『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』MX4D体験レポート│レオナ＆エンマに怒られたい、ジョニーに撃たれたい、アノマロカリスになりたい、イジツの空を飛びたい、キリエたちと苦楽を共にしたい……みんなの夢を体感できる唯一無二の120分

『ガールズ＆パンツァー』『SHIROBAKO』を手掛けた水島努監督によるオリジナルアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』。一面荒野が広がる世界・イジツを舞台に、レシプロ戦闘機を駆る“コトブキ飛行隊”の面々が繰り広げる大迫力の空戦アクションが描かれました。

そんな本作が2020年9月11日、「完全版」を冠した『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』としてスクリーンに登場！　劇場用としてぎゅっと凝縮されたコトブキ飛行隊の物語が、TVシリーズとは異なる時系列に沿った新たなストーリー展開で帰ってきました。

加えて『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』は、座席の揺れや振動、噴射や風といった仕掛けで物語を立体的かつ全身で体感することができるMX4D版も上映！　その仕掛けを実際に体験してきた筆者がレポートとして紹介します。

MX4Dとは？

そもそもMX4Dは、モーションシートと呼ばれる特殊な座席や、劇場に設置された仕掛けによって映画をより立体的に楽しむことが出来る最新の「体感型（4D）」映画上映システムです。

映画のシーンにあわせた、座席の前後＆上下左右の動きや衝撃、さらに水、風、フラッシュ、香り、煙といった特殊効果で、作品を文字通り“体感”することが可能に。一度観た作品も、MX4Dならではの新たな楽しみ方を発見することが出来ます！

MX4Dで体感するイジツの空

本作の目玉はなんといっても、大迫力の空戦を劇場ならではの大スクリーンで体験できる点！　加えてMX4Dでは、7.1chサラウンドの大音響、モーションシートによる衝撃、噴射や風、さらには上映シーンを再現した匂いなど全身で映画を楽しむことができるのです。

空戦について水島監督は、MX4D版最速上映会の舞台挨拶に登壇した際に「揺れるという体感はもちろんですが、音をより強烈に感じてもらいたい」という考えのもと、「TVシリーズよりも意図的に空戦シーンには音楽を入れないようにしました」と、体感や音響にこだわりを込めたことを明かしています。

事前にこのこだわりを知っていた筆者は内心「ちょっと揺れる程度でしょ？」「音楽がないと味気なくないか？」と、そんなことを考えていました。しかし、実際に体験してみると、大空へ上昇する機体に合わせたシートの動き、まるで空を切っているのかと錯覚する繊細かつ鮮明な風と音響……これらの仕掛けが各戦闘機でのフライトを丁寧に表現しているではないですか！

さらに、肝心の戦闘シーンに突入すると、上下、左右、前後への激しい振動でモーションシートが本領を発揮！　アクロバティックな空戦が日常茶飯事とも言える本作とMX4Dの相性は抜群なのだと、冒頭の戦闘で実感しました。

特に最終決戦では、モーションシートがトップギアに達したと言わんばかりの実力を発揮！　市街戦でのスピーディーな空戦や橋脚のスラローム飛行など超人的な技術の数々、キリエの限界を超えたラストシーンでのドッグファイトなど、挙げるとキリがないほどにヒートアップした展開が待ち受けています。

また、序盤から手加減なしで繰り広げられる空戦でしたが、本編にはコトブキ飛行隊の面々を中心とした人間ドラマも展開。陸や羽衣丸でのシーンに移ると筆者は「ここで一息ついて次の戦闘に備えるか」と、そんなことを考えていました。しかし、仕掛けの数々は何気ないシーンにも潜んでいたのです！　

冒頭では、喧嘩をやめないキリエ＆チカに喝を入れるレオナの怒声に合わせ、物理的に衝撃が。かと思えば、エリート興行のアジトに向かう際、キリエ機に同乗するエンマにはシート越しに殴られ、アノマロカリスのぬいぐるみに八つ当たりするキリエにはポコポコと小気味よいリズムで叩かれるうえ、羽衣丸奪還の際にはジョニーの放つ銃弾が全弾（筆者のシートに）ヒット！

「こ、コトブキ飛行隊やオウニ商会を敵に回してはいけない……」と身をもって体感できるのは、おそらくこのMX4D版だけでしょう。特に、レオナに怒られたい方、恥ずかしがるエンマにど突かれたい方は、今すぐ劇場に直行することをオススメします。

以上のように、ドッグファイトで体感する衝撃や揺れが目玉ではあるものの、何気ないシーンにも様々なギミックが待ち受けているので、TVシリーズを履修済みの方も、アトラクション感覚で楽しめることでしょう。