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「リバース レコードプロジェクト」制作秘話インタビュー【後編】

真意はきっとユーザーに届く。「グリモア」の裏世界を歌う「リバース レコードプロジェクト」完結記念制作秘話インタビュー【後編】

 スマホゲーム「グリモア~私立グリモワール魔法学園~」のキャラソンプロジェクト「リバースレコードプロジェクト」がついに完結を向えました。最後を締めくくるのは「東雲アイラ」。彼女もまた、グリモアの裏世界を語る上では欠かせない存在の1人です。

今回は「リバース レコードプロジェクト」の重要人物たち、作曲家の伊藤翼さん@Tsubasacurry)、作詞家の仰木日向さん@ogihinata)、シナリオライターの栗原寛樹さん@yuki2kurihara)、プロモーション担当のもうりさん(@Mouri_megane)の4人によるドリーム対談をしていただきました。


前編ではリバレコが生まれるきっかけと、第1弾「クロックワークラブロマンス」、第2弾「スノードーム」についての思いを語っていただきました。

>>必然の音、そこにいたる物語と熱量。「グリモア」の裏世界を歌う「リバース レコードプロジェクト」完結記念制作秘話インタビュー【前編】

後編では第3弾~最終となる第6弾までについてじっくり話してもらいます。


■第3弾「小さなオルゴール」 / 桃世もも(CV.阿澄佳奈)

──それでは続けて、「小さなオルゴール」について。比較的ポップスな曲に仕上がっていますよね。

伊藤翼さん(以下、伊藤):僕がオルゴールを回した曲ですね。

仰木日向さん(以下、仰木):そうそう、あれ手回しなんだよね。

伊藤:この曲のためにオルゴールを買ってパンチして鳴らしたんですよ。もちろん打ち込みでもできるんですけど、ちょっとここは一工夫してみようと思って。

仰木:オルゴール音源をいくつか聞いてみたんですけど、なんかどれも微妙で。もっと良い音源ないのって話をしたら翼君が「じゃあ作るよ」って(笑)。

伊藤:実際にオルゴールをスタジオに持っていったんですが、なかなか上手くテンポがあわなくて、録音に苦戦しました(笑)。

もうり:でもあれは良い曲だよね、ほんと。

仰木:この曲は残された側の物語なんですよ。それをどう描けば一番切なくできるかっていうのを打ち合わせでも結構話しまして。だったら、みんながいるつもりで、ももが皆のことを待っているけど、実はもうこの世にはいない結末だった…という裏返しはかなりキツいんじゃないのかっていう案が出て、それだな、と。良い感じにキツいね、と(笑)。

伊藤:作詞的なギミックだよね。

もうり:で、僕がここですごい反省したことがあって。本当はもういないのにねって歌詞で明らかにするところがあるんですけど、そこがギミックなのにあんまり強調されてないんですよ。

で、「ここもっと強調しないとわからなくないですか?」って言ったら、ほぼ全員から「いや、さりげないからいいの」って言われて、あぁなるほどなと。

伊藤:ここはもう終わったことなのでサラっと流すのがいいんですよ。ノスタルジックな曲になったなと思いますし、リリースした季節的にも卒業感がありますね。僕は合唱曲もすごく好きなので、コメントに「合唱曲で歌いたい」ってあったのはとても嬉しかったです。

仰木:収録の時に阿澄さんがこだわってくれたポイントがあって、「どの時間軸のももですか」と、すごく気にかけてくれたんです。大人になってる時なのかそうでないのか、そのほんの少しの差異が声にも出ていて本当に感動しました。

伊藤:またミックスエンジニアさんがそれをちゃんと聞いてくれていて、混ぜる時にその部分の音質もしっかり調整してくれてるんですよね。セリフもすごく良い感じに録れたし、アレンジ的にも良い感じのストリングスがかけれたと思いましたね。

仰木:実際収録の時もセリフ入った瞬間にみんなザワザワしましたからね、これヤバくないですかって(笑)。

伊藤:音楽に声が沈んでいくような感じでとても上手く混ぜてくれて、リバーブや音量を何度も何度も調整してくれました。

仰木:ちゃんと歌物語っていうコンテンツを体中で受け止めてくれてる感じがして、作りごたえがあるなって。そのあたりでもうりさんが不安な顔をしなくなった気がします。

もうり:やっぱりそこそこコストもかかってるので。ゲームの外側でやってることとはいえ最後はゲームに還元しないと意味がないので、これで失敗したら何やってるんだってことにもなってくるし。

仰木:面白いものを制作するということに対して立場をかけて勝負してくれるのは、すごく嬉しいですよね。コンテンツの熱量ってやっぱりコアメンバーの熱量がそのまま影響してくると思うので、そういう意味ではもうりさんの熱量ってのはちょっと常軌を逸してますね、もちろん良い意味で。

