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「今すぐ伝えたいことがあるから…」LiSA「ID」を聴き終えて

【レビュー】あえて言おう、エモさであると! LiSA初の配信シングル「ID」を聴き終えて

2015年12月2日(水)に、LiSA初となる配信シングル「ID」と「ギフトギフト」がリリースされました。「ID」は12月17日にセガゲームスより発売される『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION』(PS4 / PS3 / PS Vita)の主題歌でもあり、シングルの配信と同時にOPムービーも公開されています。




それにしてもなぜ「配信」なのか気になるところですが、これについてLiSAさんは自身のブログで「今すぐに伝えたいことができてしまったから」と綴っています。

こう言われたら今すぐ受け取らないわけにはいかないでしょう。というわけで鮮度高めの「ID」&「ギフトギフト」レビューをお届けします。





■「ID」 iTunesmora レコチョク

作詞:LiSA、古屋 真
作曲:高橋 浩一郎
編曲:PABLO

まさかのギタードロップCというハードコアな低音ゴアイサツに、まずこう思いました。「また尖ってきたな」と。CマイナーのBPM170前後で刻むバッキング、ふっといスネア、それら楽器隊を真っ向から打ち倒すような力強いボーカル。そうそう、こういうの(音作り)がいいんですよね。

構成はイントロからかなり全開気味、ただしリフは比較的シンプルでコピーもしやすいユニゾン進行。そのテンションをAメロ前半は引き継ぎますが、後半はギターのどっしりした低音Cと引き締まったバッキングが印象的です。このテンションの緩急がね、LiSAなんだよね。

Bメロはギターのロングトーンを背景描写にしつつドラム、ベースが緩やかに動く雌伏の時間。しかしボーカルはHI-E♭というかなり高いところを叩いてます。この時のボーカルの「ミ♭、レ、シ♭」という進行はサビでも出てくるので、この曲のアイコンのような感じもしますね。

そして4小節をまるまる溜めに使い、解放のサビへ。ボーカルはアーフタクトより手前からメロディーを歌ってますが、サビ突入時の音はそれほど高くないため解放感はそれなり。むしろここで気持ち良いのは突入手前で一拍休符を置いた楽器隊の同時ブレイクでしょう。下げた頭を上げたくなってしまいます。

その後しばらくは中音あたりで息を潜めるボーカルですが、「特大のスピーカーで」という歌詞と共に「ミ♭、レ、シ♭」のフレーズでハイトーンへジャンプしてきます。ここはキメ部分もキメ部分です、最高にカッコよく、音程も高い。

サビの抜け部、ここでFが初登場なわけですがそのシブさったら無いですね。よくここまで使ってこなかったなと。G、A♭と階段で登っていき、B♭を…踏まないッ! ボーカルソロ! ここへきて粋なもってまわりッ! 緊迫感のあるソロ部の終わり、そこへ切り込むように入ってくるドラム。ドラマーのしたり顔が見えるかのようなニクさありますよここは。

そして2番へなだれ込みますが、ここもLiSA節とでも言うべき「1番と似てるけどちょっと違うパターン」で2Aメロが始まります。『Rising Hope』のような構成ですね。

特徴的、というかやってくれたなというのはBメロ後半ギターのA(ラ)。ここは本来A♭なんですが、唐突に単音でぶつけてきました、しかもちょいビブラートです。完全にアピってきてます。その後B♭へ回帰するので半音ずつ登ってる図ではあるんですが、なかなかどうして印象的で楽曲のアクセントに一役買っていると感じました。感じざるを得ませんでした。

2番のサビが終わり、さぁこれからはCメロだというところ。なんと「Wow」系のコーラスが入ってきます。予想外過ぎましたが、確かにギターのチューニングや動かし方がエモ系のそれに近かったなと得心し、その結果こう思うわけです。「LiSAはエモい」と。

そしてCメロを越え落ちサビへ。最後の最後のサビ入りなれど、やはりボーカルのブレイク感は押さえ目です。むしろこの後の「スピーカーで」のところのビリビリするボーカルに震えて下さい。鬼気迫るものがあります。このフレーズのための今までだったと言うとさすがに過言かもしれませんが、アニメで言うと最終話ラスボス決戦的なクライマックス感です。

総じて、エモい。こうした重く疾駆する楽曲とLiSAボーカルの尖り具合の相性はたまらないですよ。もしこの曲がアニメのOPだっとしたらややヘヴィ過ぎる気もするので、配信シングルならではの攻めサウンドではないかと感じました。



