「でんぱ組.inc」主演映画『白魔女学園』、スタッフインタビュー

9月21日公開「でんぱ組.inc」主演映画『白魔女学園』、坂本監督&脚本・吉田玲子さん超ロングインタビュー

9月21日に劇場公開&日本・全世界同時配信される『白魔女学園』。『仮面ライダーフォーゼ』や『キョウリュウジャー』の坂本浩一さんが監督を努め、脚本は『けいおん!』や『ガールズアンドパンツァー』の吉田玲子さん。主演は話題のアイドルグループ「でんぱ組.inc」という話題作。公開直前ということで、坂本監督と吉田玲子さんにインタビューを行なってきました。坂本監督の楽しそうな現場のエピソードが満載です!


■ 『白魔女学園』に吉田玲子さんが参加した理由は!?

――公開直前の『白魔女学園』について伺います。ズバリどのような作品でしょうか?

坂本浩一監督:ひと言では表現できない作品ですね(笑)。今回の企画は、アニメ界から著名な脚本家の方が物語を作り、それをアイドルが演じる。そして撮影は特撮作品を作っている自分が担当するという試みなんです。アニメ・特撮・アイドルのファンって、かぶってるようでかぶっていないですよね? 似ているようで似ていない3つのジャンルが合体した作品が『白魔女学園』。別々の層のお客さん全員に楽しんでもらおうという趣旨の企画です。
なので、「これはこういう作品なんです」と言い表せないんですよね。特撮要素があり、アニメ要素もある。そしてアイドル映画で学園モノでもある。

一同:(笑)

――ゲームでもコミックでも、普通は「アクション」とか「SF」とかジャンルはありますよね? 『白魔女学園』はなんと呼んだらいいのでしょうか?(笑)

吉田玲子さん:アイドル特撮ホラーアクション!

一同:(爆笑)

――だとしたら、アニメイトなどのショップで、売り場に困りますね?

坂本:アニメとアイドルと特撮コーナー、全部に置いてください!(笑) 僕はアニメが大好きなんですよ。70年生まれなので、特撮とアニメで育ってきました。僕がいままでに作ってきた作品は、すべてにアニメの要素や影響が含まれているんですけど、今回は「アニメを実写化した」というわけじゃないんですが、実写だけどアニメのように世界観を作り込んだ作品をやりたかったんです。

――アニメ好きということは、脚本を担当した吉田玲子さんの作品もお好きですか?

坂本:もちろんです。以前から『けいおん!』とか見させていただいてて、そのころはまさか一緒に仕事ができるとは思っていませんでした。しかも、今回も脚本家を選ぶお話が出たときに、ダメ元で吉田さんにオファーをかけようという話になったんです。お忙しい方だから、ほんとにダメ元ですよ。そうしたら「受けてもらえるかもしれない」って連絡が入ったんです。そりゃーもう、「うおおぉぉぉ~」ってテンション上がりましたよね。

一同:(笑)

――第一報を聞いたとき、吉田さんはなんと思いましたか?

吉田:企画はすごくおもしろそうだなって思いました。最近は女の子が主人公のものを書いてきましたが、『白魔女学園』は女の子が主人公というのは同じなんですけど、ちょっと違う感じ……なんです。

――吉田さんにとって、実写の脚本のお仕事は?

吉田:何年か前までは実写の脚本を連続で書いていたんですけど、最近はぜんぜん書いてませんでした。それでたまたまお話をいただいたので、やってみたいなと思いました。

坂本:「やってみたい」だなんて、ラッキーです。ダメ元でオファーしたかいがありました。

――そしてもうひとつの要素「アイドル」ですが、「でんぱ組.inc」を起用した理由は?

坂本:いまたくさんいるアイドルのなかから、誰に主演していただくかはとても悩みました。「でんぱ組.inc」を勧められたとき、彼女たちの名前は知っていましたが、詳しくは知らなかったです。当時、彼女たちはまだそんなにテレビに出ていませんでしたからね。そしてすぐに調べたんですが、調べるうちに興味を持ってきて、実際に会ってみることになったんです。彼女たちがやっている番組の収録現場におじゃまして、収録後に2時間半くらい面談をさせてもらいました。

――2時間半もですか? みっちりですね。

坂本:はい。彼女たちの経歴から趣味、好きなもの、やりたいことなどなど、メンバー全員と話しました。オーディションのような感じで、とりあえず会って話をしてみないと、僕も撮影ができるかわかりませんからね。

――そのときの感想は?

