冬アニメ『ID：INVADED イド：インヴェイデッド』キャラクター原案・小玉有起インタビュー｜「いい歳したピンク髪の男ってなかなかいない」

富久田のモデルになった俳優は？

――では、富久田はいかがですか？　特徴だらけのキャラクターですが。

小玉：「穴空き」なので、穴が空いているというのが前提のキャラクターなんですが、なによりわかりやすい悪役感を出したかったんです。だから、穴が空いているだけじゃ足りなかったんですよね（笑）。ちょっとはげていたりただれていたり縫われていたりします。

――富久田の歩んできた道を感じられますよね。壮絶な過去があるんじゃないかと。

小玉：そういう感じで、要素を加えていきましたね。あと、ピーター・ストーメアっていう『ファーゴ』に出ている俳優さんが居るんですけど（※悪役で有名）、その人の顔立ちを意識した部分があります。顎のラインが特徴的な人なので、顎が張っている感じで描きました。今はそんなことないんですけど（笑）。

――あとは、姿勢も気になります。ちょっと猫背で、怪しいですよね。

小玉：あ、それはあるかもしれません。頭の位置もおぼつかない感じで、どっちかに傾いているような。そういうイメージで怪しく怪しく仕上げようとは思っていました。あんな顔で表歩けないですよね？みたいな。そうしたら、富久田もそのまま通りましたね。「なんではげてるの？」とか「縫われているの？」というツッコミもあまりなかったです。

――富久田も。シナリオを読んでいたのも大きいでしょうけれど、それだけ小玉さんと『イド』の相性が良かったんでしょうね。では全体を振り返ってみて、苦労したキャラクターはいますか？

小玉：それが、まだ言えないキャラクターなんです。あおきさんの頭の中にあるイメージをなかなか形にできなくて、何度も何度もリテイクしました。結果、そのキャラクターのファイルだけ、異常に分厚いです。

――その他にも、花火師の冬川や、墓掘りの模倣犯だった大野など数多くのキャラクターを手掛けたそうですが、全員終えるまでにどのくらいかかりましたか？

小玉：リテイクを重ねたそのキャラだけ最後に残ったんですけど、それ以外は割とスムーズだったので、そんなにかかっていません。細かく覚えていないのですごく曖昧になってしまうんですが、年は跨いでいないと思います。

――スムーズだったからか、第3話では原画を担当されたそうですね。

小玉：そうなんです。3話の終盤で、写真いっぱい出てくるじゃないですか。鳴瓢の家族の写真が。

――独房に貼ってある写真ですね。1つ手に取るシーンもありました。

小玉：その、手にとった写真の原画をやっています。あれすごいんですよ。写真を一枚一枚別で描いて、それを組み合わせているんです。

――壁の素材の上に。じゃあ、あの写真は一つひとつ引き伸ばすことができるんですね。

小玉：そういうことです。一度、組み合わせる作業を見させてもらったんですけど、すごく細かいことしているなってびっくりしました。しかも、全部幸せな写真ばかりじゃないですか。見ていて泣きそうになりました。