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『ダリフラ』プロデューサーが語るスタッフ陣のたゆまぬ研鑽|アニプレックス鳥羽Pインタビュー

『ダーリン・イン・ザ・フランキス』プロデューサーが語るスタッフ陣のたゆまぬ研鑽|アニプレックス鳥羽Pインタビュー

コドモたちの、そしてゼロツーの未来は? いよいよ最後のクライマックスに向かって歩みを進めたTVアニメ『ダーリン・イン・ザ・フランキス』(ダリフラ)。錦織敦史監督がこの物語で何を伝えたかったのか、何を表現したかったのか。きっとそれは、最後の5話を見終わったとき、それぞれの心の中にはっきりと刻まれるでしょう。

これまでこの作品を振り返ってきたプロデューサーインタビュー、ラストは企画全体の指揮を執るアニプレックス・鳥羽洋典プロデューサーに登場していただきました。

 
たくさんの人に見てもらうというのが僕の中でひとつテーマ
――今の反響をどう見ていますか?

鳥羽洋典さん(以下、鳥羽):予想以上にすごかったというか、特にSNSでの反応がすごいです。若い方々は、SNSでの発言が活発だと思いますので、そういう人たちの反響が特に大きかったのかなと思っています。これまでいろいろなオリジナル作品を手がけてきましたが、公式のTwitterアカウントへのリプライの数がとても多く、国内外や性別を問わず、色々な方からこんなに頂くのは初めての経験だったんです。

もちろん、今タイトル自体の企画規模が大きい作品だったからだというのはありますけど、改めてお客さんと一緒に育ったんだなという事を実感しています。明らかに最初の頃よりも話数が進むにつれてどんどん反響が大きくなっていますので。

――確かに始まった当初は、ここまでではなかった気がします。

鳥羽:ストーリー展開でいいますと、第6話あたりで一度盛り上がり、そこから様々な謎も増えてきます。それに対して、感想や考察を言いたくなったりして、色々と感じることがたくさんある作品になったのではないかなと思います。

――そういう視聴者の声が作品に影響するところもあるのですか?

鳥羽:2クール作品なので、いい意味でその声はスタッフに届いています。1クール作品だと制作の終盤や作り終わったあとに反応が来ることが多いんですけど、2クールだと作りながらその反応が聞けるので面白いです。まさにリアルタイム感があって。

――錦織監督も、最後のほうはあまり決め込んでいなかったそうですね。

鳥羽:監督自身、あえてラストを完全に決め込まずにしていました。そこから生まれるライブ感は、オリジナル作品ならではだと思います。いわゆる連載漫画のような楽しさというのを大事にしていました。それぞれの話数の面白さを大事にしながら、次にどうなっていくのかという来週への引きを強調した海外ドラマのような作り方をしたいと最初から考えていたんです。

最初から物語のラストをガチガチに決め込んでしまうと、必要以上にいろんなものが整いすぎてしまうので、今回はあえて不確定要素まで含めて、楽しめる作品にしたいなと思っていました。それは錦織監督も戦略として考えていたことだと思いますし、僕もそれは正しいと思っていました。結果、それがお客さんにも効果的に届いているのかなと思います。

――もうアフレコも終わっていますが、ラストについて、鳥羽さんはプロデューサーとして何か意見を言ったりもしたのですか?

鳥羽:錦織監督本人が考えている物語のラストが、お客さんの考えや、期待とズレがないかどうかは考えました。結果、僕の感触としては、そのズレはないだろうと思いましたし、ストーリー自体の流れに関しても違和感はないかなと思いました。

あとは、やっぱり錦織監督には伝えたいことが必ずあるので、それをラストの物語にどう乗せていくかだけかなって。そこはもう監督本人が決めることなので、僕らが何かを言うということはなかったですね。ただ、とても納得いくところに落ち着いているとは思います。

――早くも『ダリフラ』ロスが怖いですが、最終回を楽しみにしています。鳥羽プロデューサーには、この作品を宣伝的な目線から語っていただきたいと思います。最初トリガーとA-1 Pictures(現 CloverWorks)の2社合同というのを大きく打ち出していました。

鳥羽:最初にこの企画の話をしていて、どういうチームで作ろうかと考えたときに、監督からA-1 Picturesさんとトリガーさん共同で作れないかという話になったんです。それぞれのプロデューサーである福島祐一さんと若林広海さんは信頼しているお二人なので、両社のいいところをつなぎ合わせられたらいいなと思いました。

