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成長したLiSAの『Fate』に対する新たなアプローチ

成長したLiSAの『Fate』に対する新たなアプローチ――13thシングル「ASH」インタビュー

2017年7月より放送中のTVアニメ『Fate/Apocrypha』。その2ndクールOPテーマ、LiSAさんの歌う「ASH」が11月29日にリリースされます。

話していると、「LiSAという人」と、自分を客観視しているところがあったり、とても冷静なところがある彼女ですが、ステージに上がると、よりエモーショナルな存在になる。

そんなLiSAさんの魅力が存分に詰まったニューシングル。3曲すべてリード曲と言えるほどの1枚について、たっぷり語っていただきました。


ライブが多かった2017年を振り返る
――もう2017年を振り返るような時期になりましたが、この1年はすごくライブが多かったのではないですか?

LiSAさん(以下、LiSA):フェスもすごく多かったですし、そういう意味ではLiSAという人の認識をたくさんの人がしてくれていて、いろんな楽しみ方で音楽を楽しんでくれているのかなって感じました。東京から離れた場所のフェスって、ジャンルの壁みたいなものがあるのかな?って思ってたけど、実際に来てくれたたくさんの人を前にすると、やってきたことがちゃんと伝わってる気がして、すごくうれしかったですね。


――音楽に壁はないって気持ちでやっていましたからね。

LiSA:区別することでできることはいっぱいあるけど、それだけじゃない。音楽を楽しむってことをしてくれている気がします。


――フェスでは、得るものも大きかった?

LiSA:自分自身が自分の音楽を、すごく楽しめるようになりました。自分の畑で耕していた食物たちを別の場所に持って行ったとき、今までカレーにしか使えないと思ってたけど、肉じゃがになるんだ!みたいな(笑)。

いろんなタイプのプロたちがいるので、違う楽しみ方、違う料理になるんですよね。だから自分の音楽の遊び方の幅がすごく広がった1年だったと思います。


――ソロライブというところだとどうですか? LiSAさんのように大きな会場でもライブをすると、次に何を見せるか、驚かせるのかっていうところが大変な気がするのですが。

LiSA:5月に出した『LiTTLE DEViL PARADE』というアルバムから7年目。やっぱり私の中で大きかったのは、人間として30年生きたということなんです。だからLiSAっていう人が、この先どうやって音楽を続けていこうかを、このアルバムではすごく考えていて。

私、アーティストとして生きて行く像がアヴリル・ラヴィーンしかなかったから、正直歳をとることが怖くて、大人になることを認められていなかったんです。

でもアルバムを作るとなって、LiSAがこの先、どう音楽を楽しむかということに向き合ったときに、バラードばかりになるか、ちょっとEDMっぽくなるのかとかもあったと思うんですけど、このタイトル通り、30代でもできるところまで、みんなが楽しんでくれるLiSAの音楽をやり切ろうと思ったんです。


――この音楽を続けようと。

LiSA:好きなバンドが、アルバム3枚目でめちゃめちゃ音楽性が変わるってことが結構あって(笑)。何で3枚目でバンドじゃなくなった?みたいに、突然ロックじゃなくなる。

それがショックだったんだけど、でもそれはその人達が音楽を続けていく上で必要だったことで、じゃあ自分はどういう選択をするかというときに、LiSAはLiSAのまま、今できる好きな音楽をやろうと。

そう思ってアリーナツアーをして、フェスにもたくさん出て、そこでまた自分の持っている音楽たちの別の遊び方を発見して、じゃあそこで得たものを連れて次はどんなツアーにしようかなってところで、今ホールツアーを廻っているんです。

アリーナツアーって仕掛けをいっぱい作って、遠くの人まで届けるためにどう演出していくか。見せるためのギミックがたくさんあるんです。それがホールになって、あんなにも大きな会場で派手にやってきた『LiTTLE DEViL PARADE』をどうやろうみたいな。

その曲の楽しさをどう伝えようって、ちょっと悩んだんですけど、それは自分自身が音楽を楽しいと思って歌うしかないというか。本当に原点である、ライブハウスでやっていた感覚でやる。音楽を噛み砕いて楽しむことって大事なことだなぁって、今感じてます。


――結局は音楽に戻ってくるというか。演出はいろいろできるけど、制限もあるし上限もあるし、いつもできるわけではないから、音楽でファンと繋がることを確かめるホールツアーなのかなと感じていました。ちなみに30歳になって変わったことはあったんですか?

