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『あかねさす少女』アニメOPは「心で歌う」/MICHIインタビュー

『あかねさす少女』の主題歌を彩るMICHI ありのままの自分で挑んだからこそ開けた未知なる扉

2015年に彗星のごとく現れ、『六花の勇者』『だがしかし』『つぐもも』など、多くの主題歌を歌ってきた沖縄初のアニソンシンガー・MICHIさん。アニマックス開局20周年記念作品のTVアニメ『あかねさす少女』主題歌をタイトルにしたシングルが10月24日(水)にリリース!

『あかねさす少女』のオープニングを彩る「ソラネタリウム」は異国の風を感じる重厚なロックバラード。音楽プロデューサーに磯山敦氏、さらに稲葉エミさん(作詞)、小森茂生さん(作曲・編曲)と、『けいおん!』でお馴染みの豪華クリエイターたちに手により、これまでのイメージを一新させるような楽曲となりました。楽曲が完成するまでの物語を教えてもらいました。

「あとは心で歌えばいい」

──取材でお会いするのはおそらく1年振りだと思うんですが、相変わらずステキな笑顔で。

MICHIさん(以下、MICHI):本当にお久しぶりです! 変わらず元気でございます。あんまり中身は変わってないんですけどね(笑)。

──でも雰囲気が少し変わったような……?

MICHI:あ、ちょっとだけ大人っぽくなったかもしれません(笑)。

──この1年でどんなことがあったんでしょうか?

MICHI:見た目もそうなんですけど、心も成長した年になったんじゃないかなとは思っています。簡単に言うと歌に対しての向き合いかたが変わった気がします。

今までは突き詰めすぎて、音楽が嫌になりそうになるくらい自分を追い込んでいたこともあったんですけど……「音楽ってそんなもんじゃないから、もっと楽しくいこう」って思えるようになったというか。

自分の心に余裕が持てるようになりました。「ソラネタリウム」をリリースするまでの期間に、好きなことをやれる幸せを誰よりも感じるようになれたんじゃないかなって思います。歌もより自由に歌えるようになりました。

──「このままで大丈夫!」って背中を押してくれるMICHIさんが心の中に現れた感じですか?

MICHI:そうなんです。「がんばったね」「大丈夫だよ! どんだけ歌ってきてると思ってんの!」ってプラス思考のMICHIが現れるようになりました。だから心の中が大変ですよね(笑)。毎日ポジティブですよ。

──『あかねさす少女』はパラレルワールドにいる"もう1人の自分"と会うことでそれぞれが成長していきますが、MICHIさんも "ポジティブMICHI"に出会って変わっていったんですね。

MICHI:はい。おかげでネガティブMICHIが消えました。「歌わなきゃ」じゃなくて「歌いたいときに歌えばいいんだ」って。あと「やらなきゃいけない」って思ってることって、身体がもう勝手に動いてるんですよね。それに気づけた。「私、ちゃんとやってたんだな」って。

──確かに。必要なことって歯磨きレベルで意識せずとも自然にやってるんですよね(笑)。

MICHI:そうそう!(笑) ボイトレも"やれ"って強制されたらやりたくないけど、そうじゃなくて、勝手に身体がやりたがってて、気づいたときにはやってるというか。ホントに歯磨きや呼吸レベルで、リップドリルやタンクロールをしてるんですよね。最近は自転車に乗りながらリップドリルしたり、歌ったりしてるので、不審者みたいになってます(笑)。

──アハハハ(笑)。なるほど、初心にも近い感じというか。「音楽が好き」っていう純粋な気持ちに立ち戻った感じですか?

MICHI:そうですね。それが一番だなってことをエド・シーランに教えてもらいました。

──なぜここでエド・シーランの名前が?(笑)

MICHI:エド・シーランが元々好きで。エド・シーランの「What Do I Know?」って曲が、ピアノ、ギター、ベースと声があれば世界は一瞬で変わる、ラブアンドピースでいこうよって内容で、その曲を聴いたときに「何をごちゃごちゃ考えてるんだろう」ってハッとさせられたんです。

──音楽を追求して音楽で悩んでいたMICHIさんが、音楽によって変わったんですね。

MICHI:そうですね。私、心が変わる瞬間というか、ターニングポイント的なところには必ず曲があるです。今回はエド・シーランだった。実はエド・シーランのお話をするのは初めてなんです(笑)。

──なんと、ありがとうございます!(笑) ちなみにその気づきがあったのはいつぐらいの出来事だったんです?