もちろんコストやスケジュール面は倍くらい大変になるんですけど、今作はそれをするに値する企画だと思ったので、そこはこちらで引き取って、まずは錦織監督が思っていることと、各スタジオでそれが実現できるようにするところから始めました。

両プロデューサーも「錦織さんからの依頼だから」と快く引き受けてくださったので無事スタートすることができたんだと思います。

それに錦織監督も両社の良いところを引き出すのが上手いんですよね。それぞれの良いところをしっかり見極めていて、単純に思いつきで言ったわけではなく、最初から本人の中でどう作っていくか具体的な作戦があったんだと思います。

まず、前半はその両社の良さがうまく出ていたと思います。そして後半の評価はこれからだと思いますけど、我々としては、倍頑張ったかいのあるフィルムになったと思っています。

――2社合同というのは、ものすごく引きになりましたね。

鳥羽:そもそもオリジナルアニメって事前の宣伝で言えることが少ないんですよ。ネタバレは避けたいですし。だから絵のビジュアルとスタッフィングと作品のコンセプトをどうお客さんに伝えていくかというのがオリジナル作品の宣伝になるんです。

原作モノと違って、すべてがゼロからのスタートなので、お客さんに興味を持ってもらえる情報を整理していかないといけないんです。そこでキーになったものの1つが、素晴らしいスタジオが共同で制作していますよっていうことです。

ある意味、強いところを2つくっつけたっていう小学生が思いつくような発想ですよね(笑)。でもそれって、単純で明快なだけにすごく効果的に伝わる。それが宣伝では大事なので、要素の1つとして使いました。

あとは錦織監督のオリジナル作品であるということ。更に田中将賀さんがキャラクターデザインとして参加していること。そして、コヤマシゲトさんがメカのデザインをしてくれていて、アクション監修として今石洋之さんも参加している。本当にこんなこと二度とできないかもしれないという豪華なスタッフで作っていたので、乗せられるものは全部乗せましたというキャッチーさは、最初の宣伝では絶対に必要だと思いました。

オリジナル作品だとネタバレせずに内容面を伝えようとしても、中途半端になりがちです。また、監督としては“作品は出来上がったフィルムがすべて”という考えをお持ちなので、まずはそういう側の部分から伝えていきました。

――実際始まってみると、もともとのスタッフの豪華さに加えて、絵コンテもものすごく豪華だったんですよね。どれだけ監督級の方が参加しているんだと(笑)。ただ、そこは放送後に知る感じでしたよね?

鳥羽:そこの情報は、あえて放送後に出すようにしていました。何でもかんでも宣伝として先に出せばいいというものではないし、終わったあとのサプライズ感も大事かなと思ったので、そこはコントロールしていました。

放送直後に必ず「このフィルムは、この人たちがやってくれていました」とTwitterなどで伝えるようにしていたんです。事前に言ってしまうより、見てもらった後に、「この話数のメインスタッフは、この人達なんですよ」と言ったほうが、そういう部分を楽しみにしている方たちにとっては良いんじゃないかなって。

――この人、よく絵コンテを描いてくれたなっていう方はいますか?

鳥羽:それを言うと皆さんですよ! 本当によくやってくださったなって。それは錦織監督や田中さんがメインにいるという信頼感もあったんじゃないかなと。あとは福島さんや若林さんといったプロデューサー陣との信頼関係が、あの豪華なコンテマンに表れていたんだと思います。

――先程、海外からのリプも多いという話でしたが、海外への仕掛けというのもあったのですか?

鳥羽:この企画について、錦織監督と最初に話していた段階で、海外もひとつ勝負どころだと思っていたんです。海外のファンにどうやって伝えていくかというのはずっと考えていて、かなり早い段階で海外の配信先を決めて準備を進めていました。ただ、そこからの作品に対する反応というのは、僕らにはコントロールできないところなので、あとはフィルムを見てもらうしかなかったです。

なのでフィルムが魅力的だからこそ、海外でもこれだけたくさんの人が声を上げてくれているんだろうなと思います。今回は、アメリカだろうが、ヨーロッパだろうが、アジアだろうが、世界中で見られないところがないようにしたいと思っていたんです。

――国内でも、いろんなサイトで見られますしね。

鳥羽:国内もなるべく多くのWEBサイトで配信しようというのは、僕の中で決めていました。たくさんの人に見てもらうというのが僕の中でひとつテーマだったので、そこはなるべく丁寧に進めていきました。

