音楽を楽しもう! 分島花音さんのワンマンライブについて聞いてみた

パジャマパーティー? 料理屋さん? 分島花音さんのワンマンライブは音楽を楽しむステキな空間なんです

アニメファンの間では『WIXOSS』などのテーマソングでお馴染みのシンガーソングライター分島花音さん。分島さんはチェロ奏者、ボーカリストだったり、イラストレーターとしても活躍されたりと、マルチアーティストして活動している方なんです。「WIXOSS」シリーズで魅せつけられたあの独特な世界感と音に魅了された方も少なくはないはず。

そんな分島さんは現在全国ツアー中を行っている最中です。今回はライブをすることがずっと夢だった彼女の音楽に対する思い、生で音を楽しむことをの大切さなどを実際に分島さんにお伺いしてきました。早速ごらんください!

——今回は分島さんのライブに関するお話を中心にお伺いしていければと思っております。よろしくお願いします!

分島花音(以下、分島):よろしくお願いします。
sugarbeans(以下、シュガー):よろしくお願いします。

———まず、分島さんといえば独特な世界観をおもちですが、ライブをしようと思ったきっかけってなんだったんでしょうか。

分島:私、デビュー前からずっとバンドや楽器隊と一緒にライブをしたいっていう目標があったんです。それで前々からサポートしてくれる人を探してたんですよ。そこで出会ったのが今のライブのバンドマスターを務めてい頂いているsugarbeansさんなんです。

シュガー:最初に依頼された時は「The strange treat!」の時ですね。そのライブが、毎月違うジャンルの音楽を味わいを変えてやるっていうコンセプトだったんです。一つめがジャズで、二つめがクラシック、三つめがロックっていう。その3つのどれもができる人を探してたみたいで、それで僕に声がかかったんです。

———なぜ毎回ジャンルの変わるライブをしようと思ったんですか?

分島:ロックもジャズも好きですし、自分の中で好きなジャンルが一つに固まってないので、色んなアプローチがしたいなとずっと思っていて、そういう意味で2ndアルバム以降はもっと音楽の視野を広げたり、色んなジャンルに興味があるっていうアプローチが伝わればいいなと思って。

シュガーさんは色んなジャンルを知っている方なので、そういった要素を聞いている人に伝えやすくなったと思います。CD音源を聞いてる人にも、既存の持ち曲が全部がジャズアレンジだったりロックサウンドだったり、逆にドラムとかがないストリングスとピアノのクラシックアレンジだったりみたいな、そういう、普段聞いてる曲のアレンジが変わるだけでこんなに変わるんだっていう、音楽本来の面白さみたいなのをライブで体感してもらえる良い機会になっていると思います。

———それ、すごくステキですね。

分島:私自身がちっちゃい頃からチェロを習いクラシックに触れていて「音楽は人力で出すもの」っていう感覚があるんです。最近はDTMのような打ち込みサウンドも取り入れたりしてますが、人の持っているエナジーみたいな、そういうのがライブパフォーマンスとして成り立つようなライブが私の好きなライブの形態だったりします。色んな人とやるというのも私の中で意味があったなと感じています。

———例えば誰のライブの影響を受けた、とかはありますか?

分島:そんなにたくさんのライブを見てきたわけではなくて、小さい頃からクラシックのライブくらいしかほとんど行ってなかったです。だから、人がステージに出てきて、人が弾いた音が全てみたいな、そんな感覚だったので、画面に見えていないところから音が出るっていう感覚が自分の中であんまり無かったですね。

———演出みたいなものにこだわりはありますか?

分島:演出はですね、毎回コンセプトライブにしていて、ライブは日常の延長線上ではなくて完全なる非日常的なものをテーマにしてることが多いですね。日常から逸脱して、そこだけは別の空間っていう、来た人が主人公になれるような、そういう面白い世界観でやりたいなとは思っています。

一番初めにやった「The strange treat!」は「音楽=ごちそう」っていう風に位置づけて、美味しい音楽、作りたての音楽を皆さんに召し上がってもらって、お腹いっぱい食べてもらおうというコンセプトでした。私たちはシェフに扮して、エプロンつけたりフライパン持って出てきたりして。「注文の多い料理店」っていうドレスコードをつけて、その時は「色」をキーワードにして何か色のあるものを身に付けた方に飴とかを渡したりました。そういった「非日常に自分も入っていく」演出や、他には「moonlight party」っていうコンセプトライブもやって、これは「パジャマパーティ」をテーマにしていて、全員パジャマで出てきて「眠れない夜を眠らずに過ごそう」みたいな感じでした。