坂本:スタッフを含めて、その日は「とりあえず会って話しましょう」という気持ちで面談してきたんだけど、面談が終わって、帰りに最寄り駅まで歩いている最中に、「よし、彼女らでいこう!」って決めちゃいました(笑)。

一同:(爆笑)

――即決じゃないですか!(笑)

坂本:そうですね(笑)。確か今年の3月くらいだったかな? 彼女たちの魅力って、ステージ上のパフォーマンスだけでなく、個人々のおもしろさも強烈なんです。一度会って話しをしたら、もっと話をしたいとか、もっと知りたいと思わせる魅力を持っています。そこで、「でんぱ組.inc」を軸にした作品作りがスタートしました。それからアイデアとかプロットを作っていきまして、どうしても吉田玲子さんの脚本が必要になったんです。

――そこからダメ元のオファーが始まったのですね。

坂本:僕がいままでお仕事をさせていただいた大部分の脚本家が男性でした。なので「女性が書く女性のストーリー」というのは未知の世界。僕自身が吉田さんの脚本がとても楽しみでした。しかも、「でんぱ組.inc」のメンバーは、いままであまり演技をしたことがなかったので、あまりかけ離れた役だと演技が難しいと思って、本人たちがやりやすいような話を吉田さんに書いていただいたんです。そうしたらね、もうバッチリな脚本を完成させてくださいました。

――さすが吉田さん、坂本さんの希望通りですか?

坂本:「でんぱ組.inc」のメンバーも言ってましたよ。「とても演技がしやすい」」って。

――坂本監督はいままで数えきれないほどの役者さんを撮影してきたのに、一度も演技をしたことがないアイドルで作品を作るというのは、抵抗がありませんでしたか?

坂本:ある意味でのチャレンジではありましたね。それと、制作期間においてもチャレンジでしたね(笑)。

――3月にオーディションをして9月に公開というと、かなり短期間だと思います。撮影もそうですけど、脚本の吉田さんもタイヘンだったと思います。

吉田:お話をいただいたときからおおまかな企画意図のようなものはあったんですけど、作品がオリジナルなので、やっぱり最初から書くことにはなりました。短期間で怒涛のごとく作業しました(笑)。

 

●でんぱ組.inc プロフィール
古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、最上もが、藤咲彩音の6人組ユニットで、「秋葉原ディアステージ」に所属し、様々な活動を展開。メンバーはもともと、アニメ・漫画・ゲームなど、自分の趣味に特化したコアなオタクでもある! また最近は東京コレクションへの参加、ミキオサカベをはじめとして様々なクリエイターとのコラボレーションなどを活発に展開。国内のみならず海外からも注目を集め、ジャカルタでのファッションイベントの出演や台北での単独公演も成功させた。ZEPP TOKYOでのワンマンライブも満員のファンで埋め尽くされた。話題のシングル『W.W.D / 冬へと走りだすお!』で、オリコン10位を獲得。さらに、5月29日リリースの最新シングル『でんでんぱっしょん』では、6位を獲得。TOY'S FACTORY×もふくちゃんの新レーベルMEME TOKYO所属。



●坂本浩一監督 プロフィール
1970年生まれ。東京都出身。アルファスタント所属。海外で長きにわたって活躍し、『Power Rangers』シリーズではアクション監督、本編監督を経てプロデューサー、製作総指揮を務めるなど多大な貢献を果たした。『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(2009年)から日本でも本格的な活躍を開始し、『仮面ライダーW』(2009年)や『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011年)を経て、『仮面ライダーフォーゼ』(11年)や『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013年)ではメイン監督として手腕を発揮。並行して『トラベラーズ 次元警察』(2013年)や『009ノ1 THE END OF THE BEGINNING』(2013年)など、次々と精力的に新作を送り出している。

●吉田玲子(脚本) プロフィール
広島県出身。実写ドラマ・アニメの両ジャンルで活躍。実写作品の代表作には『笑ゥせぇるすまん』(1999年)、『OLヴィジュアル系』(2000年)、『嫉妬の香り』(2001年)、『サトラレ』(2002年)、『帰ってきた時効警察』(2007年)など。近年ではアニメ『けいおん!!』(2010年)や『ガールズ&パンツァー』(2012年)がファンから高い支持を受けるなど、その筆力には定評がある。

■ ハードスケジュールでも監督に苦労の思い出なし! 理由は「朝から晩まで女の子がいるから!」

――それでは再び監督に伺います。撮影時に苦労したことはありますか?

