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すごーい!の連続、『けものフレンズ』チームに3万字インタビュー

話題沸騰中の『けものフレンズ』、プロジェクトチームに初インタビュー! 誕生秘話からブーム到来までの歴史など「すごーい!」の連続3万字の大ボリューム

静止画で構成され話題となったエンディングのアイデアの源は?

――エンディングについても伺いたいです。誰のアイデアですか?
福原:たつき君のアイデアです。最初に話を聞いたとき、「え、写真? アニメーション作らないで手抜きって思われたらどうしよう……」って内心思いました。

一同:(笑)

福原:本人が「それでいきたい」って言うから、アイデアの通りに作ってもらったんです。それがあんなエンディングになりました。委員会が納得してくれやすかったのは、吉崎先生がたつき君とハモってる感じが伝わっていたからかもしれません。

梶井:アニメ作品に限りませんが、たいていは1クールなりで終わって、それまでです。仮にBDやグッズ、原作本が売れて、海外にも番組が売れて大成功となって2期やりましょうとなっても、結局は消費されるだけの運命です。『けものフレンズ』は、そういう作品にはしたくなかった。

――1年後に見ても、10年後に見ても楽しい作品にしたかった?
梶井:そうですね。まだ1クール終わっていないので、「なに言ってんだ」と思われるかもしれません。結果的にそういう作品のひとつになっちゃうかもしれませんが、思いとしては強くありました。ウケたから言える、といえばそうですが、第一回目の制作委員会の席上で発言したのは、今でも覚えています。

福原:僕もそれは『アイカツ!』で学びました。「大空あかりちゃん」や「ドリームアカデミー」が出てきたタイミングで、大人の事情があるのは理解しているのですが、僕はやっぱり「星宮いちごちゃん」のことを考えていたかった……(註7)。いろんなキャラクターを出さなきゃいけないこともわかってはいますが、本心は「そっとしておいてほしかったなぁ」と思いました。

(註7:セカンドシーズンで、「星宮いちご」から「大空あかり」に主人公が世代交代し、多くのファンが改めて「いちごちゃんたち」への想いを募らせた。)

一同:(笑)

梶井:味の濃いものって、飽きちゃうじゃないですか? 『けものフレンズ』はかなり初期の段階で、委員会にもしっかり「消費される作品にはしない」と伝えていたんです。

福原:それこそお話のプロットをいくつか作って、吉崎先生に読んでいただいたんです。あのときは深夜の「萌系アニメ」や「バトル寄りのお話」もあったんです。でも、すべてなくなって、いまのカタチになりました。萌系アニメやバトルアニメはテンプレートがあるので、みんなにとってはわかりやすいんですけどね。

――テンプレート通りの作品だったら、いまのブームは来てなかった?
梶井:来てたかもしれませんが、3ヵ月で忘れられると思います。それが「消費されるアニメ」だから。とか偉そうに言ってますが、いまの『けものフレンズ』もどうなるかわかりませんけどね(笑)。

福原:第6話がピークだったらはずかしー!(笑) でもいまは本当に難しい時代です。情報は無料で、体験が有料。体験が伴っている情報だったら価値があるけど、単なる情報にはお金を使ってくれません。いまの現象がまさに、みんなで「わーっ!」と盛り上がっている「お祭り=体験」です。
▲ワシミミズク(CV:上原あかり)/左、アフリカオオコノハズク(CV:三上枝織)/右

▲ワシミミズク(CV:上原あかり)/左、アフリカオオコノハズク(CV:三上枝織)/右

  

重版が決定した『オフィシャルガイドブック』の中身はこうなる!

――『けものフレンズBD付オフィシャルガイドブック』が発売前から話題になっています。普通の「BD/DVD」ではなく、「書籍形態」での販売がユニークだと思いました。
梶井:それも偶然なんですが、あれをいい出したのは僕なんです。いろいろな経緯がありました。

福原:そうですね。書籍流通を使うという話は、我々が行ったマーケティングの結果、アニメ業界に変革を起こそうといたしまして……。

一同:(爆笑)

梶井:昨今、お皿(ディスクメディア)が売れないと言われています。でも、イベント参加券とか声優さんのチカラに頼ったものは売れてますよね? そうじゃなくて、我々は中身を売らなければいけません。どうしたらいいのかを考えたとき、「お皿を買わなきゃ」という意識を弱めようと思ったんです。それともうひとつ、店頭に並んでいる商品を見たときに、「おもしろそう」と思って買っていただきたかった。では、それにはどの流通が適しているのか? などを考慮して、書籍で流通させようと決まったんです。そもそも僕は本しか作ったことないですから。
▲BD付オフィシャルガイドブック 第1巻/2017年3月25日発売/3500円+税

▲BD付オフィシャルガイドブック 第1巻/2017年3月25日発売/3500円+税

――書籍となると、本の制作も必要になってしまいます。
梶井:『けものフレンズ』には吉崎さんの資料があるので、それを本に掲載すれば、見たい人に届けられます。このまま埋もれさすにはもったいないくらい、ファンの人には興味深いものです。掲載許可とる前に書籍にすることを決めちゃってたんですが(笑)。いまWebでやっている『けもフレ図鑑』はもともと書籍にしたいなと思って時間を見つけてはコツコツ作っていたんです。そんなこんなで、書籍にしました。

