声優
『牙狼〈GARO〉』、エマ・グスマン役の朴璐美さんインタビュー

日常は「ホラーだらけ」!? テレビアニメ『牙狼〈GARO〉-炎の刻印-』連続インタビュー企画4人目は、エマ・グスマン役の朴璐美さん!

 10月3日(金)深夜より、テレビ東京ほかにて順次放送がスタートしている、テレビアニメ『牙狼〈GARO〉-炎の刻印-』。「アニメイトTV」では、本作の主要キャスト陣とスタッフ陣計6名のインタビューを刊行。先週より記事を続々公開している。

 レオン・ルイス役の浪川大輔さん、ヘルマン・ルイス役の堀内賢雄さん、アルフォンソ・サン・ヴァリアンテ役の野村勝人さんと続いてきたキャストインタビュー編は今回が最後。4人目のキャストは、エマ・グスマン役、朴璐美さんだ。実は、本作のシリーズ構成・脚本を手がける小林靖子さんのことが「大好き」という朴さん。“脚本家・小林靖子”のことも含め、じっくり語ってくれた。

 

エマは「人間の尊厳を大事にするべく闘っていると感じる」

――『牙狼〈GARO〉』(以下、牙狼)第一話はエマが登場する前のエピソードでしたが、完成したものは事前にご覧になったとか。実際に観ていかがでしたか?

朴璐美さん(以下、朴):私、小林靖子さんの脚本が大好きなんですけど、いつもの小林さんの台本は、人間の様々な“業”がみっちりみっちりと、濃密に描かれているような印象なんです。それと比べると、今作の第一話はあまりみっちりしすぎてなかったんですね。余白があるというか。その余白で感じさせる、想像させるような作りになっていたのが印象的でした。小林さんと林監督のコラボレーションだからこそなせる技なのかなと。

――アニメならではの良さもとっても感じられました。

朴:ガロが動く瞬間はすごくざわめきましたね。実写版を拝見していないので比較はできないんですけれど、アニメーションならではの迫力みたいなものは出せているんじゃないかなと思います。

――では、今後活躍するであろうエマについても。朴さんご自身から見て、どんな人物でしたか?

朴:エマはとっても強い女性ですね。単に強いわけじゃない、何かを秘めた強さを持っている人物だと感じたのが最初の印象です。あとは、演じていくうえで新たに気づいたこともあったり。

▲エマ・グスマン<br>(CV:朴璐美)

▲エマ・グスマン
(CV:朴璐美)


 

――というと、どんなところでしょう?

朴:エマって、登場シーンで袋叩きにあってボコボコにされるんですよ。なのでお芝居も、最初は「なんだよ!?」みたいな、強気なテイストで演じさせていただいたんですね。そうしたら「エマはあくまでもヒロインなんで。もうちょっと可愛く」という演技指導を受けたんです。でも、ヒロインだからお芝居を変えるっていうのは、ちょっとわからなかったんですよ。「ボコられても可愛くってどういうこと?」とも思いましたし。で、自分の中で考えた結果「あ、そうか。ボコられても急所避けてんだこの人。余裕なんだわ。強いんだハートが」と。

――エマを新たな面から捉えたんですね。

朴:そうですね。それに、今はまだ言いづらい部分なんですけど、彼女にもいろんな過去があって。その話を聞いたうえでエマを見ると、また納得できる部分が出てくるんです。とくに腑に落ちたのは、彼女の弱さに気づいたとき。エマは、すごく弱いからこそ、強くいられる、とっても“人間らしい”女性なんですよ。この作品では、それぞれの人物の業が鮮やかに描かれていますけど、そのなかでもエマは本当に“人間”だなと。人間の尊厳を大事にするべく闘っているんだなあっていうのは感じます。



 

――そういう面って、朴さんにも通じるところはありますか?

