マンガ・ラノベ
兵庫県「宝塚市立手塚治虫記念館」レポート

マンガ、アニメファンなら一度は訪れたい! 兵庫県宝塚市にある「手塚治虫記念館」レポート

 あなたは手塚治虫を知っていますか? 多くの人には説明すら必要ないかも知れませんが、手塚治虫は、『鉄腕アトム』、『ブラック・ジャック』、『リボンの騎士』など、数多くの作品を生み出した日本を代表する漫画家で、“まんがの神様”とも言われています。原作漫画を読んだことはなくても作品のキャラクターや教科書を通じて名前を知っている人も多いのではないでしょうか。

そんな、手塚治虫が5歳から24歳までを過ごしたのが兵庫県宝塚市です。彼の故郷とも言える宝塚市には、「宝塚市立手塚治虫記念館」(以下、記念館)があります。今回は、まんがファン、アニメファンなら一度は訪れてみたい「手塚治虫記念館」をご紹介しましょう。あなたが好きなあのマンガやアニメの“原点”が見つかるかも知れません。

■ 記念館そのものが手塚作品ワールド!

1994年に創設された記念館は、オープンから今年で20周年。兵庫県宝塚市が運営するれっきとした公の施設です。ですが、お堅い雰囲気は全くと言っていいほどなく、建物そのものが手塚作品を象徴するかのようにドキドキとワクワクに満ちあふれています。

 館内へ入ると、まず『リボンの騎士』の王宮をイメージしたメルヘンチックなエントランスホールが広がっています。入り口の右側では『鉄腕アトム』のアトムと『リボンの騎士』のサファイアがお出迎え。ふと天井の隅に目をやると、防犯カメラの隣にギャグキャラクターのスパイダーの姿が見えます。このように、館内には至る所に漫画のキャラクターが隠れているので、隅々までよく探してみてください。

 1階には手塚先生に関する資料の常設展示と、オリジナルアニメを上映している「アトムビジョン映像ホール」があります。常設展示室にずらりと並んだガラスケースは、『火の鳥-未来編-』に登場する生命維持装置をイメージして作られたもの。ここには、手塚先生が実際に使っていた貴重な資料がたくさん展示されています。

なかでも注目すべきは、手塚先生が漫画家としてデビューする前の観察スケッチや落書きです。この宝塚で過ごした頃の昆虫採集の記録や、家族と観覧に行った宝塚歌劇の資料が遺されています。昆虫の観察スケッチからも、幼い頃から卓越した絵の才能と人一倍凝り性の片鱗がうかがえます。さらに、『のらくろ』の漫画本の隅にはパラパラ漫画の落書きが遺されています。手塚先生は子どもの頃から絵を動かすことにも憧れを抱いていたのかも知れません。

 地下へと続く階段を下ると、工場を思わせるフロアが広がっています。ここには、初歩のアニメーション制作を体験できる「アニメ工房」コーナーがあります。

手塚先生が漫画だけでなく、日本のアニメーション分野においても多大な功績を残したことは言うまでもありません。1963年には国産初の30分間連続TVアニメ『鉄腕アトム』、その2年後には国産初カラーTVアニメ『ジャングル大帝』が放送されました。手塚先生が独自に生み出したリミテッドアニメーションやバンクシステムなどの手法は、今日のTVアニメーションの基礎となっています。このコーナーでは、そんな日本のTVアニメの始まりを追体験できるでしょう。奥には手塚先生の仕事現場を再現したジオラマが飾られています。その姿は、まるでアニメーション作りを体験する来館者に向かって制作の指示を出しているかのようです。

■ 漫画が読み放題! 気になった手塚作品を手にとってみよう

 記念館を見学しているうちに、きっと読んでみたいと思う作品が出てくるに違いありません。そんな時は、2階の「手塚治虫ライブラリー」へ向かいましょう。約2000冊の単行本(外国語翻訳版および点字書籍も一部取り扱いあり)をはじめ、関連書籍やアニメの映像が閲覧できます。貸し出しの手続きは一切不要。気になった作品を自由に手に取り物語の世界に浸ることができます。

たくさんあり過ぎてどのタイトルから読めばいいのか分からないという人には、1話読み切り作品の『ブラック・ジャック』や『七色いんこ』、『ミッドナイト』がおすすめです。購入して家でじっくり読みたいという人には、深いメッセージ性が込められた後期の代表作『ブッダ』や『火の鳥』シリーズが良いでしょう。


■ 手塚作品が話題作と続々コラボレーション!