———おぉ、ワクワク感ありますね。

分島:元々はアンバースデーっていう、『なんでもない日』、誕生日じゃないけど誕生日のお祝いをしたくて、で、誕生日といえば家に友達を呼んでみたいなことを考えてたら最終的にパジャマパーティーにしようみたいな発想になって。お客さんもネグリジェとか着てくれて、本気でしたよ。

シュガー:あれはすごかったですね。

分島:そういう感じでパーティっぽくして、合間のトークコーナーでは「オールナイトニッポン」みたいなそんなコーナーを入れてみたりして。そういう風にコンセプトを決めてその色に染まって楽しんでもらう、みたいなことをやってます。

———実は意外でした。分島さんはもっとカッチリと世界観を持っていてそればかりを実践されてると思ってました。アニサマみたいにチェロで煽るみたいな感じで。

分島:アニメ系のイベントに呼んでいただく時アプローチしたいものが少し違ってくるんですよ。そこは、来てくれたお客さんに一番喜んでもらえるパフォーマンスとしてそれぞれ分けている感じはありますね、曲は同じでもアレンジが違うとか、そういうのもあります。

———では一つの曲でアレンジが何パターンもあるというのも珍しくない?

分島:そうですね。「The strange treat」にはテーマソングがあるんですけど、それもジャズ、クラシック、ロックと3パターン作ってもらいました。ライブ、特にワンマンとかに来てもらえないと伝え切れないことがたくさんありますね。

———となるとバンマスって大変そうですね…。

シュガー:そうですねぇ。
分島:そのつどパジャマを着せられたり、頭に鳥を乗っけられたり。
シュガー:そんなこともあったなぁ(笑)

———ライブの際は今みたいにコンセプトイメージを聞いて、じゃあどうしようかみたいな感じですか?

シュガー:そうですね。どういう曲をやるのかを聞いて、じゃあこれはこういうアレンジにしようと相談したり。3ジャンルを3カ月1か月毎にアレンジを変えるとなるとすごく考えながらやってました。

分島:すごくやつれてましたね。

シュガー:最初にやってたころは完全にやつれてましたね(笑)。今はもう楽しくできるくらいには慣れちゃいましたけどね。

———ライブコンセプトのお話を聞いてるうちに「じゃあアレンジャーの負担もすごいのでは?」って思ってたんですけど…。今までで一番大変だったライブ編曲の思い出とかありますか?

シュガー:やっぱり「The strange treat!」の時のクラシックかな。ヴァイオリンとヴィオラとチェロが入るんですけど、そこは全部譜面に書かないといけなくて…。その時は十数曲くらい書いた気がするんですけど、それが一番大変でしたね。ここまで短期間にそれだけの曲をライブアレンジしたことは無かったので。でも大変だったけど楽しかったです。すごい良いライブになって達成感もありましたし、もうそんなつらいことは忘れちゃいましたね。

分島:クラシックみたいな音楽を作りたいと思ってるところはあるんですよ。クラシックって波がたくさんあって、一つのテーマとなるメロディーはあるんですけど、その前後でも一般的なポップスみたいにAメロBメロがあってサビ、みたいな構成というよりも映画みたいな、物語みたいな感じになってるんです。朝が来て春が訪れて、嵐が来て、みたいな。そういう物語性があるので、普通に戻ってテーマをやるというのがあんまり無かったり、テーマが短調になってたりとか、複雑というか映画を見てるような流れがあるので、そういう面白さみたいなのを入れたいなとは思っています。

———その雰囲気、ビシバシ感じます。でもバンドサウンドからはかなり遠い要素だなと思うんですけど、だからこそミックスする意味もあると言えますね。シュガーさんが編曲する際に「この曲のクラシックっぽいエッセンスはここだな」みたいなものを感じることってありますか?

シュガー:最初に花音ちゃんからもらったデモでクラシックで使うようなフレーズが入っていれば、それがより良い感じになるようにはしています。たまに、謎のコードがありましたけどね。でもそれを「ここはこうしたいのかな」と思って変えてみたりあえてそのまま残してみたりとか、そういうのはありますね。

———コードも編曲時に変えちゃうんですか!

シュガー:変えることも結構ありますね。でもイメージはあまり変えないようにしてるつもりです。今回の曲(「Unbalance by Me」と「自由落下とピノキオ」)もイントロとか変えています。

分島:確かに。でもそこはアレンジャーの方のエッセンスみたいなのがどんどん入った方が面白いなと私は思うタイプなので。

———実際にCDとして発売された時に、どれだけアレンジャーの個性が介入してるかって僕らは聞いただけじゃわからないんですよね。2割程度なのか、もっとガッツリ個性が出てるものなんですか?