坂本:今回は撮影が短期間で、毎日長時間の撮影を行ないました。通常、こういう撮影を行なうとタイヘンなんですけど、今回はタイヘンではありましたが楽しかったです。だって、毎日朝から晩まで女の子たちに囲まれる生活じゃないですか?

吉田:(笑)

――あの、監督すみません。これは記事になってしまうのですが……(笑)。

坂本:ダイジョブ! ダイジョブ! 書いちゃっていいです(笑)。ほんとに毎日が楽しかったんですよ。だってほら、子供のころ運動会で「女の子が見ていると速く走れる」とかあるじゃないですか? それと同じですよ。すごくタイヘンな現場なんだけど、朝から晩まで女の子がいるんです。しかも、ずーっと女の子しか撮ってないんですよ。

 
――それはそうですね。『白魔女学園』の撮影ですから!(笑)

坂本:でしょ? そうするとね、これが不思議と疲れないんですよ(笑)。

一同:(爆笑)

坂本:いやいや、ホントにそうなんですよ。『白魔女学園』の制作中は、早朝5時に起きて6時に出発でした。そして一日中ずーっと撮影をして、終わるのが深夜24時くらい。それから帰って翌日の台本チェックとかいろいろやって、2~3時間仮眠……。そしてまた朝の5時に起きる。そんな生活を二週間ずっと続けてました。なのに現場ではぜんぜん疲れないんですよね。反対に現場から離れてひとりになると、気が抜けて疲れが出てくる。そんな楽しい現場でした(笑)。

――坂本監督、タフすぎます! その生活を送っていたら「楽しくない」といったらウソになりますね。

坂本:はい。本当に楽しい現場でした。

――次にお聞きしたかった質問は「現場での苦労話」なのですが、苦労はないですね?(笑) この質問はヤメましょう。

坂本:あははは! 撮影は長時間でタイヘンだったけれども、スタッフみんなの意気込みもすごかったし、楽しい現場でしたね。

――撮影時に予想外だったことはありましたか?

坂本:「でんぱ組.inc」に対してどんなノリで接したらいいのかなぁと、初めは不安だったんです。若い役者さんは『仮面ライダーフォーゼ』と『獣電戦隊キョウリュウジャー』の撮影で慣れたんだけど、役者全員が女の子という現場はありませんでした。そんな不安を持って初日の撮影に挑んだんです。
撮影1日目、いろいろなシーンを撮影しましたが、最後は「でんぱ組.inc」だけが登場する教室のシーンでした。そのシーンの撮影で彼女たちと一緒に仕事をしているうちに楽しくなってきて、すごく盛り上がったんです。全部撮影が終わったときに、思わずプロデューサーに「もしかしたらでんぱ組.incと相性がいいかもしれない」って言っちゃうくらい(笑)。
そんな現場だったので、抱いてた不安は初日で吹き飛びました。それ以降はずっと「ワイワイキャーキャー」しながらの撮影です。

――なにを伺っても、答えは「楽しかった」となってしまうのは、本当に坂本監督の現場が楽しいからでしょうね!

坂本:楽しいですよ。僕は基本的に現場が大好きなんです。ただでさえそうなのに、今回は役者たちとの相性もよかった。そりゃー楽しいですよ(笑)。しかも、いつも作ってる子供向け番組だと、脚とかスカートとか撮影すると怒られるんですよ。だけど今回は、「どんどん撮ってください」って!

一同:(笑)

――普段は怒られるんですか?

坂本:そりゃーそうですよ(笑)。ライダーとか戦隊を作ってて、そういう撮影を……したら……ねぇ?(笑) それでも僕はチャレンジするんですけどね!

