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表現者・黒崎真音が川田まみの歌詞で描いた『とある魔術の禁書目録』のセカイ

『とある』ファンに納得してもらうことが「私のアニソンシンガーとしての仕事」──3期OPと表現者としての使命感/黒崎真音さんインタビュー

デビュー8年目を迎え、表現者としてますます進化を遂げている黒崎真音さん。『とある魔術の禁書目録Ⅲ』のオープニング「Gravitation」をタイトルに掲げたシングルを11月21日にリリースします。

疾走感たっぷりの「Gravitation」は、同作品のOPでお馴染みの存在であり、2016年に現役シンガーを引退された川田まみさんが作詞、中沢伴行さんが作編曲を手掛けています。また、編曲には真音さんとまみさんの楽曲や、『とある』2期の編曲などを手掛けられている尾崎武士さんのお名前も。

豪華クリエイター陣と共に作っていった「Gravitation」、カップリングの映画『BLOOD-CLUB DOLLS 1』主題歌「Hazy moon」のことや、表現者としての"いま"のマインドについてなど、じっくりと教えていただきました!

「自分ひとりじゃないなってことを感じながら録ってた」

──また素晴らしい曲が完成しましたね。「Gravitation」をもらったときはどんな印象がありましたか。

黒崎真音さん(以下、真音):ありがとうございます! 曲を聴いたときは……『とある』の3期がはじまるんだなって実感が湧きました。中沢さんの作るサウンドが『とある』の世界観と密接なものなので、音が流れてきた瞬間に「間違いなく『とある』の3期だ!」って。私自身もワクワクしました。

──これまではオープニングが川田まみさん、エンディングが真音さんというイメージだったんですけど、まみさんからバトンを受け取ってオープニングを歌うことになった心境というのはどうでしょう?

真音:ツイッターで「『とある』の3期の制作決定しました!」って拝見したときは、私はオープニングを歌うことも知らなかったですし、関わらせていただけるかも分からなかったんです。でも『とある』がアニメ化されることは嬉しかったので、いちファンとして「わー、楽しみ!」みたいな感じでした。

オープニングは川田まみさんがずっと歌い継いでこられていたので、ファンの皆さん的にもキャストの一人であり作品の一部ってくらいの存在感が今もあると思うんです。まみさんが引退されて……「オープニングは黒崎に決まったから」って言われたときは「えええ!?」って。また関わらせていただけたらいいなとは思ってたけど、まみさんのあとを継がせてもらうとは思っていなかったので喜びと同時にプレッシャーや責任感……色々なものが同時に迫ってきたというか。

──その時は作詞がまみさんということは知らされていたんですか?

真音:まみさんが書いてくださるということは最初の段階で聞いていました。まみさんの歌詞がすごく好きなので、素直に「やったー!」という気持ちでした。

──ではプレッシャーはいい形で昇華できました?

真音:そうですね。歌に集中できたかなってところはありました。ただ、どこまで黒崎真音っぽさを出して良いのかなというのは思いました。『とある』は3期ということもありますし、繋がりを残していくためにはどういう工夫をしたらいいかなって。

──しかも8年という、かなり間の空いた3期で。ファンのかたの期待も大きいですもんね。

真音:そうそう、そうなんですよねえ……。8年ぶりで本当に"待望の"という感じだったので、ファンのかたに納得していただけるような作品を作らないと!って。最初はプレッシャーもありましたけど、任せて頂いたからには前向きにやっていかないと!って気合いに変わっていきましたね。

──曲をもらう時は毎回ワクワク感があると思うので甲乙つけるものではないと思うんですが……今回は特に喜びが強かったんじゃないかなと思ったんですが、そのあたりはどうでしょうか。

真音:そうですね。『とある』の作品に関わらせていただいたことで、国内外のフェスにも呼んでいただけるようになって、いつでもどこでも『とある』の曲を歌わせていただいていたので、その分思い入れが強いんです。新作はどういった曲がオープニングにくるのかっていうのはいちファンとしても楽しみでした。いちアーティストとしては、この8年間を振り返っても大きな存在であるので、曲と出会える時を楽しみに待ってました。

──実際歌詞を読んだときの印象はどうでした?

真音:まみさんの書いた歌詞だ! あ~まみさんだぁ~! って感じました。強い言葉もたくさんあるんですけど……まみさんって強い芯が通った女性だなと勝手に思っていて。そういう内に秘めた強さを感じる歌詞だなって。

──真音さんにとってまみさんはどんな存在ですか?

真音:いっぱいあるんですけど、師匠でもあり、大先輩でもあり、お姉さんでもあり……。気づけば背中を追いかけている存在で。デビューしてから直属の先輩だったので、悩んだときは相談したり「ウジウジしてんなよ~!(笑)」って背中を押してもらったり。頼れる存在です。

まみさんが以前「当麻と私は対等なんだ」というお話をされていたことが心に残っているんです。作品の曲だから作品のために作っているけど、自分のための曲でもあるから、私だって当麻と戦ってやるぞ!くらいの気持ちで書いてる……と。それが自分のなかにはない感覚で、凄く印象的でした。そういうまみさんの意思やポリシーみたいなものを忘れず歌いたいなと。

──歌詞のなかに<この手で何ができるんだろう>という言葉がでるんですが……当麻のキャラクター性もあって<この手>という言葉は、これまでの真音さんの曲にも、まみさんの曲にも入ってますよね。

真音:そうなんです。「Magic∞world」の時も<総てはこの手の中に在る!>っていう言葉があって。これは当麻から受けた印象です。当麻は素手でいくんですよね。魔法や科学が舞台になっているんですけど、人情で解決していくところが好きで。自分の手で何かを切り拓いていく、何かをすることに凄く刺激を受けています。

──<一途なただひとつ>と歌われているところはまみさんの顔が見えるかのようでした。爽やかなサビがくると「ああ、『とある』がきた!」という感じがするといいますか。

真音:ありがとうございます。イメージ的にはまみさんが歌われてきた「See visionS」と「No buts!」の中間といいますか。爽やかさや明るさは残したいと制作のかたから伝えてもらっていたので、サビはできるだけ優しく、部分的に気を使いながら歌っていきました。

「(ファンのかたに)納得してもらうことが、私のアニソンシンガーとしての仕事」

──部分的に気を使ったと言えば、Aメロの加工ボイスがどんどんと変化していくのが面白いなと。で、<Ready!>でクリーンボイスになるっていう、その流れがドラマティックで。

真音:Aメロ、Aダッシュ、Bメロと声色を変えていくのが今回の作品の面白かったところもあり、挑戦したところでもありました。平たんな音からメロが始まることは私の楽曲ではおそらく初めてなんです。無機質感やデジタル感を活かせるような声色や歌い方をできないかなってところを試行錯誤しました。

声に関しては全体を通して"おめかし"をしている作品なんですよね。ライブで歌うときは、完璧な加工はできないまでも、自分の喉で表現できるようにしたいなと思っています。

──ワンフレーズに色々なカラーがあって、"おめかし"という意味では、前作「d?cadence -デカダンス-」とは違う印象の曲になりましたね。

真音:前作の「d?cadence -デカダンス-」は体当たりでぶつかっていく"裸一貫"みたいな感じがあったんですけど……。

──裸一貫(笑)。でもまぁ確かに。レコーディングにはまみさんもいらしゃったんですよね。

真音:実は当日までいらっしゃることを知らなかったんです。直前に来ることを聞いて「いらっしゃるんですか!? やったー!」って。そしたらまみさんがショートカットになっててビックリして。ロングヘアーのイメージがありましたけど、「切りたかったんだー」って言ってました。

レコーディングには、中沢さんがいて、まみさんがいて、尾崎さんがギターを弾いてくださって。自分のなかでも歴史が詰まってるというか。「自分ひとりじゃないな」ってことを感じながら録ってたんです。黒崎真音の楽曲ではあるし、自分の気持ちとして歌ってはいるんだけど、『とある』のファンのかたが聴いたときに「『とある』の曲だ!」って納得してもらうことが、私のアニソンシンガーとしての仕事だなって。だからこそ、曲に寄り添う意識で歌っていきました。

──中沢さんからリクエストはあったんでしょうか。

真音:中沢さんからは、とにかく明るい雰囲気に仕上げたいということと、サビは包み込むような優しい感じにしたいなとおっしゃっていて。私は熱血系なので(笑)、ついついガッと歌いたくなっちゃうんですけど、「もっと優しく」ってアドバイスをくださったので、優しいけど勢いを落とさないように、絶妙なラインを探していきました。

──歌詞に関して、まみさんと何かお話されましたか?

真音:当日は特にそういう話は出なかったんですけど、歌詞をいただいたときに「『とある』3期のイメージでもちろん書いてるけど、真音ちゃんに対してのメッセージも詰め込んだから、ね!」っていうLINEをいただいて。それを聞いてから歌詞を見てあらためて共感して。

「まみさんからこうやって言ってもらってる気がする」……って違う見方ができるようになった。より深みが増したというか、さらに自分の曲になっていった気がして。まみさんがそうやってバトンを渡してくれたことを改めて感じて、それがすごくありがたかったです。

──そのストーリーそのものがアニメのようというか……凄くドラマティックですよね。

真音:アハハ。いやぁ、本当に。なかなかないことだと思います。夢みたいでした。ずっとオープニングを歌われてきたまみさんが歌詞を書いて、エンディングを歌っていた私がオープニングを一緒に作ったということで、喜んでくださっているかたが多くて。

今だからこそ、できたことだと思っています。そのストーリーを作ってくださった制作の方やプロデューサーのかたに対して感謝の気持ちでいっぱいですね。そこも含めて明るい気持ちになれる曲なんじゃないかなと。

「いろいろな"はじめて"をくれた作品」

──『とある』の放送を観たときは、どんな印象でしたか?

真音:劇場版はありましたけど、また『とある』のキャラクターたちが生き生き動いている姿を見られたときに泣きそうになりました。「凄い!」って。『とある』2期のことを観ていた当時のことも思い出しましたし、「いよいよはじまったんだぁ」って。劇伴を作っていらっしゃる井内舞子さんがツイッターで、キャラクターたちが全く変わってないから「私だけ老けたのかよ!」みたいなギャップをつぶやかれていて(笑)。分かる、8年って長かったなぁって。

でもこうしてまたテレビで『とある』を見ることができて。声優さんたちの演技も本当に素晴らしくて、新しいキャラがどんどん増えて……率直に「毎週楽しくなるなぁ」って思いました。

──オープニングに色々なキャラクターが出てきて、「これからどうなっていくんだろう?」っていうワクワクが詰め込まれていて。私も泣きそうになりました。

真音:本当に色々なキャラクターが出ていて、しかもオールスターが揃ったみたいな豪華なオープニングだったので、また曲が違って聴こえました。『とある科学の超電磁砲』 『とある魔術の禁書目録』と比べて、中沢さんのサウンドが「科学ではなく魔術っぽい!」って印象もあって。絶妙なさじ加減だと思うんですけど、中沢さんにしか出せないイントロ感が改めて素晴らしいなと思いました。

──先ほども思い入れが強い作品とおっしゃっていましたが、真音さんにとって、『とある』はどんな作品か、改めて伺ってもいいでしょうか。

真音:私にとって"はじまり"の作品です。禁書目録に出会って、『とある』の曲で本当に色々なところに行かせていただいたので、『とある』の作品がなかったらどうなってたのか分からないなってくらい。メジャーデビューしてから初めて作詞をしたのも、『とある』のエンディングでしたし(「Magic∞world」2010年リリース)、自分にとっての力であり、救われてここまできたなぁと思っている作品であり……。

アニメを観ていて当麻の言葉にビクッとするシーンって結構あるんです。自分に言われているかのような気持ちになって、背筋がピンとなるような思いになります。本当にいろいろな"はじめて"をくれた作品です。

──はじめてといえば、今年のアニサマ(Animelo Summer Live)で初披露されたときはどんな感触だったんでしょうか。

真音:あのときはお客さんの期待値がどれだけ高かったのかを目の当たりにした感じでした。「とある魔術の……」というワードを口にしただけでワッとなって、後ろの画面に『とある』の映像が流れたときに、皆さんがすごく興奮されていたのがステージから見ていて伝わってきたというか。

はじめてのはずなのに、はじめてじゃないようなあの一体感は、『とある』の作品のパワーだと思います。もちろん、曲のパワーもあったし、8年間活動をさせていただいて、毎日ファンのかたと一緒にいられたわけではないけど、信頼関係のようなものを築けていたんじゃないかなって。それを実感できたのがこのあいだのアニサマでした。

──アニソンシンガー冥利に尽きますね。

真音:本当に思いました。大事な場で新曲を披露できて、しかも皆さんに喜んでいただけるのは、いちばん幸せなかたちでした。「やっててよかったな」って。

──ところで「Gravitation」というタイトルは重力や引力という意味ですが、真音さんのなかではどんな印象でしたか?

真音:良いことも悪いことも引き寄せられると、自分のなかで楽しいな、嬉しいな、悲しいな、辛いな、っていろいろな感情が生まれると思うんですけど、それが自分の糧になって、大事な部分になるというか。引き寄せられたものが未来につながる第一歩になるはずだ、っていう……引き寄せたものすべてに意味があるって私は感じています。まみさんもそうおっしゃっていました。

「いまは色々な曲を歌うことが楽しい」

──2曲目「Hazy moon」は真音さんが出演される映画『BLOOD-CLUB DOLLS 1』の主題歌です。前回の取材のときに役者業についての思いはお伺いしたんですけど、撮影はいかがでしたか?

真音:初めてのことばかりで正直「どうしたらいいんだろう」ということもあったんですけど、本当に刺激的で、体当たりでぶつかっていくことが私にとっては面白くもありました。有栖川みちるって女性の、目に見えないひとつの目標に向かって突き進んでいく姿にすごく共感できたんです。

似てるかもって思ったので、そこから導かれるままにやってみたんですが、難しくもあり、新鮮な気持ちもありました。「どんどんやってみよう!」という感じだったのでいい経験ができたなと。

──そこで得たものが曲にも反映されました?

真音:度胸はついた気がします(笑)。曲に関しては、有栖川みちると自分の人生観がリンクしてるなと改めて気づいた瞬間があって、そのときにこの歌詞が降りてきたんです。それでなんとなく、プロデューサーさんに「主題歌は作らないんですか?」って軽い感じで聞いたら、「え、やる?」って言われて。

──そういう流れだったんですか!

真音:「あ、やりたいです」って(笑)。じゃあ相談してみるね、って答えてくださって、それが形になって。自分からアプローチしてみるってなかなかないんですけど、そのときふと思って。

──そういうことを発言されるようになったのも「度胸」のひとつなのかもしれないですね。

真音:あ、確かにそうですね(笑)。でも「やりたいやりたい!」っていうよりかは純粋に疑問に思ったんですよ。歌モノの主題歌が似合いそうな印象が撮影していたときにあったんです。

歌詞をワンコーラス作ってお送りして、その歌詞を監督が気に入ってくださったんです。それで「有栖川みちるにピッタリだ」と。だから1番の歌詞て最初に提出したときから一歩も変わってなくて。その詞から曲を作ってもらったんです。詞先(しせん)は、私としては珍しいパターンです。

──役と共鳴したところをお話できる範囲で教えていただけたら嬉しいのですが……。

真音:もがき苦しんで猪突猛進なところ。目に見えないものに対して手に入れようともがいている感じが「あ、自分にもこういうところあるかも」って思ったのと……ラブシーンがあるんですよ。

そんなに凄いラブシーンではないんですが(笑)、そのときに有栖川みちるが求めていたものがちょっとだけ手に入るんです。そのときにセリフとして発していた言葉が、自分のなかからスッと出てきた感じがあって。ピッタリきたというか。

あと、有栖川みちるは物凄い豪邸に住んでるお嬢様って設定なんです。そこは全然違うんですけど、世間知らずなところは凄く近いかもって(笑)。まわりの人に守られてるけど自分の気持ちを持ってる女性なので、そこはすごくカッコいいなぁと思いました。

──作曲をされている宮崎京一さんは真音さんのバンマスであり、旧知の仲だと思うんですが、曲をいただいたときはどんな印象でした?

真音:作品にマッチした曲を作ってくださったので「すごい!」って。最初は有栖川みちるの心情を描いていきたいなと思っていたんですけど、このサウンドになったときに、『BLOOD-CLUB DOLLS 1』の世界観にバシッと合うなと思ったんです。

ストーリー自体がとにかく謎めいているので、この曲自体も迷ってる感じといいますか。誰が本当で良い人か分からないっていうぼやけた感じが<朧の月>という言葉に繋がっています。

──<朧の月><虚ろな空の月>って夜の印象を与えるなか、突如<季節外れの向日葵>という言葉が出てくることが心に残ったんです。なぜここに太陽とイコールのような存在の<向日葵>が出てくるんだろうって。

真音:実際<向日葵>がキーワードになるわけではなく、作品の違和感を描きたくて使った言葉なんです。今回のストーリーは伏線がたくさん貼られていくんですが……奇妙なんですよね。

ミステリー要素も、アニメっぽさもありつつ、全員記憶が混濁していて、何がホントでウソなのか分からない。出演する私も、自分が関わっていないシーンに関しては分からないことが多くて「この人ってなにを秘めてるんだろう」って思うこともありました。そういった違和感を加えたかったので<季節外れの向日葵>と書いたんです。その気持ち悪さを落とし込みたかったんです。

──見事にその違和感がクセになりました。一転、サビは凄くエモーショナルですよね。

真音:サビは叫びに似た感じで歌っていて。<確かなものは一つもないけど>って歌詞の通り、確かなものが分からない作品なんです。2で色々と明かされていくのかなと思うんですが、わたし個人としてもそこはすごく楽しみです。サビのなかに<無くした日々が愛しさになる>というフレーズがあるんですけど、そこはすべてのキャラに言えることなんです。

ちょっと歪んだ愛情を持っているキャラクターがいたり、純粋に好きな気持ちを持っている人がいたり……色々な愛がこの作品では表現されていて。その愛が次の作品でどうなっていくのかなというのは楽しみですね。

──この曲自体が、もしかしたら伏線になるかもしれない。

真音:次の作品で主題歌を作るかは分からないんですけど(笑)、もし作れることがあれば、1で表現した気持ちが昇華された曲ができたらいいなと思います。

──ところで、詞先ということもあるかもしれないんですが、この歌詞自体がひとつの小説のようなドラマティックさがあるなと。昨今さまざまな表現方法に挑戦するなかで、作詞に対する心持ちの変化というのはありました?

真音:映画のエンディングで流れる曲なので文章として伝わるほうがいいかなと思ったんです。英語を散りばめたり、難しい言葉を使ったり……そういうこともできたと思うんですけど、日本語が入ってくる歌詞のほうが映画を見終わったあとに合うのかなと。

自分のなかでそういうイメージが作れるようになったのは、変わってきたところかもしれないです。曲だけのことを考えたらもうちょっと違うテクニックとかあったのかもしれないんですけど……いまは色々な曲を歌うことが楽しいんですよね。

──前作に収録されていた「Renka.」のような曲もまた聴いてみたいですね。

真音:暗めの(笑)。「Renka.」のような曲があるから「Gravitation」のような私にもなれる。どちらの面も見せていきたいです。

──「Gravitation」のMVも楽しみなんですが、前作みたいな衝撃があったりするんでしょうか……?

真音:(インタビュー時点では)あともうちょっとで完成するんですけど、ああいう衝撃は今回はないです(笑)。やわらかめで。ジャケットに関しては爽やかな感じになるんじゃないかなと思っています。青空みたいなワンピースを着させていただきました。

──青! 珍しい。

真音:気づいたら青でした(笑)。でも曲にすごく合っていて、凄く気に入っています。最近はこういう衣装を着たい!みたいな気持ちはあまりなくて。それよりも、スタイリストさんやプロデューサーさんのイメージで作っていただくことが自分のなかのブームというか(笑)。何がくるか分からない状態が楽しいんです。

「古き良きアニソンのライブのノリや、受け継がれてきたものを大切に」

──9月でデビュー8年目を迎えられて、そのときのブログで「アニソンシンガーとして道を作っていけるような人になりたいです」と決意表明をされていて。8年間、これだけ多くの曲に誠実に向き合いながら、自分の表現方法を追求して自らの道を切り拓いてきた真音さんが、改めてそう思った理由というのを聞いてもいいですか。

真音:私が活動を長く続けることで、これからアニソンシンガーを目指すひとの希望になったらいいなってどこかで思っていて。止まっちゃいけないって使命感が最近生まれるようになってきたんです。もう新人でもないですし、ここにいさせてもらった責任感を持ってこれからは歩いていかないとなって自覚が生まれて。

キッカケは……8年続けて来て、引退されるかたを見守ってきたからというかもしれないですね。まみさんもそうですが、Rayちゃんや、遠藤ゆりかちゃんも最近引退したりとか……寂しいんですよね。

私はここに残りつづけるんだっていうか……今までいろいろなひとに頼ってきてたんだなって改めて気づいたりして。ここにいさせてもらってることに意味があるし、きっと私にしかできないことがあるってその都度考えきていて。自分がまみさんのように誰かにバトンを渡せるくらいの存在にならないとなって思うようになりました。

──"私にしかできないこと"。真音さんがこれから特に大切にされたいこととはなんでしょう。

真音:私、アニソンのセオリーというか……古き良きアニソンのライブのノリや、受け継がれてきたものを大切にしていきたいなって思ってるんです。そういうものが途切れてほしくないんですよね。例えばアニソンフェスのときに……挨拶もしないで共演者さんと終わってしまうのはすごく寂しいなと。私がデビューしたころは、みなさんすごく仲が良くてビックリしたんです。

裏がもう同窓会みたいになってて。それがアニソン業界の魅力でもあるなと思ってて……だから私フェスがあったりすると、自分から挨拶にいくのが好きなんです。そういう繋がりも終わってほしくない。古い考えかもしれないんですけど、わりとスポ根というか、体育会系なところがあるんです(笑)。

──真音さんのアイデンティティは年々濃くなってますね。表現者としての真音さんがどんどん進化していってて。

真音:濃くなってる……のかなぁ。なんですかねぇ。昔は緊張してしょうがなかったんです。ステージも何もかも。ラジオにでるにも緊張しちゃって、変なこと言っちゃって、ワーッてなることが多かったんですけど、最近は良いのか悪いのか、昔ほど緊張しなくなってきたんです。緊張はするんですけど、素で話せるようになってきたというか。

だいぶ時間はかかってしまったんですけど、いまなら、みんなと本音で話せるような気がしているんです。曲で伝えられることもあると思うんですけど、やっぱり言葉がいちばん大事で。そこを今まで以上に大切にしていきたい。本音でぶつけあいたいなって思ってます。

──まさにファンクラブイベントは本音でぶつかってる場所なんじゃないですか?

真音:逆に普段通りすぎて大丈夫かなってくらい(笑)。それくらいラフにやっています。

──12月24日、赤坂ACTシアターにて開催されるクリスマスライブが近づいてきていますが、どうなりそうですか。

真音:タイトルを<~The Gift~>にしたので、サプライズをしたいなって思ってます。いつもライブのときはバンド編成でダンサーちゃんがいて……って派手なライブをすることが多いんですが、今回はバンド編成を変えてストリングスを入れてみようかなとか、クリスマスならではの音作りにこだわってみようかな……とか、いろいろと考えてます。ただ実現できるかどうか分からないことがありすぎて(笑)、まだハッキリとは言えないんですけど、いつもとは違った雰囲気のライブにしたいです。

──楽しみにしております。ありがとうございました!

[インタビュー・文/逆井マリ]

CD発売情報

TVアニメ『とある魔術の禁書目録III』オープニングテーマ
黒崎真音「Gravitation」

▲黒崎真音さんアーティスト写真

▲黒崎真音さんアーティスト写真


■初回限定盤(CD+DVD)GNCA-0545/1,800円(税別)
■初回限定アニメ盤(CD+DVD)GNCA-0546/1,600円(税別)
■通常盤(CD Only)GNCA-0547/1,200円(税別)

【限定盤特典】
■初回限定盤特典(DVD)「Gravitation」 MV、MV メイキングを収録
■初回限定アニメ盤特典(DVD)「Gravitation」MV(ショートVer.)
TVアニメ「とある魔術の禁書目録III」ノンクレジットオープニングを収録

【収録曲】*3タイプ共通
1.Gravitation(作詞:川田まみ 作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行、尾崎武士)
2.タイトル未定
3. Gravitation<instrumental>
4.2の<instrumental>

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TVアニメ『とある魔術の禁書目録Ⅲ』作品情報

放送情報

AT-X:10月5日(金)22:00~ ほか
TOKYO MX:10月5日(金)24:30~
BS11:10月5日(金)24:30~
MBS:10月6日(土)27:38~
AbemaTV:10月5日(金)24:30~
※放送日時は変更になる場合があります。
 

スタッフ

原作:鎌池和馬(電撃文庫刊)
キャラクター原案:はいむらきよたか
監督:錦織博
シリーズ構成:吉野弘幸
キャラクターデザイン:田中雄一
美術監督:黒田友範
色彩設計:中村真衣 安藤知美
撮影監督:福世晋吾
編集:西山茂(REAL-T)
音響監督:山口貴之
音楽:井内舞子
OP アーティスト:黒崎真音
ED アーティスト:井口裕香
アニメーション制作:J.C.STAFF

キャスト

上条当麻:阿部敦
インデックス:井口裕香
御坂美琴:佐藤利奈
アクセラレータ:岡本信彦
浜面仕上:日野聡

『とある魔術の禁書目録III』公式サイト

とあるプロジェクト公式サイト
とあるプロジェクト公式ツイッター(@toaru_project)

(C)2017 鎌池和馬/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX III
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