春アニメ『極主夫道』津田健次郎さんインタビュー|龍は真面目で一生懸命で優しい、それが笑える熱量の原動力
津田さんは龍と違って……?
――本作は独特の映像感というか、アニメーションなのに漫画のよう、という面白い表現になっていますが、津田さんはどんな印象を受けましたか?
津田:僕もこういうタイプのアニメーションは初めてで、最大の魅力といいますか、武器になってくるのが、「ほぼ原作そのものがアニメーションになった」というところかな、と思います。限りなく原作に近い表現にあふれていて。演じていくうえでも原作をしっかり把握していれば、間違えないんじゃないか、という感じで。
なんでしょう。不思議な面白さがありますよね。アニメーションなんだけどアニメーションじゃない感覚というか。紙芝居的な部分もあったりして。
――漫画と同じように、笑えるけど思わずほっこりしちゃう、というような空気感が見事に再現されています。
津田:そうですね。すごく観やすいです。でも決してのっぺりしているわけではなくて、テンポもめちゃくちゃいいんです。正直、口パクが早くて「うわ、これ大変だな」と思うくらいで。でも、このテンポの良さはアニメーションとしての生命線になってくるところだな、と思っていたのでかなり意識しました。楽しんでもらえるアニメーションになっているなあ、と思っています。
あとは画があまり動かない分、芝居の比重が大きくなるので「僕らが崩れたらイカンぞ!」と気を引き締めました。もちろんどの作品でもそうですが、通常よりさらに比重が大きく感じました。
――本作に限らず、ギャグアニメの収録は笑わないようにするのが大変だと思います。津田さんはどのように対処していますか?
津田:僕は演じているときはあんまり笑わないので、そこまで苦労はしてないですね。もちろん終わった瞬間、止まった瞬間は笑うことはありますけど。
今回の現場は、「コレ、いつまでもやっていられるね。ずっとやっていたいね」とレギュラー陣を中心にみんな口を揃えて言っていましたね。仕事しに行ってる感じがしないというか、体験型エンタメ、コントライブをしに行っている、みたいな面白さがありました。
すごく和気あいあいとしていて、そんなに頻繁には出てこないキャラクターのキャストさんも「これは楽しい~!」と言ってくださったり、自分が出ていない回の収録も見ていってくださったりとか。いい現場でしたし、コメディを作るならやっぱりこうじゃないとな、と感じました。その楽しさがアニメーションにも乗ってるんじゃないかな、と思います。なので、けっこうみんなケラケラ笑ってました。テストの段階は特に(笑)。
――収録時期は、ある程度の人数が集まってできた頃だったんでしょうか?
津田:いえ。他のアニメーションの場合は、今は抜き録りが多いんですけど、今回は同じフロアでブースをふたつ使っていて。ひとり用ブースに僕がずっといて、もうひとつのブースに3人くらい、という形なので、全部オンタイムで絡めているんですよ。
――それはいいですね!
津田:なので、絡みはかなりしっかり作られていると思います。ただ、僕だけずっとひとりブースなので、ちょっと孤独ではあるんですけど(笑)。
――ちょっと寂しいですね(笑)。
津田:ただ、被り(台詞が被る部分)なんかも普通は別録りなんですけど、今回は別ブースということで、そのまま被ってできるので、「これはこれですごく素敵だな」と思いました。『極主夫道』自体、ノリがめちゃくちゃ大事で、「できれば別録りじゃないほうがありがたいな」と思っていたので、よかったですね。
――なるほど。確かに、映像からもそういった生っぽさ、ライブ感を感じましたが、それはこの手法だからこそより強くなったものなんですね。
津田:そうかもしれませんね。そういうものがちゃんと作品に乗っていると思います。
――津田さんは、以前からネットフリックスユーザーと伺っていましたが、最近特に印象に残った作品はなにかありますか?
津田:ちょっと前になりますが、『ROMA/ローマ』が僕、本当に好きで。あれを生み出せたのはすごいな、と思って。いまだにいいな、素敵だな、と。ドラマなどももちろんすごいんですけど、映画もどんどんどんどんすごい作品を出してきている感じがあります。
――アカデミー賞などでも、ネットフリックスの作品が当たり前に顔を見せるようになっていますしね。
津田:ホントですよね、すごい。あとは『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』。すごい。とても素敵です。
――いつも作品はどうやって選んでいますか?
津田:勘と、人のおすすめですね。『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』は内山昂輝くんのおすすめですね。「最近面白いの観てる~?」と聞いたら、「『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』めちゃよかったっす」と返ってきたので。僕はノーマークだったんですけど、観てみたらすごく丁寧な映画で、とてもよかったです。ぜひみなさんにも観ていただきたい!
――龍は家事のプロフェッショナルなわけですが、津田さんは得意な、あるいは好きな家事はなにかありますか?
津田:あ~。あの、すっごく苦手なんですよ。どれもこれも(笑)。
一同:(笑)。
津田:とても苦手なんですよ。整理能力がないのと、合理性に欠けてるんですよね。家事はこのふたつだと思うのでホントに向いてないです。けど、洗うのは好きです。なんかこう、綺麗になっていくのはいいもんですね。
例えば、「合理的に広い空間を整理しなさい」とかだと混乱するというか、脳みそがジャムっちゃうんですけど、「この皿を洗いなさい」とかだったら。昔飲食店でバイトしていたときも皿洗いだけは好きでした。上手いかどうかは分かんないです(笑)。
――最後に読者の方にメッセージをお願いします。
津田:とにかく気軽に観ていただける作品だと思っています。1話1話の尺自体も短いので、合間合間にでも観れますし、一気に観て頂いても良いと思います。何回観ても笑えるんですよね。僕がそうなので。
とにかく楽しんでいただけたらなあ、と思います。それから僕のツイッターなり、ネトフリさんや原作宛てなり、どんな形でもいいので感想をいただけたらさらに励みになりますので、ぜひ応援していただけたらと思います。
[インタビュー/石橋悠 カメラマン/堤博之]
作品情報
Netflix オリジナルアニメシリーズ『極主夫道』
4月8日(木)より全世界独占配信
■STORY
“不死身の龍”と恐れられ、いくつもの組を潰した伝説も持つ、龍。しかし極道から足を洗い、結婚。専業主夫の道を極めるため、毎日の家事を一生懸命こなしている。
掃除、洗濯、買い物に料理。町内会の付き合いも欠かさない。朝から晩まで会社で忙しく働いている妻・美久のサポートも龍の役割だ。町内会婦人部の面々や、スーパーでパートとして働くヤクザの姉御など、個性的すぎるキャラクターたちが登場し、龍のクスっと笑える日常を描くギャグコメディ。
■STAFF
原作:おおのこうすけ
監督:今千秋
シリーズ構成:山川進
アニメーション制作:J.C.STAFF
主題歌:打首獄門同好会 / OP曲「シュフノミチ」、ED曲「極・夫婦街道」
■キャスト
津田健次郎 伊藤静 興津和幸
M・A・O 福島潤 / 斉藤貴美子 / 細谷佳正 / 野川雅史 柳田淳一 / 大塚芳忠 田中敦子