークは進み、続いては、アニメ版『惡の華』第8話の冒頭で、春日と仲村が手を繋いで家路を延々と歩くシーンが語られた。深澤さんによるとあそこのシーンは「時間軸を延ばして、永遠に歩いているように感じさせる」手法が使われているらしい。また深澤さんのコメントに付け加える形で、長濱さんが「春日からしたら、あのシーンは終わって欲しくないんです」とコメント。春日の「この瞬間を終わらせたくない」という想いを表現したのが、第8話の冒頭シーンであると、監督ならではのこだわりを見せていた。トークではこの他にも、興味深い話が飛び出し、終始大きな盛り上がりを見せ、大盛況のなか華やかに幕を閉じた。


◆テレビアニメ『惡の華』

【放送情報】
TOKYO MX:毎週土曜 深夜1:30~2:00
チバテレビ:毎週日曜 深夜1:00~1:30
tvk:毎週日曜 深夜1:00~1:30
テレ玉:毎週日曜 深夜1:00~1:30
サンテレビ:毎週月曜 深夜0:30~1:00
KBS京都:毎週月曜 深夜1:00~1:30
群馬テレビ:毎週月曜 深夜0:30~1:00
BSアニマックス(無料放送) 毎週土曜 22:30~23:00
BSアニマックス 毎週金曜 22:00~22:30

※放送日時は変更する可能性がございます。

【メインスタッフ】
原作:押見修造
監督:長濵博史
助監督:平川哲生
シリーズ構成:伊丹あき
キャラクターデザイン:島村秀一
美術監督:秋山健太郎
動画監督:佐藤可奈子
色彩監督:梅崎ひろこ
撮影監督:大山佳久
編集:平木大輔
音響監督:たなかかずや
音楽:深澤秀行
音楽制作:スターチャイルドレコード
実写制作:ディコード
アニメーション制作:ZEXCS

【メインキャスト】
春日高男役:植田慎一郎
仲村佐和役:伊瀬茉莉也
佐伯奈々子役:日笠陽子


<リリース情報>
◆惡の華サウンドトラック「惡の讃歌」

発売日:2013年7月3日(水)
価格:3,150円(税込)

 音響ユニット「電子海面」としても活躍している深澤秀行による、アニメ『惡の華』のサウンドトラックアルバム。多数のモジュラーシンセサイザーや、全くオリジナルに作られたサンプリング・ライブラリを駆使して、ほぼ全編がタイムラインに沿って制作されるというテレビアニメのサウンドトラックでは異質な音響叙事詩。ボーナストラックとして、仲村をテーマにした楽曲「仲村佐和の叫喚」が収録される事が決定した。またタワーレコード限定オリジナル特典として、タワーレコードで購入すると、山田をテーマにした楽曲「山田パラダイス」が収録された特典CDがプレゼントされる。


<ニコ生で一挙放送が決定!>
6月9日(日) 18:00~
 ニコニコ生放送にて、惡の華本編第一回~第九回が一挙放送されることが決定!
 URLは後日公式HPにて告知予定。


>>アニメ『惡の華』公式サイト
>>アニメ『惡の華』公式Twitter

(C)押見修造・講談社/「惡の華」製作委員会
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