『THE IDOLM@STER』シリーズ15周年記念曲「なんどでも笑おう」発売記念 如月千早役・今井麻美さん&天道輝役・仲村宗悟さんインタビュー
『アイドルマスター』シリーズは、2020年で15周年を迎えました。今では『アイドルマスター』『アイドルマスター シンデレラガールズ』『アイドルマスター ミリオンライブ!』『アイドルマスター SideM』『アイドルマスター シャイニーカラーズ』など、様々なブランドが生まれ、アイドルとプロデューサーが織りなすドラマが日々紡がれています。
この記事を読んでいるプロデューサーのみなさんは、この15年で何がありましたか?『アイドルマスター』に出会って人生が変わった、という方も少なくないでしょう。何を隠そう筆者も学生時代にゲームセンターで憧れの目で見ていた『アイドルマスター』とこうやって関われているなんて思ってもいませんでした。
そうやって、『アイドルマスター』は様々な物語を現実でも起こしているのだなと思います。それは、アイドルを演じているキャスト陣にも。
今回は、2020年9月30日に発売される15周年記念曲「なんどでも笑おう」の発売を記念し、キャストスペシャルインタビューを全2回に渡ってお届けします。
第2回に登場するのは『アイドルマスター』より如月千早役の今井麻美さん、『アイドルマスター SideM』より天道輝役の仲村宗悟さんです。
『アイドルマスター』スタート時から作品に参加している今井さんのお話はもちろんのこと、声優デビューが天道輝である仲村さんのお話も貴重なものばかり。『アイドルマスター』シリーズを愛するみなさんに読んでほしい至極のインタビューとなっています。
昔を懐かしみ、これからの輝く未来に向かって進んでいく、お二人の姿をご覧ください。
前回のインタビューはこちらから!
みんながいてくれたからこそ
――『アイドルマスター(以下、アイマス)』シリーズ15周年おめでとうございます! お二人は『アイマス』に関わって、今井さんは15年、仲村さんは5年です。振り返ってみていかがですか?
今井麻美さん(以下、今井):「宗悟くん、まだ5年なのね!」って話をちょうどさっき二人でしていたんですよ(笑)。『SideM』って10年くらいやってる印象があって。
仲村宗悟さん(以下、仲村):ホントですか? でも確かに、「まだ5年か」と「もう5年か」のどっちの感覚もありますね。
今井:「もう5年か」はどんなときに感じるの?
仲村:なんだろう……ふとしたときに思います(笑)。
「まだ5年か」は、今までやってきたライブやイベントとか、こういうところで新規のボイス入れたなあ、とかを思い返したときに「これだけやってきたのか」ってなりますね。
今井:駆け足だったよね。
仲村:そうですね。1stライブ(THE IDOLM@STER SideM 1st STAGE 〜ST@RTING!〜)で舞浜アンフィシアターに立たせてもらいましたからね。あんなデカいステージに立ったのなんて、生まれて初めてでした。
今井:そっか~。今じゃこんなに大きくなっちゃって〜。
一同:(笑)。
仲村:いやいや(笑)。まだまだノミくらい小っちゃいんですけどね。
今井:いやいや! そう思うと、私たち「765プロオールスターズ」(以下、765AS)と他のブランドでは、1年の重みがまったく違うんですよね。
仲村:そうですよね。
今井:私たちの最初の数年は、大海原を小さいオールを持って必至にボートを漕ぐようなイメージでした。
一同:(笑)。
今井:そんな感覚が強かったから、今の宗悟くんのお話が羨ましくもあるし、最初からそんな大舞台なんて大変そうだなとも思って(笑)。
仲村:作品の大きさは1年目から感じていましたね。
僕、10周年ライブ(THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!2015)を観に行かせてもらっていて。
今井:そうだったね!
仲村:そのときに「こんなに大きなコンテンツでライブをやらせてもらうのか……!」って考えたんですけど、それは今まで作ってきてくださったものが大きいんだなって感じました。
積み上げてくださったものに、ありがたいことに乗せてもらってる、という感覚がありましたね。
今井:それまでと違って、『SideM』は男子が活躍するブランドとして登場したわけだから、私たちが経験したことのないような道を進まなきゃいけないと思うと「『SideM』ファイト~!」って思いましたよね(笑)。
一同:(笑)。
仲村:男性アイドルが活躍するブランドということで、女性のプロデューサーさんが多くいらっしゃるのかな?と思っていたので、舞浜アンフィシアターでライブさせてもらったときは驚きました。
今井:男性のプロデューサーさんもたくさんいらっしゃったもんね。
仲村:そうなんです! それがすごく嬉しかったんですよ。
今井:気持ち分かる!
仲村:そのときも、「この10年ホントにありがとうございます!」って感謝しました。
――『アイマス』は、プロデューサーさん(ファン)が新しく生まれたブランドもしっかり応援してくださっているんですよね。
仲村:いい相乗効果ですよね。走り始めからいろんなプロデューサーさんたちが見守ってくださったというのは、ありがたかったですね。
今井:分かるなあ。もちろんどんな方が応援してくれても嬉しいものなんだけど、会場で女の子の声が聞こえると自分の生き方が認められた気がして嬉しかったりします(笑)。「あ、間違ってないかも」という確認ができるというか。
――それは嬉しいですことですね。『アイマス』が出たてのころは、イベントもキャストの皆さんが内容を一部考えていた、みたいな時代もあったことを思うと、感慨深いです。
今井:もちろんスタッフさんがドラマを書いてくれたりはあったんですけど、メンバーの誰かが振付したのをみんなで覚えたり、振り分けも得意な人がやったりして。そういうのがすごく多かったんです。
――その努力があったからこそ、と考えると、改めて「ありがとうございます」とお礼を申し上げたいです。
仲村:いや、ホントにありがたい。ありがとうございます!