朴:私自身というよりは家族の話ですし、ちょっと暗い話になるんですけれど……父が十何年寝たきりで。父自身の負担も大きいということもあって、あるとき「体に人工器具をつける」といった話になったんです。そうしたら、彼はすごい否定して。「人間っていうのは、尊厳を無くしたら生きていけないんだ!!」って言ったんですね。そのときのことが、自分の中にすごく残ってるんです。

――尊厳に対する想いの強さ、ですね。

朴:エマも、ある理由のために尊厳を守ろうとしているので、その想いがすごく理解できるっていうか。リンクするところはありましたね。

「私、ガロになれると思いますもん!」

――ここで、すこし趣向を変えた質問を。朴さんの日常には“ホラー”っていますか?

朴:私の日常に、ですか? ホラーだらけですよー!!(語気強め) 毎日、日々、エブリデイ、エブリタイム、ホラーだらけですよもー!
 

――そんなにたくさんいるんですか?

朴:舞台公演のプロデュースとか、“ものづくり”している段階だととくにそうかもしれないですね。まあ?いろいろあるんですよ! 打ち合わせとかでも、些細なことがしがらみになって全然進まなかったりして。「え!? なんでそこで嘘ついたの!?」「あなたのチンケなプライドのために……!!」とか、毎回のように思いますね。で、そのたびに「お前らはホラーだ!」と(笑)。このままいくと私、ガロになれると思いますもん!

一同:爆笑

朴:普通に日常生活を送るぶんにはまだいいんでしょうけど、ものづくりっていうふうになると責任が伴いますから。「ひとつの作品を楽しんで作る」だけでいいはずなのに、そうなれなくなっている人間の業、みたいなものを感じる瞬間が多々ありますね。

――そんなふうに業を感じられるのって、朴さん自身が相手の気持ちの奥まで読み取れるからかもしれないですね。

朴:確かに、奥まで見たいタイプですね。だからお芝居やってるんじゃないかなあ。そこにフタしちゃった状態のお芝居って、あんまり興味が無くて。心のフタが開くか閉まるかのせめぎあいをユラユラとやっている人たちが好きですね。

――確たる心がある仕事というか。

朴:そういうものづくりをしている人たちのほうが、信じられるなって思います。

――ちなみに、牙狼のなかでとくに業を感じたシーンは?

朴:それはもう、第一話の火あぶりのシーンが一番ですよ。炎の中で子どもを産み落とす。あれに集約されてますよね。エマは第一話に出てなかったんで、レオンがどういうふうに生まれてきたのが知らなかったんですよ。完パケを観てはじめて知ったときは衝撃で。「こんな産まれ方なんだ!」「うわあーー! レオーン!!」ってなりました。


 

――確かに、あのシーンのインパクトは計り知れないですよね!

朴:だから、第一話をみないで収録に入ってほんと良かったなと思いました。観ちゃってたら、レオンに対してある種の強烈な感情が生まれてたかもしれないので。

――お芝居にも影響が出かねないほどの衝撃だったと。そこまでの業を描き出したのが、最初にも話題に出た小林靖子さんですが、とくに印象に残っている小林さんの作品はありますか?

朴:『侍戦隊シンケンジャー』ですね。というのも私、この作品に「薄皮太夫」というキャラで出させていただいたんですよ。“女の業の権化”みたいな役で。愛している男性と結婚できなかったために、彼の結婚式に松明を持って乗り込んで、燃やしちゃって。で、その男性を抱きしめながら三味線に変えちゃうという。

――すごいお話ですね……!

朴:子ども向けの特撮のはずなのに、完全に子ども向けじゃない!と(笑)。とっても衝撃的でした。私、小林さんのすごいところって、「子どもだから」とか分け隔てないところだと思うんですよ。そうして、見た子どもの心の中にザラリとした何かを残す。そのザラリ感を小林さんって大事になさってる気がするんです。だから牙狼も、お子さんと一緒に見ていただいても私はいいんじゃないかなと思いますね。

――子供向けとして、セクシーなシーンは気になりますけども(笑)。

朴:そこはねえ。でもどうせいつかするんだから。

一同:爆笑

朴:観ちゃえばいいよと思いますよ(笑)。

 