MICHI:去年の今頃だったのかな。ライブ前はその日歌う曲ばかり聴いていて、去年の横浜アリーナで行われた"P's LIVE!"に向かっているときに「いったん忘れよう」と思って。それでマネージャーさんの車で「What Do I Know?」を流しながら聴いてたら、窓から富士山がパッと見えて。

自分のなかで何かが吹っ切れた感じがしました。そのあとのライブでも手ごたえを感じて。色々な方に「PsLIVEでのMICHIは最高だったよ!」と言っていただけたんですよね。それで変われたような気がします。

※P's LIVE!…2017年11月26日(日)に横浜アリーナで開催された「P's LIVE!05 Go! Love&Passion !!」のこと。アリーナポニーキャニオンに所属する声優・アニメ系アーティストや、アニメ等関連作品発の声優ユニットが出演するライブイベント。

──自分自身が変わったことが「ソラネタリウム」にも活かされました?

MICHI:そうですね。それに加えて、プロデューサーの磯山(敦)さんの存在も大きかったです。

──磯山さんをはじめ、作詞に稲葉エミさん、作曲編曲に小森茂生さんと、豪華なクリエイターたちが集結した作品ですよね。

MICHI:そうなんです! 皆さん『けいおん!』のメンバーだったので、意思疎通が素晴らしかったです。

──では曲を聴いたときの印象というのは?

MICHI:第一印象が「なんだこの難しい曲は!」で(笑)。久しぶりに歌う曲がこんなに難しい曲で歌えるのか不安でした。また悪い癖が出てしまって周りが見えなくなってしまったんです。

そんな様子を見かねた磯山さんがレコーディング当日にプロデューサーの席に座らせてくれて、カントリー調の洋楽を聴かせてくれたんですよ。そこで久しぶりに他のかたの曲を聴いて。「テイストは全然違うんだけど、歌って欲しい心はこういうこと。もう十分練習したでしょう? あとは心で歌えばいいから」って。

それで「ああ、そうだった。また忘れてたな」と。おかげで全力で歌うことができて、自然とハードルを越えることができました。

──「心で歌えばいい」って凄く良い言葉ですね。歌詞も「心」について書かれていますし。

MICHI:そうですね。アニメについての歌詞を書いていただいているんですけど、同時にラジ研のみんなの「変わりたいけど変わりたくない」という心の葛藤も描かれていると思っていて。「変わらないといけないけど、だけど……」って迷っている人たちの背中を押せるものにもなっているなと思っています。

──<ここにいる私よ 私を越えてゆけ>って言葉は特にグッときますね。MICHIさんの心境にも重なるところがあったのでは?

MICHI:そうなんです! (作詞家の)稲葉エミさんとはお会いしたことがなかったんですけど「これ私?」って思うくらい、自分の気持ちにも寄り添うような言葉がたくさんあって。

私の心境にもリンクしていたので、ありのままの自分で歌いたいなって思ったんです。それで今回はシンプルに、今までで一番ナチュラルな衣装とメイクでMV撮影に挑みました。ジャケットも布一枚的な印象のワンピースにさせてもらって。私のなかで壁を越えた作品でもあります。

──アニソンの場合は作り込まれた世界観になることが多いですよね。MICHIさんも前作まではきっちりメイクされていましたが。

MICHI:衣装もカッコよく作って頂き、綺麗にメイクもしてもらって、ジャケ写もMVもカッコ良く作って頂いて…あのMICHIも本当に素敵!でも、今回は曲そのものがカッコイイんだから、それだけで成立するんじゃないか、と思ったんです。曲そのものがカッコいいんだから、それだけで成立するんじゃないかなと思ったんです。最悪裸足でも大丈夫だ!っていう自信がついたのかもしれません。

──確かに今までで一番ナチュラルな佇まいですよね。ジャケットは幻想的で。

MICHI:そうなんです。ジャケットはデザイン的にしていただいて。これまでは顔をアップで出していたんですけど、今度は表情を隠してもらったんです。全部が新しい試みで、色々なことにチャレンジできたシングルです。

──いいですねぇ。今気持ち的に凄く充実しているのでは?

MICHI:そうですね! すごく充実していますし、この作品はMVなどのあらゆる会議に私も参加させてもらったんです。だからより愛着があって"みんなと一緒に作った!"という感じがあります。めちゃくちゃ楽しかったです。

──そしたら撮影も楽しかったのでは?

MICHI:2日間あったので気持ち的に凄く楽で、天気にも恵まれたことが嬉しかったです。Dメロで縄をわーっと触るところがあるんですけど、そこで演技っぽいことをしてて。ストーリー仕立てのPVにしてもらいました。肌は白く飛ばさず、ナチュラルなメイクで撮影したんです。テレビで観ると「MICHIがそばにいる」って生々しく感じられるかと思います。

──それは"ありのまま"を感じてもらいたいという理由から?

