音楽
『アニソン大賞』選考員・DJ和×アニメイト松原正泰【インタビュー前編】

『アニソン大賞』選考員・DJ和氏とアニメイト松原正泰氏が語る!『平成アニソン大賞』&『令和アニソン大賞』の舞台裏と、激動の時代におけるアニソンのあり方【インタビュー:前編】

「平成を彩ったアニソンを讃えたい」という思いから生まれた企画『平成アニソン大賞』。そしてそのノミネート楽曲をまとめたコンピレーションアルバム『平成アニソン大賞 mixed by DJ和』。

音楽プロデューサー・冨田明宏氏、ニッポン放送アナウンサー・吉田尚記氏、アニメロサマーライブ ゼネラルプロデューサー・さいとーぴー氏、アニメライター・前田 久(前Q)氏、株式会社アニメイト・松原正泰氏、そして発起人のDJ和氏、というアニメファンなら誰もが認める識者6名が全力を尽くした本企画は、ノミネート楽曲発表会時にYahoo!トレンド1位を獲得、コンピレーションアルバムも大ヒットを記録するなど、多くのアニメファン、アニソンファンを魅了した一大イベントとなりました。

その人気を受け、2019年末には令和1年目のアニソンを振り返る『令和アニソン大賞』を開催。大賞を決める討論を、イベント「平成アニソン大賞大ヒット記念~年忘れトークSP~」内にて行い、ユーザーの目の前で選考員が激論を交わすという新たな試みは、さらなる盛り上がりを生みました。

そして、2020年末に『第2回令和アニソン大賞』の開催が決定。その発表を受け、アニメイトタイムズは、『アニソン大賞』発起人のDJ和氏と、選考委員の松原正泰氏にインタビューを実施! 

『平成アニソン大賞』『令和アニソン大賞』での思い出を振り返ってもらうとともに、激動の時代となった本年度のアニソン業界について、またその未来について、たっぷりとお話を伺いましたので2回に分けて紹介します! 今回は前編です。

プロフィール

■DJ和(J-POP / アニソン DJ)
そこにいる全ての人の心と体を揺らす、抜群のスキルと斬新な選曲。国内はROCK IN JAPAN FESTIVAL、ANIMAX MUSIX等々、海外ではアメリカ、イタリア、ドイツ、インドネシア、シンガポール、タイ、台湾、ベトナム、中国、マレーシアでの大型フェスイベントに出演。日本の音楽を世界に伝道するJ-POP DJの第1人者。「J-アニソン神曲祭り」、「ラブとポップ」,等々、今までにリリースしたMIX CDの累計が185万枚を突破した“邦楽DJ No.1”。関ジャニ∞をはじめ、様々なアーティストのMIXも手掛けている。

■松原正泰(アニメイト)
株式会社アニメイト オーディオ・ビジュアル商品 バイヤー。アーティストを盛り上げる為ならグッズや書籍の展開も実施。価値の創造。「モノ」から「コト」へ繋げる事で、アニメ業界を小売りの立場から盛り上げたい男。

急に「会議延長で……」と言われて参加が決まった

――そもそも、この『アニソン大賞』という企画はどのように思いついたものなのでしょうか?

DJ和:まず一番最初に「平成が終わるよね」というタイミングで、アニソンのミックスというか、企画をやりたいな、というすごいざっくりとした考えが思いついたんですよね。

今となっては懐かしいですけど、「平成の次の元号はなんだ!?」という盛り上がりの中で、テレビもラジオも「平成っていろいろあったよね」と振り返る番組がたくさん作られて。そういったものを見ていく中で、「平成」というものをテーマにしたCDをやりたい、くらいの本当にざっくりとした思いつきが発端です。

うちのチームやいろんな人と話す中で、平成を振り返ってそれをCDにする形が面白いんじゃないか、という話になりました。ただ、僕ひとりだと全方位はカバーできないので、業界内のいろいろな立場の方を集めて、みんなで語らうのが一番面白いんじゃないかな、と。そしてこの企画を通して、制作者の方々に僕らの感謝を込めて賞を贈りたい、みんなで讃えよう、というコンセプトが決まっていきました。

