声優
井上ほの花さん、母にして先輩・井上喜久子さんを語る【連載第2回】

「声優・井上喜久子と家でのママ」――新人声優・井上ほの花さん、母にして先輩声優・井上喜久子さんを語る【井上喜久子&ほの花連載第2回】

 人気声優・井上喜久子さんの娘が、2015年12月に現役女子高生歌手「HONOKA」として17才でデビュー。その後、喜久子さんの事務所オフィスアネモネに所属し、「井上ほの花」名義で声優としても活動を始めました。しかも1年目にしてゲームのヒロイン役や主題歌を歌い、2016年12月28日にはファーストアルバム『ファースト・フライト』を発売するなど、目覚ましい活躍ぶりを見せています。

 現在は歌や芝居を本格的に勉強しつつ、母・井上喜久子さんから実践的な演技指導も受け、仕事の場数を踏んだことで、この1年で見違えるほどの成長もしました。そんな井上ほの花さんに、みんなのお姉ちゃんであり自慢のママ、井上喜久子さんについて語っていただきます!

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●井上ほの花(いのうえ ほのか)
2月9日生まれ。神奈川県出身。アーケード版『太鼓の達人』関連曲「恋幻想(LoveFantasy)」でデビュー。出演作は『月がきれい』田中さくら 役、『終末なにしてますか? 忙しいですか?救ってもらっていいですか?』フィラコルリビア・ドリオ役、『ダンガンロンパ3 -The End of希望ケ峰学園-絶望編』如月かれん役、ニンテンドー3DS『ぷよぷよクロニクル』アリィ役(ED曲「みんなみんなだいすき」歌唱)、ニンテンドー3DS『太鼓の達人ドコドン!ミステリーアドベンチャー』ティア役(主題歌「世界はミステリー」歌唱)、『青空アンダーガールズ!』椿瑠璃花役、8月のシンデレラナイン』河北智恵役ほか。ファーストアルバム『ファースト・フライト』クリンクレコードより発売中。オフィスアネモネ*ジュニア所属。

改めてわかった声優・井上喜久子のすごさ
――デビューして1年ですが、かなり順調な滑り出しではないかと思います。本格的に活動を始めてみて、喜久子さんと同じステージに上がった今、「声優・井上喜久子」についてはどのように感じていますか?

井上ほの花さん(以下、ほの花):すごいのひと言です。声優をさせていただく前までは、「ママが声優だからすごい」と思っていたんです。でも同じお仕事をしてみると、母はアニメも外画も、ナレーションもやっていて、ステージにも立たせてもらって、声のお仕事の引き出しが多いことがどれだけすごいのかが、改めてわかりました。

――今までのところ一番きつかったお仕事は? また、喜久子さんとの力量の差を一番感じたのはどんな部分ですか?

ほの花:声のトーンの幅です。私、まだ低い声が出せないんですよ。外画をやらせていただいたときに、「もっと低く」って指示を出されても、出ないんです。それでも無理して出すと、今度は演技が全然できなくて、ディレクターさんを困らせちゃったかなと思うんですよ。

 海外の高校生の役だったんですけど、後から聴いてみると確かに声が高くて、その子が少し幼い感じになっちゃってて。母は普段の声は高いんですけど、低い声で悪役も男の子もできるし、声のトーンの幅広さがすごくてうらやましいです。

――お芝居うんぬんより、まずは声のトーンが課題なんですね?

ほの花:そうです。ほかの役とかは全部、私そのままの声でやれる感じだったんですけど、「声を低くして」とか言われると、自分の声の幅のなさがよくわかって悔しかったです。

――逆に、一番うまく行ったなと思えたお仕事は?