オリジナル作品は原作モノに比べると話題になるかどうかの予想が難しいので、(配信の契約が)難しかったりするんですけど、やっぱりこの制作チームで、大きな規模の企画なので、早い段階からやらせてほしいと色々なところが手を上げてくれました。そういう意味では企画力はあったのかなと思います。

――そうやって多くの人が見ることができたというのが、SNSの盛り上がりにも出たのでしょうね。

鳥羽:そうですね。なるべくフラットに見てもらえる作品にしたかったし、見やすい作品だったのかなと思います。ロボットアニメと言いながらも青春群像劇という一面もあって、その2つが大きな柱としてあったので、両方楽しめるというのが大きかったですね。性別や世代を含めて見る人を選ばない作品だったなと。

――最近(16~19話)は、ロボットに乗ってないですからね。

鳥羽:そこは群像劇の色が濃いんですよね。前半はロボットアニメの色が大きくて、ボーイ・ミーツ・ガールとロボットアニメという感じでずっと進んできたんですけど、いざロボットに乗らなくてもいい状況になったとき、コドモたちがどう生きていくのか、そのアイデンティティが問われる瞬間になっていくんです。

彼らの生きる上での柱(フランクス)の部分を取っ払ったときに、じゃあこのコドモたちはどう生きていくんだろう、というのが青春群像劇のテーマの1つで、彼らが自分自身で生き方を決めるというところに踏み込んでいったのが16話以降だったんです。

――このあたりの構成が秀逸で、一見すると繋がっていないように見えた7話以降の話が活きてくるんですよね。

鳥羽:僕らは“各キャラのお当番回”と言っていましたけど、各話をそれぞれのキャラクターをメインに振った話で、シリーズ後半でフランクスに乗って戦うことだけがすべてではないということに気づき始めるための種を撒いておいた感じなんですよね。そういう考えに至るまで、彼らがどういう事を考えていたのかというところですね。

ヒロはシリーズ前半の時点で、ある程度のアイデンティティが出来上がっているので、ヒロを中心にして、他のコドモたちがそこについてこれるか、価値観を共有できるかというところに焦点を当てていきます。そして、それが決着つき始めたであろうところで、最後の総仕上げとなる20話以降に繋がっていくんです。

――ヒロってある意味、ひとりだけ特殊なんですよね。先を行き過ぎちゃってるというか。幼少期にゼロツーに出会った時点で、抜け出そうとしちゃうくらい自我があったキャラクターなんですけど、たぶんそれについていくのは難しかったと思うんです。そこでココロの存在が効いてくるんですよね。

鳥羽:コドモたちがそれぞれの道を歩き始めるんですよね。それぞれが自分たちの価値観を持って歩き始めるのは青春群像劇の醍醐味なので、そこはしっかりこの16話から19話の3話分で描けたかなと。もちろん、ミツルとココロに起きた出来事も今後に作用する大きなファクターとなっています。

――その他に、宣伝として行ったことはありますか?

鳥羽:なるべく振り返る機会を多く作ろうと考えてました。なので、イベントでの一挙上映会も開いていますし、AbemaTVやニコニコ生放送、GYAO!でも振り返り一挙配信をやってきました。途中から興味をもって下さったお客さんでも参加できるような環境を作ってあげたかったんです。これも“なるべくたくさんの人に見てもらいたい”という先程お話したコンセプトの一環なんです。

―― 一挙上映会は、毎回たくさんの人が来てくれましたね。

鳥羽:やっぱりもう一度見たいという思いはあるんだと思います。この作品って1話の情報量がかなり多い作品なので、あらためて見返したいと思うんです。例えば13話と19話などは、それまでのエピソードの色んなシーンとリンクしているので、改めて振り返って見るというのも大事なのかなと思います。

僕らが昔見ていたアニメってそういう作品が多かった気がします。「あっ、ここで伏線を回収しているな」とか、「ここが繋がっていたんだ」とか、最近はそういう作品が意外と少ないのかなと思っていたので、若い方々にとっては新鮮だったのかもしれませんね。


監督やスタッフには後悔してほしくない
――スタッフに関しても少しお話をしていただきたいのですが、これまで田中将賀さんの仕事ぶりを間近で見ていかがでしたか?

鳥羽:いやぁ、本当にすごいです。自分がプロデュースをした作品では、キャラクターデザインをして頂くのも総作監で入って頂くのも初めてなんです。第1話ビデオ編集の時に、「やっぱり田中さんはすごいね」って、錦織監督と当たり前のことを言い合いましたから(笑)。

――どこがすごいと感じましたか?

