舞台「Wake Up,Girls!青葉の記録」レポ  

キャラと本人の境界線を自然に行き来する瞬間~舞台「Wake Up,Girls!青葉の記録」レポ  

 2017年1月19日(木)から22日(日)の4日間、東京都渋谷区のAiiA 2.5 Theater Tokyoにて『舞台「Wake Up,Girls!青葉の記録」』の公演が行われた。

『Wake Up,Girls!(以下、WUG)』シリーズは、宮城県仙台市を舞台に7人のアイドルたちが紡ぐ物語だ。  2014年のプロジェクトスタート以降、劇場アニメからTVアニメ、続・劇場版と多くのエピソードを発信してきた。また、2016年12月には『Wake Up, Girls! 新章』が発表され注目を集めたことも記憶に新しい。

 そして、アニメ『WUG』で7人のアイドルの声優を務める、吉岡茉祐さん、永野愛理さん、田 中美海さん、青山吉能さん、山下七海さん、奥野香耶さん、高木美佑さんは現実でも声優ユニットとして活動していることも忘れてはいけない。 今回の舞台化のポイントは、7人がそれぞれのキャラクターを声だけでなく、全身で演じることにある。  

 それぞれが声優デビューのキッカケとなったキャラを舞台の上でどう表現したのか? ここでは同舞台の見どころをお伝えしたい。

ハイパーリンクの真髄
 声優ユニット『WUG』は、プロジェクト発足時からハイパーリンクと称し、現実の声優7人と作中に登場するキャラに関係性を持たせてきた。キャラに与えられた元々の設定の中に、時が経つに連れ声優の個性が入り込んでくる。それがキャラの新しい魅力につながってきた。   

 この手法は、作品・声優ユニット『WUG』どちらに興味を持ってもオーバーラップする仕組みに一役買っていると言えるだろう。 そんなキャラとの距離が密接な声優7人が、舞台上でキャラを演じるとどうなるのか。記者の所感は、役と本人の境界線を自然に行き来している。という点が印象に残った。  

 声優を務める7人が舞台全編をほぼキャラ声の演技で駆け抜けるだけでなく、要所要所で本人の要素を盛り込む。

 例えば、作中で『WUG』のメンバーを決定するオーディションのシーンだろう。歌唱やウォーキング、特技の披露。ここでは劇場版の元ネタを活かしつつ、現在の本人たちの要素を上手くミックスさせていた。

 つまり当時は「このキャラクターはこんなこと言わないよね?」と思うセリフも、彼女たちがこれまで培ってきた姿を通して、違和感なく舞台に溶け込ませることに成功していたのだ。本人とキャラが行き来する瞬間は、舞台「Wake Up,Girls!青葉の記録」の魅力の一つだと言えるだろう。

再構築された物語
 事前に公式ページにて告知されていた通り、今回の舞台は『劇場版 Wake Up, Girls! 7人のア イドル』のストーリーが展開された。

 筆者としては、舞台用に再構成された物語について、3つ印象深い点がある。1つは、舞台化にあたりコミカルな要素がふんだんに追加されていたこと。次に、島田真夢の心境をより強く描いていたこと。最後に『I-1club』で出演していた大坪由佳さんについてだ。

 まず、コミカルな要素については、『WUG』が所属する事務所GREEN LEAVESの社長である丹下順子役の田中良子さんとマネージャー・松田耕平役の一内侑さんの掛け合いが大きい。  

 2人については『WUG』の7人と異なり、ハイパーリンクの要素はない。が、「現実に丹下と松田がいるとこんな感じだよね?」と感じさせるほどに違和感なく演じきっていた。 

 アニメシリーズ同様に丹下から無理難題を課せられる松田。アニメでは「分かりましたよー」とぼやく程度だったが、舞台では「○○に訴えてやるからな」とさらにぼやく。こうした一言一言が観客の笑いを誘っていた。これは舞台ならではの楽しみだと言えるだろう。  