MICHI:はい、今、現在のリアルなMICHIを見てほしいと思ったのでMVの会議の時に「白飛ばしをしたくない」ってお願いしました。カッコ良い曲ですし、アニソンらしくない、少し変わったMVにしたいという気持ちがあったんです。

──自分自身をさらけ出すって勇気のいることだと思うんですが、そこは抵抗なく新たな一歩として踏み出せました?

MICHI:勇気がいりました(苦笑)。でもあくまで自然体を大切にしたかった。今回のシングルのおかげで、こうやってお話させていただいても、みんなの前に立ってても、ありのままの自分でいられている気がします。

──色々なことを経てMICHIさんが"脱MICHI"した感じですね。ぜひMVを皆さんに見て欲しいですね。

MICHI:本当にそんな感じ。MV観るとみんなの感覚がまた変わると思うので見て欲しいなと。YouTubeにショートバージョンを公開するのでぜひ見て欲しいですね。全編見たい方は、CDにはフルバージョンを収録しているので、ぜひ! メイキングも楽しいものになってて、絶対に損はさせません!(笑)

最初は「この曲がオープニングに合うのかな?」って

──話が戻るんですが「ソラネタリウムをもらったときに"難しい曲"という印象だった……ということをおっしゃっていましたが、実際めちゃくちゃ複雑な曲ですよね。

MICHI:そうなんですよ~! プロデュースした磯山さんご本人が「僕、このうたは歌えない!」って言ってたくらい。でも「ソラネタリウム」のおかげで既存の難しい曲も軽々と歌えるようになりました(笑)。

──アハハ(笑)。ところで、タイトルの「ソラネタリウム」もそうなんですけど、蝶々の<ルリタテハ><マイマイガ>などインパクトのある言葉が多くて。アニメで見ると、そういう言葉たちが不穏に響くというか……。

MICHI:そうなんですよね(笑)。「あかねさす少女」のストーリーは知っていたので、最初にこの曲を聴いたときに「この曲がオープニングに合うのかな?」って思ったんです。でもいざ歌って、オープニングを見たときに「私の考えは浅はかだったな」と思いました(苦笑)。「ソラネタリウム」の表現力って無限大なんだなってことを感じて「このコ、カッコいいわ」って。

──曲のことを「このコ」って呼ぶのがなんだかいいですね。

MICHI:そうなんです。曲たちは我が子なので……。

──『あかねさす少女』はこれからの展開も凄く楽しみです。

MICHI:話が進んでいくごとにどんどん面白くなっていくんです。それはキャストの方々も口をそろえて言ってます。私の推しは奈々ちゃんと、みあちゃんで。みあちゃんのエピソードは特に面白いのでぜひ楽しみにしていて欲しいです。

今はみあちゃんと同じ銀髪にしたい欲が爆発してて、今はそれを頑張って抑えています(笑)。アプリゲームの主題歌になっている「いけない世界」(今回のシングルには未収録)は伊藤賢治さんがめちゃくちゃカッコよく作ってくれているので、銀髪も似合うんじゃないかな~と思うんですけどね(笑)。

「また新しい自分に出会えた」

──カップリングの「444~four forty-four~」についても教えていただけますか? 作品のキーワードとなる"4時44分"と紐づいた曲ですね。

MICHI:初めてこの曲を聴いたときに「分かるけど分からない」っていう初めての感覚に陥ったんです。言いたいことは分かるんですけど、目の前が霧がかっていて核心をつけない。それでレコーディング当日に磯山さんと稲葉さんに「これどういう曲なんですか!?  輪郭は分かるんですけど、確信が掴めない」って聞いたんです。そしたら「そういう曲だから、それでいい」って。

──曲のメッセージが分からない状態が正解だったってことですか?

MICHI:そう。「伝えようとしないで良い」と。鏡に向かって自分に歌っているような、もう1人の自分に言い聞かせているような曲だから、人それぞれ感じる感覚で歌って欲しいって。歌い方も感情を出さずに口だけを動かすようにしたんです。無表情で。

──堂々としたボーカルが印象的な曲ですもんね。でも"無表情"というのは、今目の前にいるMICHIさんからはちょっと想像がつかないかも……。

MICHI:難しかったです(笑)。私自身、感情を込めた歌い方しか知らなかったので、どう向かい合っていいか分からなかったんです。

誰に伝えるわけではなく、もう1人の自分に歌ってるっていう。でも鏡に映った"もうひとりの自分"を想像しながら歌っていったら、また新しい自分に出会えた気がします。

──「ソラネタリウム」「444~four forty-four~」、どちらもギターレスなんですよね。

MICHI:そうなんです。磯山さん、面白いことしますよね(笑)。この2曲は組曲として繋がっているんです。曲調は違えど心は一緒で。「ソラネタリウム」から繋がっていく「444~four forty-four~」、それぞれ自由に感じてもらえたらなと思います。