LiSA:やっぱり未来の捉え方ですね。不安が大きかったけど、誕生日越えたからって何か変わるわけじゃないでしょっていう(笑)。

私もちょっとずつ大人になってきていたし、そういう意味では、これからも先輩たちの背中を見たり、壁にぶち当たったりして大人になっていくんだろうなって。広い心で未来を考えられるようになりました。


ニューシングル「ASH」について――
――「ASH」という曲はTVアニメ『Fate/Apocrypha』の2ndクールOPテーマになりました。TVアニメ『Fate/Zero』のOP主題歌である1stシングル「oath sign」以来の『Fate』シリーズとの出会いですが。

LiSA:あの頃は『Fate』という作品に関わるプレッシャーがすごくあって。すでに作品にはたくさんのファンの方がいて、みんなの中で正解が決まってる中に、何も知らない私が入ったら、“おまえ、何も知らねぇじゃないか”ってなるよなって。

でも、私がアニメに関わったときもそうで、ずっとアニメを見ていたわけではなく、その世界を知っていたわけでもなかった。

じゃあ、その中で私が何をできるかと考えたときに、その作品で自分が本気で伝えられることを伝えることだし、本気で好きになることだなって。『Angel Beats!』(2010年4月~6月放送)では伝える側として伝えていこうと思ったし、『Fate』では、みんなほどの知識はないけど、愛情的には変わらないから愛情で勝負しようって思って作ったのが「oath sign」だった。

それから6年経って、もう一度『Fate』の曲を作るとなったときに、何かお土産を連れていかなきゃいけないと思ったんです。6年経った今だからできることをやろうということで、これまでたくさんの歌を歌ってきた今のLiSAとして、そして『Fate』として歌える曲を、プロの力を借りて作ってもいいんじゃないかなって。

6年やり続けてきたお土産というか。「oath sign」から旅に出て、“仲間を連れてきたよ~”って帰ってくる感覚(笑)。

それでどなたかと関われないかと思ったときに、アニメに誠実に関わってくれて、ロックテイストという意味で、シドさんにお願いしようと思いました。デビュー時だったら、シドさんだっていいと言ってくれないと思うし、6年LiSAとして歌ってきた今だからできることだなって。



――『Fate/Apocrypha』の印象は?

LiSA:『Fate』は『Fate』だなって。マスターにもサーヴァントにも自分の気持ちや思いがある。これまでのシリーズを見てると、名前が同じだったりするから混乱するところもあるんですけど(笑)、それぞれが希望を持って、与えられた運命の中でがむしゃらにやっている。

そこで諦めたりいなくなったりする人もいるけど、過酷な運命を背負いながらも闘っている。それって人生においても通ずるというか、自分の人生に重ねられる作品だなぁって思いました。


――確かに。この曲もそうですが、『Fate』の曲でもあり、LiSAさん自身を歌っている曲でもあるんですよね。重ねられるというか。

LiSA:私から何かをお願いしたわけではなく、マオさんが素直に書いてくださった歌詞なんですけど、作品に誠実に関わってくださるシドさんだからこその歌詞で〈信じることでしか 強くなれない〉というフレーズを見たとき、私はこれを、LiSAとしてきちんと歌えるなって思いました。


――伝えたいことはここですよね。信じることってやっぱり難しいですよね?

LiSA:自分の理想や夢を持ち続けるためには、希望がないと生きていけないと思うんですけど、そのために必要なのが信じる気持ちで、それがないと貫き通せない。本当に大事なことをこの1フレーズで言ってくれていると思います。


――自分でも経験がある?

LiSA:結果がどうであるかより、その過程で信じることができないと続けられないし、自分の覚悟が決められないと思います。どうしても人間って人のせいにしちゃうから、自分が覚悟を決めないといけない。

誰かが決めたこと、運命のせいって逃げてしまったときに希望を抱けるのかなと思うと、それはないだろうなって。


――自分を信じる、周りを信じる、両方が必要になりますね。

LiSA:そうですね。私が最近出会った人も言ってました。自分のことを信じられないと、人のことなんて信じられないって。自分がこの人を信じたいという思いを信じられないと、人のことなんて信じられないから、まずは自分を信じることが大事だよって。確かに!って思いました(笑)。


――自分を信じられなくなることもある?

