【BLのことさらに知ってみませんか?】「BL成長期」の2020年を総まとめしてみた!の巻 【アニメイト編集部BL塾・応用編】
2021年の展開&トレンド予想
阿部:最後に、2021年のBL界の展開と2020年の振り返りを踏まえてのトレンド予想を簡単にお話していこうと思います!
2021年の展開についてですが、FOD配信と地上波放送されたドラマ『ポルノグラファー(※26)』の続編『劇場版ポルノグラファー〜プレイバック〜』が2021年2月に公開予定。また、『テンカウント(※27)』は2020年アニメ化の予定だったのですが、動きがないのでおそらく2021年になるのかなという予想です。
※26:ポルノグラファー
祥伝社の『号外on BLUE』『on BLUE』にて連載されていた丸木戸マキさんの漫画原作のTVドラマ。竹財輝之助さんが主演。とある大学生と官能小説家の不思議で甘美な関係が描かれる。
※27:テンカウント
新書館にて発売された宝井理人さんの漫画作品。潔癖症の秘書・城谷と年下ドSカウンセラー・黒瀬のセンシティヴな恋のセラピーが描かれるベストセラー。ゲーム化、アニメ化、グッズ、イベントなど幅広いメディアミックス展開もされるほど人気の作品。
阿部:コロナ禍の影響で、絡みのシーンの撮影や制作遅延の影響が出てくるはずなので、2021年は2020年と作品数は少ないのではないかと思います。
個人的には、2020年のBLアニメやBLドラマの反響が良かったように感じているのと、動画視聴の時間が増えたことから、配信限定のBL系コンテンツが出てきたらいいなと思っています。BL作品は濡れ場のある作品も多いですし、配信限定になれば原作に忠実な表現も可能かなと。また、『おっさんずラブ』のように、原作のない映像コンテンツから誕生するような作品も増えてほしいなと思います。
石橋:たしかに! いいですね。来年くらいにオリジナルでヒットする作品が出てくればいいですね。今後に期待。
阿部:そして、商業BL作品では、2021年「DomSubユニバース」の設定を用いた作品が増えてくるのではないかと予想しています。
石橋:「DomSubユニバース」って何ですか……?
阿部:オメガバースと同じく海外の二次創作から生まれた特殊設定です。
超簡単に説明すると、オメガバースには男女の性別のほかに「アルファ」「ベータ」「オメガ」3種類の性別がありましたが、DomSubユニバースには男女の性別のほかに「Dom」「Sub」という2種類の性別があります。「Dom」は支配欲求の強い性別、「Sub」は従属欲求の強い性別、といった設定が用いられています。
石橋:へぇー。これが流行りそうなんですか?
阿部:pixivでは二次創作を中心にすでに流行っていて、DomSubユニバースの設定を用いた作品が多く投稿されています。
そして、2020年に初めて商業BLマンガでDomSubユニバースの作品『跪いて愛を問う(※28)』が発売されました。
※28:跪いて愛を問う
新書館にて発売された山田ノノノさんの漫画作品。第二の性「人を支配したい」Domと「支配されたい」Subが存在する世界でSub専用クラブのキャストとして働く高校生の正己。転校生で同級生のDom・悠生に命令されてしまい、本能に抗えなくなる。商業BL初のDomSubユニバース作品。
阿部:ちるちるのランキングではTOP10に入っていることもあり、需要の高さも感じています。オメガバース同様、作品数が増えていくのではないかと。
石橋:BLはすごいですね……。こういう設定が日々生まれているわけですからね。BLはファンがつくり上げている世界なんだなと改めて思いました。
阿部:まさにその通りだと思います。ファンがつくり上げた二次創作のトレンドが、商業に流れてくることはとても多いですしね。BLの時流を掴みたい人はpixivなどのランキングを見てトレンドを押さえてみてはいかがでしょうか。
石橋:今後も面白くなってきそうですね! オメガバースを読んでいるときも思いましたけど、現実だとどうしても越えられない性の壁をBLはぶち壊していて、ぶち壊れることでこれだけ可能性が広がるんだなと思いました。バイタリティがすごい!
阿部:可能性が無限にありますからね! いろんな形でもっともっと広がっていけばいいなと思います。
石橋:我々も微力ながらBL塾でBL業界を応援させていただきつつ、読者の皆々様には引き続きBL業界とBL塾をよろしくお願いしますと伝えたいです(笑)。
阿部:読者の皆々様がいてくれたら、BL塾は続くので……(笑)。2020年はありがとうございました! 2021年のBL塾は引き続きBLのトレンドや読者のみなさんが知りたい知識をお届けしつつ、さらに深い内容をお届けできるようにしたいと思っています。2021年もどうぞよろしくお願いします!
石橋:よろしくお願いします! それではみなさん、良いお年を!