一同:(爆笑)

――チャレンジの結果、ファンのみんなが見たい映像を撮影できれば、みんながハッピーです!

坂本:そうそう(笑)。いつもはそうやって、探り探りのチャレンジをしながら撮影していたのに、今回の『白魔女学園』は「どうぞ撮ってください!」って。そりゃぁ撮影も楽しいですよ。


――坂本監督がイチオシの「ココを見ろ!」というシーンは?

坂本:いろいろありますけど、マジメな話をすると、各キャラクターの成長の過程でしょうか。問題を抱えた女の子たちの成長物語が描かれているので、そこを見てほしいですね。その子たちのなかで、特に主人公の姉妹は妙なテンションと言えるほど盛り上がります。作品のイメージに「ホラー」とか「アクション」があるけど、実は根本に強いドラマ性が含まれているので、きっと見ているうちに吉田玲子さんの物語に引きこまれていくと思います。
そして……そのシーンに行くまでに散りばめられた彼女たちのかわいいカットとか、セクシーなカットとか。いっぱいあるんです! だからですね、僕も楽しいワケですよ。

吉田:(笑)

――最初はマジメな回答だったのに、後半は「監督が撮りたい映像」の話になってしまいました(笑)。

坂本:あははは! 今回の『白魔女学園』はね、いろんなところから楽しめる作品ということがわかってもらえれば嬉しいです。

■ 「魔法少女」を描くときに吉田さんが気を付けた事とは!?

――吉田さんに伺います。今回は実写作品ということで、ストーリーを作る上で注意した点はありますか?

吉田:キャストの方が最初に決まっていたので、それぞれの個性が上手く出ればいいな~と思って意識しました。私はでんぱ組.incさんにお会いしてないのですが、映像資料とスタッフのお話を聞いて、キャラクターと物語を作りました。

――アニメのキャラクターと実写のキャラクターを作るのは違いますか?

吉田:それほど違いは意識しなかったです。自分が書くときは、「アニメだからこう」とか「実写だからこう」とか意識しないんです。一番重要なのは「誰がなにをやるか」なので、そこを中心に書いてるだけです。

――吉田さんは「女の子+楽器」の『けいおん!』や「女の子+戦車」の『ガールズアンドパンツァー』を大ヒットさせましたが、『白魔女学園』では女の子と魔法の組み合わせなのでしょうか?

吉田:組み合わせは特にないです。私は女の子を書くのがすごく好きなんです。やっぱり自分が感情移入しやすいからでしょうか? 主人公が男性よりも、女の子が主人公のほうが書きやすいし、書くのも好きです。そして、キャラクターを作るときは、物に寄るよりもキャラクターに寄って考えます。「音楽や戦車、魔法だから」というのではなく、その子たちがなにかに接したとき、彼女たちがどのように反応するかをより大切にしますね。自分が書くときは、アイテムに寄りすぎない感じかな~って思います。

――興味深いお話をありがとうございました。どうしても楽器や戦車、魔法使いなど、グッズのほうに目が行ってしまいがちですが、吉田さんがキャラクターを作るときは「アイテムよりも人」なんですね。

坂本:吉田さんの作品はキャラクターが魅力的だから、アイテムやメカにも興味がわくんでしょう。アイテムやメカがいくらかっこよくても、キャラクターに魅力がないと、興味を持てないですよね。


――『白魔女学園』には「魔法少女」が登場しますが、吉田さんが「魔法少女」を書くときに注意したポイントは?

吉田:年齢的に魔法少女よりも少し大人ですけど、最初から能力があったのではなく、白魔女学園に入ってから能力を開花させた女の子たちなんです。なので、そういう子たちが能力を持ったらどうなるのか、という部分から書きました。

坂本:しかもハッピーな魔法ではなくて、心に傷がある子じゃないと使えないし、傷のダメージが大きいほど魔法力が高いという設定です。一般的なハッピーな魔法少女のイメージではなく、ダークなイメージ。魔法を使う前には全身を痛さが襲うんです。そのへんのビジュアルイメージも含めて、いままでの吉田さんではない、ダークな「吉田魔法少女」が描かれています!