■「ギフトギフト」 iTunesmora レコチョク

作詞:LiSA
作曲:小南 泰葉
編曲:野間 康介

「ID」からの流れで聴くとより味わい深い、EメジャーBPM87前後のバラードチューン。クリスマスをイメージした曲になっており、ほっこりほわほわな気分になれる一曲です。

イントロはコロコロした優しいピアノと鈴で、やがてボーカルと時計のチクタク音が入ってきます。Eから半音ずつ階段で降りていくルート音がどこか不安定さを醸し出しますが、途中のC和音が「大丈夫、この曲は遠くへはいかないよ」と教えてくれるような気がします。詩的過ぎるかもしれませんが、このCの安定感が良いアクセントになってるんですよ。

Aメロは完全に導入のようなポジション。しかし編成がピアノとチクタク音だけなのでバラードにしては静謐すぎる感。が、ピアノの左手が1オクターブ下がり鈴がログインしてきてからは浮遊感もそこそこに物語の幕開けです。「すぐ消えてった」の歌詞の部分の和音が絶妙ですね。

アコギとベースが参入し、Bメロはより表情豊かに進行していきます。特に八分音符でトントン続くメロディーが可愛らしくて好きです。そんな可愛さからの「かじかむ指先が」でくるG♯m→G♯の調号系黄金コード進行、印象的と言わざるを得ません。やるならここですよねそうですよね。

サビはつい口ずさみたくなるようなとてもメロディアスなフレーズです。入りの「ソ♯ラシララソ♯」は聞いても歌っても気持ち良く、英語歌詞も良き舌の回り方。何よりLiSAさんのエッジーなボーカルが穏やかな伴奏に対して陰と陽のように対照的で、とても朗々と聞こえます。このサビ入り部分がこの曲で一番好きかもしれません。

そのまま流れで曲のキーでもあるEの裏声ロングトーンですよ。心地良い、それしか言えません。というかこの裏声部分のメロディーは技術的にも難しいと思うんですが、同時に歌えたら気持ち良い場所とも言えますね。そして裏声後の「今日」の歌い方。この下から持ち上げてちょいとブレス強める母音の発声、完璧にLiSAさんです(当たり前)。

サビ終盤のC♯からの階段下りはクリスマスソングではおなじみのフレーズですね。何気にベースが細かく動いており、2Aメロでも高い音を叩いてるので意外とこの曲の低音隊は楽しいです。

ドラム参入以降はピアノも段々と荒ぶってきます。1番と2番で雰囲気が違う、二度オイシイフレーズはバラードでもバッチリですね。「雪」という言葉も2番になってようやく出てくるので、このあたりからはクリスマスソングっぽさをより強く感じました。

間奏では珍しいことにオーボエがメロディーを奏でますが、これもまた印象的かつ心地良い音なんです、しっとり酔えるんです。かーらーのー、スネアなんです。まったり曲とマーチパターンの相性の良さってなんなんでしょうね。ベース音もB固定で完全に今から盛り上げる気マンマンじゃないですかー!

で、おそらくCメロボーカル入りから転調してるんです。「胸に落ちてた」のベース音がラ♯なので、EキーからF♯キーへ全音アップしてます。しかし、Cメロなので初出フレーズなんですよね、ここ。移調の比較判断ができずにモヤモヤしてると、ラスサビの入りで「あれ、なんか声高くなってない?」と気付かされるというからくりです。いっちばん気持ち良いサビですね。あ、同じくサビ入りのズラしブレイクもごちそうさまです。

と思ってたらラスサビ後半は独自メロディーが付与されていて、ただでさえ転調とブレイクで感極まったところに追い討ちをかけてくるという隙を生じぬ二段構えの構成になっています。「もう迷わないでいて」のメロディーとか完全にLiSA節です。ラストでこのパターンもってくるとは。

総じて、正統派クリスマスバラードと見せかけた巧妙なLiSA節バラードです。伴奏はクリスマスソングのそれですが、やはり声質とそれを最も魅力的にアピールするためのメロディーはLiSAサウンドが光っています。歌えばより強く実感できるかもしれません。

また、「ギフトギフト」はクリスマスバージョンもあります。より叙情的で感情に訴えかけてくるものがあり、まさしく聖夜という雰囲気です。歌詞がより染み入るのはこっちですね。

「ID」、「ギフトギフト」共に視聴ページで歌詞全文が公開されています。ぜひLiSAさんの思い描いた言葉と共に、楽曲を味わってみて下さい。

[文=ヤマダユウス型]

>>LiSA「ID」 iTunesmora レコチョク
>>LiSA 公式ホームページ
>>LiSA オフィシャルブログ「今日もいい日だっ」



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