ほの花:東京ゲームショウの、セガさんの『ぷよぷよクロニクル』のステージに立たせていただいたときに、その場で生アフレコをやったんですけど、最初はちょっと緊張していたのにだんだん楽しくなってきちゃって、ステージに出ちゃうとけっこう大丈夫なもんだなって思ったんです。

 スタジオだと「やばい、こんなすごい人たちが周りにいる」って緊張するんですけど、お客さんが目の前にいて、応援してくれる方とかもいたりすると、なんか安心できるんですよ。

井上喜久子さん(以下、喜久子):ニコ生で観てたら、すっごい伸び伸びやっててびっくりしちゃって。新人とは思えない表現力(笑)。

――たくさんの観客を前にしてもあがらず、むしろ力にできるのは天性ですよ。喜久子さんの持ち役の中で、すごいなと思ったものは?

ほの花:最近の作品だと、『魔法少女育成計画』のカラミティ・メアリです。「なんだこの怖さは!?」って。本当に怖いんですよ。最近は怖い役をやることがよくあるんですけど、家では見たことない、普段の母からは想像できない怖さがお芝居で見られるから、そこがすごいなって思います。

――逆に娘から見て、正直これは合わなかったなと思った役は?

ほの花:なんだろ……。ないかも。けっこうなんでも合うというか、母というよりもキャラクターが喋っているように私には聞こえるので、合わない役はないかな。

――すごい! 完璧な評価ですね。

喜久子:いやぁ~、はずかスィ~……。

 
夜だけはママと2人だけの時間
――家での喜久子さんの、最も印象的な姿とは?

ほの花:ずっとエプロンをしていますね。あと、宿題をやってます。

――宿題?

ほの花:台本を読んだりとか、歌を歌ったりとかをずっとしてますね。家にいても、お仕事のことが頭にあるなって姿をいつも見ています。

――娘から見て、呆れたことは?

ほの花:私が母の真似をすると、「もぉ~、真似さないでぇ~」って言うんですよ。えっ、「真似しないで」だよねって思って。そういうことがちょくちょくあるから、「ママって声優だよね?」って言うことはあります。

 あとはすごい方向音痴なところかな。今日も「あれ、どっちだっけ? こっちじゃない?」「いや、こっちだと思う」みたいなやりとりをしながら、ここ(取材場所)までやって来ました。

――子供の頃からの、喜久子さんとの想い出というと?

ほの花:やっぱり夜かな。ちっちゃい頃はママがいないと眠れなくて、ずっといっしょに寝ていたんです。中学くらいまでかな?

喜久子:高1までいっしょに寝てたね。

ほの花:今でも時々いっしょに寝るんですけど、夜の時間がすごい楽しかったです。話すことがいっぱいあったし、夜だけはママと2人だけの時間だったから、それが楽しみだったんです。

――小学校や中学校の修学旅行のような、数日離れ離れになる場合は?

ほの花:実際、行きたくなかった……。もう全然行きたくないけど、行くしかないじゃないですか。だからあんまり眠れなかったかな。中学は特にそうでした。小学校の頃はまだお友達とワーワーして楽しいって感じがあったんですけど、中学ではちょうど班長になっていたから「がんばんなきゃ!」って気持ちの裏で、「帰りたい……」って思ってました。

――喜久子さんとの夜の時間以外には、小学校や中学校での楽しい想い出はないんですか?

ほの花:小学校の頃は学童に通っていたんですよ。学童保育といって、親が共働きの子とかを、学校が終わった後に夕方くらいまで預かってくれるところがあるんです。そこでお友達もいっぱいできるし、指導員さんと毎日のようにおやつ作りしたり、山や海に行ったりとか、もうすっごい楽しかったです! 中学校は部活が楽しかったかな。

――そういうところで「声優の井上喜久子の娘」という話題は出なかった?

ほの花:小学校と中学校では全然です。高校に上がってからは、クラスに母のファンの子がいて、「すごい! 神様!」みたいに言われてました(笑)。母のおかげでなんですけど。だから高校ではけっこう「ふふん」みたいな。

――なにそれ(笑)。

喜久子:猫かぶってたんだよね(笑)。

ほの花:おしとやか~に(笑)。

――自分も声優になりたいと意識し始めたのはいつ頃から?