LiSA:そうなったときはファンの人たちを頼りますね。この人たちが信じてくれている自分だからやらなきゃ!って。そういう覚悟に切り替えます。


――曲自体は、すごく疾走感があって、AメロBメロからサビまでがあっという間の曲でした。

LiSA:あははは(笑)、確かに。それなのにこのサビの広がり感は明希さんのメロディと江口亮さんのアレンジによるところかなって。あとマオさんが、わざと暗い言葉と明るい言葉を対称に置いているとおっしゃっていて、闇と光をきちんと置いてあるからASHなんだと。

そのAメロBメロがあるからサビで突然開ける、放たれる感じがする。だからマオさんの言葉、明希さんのメロディ、江口さんのアレンジ、全部が重なってるんですね。


――レコーディングにはシドのメンバーもいらしたんですか?

LiSA:明希さんがレコーディングに来てくれて、やっぱり曲を作ってくれた人がいると、その場でいいか悪いかをはっきり言ってくれるので助かります。やっぱり作ってくれた人にも喜んでほしい、納得してほしいから助かりました。


――迷ったところもありました?

LiSA:私の持っている曲って音数が多いんです。特に田淵先輩(※田淵智也/UNISON SQUARE GARDEN)の曲は、音符で真っ黒なんです(笑)。でも明希さんの曲は白玉もあるし、間の長さがすごくあって余白が多い。なので経過音が必要になるんですね。

そこをどう埋めるのか、どういう癖の付け方をすればいいのかはすごく考えて。5パターンくらい持ってレコーディングに行って、最終的にこれになりました(笑)。


――そうやって、自分の幅を広げてくれるのもコラボの良さですよね。カップリングの「罪人」はLiSAさん作詞ですけど、これはいったい何を描こうと? ちょっと怖いですよね(笑)。

LiSA:あははは(笑)。今年、「Catch the Moment」と「だってアタシのヒーロー。」で、自分が伝えたいメッセージの核みたいなものって、伝えてきたなって思ったんです。LiSAっていう人を使って、音楽を楽しむために何ができるんだろうって、LiSAのストーリー軸の中でできる音楽の楽しみ方というモードに入っていたんです。

「ASH」のように作品とともに作って、自分とリンクする部分を歌っていくものがまずあって、あと歌詞でできることって思ったときに、共感する、背中を押される、発散するの3つだなって。音楽が加わると、メロディやリズムっていう楽しみ方ができるんだけど、歌詞だとその3つだろうと。

それで、Sho(from MY FIRST STORY)さんのこの曲を聴いたとき、歌謡曲だと思ったんですね。そう考えると、この曲でできることは発散だったんです。


――なるほど。

LiSA:自制が効いてて、ちゃんとしなきゃって、きっとみんな考えていると思うけど、その中でも芽生えてしまう悪い感情、押し殺したくなるような感情っていっぱいあると思ってて、それを音楽はちゃんと歌ってあげなきゃダメなんじゃないかと。

歌謡曲って結構情念を歌うじゃないですか(笑)。そういう素直な感情を、サウンドのヒリヒリさのせいにして、この曲を聴いて発散したり、泣いたりしてもいいんじゃないかなと思って作りました。


――リミッター振り切ってる感はありますよね。ボーカルもめちゃめちゃカッコよかったです。

LiSA:ありがとうございます。情念なんで! 込めました(笑)。これ、みんな年末に彼氏とかに歌ったほうがいいよ(笑)!


――「ONLY≠LONELY」は、シンガーソングライターの小南泰葉さんが作曲で、小南さんとは長く一緒にやられていますが、すごく大事なことを歌えるようなメロディを書く方ですね。

LiSA:小南さん=みんみんの書くメロディが、すごく好きで。今お休みしているんですけど、その中でも曲は作り続けていて、その大事な曲をLiSAちゃんにって、突然送ってきてくれたんです。

その曲に歌詞を付けるとなったときに、ライブ中だったのでライブで歌えることがいいなと思ったけど、そういうことはこれまでいっぱい書いてきたから、自分の好きなワードで、同じ感覚で書いてくれる方、なおかつ自分がファンの人は誰かなと考えたときに、BIGMAMAの金井政人さんにお願いしようと思いました。そしたら金井さんもやりたいと言ってくれて。