 次に島田真夢の葛藤と踏み出す一歩について。この点を劇場アニメ版よりも強く描いていたことが印象深い。  

 一例を挙げると、松田から受け取った自身が所属していた時代の『I-1club』のDVDを見た後、 『WUG』の事務所へと走るシーン。 ここでは、劇場アニメ版ではなかったセリフが追加されていた。 

 舞台上で自身の心境を強く、激しく独白する。 ここでの吉岡茉祐さんの演技には思わず目を 奪われずにいられなかったことは確かな事実だ。

 最後に『I-1club』の岩崎志保役として、声優を務める大坪由佳さんがキャスティングされていたことについて。 

 この役は私にしか演じることができない―。

 そんな気概が舞台からも伝わってくるような演技やダンス。 大坪さん自身にとっても岩崎志保という役を大切にしているという想いが伝わってきた。

 再構築された物語をこれまでのメンバーと新しいメンバーが、舞台上で表現する。これまでの 『WUG』シリーズとはまた異なる魅力が詰まったものに仕上がっていた。

新曲2曲を引っさげたライブ!
 1時間半におよぶ公演後、ミニライブが開催された。  
 
 ここで披露された新曲は2曲。『WUG』の「ゆき模様 恋のもよう」については、これまでの楽曲とも一風違うメロディが印象的な一曲に仕上がっている。『I-1 club』の.Knock outはダン サブルなナンバーだ。  

 そして最後は、『WUG』と『I-1 club』の極上スマイルで幕を閉じた。  2.5次元要素の強い『WUG』がとうとう舞台を踏んだ。この新しい挑戦は、今後の活動にも大きく寄与するに違いない。そう感じさせるステージだった。

文/川野優希

【ライブパートのセットリスト】
2017年1月19日(木)13:00~公演
1.ゆき模様 恋のもよう / Wake Up, Girls!
2.Knock out / I-1club
3.少女交響曲 / Wake Up, Girls!
4.極上スマイル / Wake Up, Girls!・I-1club

2017年1月19日(木)19:00~公演
1.ゆき模様 恋のもよう / Wake Up, Girls!
2.Knock out / I-1club
3.少女交響曲 / Wake Up, Girls!
4.極上スマイル / Wake Up, Girls!・I-1club

舞台「Wake Up, Girls! 青葉の記録」Blu-ray発売決定!
発売日:2017/05/26
タイトル:舞台 Wake Up, Girls! 青葉の記録
【形態】Blu-ray Disc 品番:EYXA-11319 ¥8,000(本体価格)+税 【収録内容】
① 2017年1月19日(木)~1月22日(日)にAiiA 2.5Theater Tokyoで実施となる舞台「Wake Up, Girls! 青葉の記録」の様子を収録
② バックヤードや稽古場、舞台裏などの秘蔵映像満載
③ 初回特典は、出演キャスト写真や、舞台裏写真 等を多数掲載した特製ブックレット

【出演者】
≪Wake Up, Girls!≫
島田真夢役:吉岡茉祐/林田藍里役:永野愛理/片山実波役:田中美海
七瀬佳乃役:青山吉能/久海菜々美役:山下七海/菊間夏夜役:奥野香耶
岡本未夕役:高木美佑

≪I-1club≫
岩崎志保役:大坪由佳/近藤麻衣役:小山梨奈/吉川愛役:岩田華怜
相沢菜野花役:水原ゆき/鈴木萌歌役:山下夏生/鈴木玲奈役:立花玲奈
小早川ティナ役:日下部美愛

松田耕平役:一内侑/丹下順子役:田中良子

【新曲】
○ゆき模様 恋のもよう
作詞:只野菜摘
作曲・編曲:広川恵一(MONACA)
歌:Wake Up, Girls!

○Knock out
作詞:只野菜摘
作曲・編曲:田中秀和(MONACA)
歌:I-1club

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