──さらに「444~four forty-four~」と(前作の)「I4U」で"4"繋がりっていう……。

MICHI:あ、本当だ! 4に縁があるのかな?(笑)

「今まで以上に楽しいことをたくさんやっていきたい」

──ゲーム盤主題歌の「いけない世界」も含め、強力な3曲が完成しましたね。

MICHI:このタイミングにしてくるべきしてきたのかなっていう強力な3曲です。携わっている方たちも強力だし、アニメも強力。アニマックス20周年のオリジナル作品に関わらせていただけたことを嬉しく思っています。

──この曲を経て、これから挑戦してみたいことってありますか?

MICHI:最近すごくスタッフさんに言ってるんですけどサマーアルバムを出したいんです。タイトルも実は勝手に決めてるんです(笑)。

──サマーアルバムっていうのは夏一色に染めたアルバムってことですか?

MICHI:そうです! 夏の1日を切り取った作品を作りたくて……。朝起きたときに聴きたい曲、海に行きたいときに聴きたい曲、BBQしてるときに聴きたい曲、夜のパーティの曲……あと、私は沖縄出身なので沖縄に寄り添った曲も作ってみたいです。HYさんモンパチ(MONGOL800)さん、ORANGE RANGEさん……沖縄の先輩方が作られている曲に憧れます。

例えば、ORANGE RANGEさんの「上海ハニー」って沖縄の方言が入っているんです。安室奈美恵さんの「NEVER END」に少し三線が入っているように、ああいうようなテイストで沖縄らしさを取り入れられることができたら嬉しいなって。アニソンシンガーとして沖縄からデビューしたのは私が初めてだから、初めてのことをしてみたいなって。今まで以上に楽しいことをたくさんやっていきたいです。

──楽しみにしております。ありがとうございました!

[インタビュー・文/逆井マリ]

TVアニメ『あかねさす少女』作品情報

放送情報

TOKYO MX:2018年10月1日(月)22:30~
読売テレビ:2018年10月1日(月)26:29~
BS/CSアニマックス:2018年10月1日(月)19:30~
アニマックス on PlayStation:2018年10月1日(月)19:30~ ほか

配信情報

abemaTV、Netflixでのアニメ配信が決定!

abemaTV /10月1日(月)23:00~
Netflix /10月1日(月)24:00~

イントロダクション

2018年、10月。ある地方都市に住む少女たちが、とある儀式を行っていた。

彼女たちは「鉱石ラヂオ研究会」。明るさが取り柄の女の子、土宮明日架が同じ高校に通う友人たちと立ち上げたサークルだ。

その儀式は都市伝説めいたものでしかなかった。…しかし、いくつもの条件が偶然重なり、遊びは遊びでは済まない事態となる――。

メインスタッフ

シナリオ原案:打越鋼太郎(『Ever17 -the out of infinity-』)
キャラクター原案:桂正和(『ZETMAN』)
コンセプトアーティスト・キャラクター原案:浅田弘幸(『テガミバチ』)
メインテーマ作曲:伊藤賢治(『ロマンシング サ・ガ』シリーズ、『パズル&ドラゴンズ』)
音楽プロデューサー:Ryu☆(『BEMANI』シリーズ)

アニメメインキャスト

土宮明日架:黒沢ともよ
灯中優:Lynn
みあ・シルバーストーン:東山奈央
七瀬奈々:小清水亜美
森須クロエ:井上麻里奈
橘田蔵人:平川大輔
谷治雄大:山口太郎
千波トモヤ:河西健吾
迫間仁:大塚明夫
氷石紗呂:勝生真沙子
ホワイトゴート:宮本充
月見里真結希:楠木ともり
桜賀輝:河瀬茉希
松朱子:鈴代紗弓
大久保大地:久保田梨沙
アニー真楠田:久保ユリカ
土宮今日平:桑島法子
虻田四億:清川元夢

音楽情報

◆オープニングテーマ:『ソラネタリウム』
歌:MICHI
10月24日(水) 発売
【アニメイトオンラインショップでの購入はこちら】

◆エンディングテーマ:『壊れかけのRadio』
歌:和島あみ
10月24日(水) 発売
【アニメイトオンラインショップでの購入はこちら】

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