伊藤:アレンジしてていつも思いますよ、「グリモア」が一番ヘトヘトになるなって。アイディアを絞って絞ってもう出ないってなってから更に絞り出して、それがとても刺さったりもしますし、こちらも全力で応えようという気持ちが強いです。


■第4弾「終わらないマリオネッテ」 / 楠木ありす(CV.堀中優希)

──アレンジという面では「終わらないマリオネッテ」は技巧とアイディアのオンパレードですよね。とてもプログレッシブです。

仰木:マリオネッテは、ほんとにアイディアをしぼりましたね。シリーズ構成的な意味でも。1曲目はショッキングなもの、2曲目はギミックのあるバラード、3曲目は泣かせるバラードときたので、次はハード系かなというのはタイミング的にも狙ってました。

もうり:再生数の伸びも第1弾に迫るくらいきていますね。

仰木:一番大人しそうな子がひどい目に合うっていう展開もなかなか。

栗原寛樹さん(以下、栗原さん):ひどい目にあうって言い方はやめて(笑)。ギャップです、ギャップ。

伊藤:今回の話聞いた時も、そろそろハードなものをやりたいなとは思ってたんですよね。ちょうどありすのお話がきて打ち合わせにいったら割とハード目を要求されたので、これはちょうどいいなと思ったし、しかもありすにもバッチリ合うなと思って。

ギミックの話をすると、今回上がったアイディアで、リバースレコードプロジェクトなんだからリバース(逆再生)入れたいよねっていう話しが出たんです。

仰木:ちゃんと聞き取れる逆再生ってあまり無いので今回はそれをやってみようと。僕が仮歌を録音して試しに逆再生してみたら良い感じに気持ち悪くもなったし、それを逆にしたらちゃんと聞き取れたんですよ。

伊藤:クロラブの時は奏者さんの感性を野放しにしたのに対して、この曲は構築系でガッチガチにいこうと思ったんです。だからこそテンションも上がるしリバーブも突然消えたりして空間の狭まりや広がりといった音響的演出もすごく盛り込めた楽曲だったなと思います。それがありすの悲壮感にも繋がったと思います。

仰木:声を担当されている堀中さんが、本物のありすかってくらい大人しい人なんです。でも今回は裏のプロジェクトなのでどこか激しいニュアンスも求めることもあったんですけど、その中で何度か頑張ってタガを外してもらうっていう工程もありましたね。それが結果的にありすが頑張っている、切迫している感覚が入ってるかなと。


■第5弾「Reason of Life」 / 立華卯衣(CV.福圓美里)

──そんな実験的かつ複雑な曲の次は四つ打ちで聞きやすい「Reason of Life」が出ましたね。

仰木:歌わなさそうな子が歌うっていうのがそもそも難しいところなんですが、じゃあ卯衣でできることって何って考えたら、人間らしい、人間らしくないといった部分かなと。

じゃあ人間らしくない歌って何かって、例えばAutoTune(ボーカルのピッチのズレを補正するための音楽ソフト)やボーカロイドといった無機質な方向性から、彼女が人間らしくなっていくというスペクトラムなグラデーションを表現するというのが指命なんじゃないのかと、打ち合わせで話しました。それこそ打ち合わせというかお互いの認識確認ってくらいわかってました。

伊藤:アレンジ的にも迷いが無くて、あそこにたどり着くべくしてたどり着いたなと。

仰木:ドラマチックさを出しすぎると卯衣じゃなくなるんですよね。けれど、ドラマチックさを加熱させすぎずに加熱させるというところが、彼(伊藤さん)が一番苦労したところかなと思います。かつちゃんとドライヴしていて結末はグっとくる状態になっているという。

伊藤:よくあるEDMでオラつくのは避けたかったので、どうしたらいいのかなと。この曲はヴァイオリンは生で録ってるんですけど、結果的にストリングスが卯衣の声にすごく寄り添うかたちになって、良い仕事をしてくれたなと思っています。

人間の暖かみみたいなのがどんどん分厚くなっていくんですよね。要素的にも歌的にも人間っぽさが出てきてる。あらゆる要素をもって卯衣を育てていく曲になったなと思います。

仰木:演じてくれている福圓さんは自身で劇団を立ち上げるくらい役者であることにこだわりをもっていらっしゃるんですけど、「すごく卯衣の事を考えているなというのがとても伝わってくる曲」だと仰ってくれました。Twitterでも積極的にアピールして下さってますし、役者の人にそれを言わせることができた曲という風にみると、徹底して卯衣をやれた曲だなと、達成できたなと思っています。ギミックなり含め全てが卯衣らしさに繋がったなと。

もうり:卯衣は曲を作って収録してPVを作って公開するという一連の流れが最も短かったですね。それくらいお互いのディスカッションの必要性が減っていて、みんなわかってるからこそのスピード感だったなと思います。