吉田:あはははは(笑)

坂本:まぁ、ビジュアルについては僕の責任もあるんですけどね(笑)。

――アクションについて伺います。魔法少女にアクションを組み合わせた理由は?

坂本:僕ももともと自分でアクションをやっていたので、今回もアクションをやろうって思いました。もちろん魔法も使いますけど、いろいろ大人の事情があるんですよ。魔法って、使うたびにお金がかかるんですよね。合成とか!

一同:(笑)

坂本:そういうことも踏まえて、魔法も使うけど格闘もするんですよねぇ。

――お金のハナシは大事ですけど、格闘があったほうが作品としての魅力が高まる……というのはいかがでしょうか?

坂本:そ、そうです。それ! 格闘は見どころです!!

一同:(爆笑)

坂本:だからあえて格闘のキャラクターも作りました。そのキャラは「しゃべる前に蹴っ飛ばす」という格闘キャラなんです。なにかあると、彼女はすぐに戦います。それ以外のキャラクターも、初めは刀などを持って戦うんだけど、決め技は魔法。ライダーキックやスペシウム光線の代わりが「魔法」なんです。そういう感覚で、格闘と魔法を上手く組み合わせられたらいいなって思ったんです。しかも、でんぱ組.incはアクションに初挑戦だったので、何回もスタントチームと殺陣の練習をしたり、受け身の練習をしていました。

――その光景を見て、監督の感想は?

坂本:みんな楽しんでいましたね。特に主役の最上もがちゃんはアクションシーンが多かったので、がんばってました。初のアクションシーンは本人的に納得がいかなかったみたいで、涙を流すくらい悔しがっていました。なのでそこから先は、どんなに疲れていても暇さえあればスタントチームを捕まえて、「アクション教えてください!」って練習してました。すごい力の入れようで、感心しました。

――その成果はいかがでしたか?

坂本:バッチリでした。彼女は「アニメ顔」というか、すごくキレイな顔立ちしてるんです。しかも衣装が魔法使いなので、アニメの世界から飛び出してきた雰囲気でした。現場でもみんなで「アニメの世界から飛び出してきたみたい」って言ってました。そんな彼女らがアクションシーンをすると、顔つきもグッと締まるので絵になります。現実世界とは違った映像になったと思います。

――でんぱ組.incのアクションの魅力は?

坂本:全員がアクションをするわけではないんです。なかには転んだり逃げまわるだけの子もいます。アクションをする子は、バンバン殴ったり……って、どこが魔法なんだった気もしますよね?(笑)

一同:(笑)

坂本:そんな彼女たちは、それぞれのキャラクターを活かしつつ、個性を上手に表現してくれたので、そこが魅力だと思います。

■ 世界展開を目指す『白魔女学園』のいまだかつてないメディア展開!

――『白魔女学園』は日本だけでなく世界展開を行ないますが、そうなったきっかけは?

坂本:もともとなにか新しいことをしたいという話があったんです。テレビ朝日さんと東映さんが組んだ座組のなかで何本かやってきましたけど、それらとは違ったことをしたい……と。いまの時代、劇場公開をしてビデオを出すのは普通。そこで、ネットを使って世界中のファンに届けようということになったんです。

僕自身、国籍はアメリカなんですけど、アメリカにいても日本のオタク文化の広がりは感じられます。アニメやマンガ、和食など、日本のポップカルチャーは向こうでも広まっている。なので世界中に日本の文化を欲しがっている人たちがいっぱいいるわけだから、日本だけでやるのではなく、同時にアピールできるものがいいんじゃないかって話になったんです。いままで前例がなかったので、チャレンジですね。
ビジュアルについても考えています。日本の制服は記号化されているので、海外でのウケがいいんです。アメリカでもヨーロッパでも、制服を着た東洋人がいると「おお~」ってなります。だから今回の『白魔女学園』は魔法もので、女子高生もの! かわいい東洋人の女の子が制服を着てアクションをやるわけです。ちなみに『白魔女学園』のコスプレ衣装はプレミアムバンダイから絶賛発売中なので、ビジュアル面に興味を持ってくださった方は、こちらもよろしくお願いします(笑)。

