終わりだけど、終わりじゃない。次を予感させるような気持ちで綴っていきました――『俺ガイル・完』を明るく彩る、やなぎなぎの「芽ぐみの雨」|インタビュー
高校生のときに作ったメロディを童話のような雰囲気に
――カップリングの「彼は誰星」(かわたれぼし)って金星の名前なんですよね。お恥ずかしながら初めて知りました。
なぎ:そうですね。明けの明星とか、夜明けに見える星のことを指しています。
――前回の取材のときに、「ネガティブなことって童話っぽく歌詞に抽出することが多いんです」というお話をされていたことが印象的で。ピアノ伴奏の「彼は誰星」も童話のようなイメージを持ちました。特に最初のイントロのピアノ、おっかけっこをしているような印象で、ドキりとするんです。
なぎ:ピアノのフレーズ自体は、実は高校生くらいのときに書いたものなんです。それを展開させて曲にしました。当時は歌詞はなくて、最初に流れてくるピアノのフレーズのみだったんです。常々昔の曲をカタチにして取っておこうと思っていて。あまりに昔すぎて、音も悪いし、ボロボロだしで(苦笑)。いつかみんな綺麗にしてあげようと。
――綺麗にしてあげようという表現がなぎさんらしい。
なぎ:(笑)そのなかで、今回この音を救い出したような感じでした。
――数年かけて日の目を浴びたフレーズに、歌詞をのせていったんですね。
なぎ:そうですね。この曲は“夜が明けると終わってしまうこと”をイメージしながら書いたんです。朝になると、星は当たり前のように消えてしまう。リアルの世界でも、寝て起きたら記憶って薄れていっちゃうじゃないですか。運よく覚えていることはありますけど、人の顔とかも、どんどん薄れていってしまう。新しく覚えることもあるけど、薄れていってることもたくさんあるなって。
――そう考えると怖いなぁ……。当たり前に覚えていたことが、当たり前に忘れ去られていってしまう。
なぎ:そう、ちょっと怖いんですよね。そういうものを……おどろおどろしくというわけではなく、童話のような雰囲気に仕立てた曲ですね。
――夏の空を見上げながら聴きたいですね。
なぎ:確かに! キャンプとかしながら聴いていただきたい(笑)。
――個人的には絵本にもしてほしいなぁ。<夜を待ちきれない>って星たちの想いがなんだか可愛くて。
なぎ:絵本ですか!?(笑) どんな雰囲気になるんだろう。