――『けもフレ図鑑』は本でほしいですね!
梶井:そう思ってくださるファンの方が多いと、嬉しいです。最近の円盤はおまけをつけて値段が高くなって、いったいなにを売りたいのかわからなかったんです。だからそういうオマケ商法・イベント商法ではなく、欲しいものを欲しい価格で提供してみようと考えました。もし僕がアニメ業界の人間だったら、この発想はなかったかもしれません。いままでずーっと本を作ってきたので、「本として売れるんじゃないかな?」と考えた結果です。

――ガイドブックの中には、どのような記事が掲載されるのでしょうか? 通販サイトなどにも、まだ情報がほとんどなかったもので……。
梶井:ファンのみなさんに、なかなか内容を紹介できずにお待たせしちゃっています。BDが付くので、それを補完する内容というか、今回のスタイルを生かそうと思っています。本を読んで映像を見て、映像を見てまた本で見返して、という楽しみができるような。今週中に入稿しなきゃいけないのに、まだやってるんです。細かい作業は手伝ってもらってるんですが、台割や素材選び、ラフも執筆も僕ひとりでやってまして……。

――ええええ。それはタイヘンです。原稿執筆って、普通の編集長の仕事じゃないですよね?
梶井:この作品は他人に説明するのが難しいんです。原作のコミックなどがありませんし、発売時期を考えると作品を通して見てから書くこともできない。ライターさんにお願いして、上がってくるまで待たなければならないし、しかも上がったものをチェックするくらいなら、自分でやったほうが早いな……と。

――全6巻の刊行が予定されていますが、どのくらいのボリュームなのでしょうか?
梶井:版形はB5で、ページ数は各40ページの予定です。

福原:たぶんアニメのBDに慣れているファンのみなさんは、予想外でビックリすると思いますよ。よくBDについてるブックレットって、ケースのサイズの版形で、ページ数も少ないじゃないですか?

――よくある「特典その1:ブックレット」ってヤツですね。
福原:今回は主従関係が逆です。本が本体で、BDがオマケ。梶井さんが作るのはタイヘンだと思いますが、手に取った方は満足していただけるはずです。1巻をみたら、きっと2巻以降も欲しがると思いますね。

梶井:プレッシャーかけないでください(笑)。でも確かに1巻はおかげさまで発売前重版がかかるほど予約をいただいていますが、2巻以降が売れなかったら、それは1巻のガイドブックの出来が悪かったということなので、責任重大です。

――お話できる範囲で、どのような記事が載っているかお聞かせいただけますか?
梶井:たつき監督のインタビューが載っています。取材をしたら盛り上がって……3時間も話をしちゃったんです。入り切らないのでインタビューページを増やしました。

福原:それと、Amazonさんとかに1枚だけ上がっているトラの画像があるのですが、あれは裏表紙なんです。

梶井:ケースの中に本とBDが入っているんですが、あのトラは吉崎さんの描き下ろしです。なぜか表じゃなくて裏表紙です。その理由は、後ろから読むと『けもフレ図鑑』が始まるからです。図鑑の表紙がトラってことです。これも今回のスタイルのおかげですね。本だけの場合、裏側の表4にはバーコードなどが入ってデザインが制約されますから。そしてガイドブックの表紙はアニメの絵を使っています。場面カットをアップコンバートして、キレイにしたものを使っています。

福原:1巻を買おうと思って通販サイトを開いたら、まだアニメに登場していない動物でファンのみなさんが困惑……なかなかイカレてますよね。

梶井:しかも「サーバル」でもないしね(笑)。

――そうなんです!(笑) なんだかわかりませんでした。そして1巻と同様のボリュームで、全6巻を発売するのでしょうか?
梶井:そのツモリなんですが、出せるのかなぁ~。

一同:(笑)

梶井:1巻作ったら2巻目以降はラクなんだろうなと思って作業を始めたんですけど、まだ1巻ができてないんです。なのに、もうすぐ2巻を作らないといけないスケジュールでして……。

――1巻はたつき監督のインタビュー、では2巻では?
梶井:2巻のインタビューは、美術の白水さんと設定の伊佐さんのインタビューを予定しています。

――インタビューと『けもフレ図鑑』は毎回載るのでしょうか?
梶井:そうです。ファンの方が読んでビックリしてくださるんじゃないかなーって期待してるのは、吉崎先生が初期のころに描いた設定資料です。いままで一度も公開していない貴重な資料です。アニメ用に描き加えてもらった資料もあるので、こちらは6巻目に掲載しようと考えています。内容は詳しく言えませんが、楽しみにしていただきたいですね。

福原:吉崎さんの絵にファンがついてくださっているから、設定資料は喜ばれるかと思います。もちろん声優さんのファンの方々にも『けもフレ』の人気を支えていただいてますが、声優さん人気ばかりだったら、いまの現象は起こらなかったと思います。