そしてもうひとつ、作品のテンポについても考えています。僕は海外でもたくさん撮ってきましたけど、僕が一番重要視するのは「作品のリズム感」。じっくり見せるという手もありますけど、アメリカ映画とかはテンポが早いですよね? お客さんはそれについていこうとしてくれるし、いまの視聴者はそういった作品に慣れてる。なので僕が演出するときは、リズムで見せて、一気にお客さんを取り込む見せ方。『白魔女学園』は、そこにもこだわっています。

とまぁ、今回の作品はいろいろな要素が含まれているので、海外の人たちにもアピールできるんじゃないかな? たくさん話ましたが、そのような要素が凝縮されている作品が『白魔女学園』です。

――テンポを大切にする欧米作品と、ゆっくり見せる日本の作品の要素をひとつの作品『白魔女学園』のなかに入れるのは難しかったのではないでしょうか?

坂本:僕が思うには、いまの邦画の傾向を見ていると「娯楽作品」というジャンルに値する作品が少ないと思うんです。アメリカで「ポップコーンムービー」と言うんですが、90分を楽しめればいいだけの作品がちゃんと成立してるんですよね。だけど日本のお客さんは見る前に構えちゃうから、なかなかないんです。なので、僕はそういう作品を作って、90分なにも考えずに楽しめる作品を見せたいんです。僕がいままで撮ってきた『ウルトラマン』や『仮面ライダー』、戦隊モノにしても、見たからといって人生が変わるわけじゃない。でも、その分「家族で楽しめたんだからいいじゃないか」と思うんですよ。僕らが育ってきた過程で80年台に見てきた映画『フラッシュダンス』とか『フットルース』とかも、別にあれを見たからといって人生が変わるわけじゃない。でも、見ている時間は楽しかったんだからいいんですよ。

だから今回の『白魔女学園』は、リズムで見せたり演出や編集でこだわってみたり、いろいろやりました。みなさん見てみないとわからないと思いますが、飽きずにちゃんと見てもらえるかどうかが、僕にとってのチャレンジです。

――『白魔女学園』は3つのバージョンがあると伺ったのですが、違いを教えていただけますか?

坂本:3つのバージョンは、それぞれ劇場公開版とネット配信版、DC版です。劇場公開版は、約90分の映画。見やすい尺になっていますが、ある程度のシーンは省かれています。そしてネット配信版は、全10話の連続もの。1話ごとに起承転結があって、次が見たくなる引っ張りもあります。劇場公開版と比べると、「サービスカット」が少し増えています。
3つめのDC版は「すべてお見せします!」というバージョンで、劇場版よりも15分くらい長い作品です。ここには劇場版にも配信版にも含まれていない「お宝映像」がいっぱい入ってるんです(笑)。

――ということは、ファンはすべて見ないといけないのですね。

坂本:もちろんです!

一同:(笑)

――最後に『白魔女学園』を楽しみにしているファンに、ひと言お願いします。

吉田:『白魔女学園』のスタッフやキャストの組み合わせを見ると、イメージしにくい作品だと思います。ホラー要素もあるので、ちょっと怖いかな? ホラーファンにもぜひ!

坂本:そうそう! ホラーファンにも見て欲しいですね。僕はいい意味で期待を裏切りたいんです。仮面ライダーを作ったときも、仮面ライダーを見に来たのに感動して泣いて帰ってくれたお客さんがいたんです。そういう反応が一番いい反応だと思うんです。なので『白魔女学園』を見た後に、期待を裏切ったなにかを心に残してほしいです。ぜひ、3つのバージョンを楽しんでください。

《DATA》

監督:坂本浩一
脚本:吉田玲子
出演:でんぱ組.inc(最上もが、夢眠ねむ、古川未鈴、成瀬瑛美、藤咲彩音、相沢梨紗) 
山谷花純 小宮有紗 高良光莉 白石さえ 相川結 ほか
音楽:三澤康広
主題歌:「W.W.D II」でんぱ組.inc (MEME TOKYO/TOY'S FACTORY)
オープニングテーマ:「瞬間リアリティ」みみめめMIMI (Astro Voice)
制作:テレビ朝日・東映

2013年9月21日 劇場公開(劇場限定版)
日本・全世界 同時動画配信(全10話)

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(C)2013「白魔女学園」生徒会
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