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ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2019年編】|『さらざんまい』

ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2019年編】|『さらざんまい』が教えてくれた「欲望を手放さない」こと

矢坂一樹に対する感情がブーメランだった件

一番の影響を受けたのは主人公・矢逆一稀の存在だったと思います。一稀は家庭に事情を抱えている中学2年生。とある出来事から下半身不随にさせてしまった弟・春河に負い目を感じ、自身への戒めとして偽りの家族として接し、好きだったサッカーを辞め、春河が好きなアイドル・吾妻サラのふりをして春河とメッセージのやり取りをしています。

「春河のため」と数々の不思議な行動を繰り返す一稀。本当に春河のためのなのか? と疑問を抱くのですが、それもそのはず。実際は春河や家族に嫌われること、それで自分が傷つくことを恐れての行動でした。

本当は家族として認めてほしい、春河に許されたい、といった満たされたい欲望を持っていながらも、それが叶わないことのリスクばかりが目につく。「満たされたいこと」と「傷つかない道」を天秤にかけた結果、「傷つかない道」を選んでしまう。けれど、それは一稀の本当の願いではないんですよね。だからいくらいろんな行動を取ったところで満たされない、虚無感が膨らんでいくわけです。

正直、一稀の行動を見て、最初はモヤモヤが止まらなかった。なぜ、もっと自分と家族と向き合わないのか、向き合わないことで結果的に自分自身を含め家族や友人の陣内燕太などいろんな人を傷つけているんだぞ、若いのに人生を諦めるなよ! と文句を言ってやりたい衝動にかられました。そして、ふと気づくのです。「ブーメランなのでは?」と。

当時26歳の私は大人になったつもりでいたのでしょう。この歳から新しいことに挑戦するなんて無理だ、いばらの道だ。上手くいくかも分からないのに、つらいことはしたくない。それなら確実に受け入れてもらそうな行動をしよう、本当の思いには蓋をしよう。

そりゃモヤモヤもしますよね。完全に一稀と同じ思考なんですから。理解できてしまうが故に見ているのがつらかったのだと思います。一稀への感情が巡り巡って自分自身へ振りかかってきた。それが私の目を覚まさせるのでした。

アニメビジネスに興味を持ったメディアミックス展開

前述したとおり『さらざんまい』を見始めてすぐにアニメビジネスのフォーラムへ応募をしたのですが、もともとビジネス関連の仕事をしていたことと今のアニメ業界ってどうなっているんだろうと疑問に思ったことが一番大きな理由でした。また、『さらざんまい』のメディアミックス展開に興味を持ったからという点もアニメビジネスを勉強し始めた理由にちょっぴり含まれています。

さらざんまい』はオリジナルアニメとして制作が決定し、2018年3月に公式ホームページとTwitterアカウントが開設。そして、2018年10月には『玲央と真武』という作中に登場するキャラクター新星玲央と阿久津真武のアカウントが開設されました。

今時、SNSアカウントを更新することはもはや常識となっています。『さらざんまい』の公式Twitterアカウントではアニメの最新情報を投稿するなど、従来の宣伝として活用されていました。しかし、『さらざんまい』のSNS活用が特殊だったのは、もう一方のTwitterアカウント『さらざんまい』です。

これまでにも『うたの☆プリンスさまっ♪』や『抱かれたい男1位に脅されています。』などまるでキャラクターが実在しているかのように呟きを投稿するTwitterアカウントはありました。しかし、『玲央と真武』のアカウントに関しては物語とツイートの内容が連動していたのです。

2018年11月から投稿が開始され、なぜかアニメが開始する直前から意味深長なツイートを残して投稿が途絶えます。それまでにも意味深長なツイートはしていたのですが、基本的には玲央と真武の仲睦まじい日常がツイートされ続けていたアカウント。アニメ視聴前は玲央と真武の仲睦まじい様子が見られるのだろう、そう考えていました。

ところが、ふたりの間には暗雲立ち込める空気が……。次第に明かされていく過去によって『玲央と真武』のTwitterアカウントはアニメで描かれている前の出来事ではないかと推測されていきます。

そして、ずっと投稿が止まっていたアカウントに第十皿「つながりたいけど、つながれない」の放送中、一つだけツイートが投稿されるのです。第十皿の最後に真武が玲央へ伝えた「今までもこの先もお前だけをずっと愛している」という言葉でした。

このツイートを最後に第十皿終了後、アイコン、ヘッダー、プロフィールが消され、過去のツイートも徐々に削除されていきます。最終的にはアカウントだけが残っている状態となりました。SNSという媒体を介してアニメ世界と現実世界が繋がった瞬間を目撃したのです。

 
リアルタイムでこの光景を見ていた私は、こんなSNSの使い方ができるのかと衝撃を受けました。実際、第十皿の最後の投稿からツイートが消されるまでのわずか数分でフォロワー数は約4,000ほど増えています。新しいSNSの宣伝方法、その発想力に脱帽したのを今でも鮮明に覚えています。

このツイート内容は後日コミックマーケット96のノイタミナショップブースにて『俺と真武の勤務日誌』と題し、まとめてた本が出版されました(こういった点においても商売上手だな~と思わされます)。

ほかにも、アニメ放送直後にノベライズ版の上を発売。物語の先がノベライズで楽しめるだけあってノベライズ版を購入する人も多くいました。ただ、上巻はこれまた気になるところで終わってしまうわけです……。下巻が発売されたのはアニメ終了後の8月でした。ノベライズ版とアニメ版では内容に違いもあり、買わざるを得ない仕掛けが満載だったのをこれまた鮮明に覚えています(個人的には玲央と真武とサラのほのぼのストーリーが描かれた番外編、コミカライズ『レオとマブ 〜ふたりはさらざんまい〜』がめちゃ好きです)。

このようなメディアミックス展開で話題を集めた『さらざんまい』に感化され、アニメビジネスへの興味が加速していきました。

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