鳥羽:やはり田中さんが描かれた絵の説得力ですよね。本当にレベルが違いすぎる。キャラクターの艶が一気に出るというか、芝居もそうだし、線一本一本から感じる圧力もそうだし、とにかく絵力があるんです。理屈ではない圧倒するものがあって、クリエイティブなことに携わってない人が見ても、その凄さがわかるというか。そういう人ってなかなか出会ったことがないなと思いました。

――それをTVシリーズでやってしまいましたからね。

鳥羽:劇場作品でもこんなことできないよっていうくらいの凄さは感じました。

――それとスタッフではないのですが、2社合同とは言いつつ、実際は3社あって、CGをスタジオカラーが手がけていましたよね。そこも絵のクオリティを上げてくれていました。

鳥羽:あのクオリティはカラーさんでしか出せないですよね。錦織監督の細かい要望に応えられるチームであり、そこの意思疎通、価値観の共有ができているんですよね。そういう勘どころがズレている人たちと組むんでしまうと、なかなか上手くいかないんですよ。でもカラーのモニターグラフィックスと3Dチームの皆さんは、そこをしっかりと汲み取って下さる最高のチームなので、協力して頂けて本当に良かったです。

――錦織監督は、相当粘る方のようですね。

鳥羽:粘りますねぇ(笑)。本当にギリギリまでやってるんですよ。ただ僕もそういう場にいる方が生きている感じがするんです。当然いろいろなところに迷惑はかかるんだけど、早く終わることへの恐怖心が僕にはあって、時間があるなら、まだ出来ることがあるんじゃないかと思っちゃうんですよね。

とことん突き詰めてやりたい思いが現場にもあるので、僕らとしても、各方面に対して待ってもらえるのであればギリギリまで待ってほしいとお願いして回ります。とことん検討して出した答えが、一周回って検討する前と同じだったりする事もあるのですが、その場合でも、その答えにたどり着いた意味がしっかりとあるんですよ。

――クリエイターの能力を最大限出してもらうために、その周りの環境を整えているんですね。

鳥羽:それが僕らの仕事ではあるので。クリエイターがストレスなくものづくりをできる、そして後悔をさせないということが大切。物事には制限があるので、後悔がまったくない、ということはないんでしょうけど、これだけの規模の作品なので、やっぱり監督やスタッフには後悔してほしくないんです。

いろんな人に迷惑はかけてしまうけど、出来上がったフィルムを見てもらえれば絶対に納得してもらえると思うんです。逆に言うと、そこでしか信じてもらえるものってないんです。でも、最高のフィルムを作ってくれると信頼しているから、僕らは周りを説得できるんです。

――確かにフィルムは確実に良いですからね。では最後に、錦織監督のこれまでの仕事ぶりはいかがですか?

鳥羽:一緒に作品を作り始めた『天元突破グレンラガン』から10年になるのかな。すごく自分に厳しい人で、常に成長していくためにはどうしたら良いか、自分がより良いクリエイターになるにはどうしたら良いのかというのを試行錯誤しながら作り続けている人なんです。

今回は、そうしていく中で生まれた企画です。僕としては一緒にやってきてよかったなと思っています。錦織監督のとことん、粘りに粘って作っていくスタンスが僕は大好きだし、それに対して僕にできることは、彼が思う存分制作に没頭できるようにバックアップしていく事だと思うんです。

そして出来上がったフィルムを見て、協力して良かったなと心から思えます。今回はスタッフィング含めて、彼自身のプランがしっかりあってのことだったと思いますし、やりたいことをどれだけストレスなく叶えられるのかが僕らの仕事なので、満足してもらえていれば嬉しいなと思います。

――『天元突破グレンラガン キラメキ☆ヨーコBOX ~Pieces of sweet stars~』から、錦織監督が変わったなと思うところはありますか?

鳥羽:いや、基本的にそんなに変わってないんですよね(笑)。もちろん、技術的なところは向上しているんですけど、キャラクターを大事にするというスタンスは変わらないんですよ。ヨーコBOXも、『グレンラガン』をやっていく中で、ヨーコに対する思いで叶えられなかった部分があって、それを消化したいという思いで始まった企画でした。

だから共通していることはキャラクターへの愛情なんです。『ダリフラ』も10人のコドモたちがいますけど、全員が主役になれるキャラクターになっていると思います。なので、そのくらいキャラクターのことを大事に考えて作っている人なんです。そして、物語の最後に彼らをどう送り出してあげるのかも、監督がじっくり考えて出した答えなので、お客さんはそれを楽しみにしていてほしいですね。

[取材・文/塚越淳一]

(C)ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会
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