今井:いや、とんでもない(笑)。今があるのはみんながいてくれたからこそですよ。
――そんな様々な思いが詰まった15年を経て「なんどでも笑おう」が発売されます。曲を初めて聴いたときはいかがでしたか?
仲村:最初にこのお話をいただいたとき、女性アイドルと僕たちが一緒に歌えることが分かって、「スゴイことが起きるな」と思いました。
今井:初めてだっけ? 混ざるの。
仲村:今までなかったんです。「みんなで『アイマス』なんだ」「ひとつになるんだ」という嬉しさがありました。
今井:配信や番組で一緒になったり、イベントでちょっと一緒になることはあっても、モノづくりとして一緒にやれることが少なかった分ね。
仲村:そうなんですよ。
今井:私は「みんなウェルカム!」って感じでした。
仲村:それは嬉しいです!
今井:「なんどでも笑おう」に関して「どうなるんだろう?」って思っていたんですけど、この前『SideM』バージョンを聴いたら、「このバージョンが一番好きかも」って思っちゃったくらい。3人の雰囲気と表現力が素晴らしかったんです。ちょっとキーが高いよね?
仲村:僕らにとってはメチャ高いですからね(笑)。
今井:そう! 男女合わせると、どうしても両者が歌える中間のキーになるんです。
ゲーム上で男女のアイドルが混ぜにくいのは、歌うときのキーが一番大きな問題だと演者的には思っていて。
それをちょっと無理して、背伸びして歌う『SideM』がめっちゃ可愛くて(笑)。
一同:(笑)。
今井:この曲のイメージにとても合っていると思いました。私たちはキーが低めに設定してあって。その分、表現の仕方がある程度限定されるので色んな手が使えなくて。
キュンとこなきゃいけないんだけど、狭められている分、すごく難しいんです。だから聞いた瞬間に「うわ、コレむっず」って思って。
この曲は大勢で歌うことが前提に作られてますが、それでも「もし千早ソロが出たとしても絶対に恥ずかしくないように歌う!」とめっちゃ気合を入れたのは覚えています。
『SideM』は男性キーにしてもらってる分のチャレンジ感というか、「15周年を迎えたけど、まだまだ俺たちは行くぞ!」感がすごく乗っていて。これは絶対『SideM』バージョン聴いたほうがいいなって思いました。
この曲は階段状になってるメロディが多くて、それの反復なんですけど、ただリズムを刻むよりちょっと前のめりになった方が躍動感がでると思うんです。
その音楽的な焦りのような躍動感と、後ろの雄大なオーケストラの演奏のバランスをうまくコントロールした方がいい雰囲気が出せるけど、それは結構キーの制限もあって、結構えぐいな!と震えまくりました(笑)。
一同:(笑)。
今井:それを自分のベストのキーじゃないところでも攻めているあの3人がもう。それぞれが得意なところもしっかり分けられていて、「この子たちのこと、もっと知りたいな」って思える曲になってると思いました。
仲村:いや~、嬉しいなあ。
――べた褒めですね!
仲村:嬉しいです……!
今井:いや、ホントに! 一番いいと思う! まだ全グループ聴いてないけど(笑)。
一同:(笑)。
仲村:全員サイコーです!
――実際に歌うときも、今のお話にあったようなところを注意していたのでしょうか? それ以外にもなにかオーダーはありましたか?
仲村:キラキラ感は常にあってほしいというお話はいただいてましたね。笑顔で、とかそういう意識は持ちながら歌いました。前向きな気持ちで、というか。
今井:そうだね。基本的に私が録るときって、録ってくださる方とももう長い付き合いなので、割と自分で決めていくことも多くて。もちろんある程度「こんな感じで」というのはいただくんですけど、「OK!」って言われても、納得いかなかったら「違います!」って言っちゃったりして(笑)。
そんな感じでいつも録ってたので、いつも通りだったと思います。キーが低いと、私の声質上、低い音は出ても野太い声になって千早っぽくなくなっちゃうし、笑顔感がまったく出せないんですよ。
いつもそことのせめぎ合いで、低い曲は血反吐を吐きながら笑顔で歌っています(笑)。
仲村:(笑)。
――ベストキーが高い人は、低い曲のときにそんな苦労があるんですね。
仲村:全体曲のように、人数が増えていけばいくほど、いい塩梅を取るのは難しいんですよね。
今井:曲を作る方も大変だと思います。今回の曲は、ベストな場所を探ってくれた歌だと思いますね。ロジカルに作られた曲なのかなって思いました。
仲村:僕ら『SideM』の最初の全体曲「DRIVE A LIVE」もめっちゃ低いですよ。みんな「低い〜!」ってなって、それからは全体曲のキーが上がりました。
今井:へえ~。『765AS』は年々下がっている印象。でも『ミリオン』の全体曲は年々高くなっているんですよ。そういう流れを見ていると面白いですよね(笑)。
『SideM』は録ってくれている人はずっと一緒なの?
仲村:そうですね。最初のほうからずーっと。僕もお互いに「ここはこうしたらどうですか?」みたいに言い合えますね。
今井:最終的に自分が納得してなかったら、できあがったものって絶対納得できなかったりするから、やっぱりそのほうがありがたいよね。
仲村:レコーディングしてくださる方々よりも、物理的に僕らのほうがアイドルと寄り添う時間が長いじゃないですか。だからこそ僕ら側の視点でお話できることがあって。
「天道 輝って、僕はこういうやつだと思っています」みたいなお話ができるのはありがたいですね。