 記念館では、一年に3回入れ替えの企画展が行われています。近年は、『エヴァンゲリオン』シリーズや『マクロス』シリーズなど他のアニメやゲームと手塚作品をコラボレートされる企画が話題を集めています。今年は乙女ゲームメーカー「オトメイト」とのコラボ企画展「テヅカオトメ」が行われ、若い女性を中心に盛況を博しました。(※現在は終了しています)

 企画展では、乙女ゲームの絵師が描いた手塚キャラクターとそれぞれが手がけたゲームのキャラクターによるコラボレーション原画が展示されました。『薄桜鬼』のカズキヨネ先生が描く『ブッダ』や『AMNESIA』の花邑まい先生が描く『ブラック・ジャック』、『NORN9 ノルン+ノネット』の悌太先生が描く『メトロポリス』など、それぞれの解釈で描かれたキャラクターたちは、この企画展でしか観ることのできない貴重な原画でした。手塚先生の丸くて可愛らしいキャラクターたちは、乙女ゲームの絵師たちによってスタイリッシュかつ華麗なイケメンに変身していたのがとても印象的でした。

取材日に企画展を訪れていた来館者の方に話をうかがいました。徳島から高速バスで記念館を訪れたという姉妹は、「手塚作品が好きで記念館にはよく来ています。手塚先生の漫画は可愛らしい絵柄ですけど、こういう乙女ゲーム風の絵柄で描かれると、透き通るようなきれいな感じでまた違う雰囲気で味わえてすごく楽しいなと思います」と感想を話してくれました。お気に入りの手塚作品は『ブラック・ジャック』と『どろろ』とのこと。

また、兵庫県川西市と大阪市西成から来られた乙女ゲーム好きな女性二人組に、好きなコラボ原画を尋ねると「私は『薄桜鬼』と『ブッダ』のコラボが大好きです!」と答えてくれました。二人とも手塚作品では『ブラック・ジャック』が一番好きだそうです。最近、若い女性の間では『ブラック・ジャック』の人気が高いことがうかがえます。インタビューを行った売店コーナーでは、会期中に記念館でしか手に入らない限定レアグッズが販売され、なかには既に売り切れているものもありました。

 

■ まんが、アニメの原点は手塚作品から始まっている

 『ベルサイユのばら』の作者・池田理代子先生は、館内で放映されているインタビュー映像の中で「手塚作品は日本の古典文学に等しい価値がある」と語っています。

古典のように時を超えて読み継がれる作品は、いつの時代にも人々を惹きつける普遍的な要素を持っています。例えば、女の子の体に男の子の心を宿したサファイアは「ボクっ娘」の、『W3(ワンダースリー)』は「ケモナー」のルーツであると仮定できるかもしれません。まだ、そんなジャンルカテゴリーが存在しなかった頃から、手塚先生の漫画には私たちを夢中にさせるテーマやキャラクターが描かれていたのです。

今回ご紹介したように、他作品とのコラボレーション企画展が可能な理由は、手塚作品が現代のエンターテイメントに通じるエッセンスを多く生み出しているからではないでしょうか。

 
ぜひ芸術の街・宝塚にある「手塚治虫記念館」へ足を運んでみて下さい。あなたの好きな、あのアニメやゲームの“原点”がきっと見つかるはずです。
現在の企画展は、「開館20周年記念 第63回企画展「忌野清志郎展~手塚治虫ユーモアの遺伝子~」が来年の2月20日まで開催されています。

【施設利用案内】
宝塚市立手塚治虫記念館
〒665-0844兵庫県宝塚市武庫川町7-65

<開館時間>
9時30分~17時(入館は16時30分まで)


・毎週水曜日(祝日と重なる日、春・夏休みの水曜日は開館)
・12月29日~12月31日(年末休館)
・2月21日~2月末日(メンテナンス休館)

<臨時閉館日>
・2015年1月7日、3月25日

<入館料>
大人:700円
学生(中学生・高校生):300円
小人(小学生):100円
・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を提示の場合は無料。
・上記手帳所持者が必要とする介護人は無料。
・60歳以上の宝塚市民であることを証明する書面提示の場合は無料。
(運転免許証、宝塚市ことぶき手帳、宝塚市民証など)

>>手塚治虫記念館

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