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『ふたりはプリキュア総集編 』本名陽子、ゆかな、西尾監督、鷲尾P対談

TVアニメ『ふたりはプリキュア』の声優・本名陽子&ゆかな、西尾大介監督、鷲尾天プロデューサーがクロストーク「子どもたちに嘘はつきたくない」

「第8話」が生まれるまで

──当時はシリーズ化して続いていく……という予感はあったんでしょうか?

西尾:かけらも思ってなかった。多分、誰も思ってなかった。1年だって怪しかったのに(笑)。

鷲尾:だって半年でプリズムストーン7つ集めちゃうんだもん。「あとはどうするんですか?」「考えればいいよ」って(笑)。

──確かに半年で集め終わっていましたね(笑)。キーとなるアイテムだけに通常だったら1年かけて集めそうなものですが……。

鷲尾:みんな1個目を取ったときに「これを1年かけて集めるんだ!」って思ったはずなんですよ。でも集め終わってしまった(笑)。

ゆかな:ガムシャラに集めようと頑張ったら、半年間で集まっちゃったという。

西尾:そう。一方では世間にはクリスマスなどのイベントごとがあって。「今このイベントやってしまうと混乱しちゃうから、ちょっと待って、どうしようか?」と相談しながら、イベントごとを入れたり……そういう話からも分かると思うんですけど、本当にドタバタしてましたね。

──実際、クリスマスのお話もありましたよね(第44話「最高ハッピー!?なぎさのホワイトクリスマス」)。そして、プリズムストーンは半年で集まったものの、なぎさとほのかがお互いの名前を呼ぶまでには2ヶ月しっかり掛かってる。1年間の時間の流れがすごく丁寧だなと。

ゆかな:そうなんですよ。とても大事なことだから2ヶ月かかってしまったんです。

本名:実にリアリティある描き方なんです。

鷲尾:新学期の初日からクラスメイトのことを名前で呼ばないだろうという話からはじまって。むしろどうやってはじまるんだろう? どんな会話から呼び捨てになるんだろう? とずいぶん話し合いました。

それで「お互いの名前を呼び合うまでには時間がかかるはずだよね」と。そこは丁寧に描こうと。

──なぎさとほのかの距離がグッと近づく8話「プリキュア解散!ぶっちゃけ早すぎ!」はファンのなかでも人気のあるお話です。ふたりが喧嘩をして、入れ替わった手帳に思いの丈を綴り、仲直りをして、お互いを下の名前で呼び合うようになる。身近な話で恐縮なのですが、私の姪っ子が今大学生なのですが、やはり8話のやりとりが心に残っているらしいんですね。

一同:おおお~!

鷲尾:それは嬉しいなぁ。

──おふたりも思い出深い話として共通してあげているのが8話ですよね。

本名:そうですね。私はそれまで海外ドラマや映画の吹き替えのお仕事が多かったのですが、吹き替えとアニメだと台本の書き方も進め方もまったく違うんですね。

しかも東映作品は毎話演出の方がかわるため、一回一回が手探りで必死でした。最初にほのか(ゆかなさん)が「なぎなぎは胃を痛めてた」と言っていましたが、さかのぼると1話では顔面麻痺になって……。

──ええええ!?

本名:1話の収録だけで体重が2キロ落ちました(苦笑)。今までに経験したことのない緊張感があったんです。先ほど鷲尾さんが「怖かった」とおっしゃっていましたが、私も毎回足を踏み入れることが怖かった。

そんな緊張感が8話くらいからほぐれていったような感覚がありました。トンネルを抜けたような気分で。なぎさという子と自分との心の会話も自然にできるようになってきた。

そういう意味でも印象深いですし、ストーリーのなかでも下の名前で呼び合うという。私自身、下の名前で呼び合えるような友達はそれほど多くなかったので、そこもシンクロして。思い出深いお話でした。

でもひとつ付け加えたいのですが……「わたしの靴下はちょっとクサイ」は当日変わったセリフで、本当に言うのが恥ずかしくって!

一同:(笑)

ゆかな:ほんとに戸惑ってたもんね!(笑)。

本名:普段なかなか使わない言葉ですから(笑)しかも何度かリテイクがあったんですよ。

鷲尾:え、そうだったけ?

ゆかな:そうでしたよ! 覚えてるもの。

本名:もうこれ以上は勘弁して~!という気持ちでした(笑)。でも後から、それが見事にシーンとマッチしていたんなと気づかされて。

ゆかな:あの照れた感じがすっごく可愛かったんですよ。

西尾:このセリフは「いまは恥ずかしいかもしれないけど、これをやれば物語として完成する!」とか、そういうつもりでお願いしたわけじゃなくて。

あのシーンは僕もこだわってたんだよね。自分もこのセリフをいうのは恥ずかしいと思ってたから。話し方やニュアンス……ちょっと(なぎさも、あえて)膨らませていいましたというような “照れ”が入らないかなとか、現場で話してたんですよね。あれはね、いがやん(8話演出の五十嵐卓哉さん)ともすごく話した。

その後8話が取り上げられて「私の靴下はちょっとクサイ」が文章として伝わると……それだけが先行してしまって、少し語弊があるというか。「違う、俺たちは照れながら作ったんだよ!」って(笑)。

本名:そうなんですよね。だから本当のキーはそのあとの「なんちゃって」のほうにある。

──鷲尾さんは当時この8話をどう感じていたんでしょうか。

鷲尾:いい話だと思っていました。ただ「ちょっと大人っぽいかな」と思っていたんです。小さい子にこの話が通じるのかなという不安もあったんですが、姪御さんのお話を聞いたら通じていたんですね。そこは私の判断よりも、皆さんの判断が正しかったんだなと今思いました。

ゆかな:みんな覚えてくれてるってことは渾身の出来栄えだったんだと。


第8話 プリキュア解散! ぶっちゃけ早すぎ!?

ラクロスの試合の日以来、なぎさとほのかの関係はギクシャクしっぱなし。なぎさはどうやら、藤村に想いを寄せているらしい…そのことに気づいたほのかは、なぎさを藤村に紹介。だが、良かれと思って言った一言に、なぎさは激怒。「あなたなんてプリキュアってだけで、友達でもなんでもないんだから!」と言い放つ。

「これ、なぎさの手帳でしょ」

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「行こう、ほのか!」

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