ライブでみんなと歌いたい歌、ライブで伝えたいこととお願いしたら、彼は私が思っている感情に〈ONLY≠LONELY〉って名前を付けてくれたから、本当にすごいなぁって思いました。地方に行ったときとか、なかなか会えるわけじゃないから、その人たちと繋がっていられるような曲がほしいですって言ったんですけど、さすが、たくさんツアーを廻っている人だなって思いました。これはきっと、実際にステージを重ねてきた人じゃないと書けない歌詞だと思います。


――ライブで聴いたら泣くって思うくらい、言葉が不要というか。とにかく聴いてって思うほど、ものすごくいい曲ですよね。

LiSA:1公演延期になってしまったけど、ツアーが終わったあとにこのシングルが出るので、あの時の景色、ライブのことを思い出して、このことを言っているんだろうなって思ってくれたら超最高だなって思います。やっぱり言葉と一緒に見てほしいから、先にCDで曲を聴いてほしいなって思います。


――いろんな人との出会いもあって、この先も見えるシングルになりましたね。

LiSA:音楽とすごくフラットな状態で、単純に音楽を楽しもうと思えたシングルだと思います。これから自分が何を作っていきたいかも新しく見えてきたし、また新しい曲をはやく作りたいなって気持ちもあります(笑)。


[取材・文・撮影/塚越淳一]

リリース情報
LiSA 13th Single「ASH」
2017.11.29リリース!


【初回生産限定盤(CD+DVD)】
VVCL-1130~1131 / 1,600円+税
【主題歌】TV Fate/Apocrypha OP「ASH」/LiSA 初回生産限定盤
【アニメイトオンライン】【主題歌】TV Fate/Apocrypha OP「ASH」/LiSA 初回生産限定盤


≪CD≫
M1:「ASH」(10月クールテレビアニメ「Fate/Apocrypha」2ndクールOPテーマ曲)
作詞:マオ(シド)
作曲:御恵明希(シド)
編曲:江口 亮

M2:「罪人」
作詞:LiSA
作曲:Sho(from MY FIRST STORY)
編曲:Sho(from MY FIRST STORY)

M3:「ONLY≠LONELY」
作詞:金井政人(BIGMAMA)
作曲:小南泰葉 編曲:堀江晶太

M4:「ASH -Instrumental-」

≪DVD≫
「ASH」ミュージッククリップ収録DVD同梱

【通常盤(CD)】
VVCL-1132 / 1,200円+税
【主題歌】TV Fate/Apocrypha OP「ASH」/LiSA 通常盤
【アニメイトオンライン】【主題歌】TV Fate/Apocrypha OP「ASH」/LiSA 通常盤


≪CD≫
M1:「ASH」(10月クールテレビアニメ「Fate/Apocrypha」2ndクールOPテーマ曲)
作詞:マオ(シド)
作曲:御恵明希(シド)
編曲:江口 亮

M2:「罪人」
作詞:LiSA
作曲:Sho(from MY FIRST STORY)
編曲:Sho(from MY FIRST STORY)

M3:「ONLY≠LONELY」
作詞:金井政人(BIGMAMA)
作曲:小南泰葉
編曲:堀江晶太

M4:「ASH -Instrumental-」

【期間生産限定盤(CD+DVD)】
VVCL-1133~1134 / 1,600円+税
【主題歌】TV Fate/Apocrypha OP「ASH」/LiSA 期間生産限定盤
【アニメイトオンライン】【主題歌】TV Fate/Apocrypha OP「ASH」/LiSA 期間生産限定盤


≪CD≫
M1:「ASH」(10月クールテレビアニメ「Fate/Apocrypha」2ndクールOPテーマ曲)
作詞:マオ(シド)
作曲:御恵明希(シド)
編曲:江口 亮

M2:「罪人」
作詞:LiSA
作曲:Sho(from MY FIRST STORY)
編曲:Sho(from MY FIRST STORY)

M3:「ONLY≠LONELY」
作詞:金井政人(BIGMAMA)
作曲:小南泰葉
編曲:堀江晶太

M4:「ASH –TV ver.-」

≪DVD≫
TVアニメ「Fate/Apocrypha」ノンクレジットOP映像収録DVD同梱

☆TVアニメ「Fate/Apocrypha」2ndクール ノンクレジットOP映像収録DVD同梱
☆描きおろしイラスト使用ミニポスター
☆描きおろしイラスト使用三方背ケース

※2018年2月末日まで出荷予定

>>LiSA公式サイト
>>LiSA公式Twitter

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