シュガー:やっぱりアレンジャーは裏方なので、あんまり我を出そうとかは思わないですけど…。でも花音ちゃんの場合はより良くなる手助けをしているという感じですね。こう、【アレンジャー sugerbeans】って出てなくてもいいやっていう。花音ちゃんの場合はそういうのがあります。

———分島さんの編曲をする時と他のアーティストの方の編曲をする時とでは、意識は違いますか?

シュガー:それはやっぱり違いますね、何をやっても大丈夫っていうのもあるので(笑)。ライブとかはまた別ですけど、レコーディングでは感情的にならないように普段はしてるんですけど、どうしてかなんか感情的になってしまうというか。「自由落下とピノキオ」とかも結構、ね。

分島:いやー、良いピアノありがとうございます。やっぱりプレイヤー側のエネルギーが前に出てるものが好きなので、スタジオミュージシャンっていうよりかはバンドっていう録り方というか弾き方みたいなのをお願いしてます。

シュガー:バンドメンバーも最近はライブとかも固定でやってるので。メンバーもただ音楽やってる人たちじゃなくて、ちゃんとそういうものを汲み取ってやってくれてる人たちを選んだつもりです。

———かなりバンド感が出てますね、お話を聞く限り。

シュガー:そうですね。

分島:お客さんもメンバーの事をすごく気に入ってくれてるんです。シュガーさんめっちゃ人気ですよ。

シュガー:ありがたいですよ、恥ずかしいですけど。

分島:お立ち台作んなきゃ。だって私に@飛ばさないでシュガーさんとかに「お疲れ様です!すごい良かったです!」って。私には〜!?

シュガー:私はもうスキだらけにしてますけどね。

———でも、スタジオミュージシャンの演奏と、実際にストーリーを共有してきたバンドの演奏ってやっぱりどこか違うと思うんです。そういうのをライブに来て、見て、感じるとグっとくるところはありますね。やっぱり、もっともっとバンドっぽくなっていきたいんでしょうか? 分島さん的には。サウンドというよりもスタイルの面で。

分島:そうですね…。シンガーって思われるのが自分の中で違和感があって、そんな歌も特別上手くないし、メロディックに歌い上げるような曲を作ってるつもりもないですし。一つの楽器として歌やチェロがある、という感覚で作ってるので、シンガーというよりかはソングライターっていう大きな括りの中で、色んな人とサウンドを作って、歌っていうよりも楽曲、音楽という、より大きな括りで聞いてもらえればなと思ってます。だから歌だけに特化するとすっごいデタラメなことやってるので(笑)。歌モノを作ってるわけじゃなく、トータルなサウンドっていうものを意識しちゃってるので。

———メロディー、かなり動いてますもんね。

分島:やっぱり、自分もサウンドをクリエイトする楽器の一つという感覚がすごく強いですね。チェロっていう楽器自体もメイン楽器ではなくオケの中では通奏低音にあたる楽器なんですよ。楽曲全体のベースをみたり弾いたりする役目なんですけど、3才の頃からずっとやってきて、それに無意識のうちに影響されて、自分=メインというよりも「ファミリーにおける一つのパート」という感覚があるのかもしれません。

———作曲の時もチェロを使っているんですか?

分島:基本的には鼻歌みたいなものをベースにPC上で作っています。直接チェロから作るということはあまり無いんですけど、クラシックを参考にすることが多くて、そういう時はチェロのソロ曲をたくさん聞いてるので、それから得たメロディーみたいなのは知らないうちにたくさん入ってるかと思います。

———なるほど。いや、てっきりギタリストならギターを使ってコードやリフから曲を作ることがあるように、チェロを使っての曲作りをされているのならベース進行から作っているのかなーと思って。

分島:あんまり、ですね。チェロはチェロだけの曲も作っていたこともあるんですけど、基本は鼻歌的なメロディーを作ってそこからベースをつけて上物をつけて、という感じですね。

———では、折角なので、今回のライブのCDについても少しお伺いしてもよろしいですか?僕、「自由落下とピノキオ」がものすごく好きなんですよ。この曲のコード進行が最高なんですよ。



分島:結構、コード進行に着目されるんですね。前回、記事を書いていただいた時も進行に関してのアツい語りがあったので…。

※参考記事:「ドラスティックでドラマチック。分島花音の「Love your enemies」を聞き終えて…」


シュガー:「Love your enemies」のやつだったね。ピノキオはあんまりコードはいじってないですね。なるべくそのままのかたちでいってます。なのでレコーディングの時は相談しながらできましたね。ストリングスは岡村美央さんって方に最近はずっとお願いしてるんですけど、僕らの感じをしっかり受け取ってもらえて。ただ上手にやるだけじゃないところを出してくれるんですよ。曲によってそれを使い分けてくれて、今回もピノキオの仕掛けのところとか上手くやってくれて。

———例えばどんな仕掛けがあったりします?