伊藤:そうですね、スピード感がありましたね。


■第6弾「Prologue」 / 東雲アイラ(CV.松岡由貴)

──そして、チームの団結も最高潮に達しつつある中での最終楽曲「ここから始まる物語」へ至るわけですね。

──しかし8分とはすごい。

伊藤:この曲は五楽章の構成になっているんですよ。劇場型の音楽ここに極まれりというか、僕が脚本を書いて演出したような、ひとつの劇団だと思っています。

最後だから何かやりたいって言われて、僕の方から五楽章構成の組曲はどうですかって振ったんです。そこでは「えーっ」って言われたんですけど。

仰木:でも伊藤くんがやりたいって言ったからには、そこに何かやりたいことがあるはずなんだよね。実際これ僕からは提案しづらいんですよね、大変でしょうから。

もうり:話を聞いた時はPVが大変だろうなと思ったんですけど、長ければ長いほど受け入れられにくいんですよね、途中で離脱する可能性も増えますし。

でもあがってきた曲を聞いたら一切不安はなくなりましたけどね。

伊藤:そもそも僕がどうしてこんな提案をしたかというと。アイラがどういう人生を歩んできたかの資料を栗原さんにもらったんです。

それを見た時に、普通の一つの曲でここまで描き切るのは無理だなと。それが8分半もあればたくさん盛り上がりどころを描けるんですけど、そのバランスは全て作家にゆだねられてるんです。だからなんとかして自分の今のセンスで立ち向かっていかないといけないなって。

クロラブみたいなテンションで8分はキツいと思うんですよ。ジャズワルツから始まって途中にバラードを挟んで日常っぽさを表してみたりとか、セリフがあるところではセリフの裏だからこそできる劇伴みたいなのを入れたり、そういったものを持ち込みつつキャッチーさも込めないといけないんです。

最後がイントロで終わるのも、リバレコを全て経て、一番最初のあの画面にたどり着いたんだよっていう気持ちなんですよね。ストリングスのレコーディング中は「2年越しだなこのテーマ」と思ってちょっと涙したりもしました(笑)。

もうり:テーマソングを使うっていうのはももの時にも言ってたんですけど、そしたら栗原さんが「いや伊藤さん、それはアイラの時にやりましょう」って。

栗原:あー言いました(笑)。

伊藤:「グリモア」という歴史を表したような曲になったなと思います。でもここでいきなり9分弱の曲渡してハイ聞いてねって難しいと思うので、どういうかたちでユーザーさんが聞いてくれるか、楽しみですね。

仰木:そこはPVも楽しみなところだよね。

伊藤:そうですね。やっぱり音楽だけで想像させることには限界があって、しかもコンテンツありきの楽曲なので。そういったことを含めると、もう音楽でできることはやりきりました、あとは映像班よろしくっ、と(笑)。

もうり:「グリモア」はそこも少し特殊で、CDとか出してないんですよね。楽曲は全てYouTubeで提供していて、誰でも聞いて下さいっていうスタンスなんです。

そこにプラス映像があればより良いかなと思っていて、リバレコでは歌詞を強調するかたちで、いわゆるボカロ的な文化を踏襲するかたちで映像も作っている感じです。

──映像の仕上がりは本当に楽しみですね(インタビュー時は鋭意MV製作中)。

もうり:はい、ぜひ楽しみにしていて下さい。

伊藤:なんか話してたら曲聞きたくなってきましたね。

もうり:あーそうだねそうだね(笑)。

──それでは長々と話していただきましたが、最後にシメの一言的なものをいただければと。

仰木:言うことなんて実は決まってまして、「グリモア」を好きな人って本当に「グリモア」愛が強いんですよね。その方たちが受け取ってくれる熱量もまたこちらのモチベーションになってるんです。そんな方たちに適当なものを提供してはいけないとは常々思っているので、これからももっと楽しませるので楽しみにしていて下さいと、そう思うばかりでございます。

伊藤:じゃあ僕は音楽的なところから…。僕らはユーザーに対してすごく思いを持って制作をしてるんですけど、それをどう感じるかはユーザーさん次第なんです。ユーザー次第の楽しみ方っていうのがエゴサして見つけるととても面白いんですよね。主体性を持って曲を聞いてくれてるっていう状況がとても好きで、そこをこれからもぜひヨロシク、という感じです。どんどんご意見待っています。

──ありがとうございました!

[文-ヤマダユウス型]
 
<アプリ基本情報>
タイトル:『グリモア~私立グリモワール魔法学園~』
ジャンル:学園ライフアドベンチャーゲーム
利用料金:基本無料プレイ(アプリ内課金あり)
>>公式サイト
>>公式ツイッター

<ダウンロードはコチラ>
>>【iOS版】
>>【Android版】

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