僕はそこにDJという立場で参加して、ほかにも各社、ジャンル、立場など、いろんな角度からアニメやアニソンに関わってきて、なおかつ、もちろん個人としてもアニメが好きで詳しい方に集まっていただきました。

 

 

――松原さんへはどのような経緯でお声がかかったのでしょうか。

DJ和:アニメ、アニソン業界の「お店」という切り口からいくと「絶対にアニメイトさんだろ!」と。誰もが最初に思い浮かべるような会社から、どなたかが参加してくださったらかなり説得力があるだろうなと思いました。現場というか、お店の方からの視点は、音楽制作側、アーティスト側である僕らには、なかなか見えない視点があると思ったので。そういった旨をアニメイトさんに相談したところ、松原さんにお会いする機会をいただきました。

松原:一番最初の出会いは、その企画の前の「今後のミックスCDどうしたらいいですかね?」みたいな商談のときかもしれません。

DJ和:そうでしたね! 営業の話がまずありましたね。

松原:今まで「神曲」みたいな括りのCDはいろいろ出されているので、時代の潮流にあったもの、どちらかといえば男性向けだと面白いかもしれませんね、という話をして。

ソニーさんのセールスチームが、その打ち合わせも参考にされたようで、そのまま「松原さん、参加してください!」と連絡をいただきました(笑)。

DJ和:そうですね。そこから無理やり表に立たせるというか(笑)。立っていただく形になりました。

松原:突然「急で申し訳ないんですけど、このまま(会議)延長で……」と言われて「ええ!?」と(笑)。

DJ和:それまでは単純に僕の企画を松原さんに相談する、という一方通行の仕事の関係だったんですけど、まあそれがあったからこそ、参加していただけたというか。かなり無茶な相談ではあったと思うんですけど(笑)。

松原:そうですね(笑)。

DJ和:でも本当に説得力がワンランク上がったと実感していて、改めてありがたいな、と思います。

松原:それぞれ本当にお仕事の立場が違う人が集まったので、出てくる意見が人によって全然違ったし、今まで点でモノを見ていたので面白かったですね。

DJ和:例えばDJばっかりが集まると、DJ目線、クラブ目線が強くなっちゃって、あんまり民意が取れないと思っていて。でも、今回は「平成」というとにかくデカい括りなので、狭い話をしてももったいないなと。本当に広い範囲でありながらも、みんなアニソン好きで詳しいから深い話もできる。バランスがとてもよかったと思います。

――松原さんは、選考員の顔ぶれを見たとき、そして本企画に参加されたときの感想はいかがでしたか?

松原:いや~、もう。僕だけ一般人なんですよ、本当に(笑)。

DJ和:いやいやいや(笑)。

松原:アニメファンに名を知られている方の名前が並ぶ中で、「アニメイト」という法人名は知っていても「アニメイト松原」ってなると「誰?」みたいな(笑)。

一応、僕もソニーさんの現場に立ってはいますが、多くの方にとっては本当に「誰?」って感じでしたし。アニメイトの看板を背負って参加することもあって「これはちょっとマズイな」と(笑)。

DJ和:確かに、ほかの方とは緊張感が違うかもしれませんね。会社に所属していることはあっても、基本は一個人としての参加が多い中で、松原さんだけはほかの社員さんの顔が浮かぶ、みたいな(笑)。

松原:あんまり僕個人の意見とか感想が……正直言いづらい(笑)。

一同:(笑)

――そこまでは踏み込めないと(笑)。

松原:そういうのはありますね。あとは、せっかくお声をかけていただけたので、「声をかけて良かった」と思われるような働きをしようというプレッシャーもありました。結果的に、いつもとは違うことで必死になったり、皆さんからいい刺激をもらえたりしましたね。

――ちなみに、和さん以外とは前々から交流があったり、お仕事をされたり、ということはあったのでしょうか?