梶井:もしもいま、『けもフレ』の声優人気がすごかったら、誌面は声優インタビューにしていたかもしれません。でもいまは世界観だったり作品の内容が受けているので、序盤はそこをなるべく俯瞰できるような本にしたんです。もちろんゲスト声優の方のコメントは毎回載りますし、レギュラーの9名のお話も3~5巻で載せたいと思っています。

――設定資料がたくさんあると、いまpixivなどでイラストを投稿しているファンの方々も嬉しいでしょうね。
梶井:普通のアニメのようなちゃんとした設定資料ではないんですよ。あれは分業体制で作業する際に必要なんですが、「けもフレ」の制作体制では必要ないんです。と、監督に言われました(笑)。おかげでお見せできる素材が少ない少ない……。3巻くらいには、吉崎さんが描いたキャラクターの後ろ姿の資料を掲載予定です。コミケに間に合いますかね?。

――素晴らしいです! それはコスプレ衣装を作るときの資料ですね?(笑)
梶井:10キャラくらいですが掲載予定です。みなさん、「しっぽ」がどうなってるか気になっているんじゃないですか? なので、お答えできるように出していこうと思います。

――それはとても喜ばれると思います。早く見たいです!
梶井:そう思ってくださると嬉しいです(笑)。スタンスは「基本的になにも隠さない」です。よく裏の設定を出さないこともありますよね? 僕たちはどんどん出していきます。二次創作にも積極的に活用してほしいですし。

福原:関わってる自分が言うのもおかしいですが、『けものフレンズ』って、なんか変わったツクリの作品ですよね。ゲームのときの「サンドスター」は空から降ってきたんですよね? でもアニメは火山から出てきてる。

梶井:うん。あれは火山から出てきている理由があるんです。きちんと説明したら、きっとわかってもらえると思います。なかなかシビレる内容で、特にゲームやってた人には……。

▲マーゲイ(CV:山下まみ)/中央

▲マーゲイ(CV:山下まみ)/中央

 

最後にファンの呼称、これからみなさんに届けたいことを聞いてみました

――『けものフレンズ』が好きな人は、みなさん「フレンズ」と呼んでいますが、誰が決めたのでしょうか?
梶井:そういうのはファンの方々が決めることで、こっちが決めることではないと思うんです(笑)。

福原:ゲームのときは、なんて呼ばれていましたか?

梶井:ゲームのプレイヤーは最終的に「園長」でした。でも、ネットではなぜか「おじさん」と呼んでました。そしてTwitter上では「ジャパリパーカー」だったかな?

福原:それがいまだと、全部「フレンズ」になっちゃってますね。

――ファンの呼称を決めていないんですね。
梶井:決めてません。それどころか、僕らは「みんなが飼育員になってくれたらいいなぁ」なんて言ってたんですよ。でも、誰も「飼育員」なんて名乗ってくれない!

一同:(笑)

梶井:そういうもんなんですよ(笑)。提供する側は、ひたすら愛情を込めて丁寧にマジメに作るだけでいいんです。あとはみなさんが、自由に楽しんでいただければ。

福原:僕らが能動的に決めたことって、たぶんTwitterのハッシュタグだけです。「#けものフレンズ」にしてくださいねって(笑)。

梶井:あれも当初は、140文字の制限を圧迫しないように、短い単語「#けもフレ」でやってきたんです。でもアニメが人気になって、いろいろなハッシュタグが出てきたとき、「統一してほしい」という声が上がったんです。それで考えて、ちゃんとフルネームの「#けものフレンズ」に決めました。

福原:そうなんです。それ以外は、なにも決めてません。

梶井:さきほどお話した「BDを書籍流通に流す」というのも同じことです。我々がマジメに作ったアニメを、『けものフレンズ』のファンの方に一番喜んでいただけそうなカタチで提供しようと思っただけです。そして、声優さんのファンの人が「声優イベントに参加したい」と思ったら、別途イベントを用意していますので、そちらに参加して楽しんでいただきたいです。また、グッズが欲しい人は、もうすぐ発売されると思いますので、もう少しお待ちください。いま必死で監修とかもろもろのチェックを毎日やってますので……。

梶井・福原:僕たちはこれからもマジメに作っていきますので、引き続き『けものフレンズ』をよろしくお願いします!

――ありがとうございました。
[取材・文/佐藤ポン]

 

作品情報

【放送情報】
テレビ東京:毎週火曜深夜1:35~
テレビ大阪:毎週火曜深夜1:35~
テレビ愛知:毎週火曜深夜3:05~

アニメ専門チャンネル AT-X:毎週水曜深夜0:30~
【リピート放送】
毎週金曜夕方4:30~
毎週日曜深夜1:30~
毎週火曜朝8:30~

【配信情報】
dアニメストア:毎週木曜12:00~
※放送・配信日時は変更になる場合があります。

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(C)けものフレンズプロジェクト
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