――では最後に、朴さんご自身から見た牙狼の見どころを教えてください。

朴:さっきの「心のフタが開くか閉まるかのせめぎあい」の話と一緒で、ホラーに落ちるか堕ちないかのせめぎあいをできるかが人間だと思います。そこであがいて戦えるのが人間だと。牙狼は、その感覚をとっても感じさせてもらえる作品。ぜひ、その“ゆらぎ”を感じてもらえると嬉しいですね。

 最後に「牙狼をよろしくお願いいたします」と改めて挨拶し、現場をあとにした朴さん。牙狼やエマ像を通して朴さんの素も見られた、貴重なインタビューになった。連続インタビュー企画は折り返しを過ぎ、残すところはあと2人。次回は、朴さんも熱心に語ってくれた、脚本家の小林靖子さんだ。見逃すなかれ!

[取材&文・松本まゆげ]


<「牙狼〈GARO〉-炎の刻印-」とは>
 テレビアニメ「牙狼〈GARO〉-炎の刻印-」は、監督に期待の新鋭・林祐一郎氏、シリーズ構成・脚本にはTVアニメ「進撃の巨人」などでお馴染みの小林靖子氏を起用し、声優陣も主人公のレオン・ルイスに浪川大輔さん(『Persona4』主人公/鳴上悠)、父親のヘルマン・ルイスに堀内賢雄さん(『ガンダムZZ』マシュマー・セロ)、王子アルフォンソ・サン・ヴァリアンテに若手の野村勝人さん(『I"s Pure』瀬戸一貴)、謎の女魔戒法師エマには朴璐美さん(『鋼の錬金術師』エドワード・エルリック)といった豪華声優陣を起用。
 これまでのファンはもちろんのこと、初めて『牙狼<GARO>』を見る方でも楽しんで頂ける新しい『牙狼<GARO>』です!

<牙狼<GARO>とは>
 2005年にテレビ東京系列で放送開始された特撮シリーズ「牙狼<GARO>」。最新のCG/VFX技術を駆使し、雨宮慶太監督が生み出す独特の筆文字を取り入れたスタイリッシュな映像で、大人のための特撮ドラマとして独自の歴史を築き続けている。
4月からはテレビシリーズ第4弾『牙狼〈GARO〉-魔戒ノ花-』が放送中。10月からは初のアニメシリーズが放送開始。

<放送スケジュール>
★10月3日からテレビ東京系6局、スターチャンネル(BS10ch)【無料放送】、CSチャンネル・ファミリー劇場にて放送START!

[テレビ東京]10月3日より 毎週金曜深夜1時23分~
[テレビ大阪]10月3日より 毎週金曜深夜2:10~
[テレビ愛知]10月3日より 毎週金曜深夜2:05~
[テレビ北海道] 10月3日より 毎週金曜深夜1時23分~
[テレビせとうち] 10月3日より 毎週金曜深夜1時53分~
[TVQ九州放送] 10月4日より 毎週土曜深夜1時55分
 ※第1話~第2話のみ土曜深夜 2時25分
[スターチャンネル(BS10ch)【無料放送】] 10月10日より 毎週金曜20時15分~
[CSチャンネル・ファミリー劇場] 10月17日より 毎週金曜23時00分~

<STAFF>
原作:雨宮慶太
監督:林祐一郎
シリーズ構成:小林靖子
キャラクターデザイン協力:武井宏之
アニメーションキャラクターデザイン:菅野利之
美術監督:橋本和幸
撮影監督:淡輪雄介
CG監督:金本真
音楽:MONACA
音響監督:久保宗一郎
アニメーション制作:MAPPA/東北新社
製作:東北新社

<キャスト>
レオン・ルイス(CV:浪川大輔)
ヘルマン・ルイス(CV:堀内賢雄)
アルフォンソ・サン・ヴァリアンテ(CV:野村勝人)
エマ・グスマン(CV:朴璐美)







>>TVアニメ「牙狼〈GARO〉-炎の刻印-」公式サイト
>>TVアニメ「牙狼〈GARO〉-炎の刻印-」公式ツイッター(@anime_garo)
(C)2014「炎の刻印」 雨宮慶太/東北新社
おすすめタグ
あわせて読みたい

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2024年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2024春アニメ何観る
2024年春アニメ最速放送日
2024春アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング