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『Tokyo 7th シスターズ』「EPISODE 4.0 AXiS」茂木伸太郎総監督インタビュー

【アニメイトタイムズ独占インタビュー】『Tokyo 7th シスターズ』茂木伸太郎総監督|「EPISODE 4.0 AXiS」は成長とけじめの物語

iOS/Android向けアイドル育成リズム&アドベンチャーゲーム「Tokyo 7th シスターズ」(通称ナナシス)。その独自の世界観と上質な楽曲群、そして謎めきつつも、読み手の心に深く刺さるシナリオにより、人気のゲームだ。

そのゲーム内で、2019年4月から約3ヶ月にわたり展開された全13話の壮大なストーリー「EPISODE 4.0 AXiS」。これまでのテイストとは異なる、シリアスかつ重厚なストーリーで、単なるアプリゲームのストーリーを超えたものとなっていた。

ここまでのストーリーはどのように生み出されたのだろうか?

その答えは当然『ナナシス』のクリエイティブのすべてを統括し、自らが企画・制作・執筆・作曲など多岐に渡って活動し続けている総監督の茂木伸太郎氏が握っている。

今回は、5thライブを数日前に終えた茂木さんに、2018年7月の武道館ライブ以後の流れ、そして「EPISODE 4.0 AXiS」についてお話を伺った。

文字通りの一年戦争、突き動かしたもの、エンタメの力

ーーEPISODE 4.0、そして5thライブ、お疲れ様でした。まずは去年の武道館以降の流れと4.0の制作に入った状況、つまりこの一年間についてお伺いしてもよいですか?

茂木伸太郎さん(以下、茂木):シンプルに明言すると、武道館ライブをやって、その制作と結果にいろんなものを感じて、EPISODE 4.0をこのタイミングでやろうと決めた感じです。

とはいえ、4thライブも控えていましたし、CASQUETTE’Sのデビューも決まっていたし、なんなら七花少女のデビュー、それからThe QUEEN of PURPLEのアルバムと単独ライブも決めていたので、やることはたくさんありました。

ーー今おっしゃっただけでも規格外の物凄い仕事量だったかと思いますが……さらにそこにCi+LUS、Le☆S☆Caのシングル、そしてこのEPISODE 4.0と新キャラであるAXiSが乗っかってきたわけですよね? 全曲の作詞と、それぞれのライブの構成・脚本・演出……そこまで行くとある意味、狂気を感じてしまいます……。

茂木:(笑)。だから戦争みたいな感じです。文字通り一年戦争。自分でも去年の8月には大変な一年になるだろうっていうのは分かっていました。

自分の私生活とかそういう物を含めて、多くのものを切り捨てなければ走りきれないだろうと思ったし、生き方というか視点を変え、精神をアップデートしてかないと一歩も前に進めなくなるだろうなと思っていました。アスリートみたいな感覚です。

なんら意図的ではないですけど、「狂気」という言葉は僕の周りでよく聞こえていた言葉だったし、見る人によっては本当に狂人に見えていたのかもしれないです。

QOP単独ライブの時も、当日の朝までライブの作業と4.0の作業をして、ライブ後そのまま再び朝まで4.0作業みたいな。この一年はそういうのが普通、日常茶飯事でした。

だから本当にみんなよく一緒に走ってくれたなと。社内のコアスタッフはもちろん、外部のスタッフも、あらゆる関係者に本当に心から感謝しています。これほど感謝を感じた一年も初めてだったので。

ーーそこまで茂木さんを突き動かしていたものってなんなんでしょうか?

茂木:なんでしょうね。使命感なのかもしれないです。僕個人にもよくわからない使命感。まだはっきりとは明言できないですけど。

50歳くらいで振りかえって分かることかもしれない。おぼろげだけど、現時点で表現するには「使命感」という言葉以外に言葉が見つからない。

ただ、やっぱりEPISODE 4.0の存在は大きかったですね。これに関して言えば、僕はこの物語を「誰か」に伝えるためにナナシスを6年間(制作期間含め8年間)やってきたし、そこにはもう揺らぐものは一切なかったです。この8年間で僕も変わったし、世の中も変わったし、でも伝えたいことの本質は変わらなかった。

というか、自分の仕事に関してとか、エンタメ業界と呼ばれるもの、あるいは世間とか人の世とか人間について、より本質だけを見るようになったような気もします。

他のものはどうしようもないこともあるんですよ。予算や期間、それぞれの立場、それぞれの正義、ビジネス、いろんな側面からやれないこともあるし、スタートしてもやり切れないものもあった。でもこのEPISODE 4.0だけは何を犠牲にしてもやりたかった。

ここだけはゆずれない最後のけじめだったんだと思います。

ーーそのけじめというのは、誰に対してのものですか?

茂木:ナナシスを始めた自分と、それとこれまで「好きだ」と言ってくれたすべての人たちへ、なんだと思います。

その結果が別れになるか、出会いになるか、後退になるのか、前進になるのか、停滞になるのか、それは人それぞれ好きにすればいいんですけど。僕なりのけじめってだけです。

ーーなんだか、今の言葉にEPISODE 4.0最終話にあった春日部ハルの独白シーンを思い出してしまいました。

茂木:あぁ、あれですね。あれ、脚本の注訳に「殉教者の目」って書いたんです。言い終わりの後の、彼女の無言の箇所。

今回のインタビューではあまり内容については触れないつもりだったんですが、そこはもういいかな。笑ってないんですよ。あの時、ハルは。微笑んですらいない。

多くの人から賛辞を得て、確かに気持ちは届いたと思えた。でも笑っていない。偶像とは何なのか? 自分とは何なのか? 他者とは世界とは真実とは? 現代社会の様相を含めて、人の世の悲しみと、闇の中の小さな瞬き、そういう「あまねくすべてのもの」をあの一瞬だけは背負ってもらいました。

笑ってないのはそういう理由です。ただ、受け入れる。そして前に進むことを選ぶ。それだけが希望だから。一瞬だけ、というのがミソで、でもそれがすべてです。

そしてナナシスはあるべき姿に戻っていく、そんなシーンですね。

ーーあるべき姿とは?

茂木:エンタメですね。創作物、虚構、作りものの世界。でもこれは昔から言ってますが、微力ながら僕はエンタメの存在意義を単なる現実の代替品として存在を許されているだけのものではないと信じているので。それだけを求めている人たちがいることも知っています。

でも同時に、純粋に公平に、確かに他者の心に届き得る最後の手段だと思っています。別に大袈裟な話でなく、エンタメ作りの気概の話として。

ーーなるほど。話は戻りますが、実際には先ほどの膨大な仕事量をどのようにこなしていたんでしょう?

茂木:これはもう周りのスタッフの力です。QOP関連だったら、ケンちゃん(秋山健介氏)、それ以外の音源制作だったら浅田さん(浅田秀之氏)、エピソードだけじゃなくてゲームで使用する膨大な数のボイス含めて、音声収録だったら納谷さん(納谷僚介氏)。ライブ制作だったら森田さん(森田純正氏)。

こういうスーパーな人たちに支えられて、イメージの具現化ができたし、乗り越えられたというのが実感です。本当に感謝しかないです。

そして腕が良くて、我慢強い社内のスタッフ。本当に3ヶ月間きつかったと思います。よく付き合ってくれました。


 

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