ほの花:なりたいと最初に思ったのは、保育園の頃です。保育園のアルバムに「大きくなったら声のお仕事をしたい」と書いて、その後にいろいろ夢が変わっていって、中学2年生のときに母に「声優のお仕事をやりたい」と言ったら「漢字が全然できないし、たぶん無理だと思う」って言われて諦めたんです。

 そうしたら、歌でデビューした後に声のお仕事もさせていただけるようになって、最近「あ、私も声優になったんだな」と思うようになりました。私はお芝居はまったく経験がなくて、ずっと歌しかやってこなかったから、歌を歌う仕事を想像していたんです。でも母の事務所に入ったから、私にも声優のオーディションが来るようになって、「お芝居とかしたことないのに、私がこれを受けていいものなの?」という感じでした。

 だから、声のお仕事をさせていただいてから「もっとがんばらなきゃ!」と思って、いま大学でお芝居を学んでいるところです。

――歌手になりたいというのを喜久子さんに相談した時、どんな反応をされましたか? 言う前から応援してくれると思っていた?

ほの花:思ってました。そもそも前から「将来は歌手になって~、海外行って~」とかずっと言ってました。

――そうしたら本当に仕事が来て、デビューとなったわけですね。デビューが決まった時は、家族でパーティーしたとか?

ほの花:私がまだ事務所に入っていない頃に、「ほっちゃん、『太鼓の達人』の歌が決まったよ」って言われて、「え、何が?」みたいな感じでした。なんだか私が知らないところでいろいろ決まっていて、「いついつ収録だから」って言われて「なんでほーが?」ってなりました。

喜久子:その前に、オーディションを受けたんだよね。大きな事件があったじゃない。

ほの花:あっ、思い出した! 大好きなアニメの新作の一般オーディションがあって、まだ事務所にも入ってないときに、自分で「これやりたい!」と思って受けたんですよ。

喜久子:そしたら書類審査で落ちちゃってね(笑)。

ほの花:学校ではけっこう「歌がうまい」って言われてたから、「こりゃあ受かるでしょ!」とか思ってたんですけど、まっったく! もう書類でスパーン! だったんですよ。それでシュン……となっていたところに歌のお仕事が来たから、「やったぁ!」とは思ったけれど、書類審査で落ちたことで「まだ全然ダメなんだ」ということがよくわかったんです。

 その後、受かった方のライブに行かせていただいたときに、「やっぱりこの子だよね」って思いましたもん。私、高校では浮かれ過ぎてたんだなって。それまではアニメとかも、ディズニー系とか『クレヨンしんちゃん』とかばっかりで、深夜アニメはあんまり観てなかったんですけど、最近はすごい観るようになりました。アニメ業界のこともなんにも知らなくて、今までの自分は本当に甘かったんだなと思います。

――最後に、娘としてここまで育ててくれた母にひと言と、新人声優として声優の大先輩・井上喜久子さんにひと言をお願いします。

ほの花:育ててくれた母に対しては、感謝しかないです。オーディションに落ちてからこの世界に入って、お仕事をいただけているのも、ほとんど母関連なんですよ。母がいなかったら、こんなふうには出来てないなと思うので、本当に感謝ですね。

 母は私に「悲しい思いをさせてきたんじゃないかな」とかって言うんです。たしかに、ちっちゃかった頃はあんまりいっしょにいられなくて、悲しいなと思うこともあったんですけど、やっぱり周りの子にはママの自慢とかをしていたので、そういう「ほーの自慢のママ」でずっといてくれて良かったなって、ありがとうって思います。

 声優としては、母を越す気持ちでやろうとは思うんです。越すような気持ちでこれから努力していきたいと思っているから、見守っててね! みたいな感じですかね。

喜久子:軽いなぁ~(笑)。

[インタビュー・文/設楽英一 撮影/Re-Zi ]

>>井上ほの花 公式ツイッター(@inoue_honokuma)
>>オフィスアネモネ

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