松原:いや、ないですね。冨田さん(※1)と「リスアニ!」でちょっと面識があったくらいです。他の方はまったくと言っていいほどないですね。

DJ和:アーティスト担当でもないし、レコード会社でもないわけですからね。

松原:仕事柄、ソニー系列の方とはお会いする機会が多いので、それで少し面識があった、という感じですね。


※1:冨田明宏(音楽プロデューサー / アニソン評論家)
音楽プロデューサー/音楽評論家。アニメ音楽誌『リスアニ!』の企画立案/創刊に携わり、毎年1月に日本武道館で開催されるアニメ音楽フェス『リスアニ!LIVE』ではMCも担当。音楽プロデューサーとしては内田真礼、黒崎真音、飯田里穂、H-el-ical//ほかを手掛ける。文化放送『ANISON INSTITUTE神ラボ!』ニッポン放送『NEXT-RAD超発掘!尖ったキッズたち』他でパーソナリティーも担当。アニソンの魅力をさまざまな手法で伝えるべく日夜研鑽中。


――各人に実際にお会いになっての印象はいかがでしたか?

松原:単純な知識量もさることながら「個人的に好きだ」という以上の熱をお持ちになられているな、と感じました。僕もデータはいろいろ持っていたり、アニメのチェックはしていても、ちゃんと楽しんで見ている本数は減ってきたかもしれないな、と。「気合入れないとダメだな」と思える刺激を受けました。

――和さんは、ほかの選考委員の方が決定したときや、話してみての印象はいかがでしたか?

DJ和:皆さんちょこちょこ現場でお会いはしていて、一番回数が少なかったのはさいとーぴー(※2)と前Qさん(※3)ですね。とはいえ、おふたりとももちろん知っていましたし、ツイッターを見ていたりもしました。発言力というか、オタクたちからの信頼度がすごい、安心感のあるおふたりでしたね。


※2:齋藤P(アニメロサマーライブ 統括プロデューサー)
世界最大のアニソンフェス「アニメロサマーライブ」(通称アニサマ)の名物プロデューサー。2005年の立ち上げから関わり、さいたまスーパーアリーナで3日間開催されるようになった「アニサマ」のクリエイティブ全て、総合演出も手掛ける。ジャンルを超えて広く音楽に精通し、「さいとーぴー」として多くのアーティストやクリエイターからも慕われている。


※3:前田 久(アニメライター)
1982年生。アニメ関連のインタビュー、コラムを主に手掛けるライター。通称”前Q”。主な寄稿先に「月刊ニュータイプ」(KADOKAWA)。NHK-FM「ゆうがたパラダイス」火曜日「三森すずことアニソンパラダイス」レギュラー出演中。

よっぴーさん(※4)、冨田さんとはこのメンバーの中では一番よく会っていましたね。このおふたりも信頼度は抜群だったので、個人的にはかなり安心していて(笑)。「このメンバーならなんでもできるな!」という実感がありましたね。

みんなで並んで話してるときも、このメンバーならどの方向にも話ができるし、「なんかやろう」って言ったときの行動力もあるしで、「別にコレ、お客さんいなくてもすごく楽しいな」って思ってました(笑)。

松原:選考委員それぞれが得意なジャンルや、担当メディアをカバーし合っていて、それが綺麗に『アニソン大賞』というコンセプトにハマって、大きな盛り上がりにつながったのかなと思います。


※4:吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)
1975年東京都生まれ。ニッポン放送アナウンサー。『ミューコミプラス』(月〜木曜日24時より放送中)のパーソナリティとして「第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞」を受賞。「マンガ大賞」発起人および選考委員。著書『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)が累計13万部(電子書籍を含む)を超えるベストセラーとなり、最新刊『元コミュ障アナウンサーが考案した会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』が発売中。年間100本におよぶアニメやアイドル、ゲームなどのイベント・配信番組の司会を務めている。


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