シュガー:え、これ言っていいのかな(笑)。でも今回はすごいわかりやすいですけど、「自由落下とピノキオ」に一つ入れてます。えーっと、「魔法」って言葉が出てくるんですけど、その時に、魔法がかかってます。2番のAメロですね。ストリングスがね、こっそり。

分島:そこ、ストリングスの人と一緒にこだわって何回か試したんだよね。最初はユニゾンだったのをちょっとズラしたりとか。

シュガー:譜面に書いてあることと違うことをやってもらったんですよ。最初はユニゾンでやってたんですけどそれをバラバラに弾いてもらって、ブルブルブル〜みたいな感じにして(笑)

分島:それ良い! みたいな感じになったよね。

———そういうのはレコーディングの現場で臨機応変に変わるんですか?

シュガー:そうですね。現場で「ここ変えたいな」ってやってるうちに、オクターブ上げようかとか下げようかとか、ココ止めちゃおうとかココはもう一回やってとか。そういうのはよくありますね。普通にやってるのが面白くないというか、その時に起きたハプニングみたいなのをパッケージにしたのも面白いんじゃないのかっていうのでやってますけどね。

———やっぱりライブでもそういった突発モノは大事にしてますか?

シュガー:ライブはもうハプニングだらけですから。メンバーはみんな何かをやろうとしてますよ。

分島:ドラムが急に歌い出したりする、野に咲く〜♪とか(笑)ドラムソロ!ってなったのに急に歌うから(笑)

シュガー:全然叩かないで歌うっていう。でもお客さんみんな大合唱なんだよね。

———いろいろとすごいですね。最後に分島さんのライブを楽しみにしてる人や、興味はあるけどいつかは…と思っている人などに向けてメッセージなどをお願いします。

分島:この2、3年でアニメソングもなども本当にたくさん書かせていただけるようになりました。普段イベントに来ていただいてる方やアニメ系のイベントで私のことを少しでも覚えて下さった方は、ぜひ一度ワンマンの方にも足を運んでいただければと思います。アニメ系のイベントとは違ったサウンドや世界観をお楽しみいただけると思いますし、もちろんアニメソングもやりますが、そういったものも普段とは違った角度から楽しめるんじゃないかと思います。

シュガー分島花音っていうものを間近で体感してもらうにはライブが一番だと思います。アニメで知った人も満足してもらえるよう、花音ちゃんの音楽をよりよく伝えられるよう、こちらも頑張っていきますので。ぜひ楽しんでもらえれば、と。

———ありがとうございました。


分島花音 全国TOUR 『Unbalance by Me』

日程:2016/5/27(金)
会場:京都 KYOTO MUSE
時間:18:30 / 19:00 OPEN / START
料金:¥4,860(税込・Drink代別途) ・オールスタンディング

日程:2016/5/29(日)
会場:福岡 DRUM SON
時間:16:30 / 17:00 OPEN / START
料金:¥4,860(税込・Drink代別途) ・オールスタンディング

日程:2016/5/31(火)
会場:名古屋 ell.FITS ALL
時間:18:30 / 19:00 OPEN / START
料金:¥4,860(税込・Drink代別途) ・オールスタンディング

日程:2016/6/18(土)
会場:大阪 BIG CAT
時間:17:00 / 18:00 OPEN / START
料金:¥5,400(税込・Drink代別途) ・座席

日程:2016/6/26(日)
会場:東京 ZEPP DiverCity
時間:16:00 / 17:00 OPEN / START
料金:¥5,400(税込・Drink代別途) ・座席
※3歳以上のご入場は、チケットが必要です。

[インタビュー・ヤマダユウス型・長谷憲 photo by IDE]

>>分島花音 全国TOUR 『Unbalance by Me』 特設ページ
>>分島花音 Official Web Site
>>分島花音 公式Twitter
>>分島花音 Tumblr

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