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春アニメ『宇宙なんちゃら こてつくん』ムロツヨシ インタビュー

春アニメ『宇宙なんちゃら こてつくん』ナレーション&DAXAくん役 ムロツヨシさんインタビュー|今までの声のお仕事とはまったく違う場所にある「なんちゃってナレーション」と「ちょっと無理して高い声で喋るおじさん」

 

自分には「鼻詰まりの声」に聞こえている!?

——自分の声に、「ここは自信がある!」といったポイントはありますか?

ムロ:いや、自信はないですね。「よくこんな鼻詰まりの声使うなあ」と。今でも自分の作品を見返してみると「こいつ鼻詰まってんな」と思います(笑)。全体的に鼻詰まっているんですよ。でも、みんなからは「別にそんなことない」と言われたりもして。これは僕だけにそう聞こえているのかなあ? と。詰まってると思うんですけどね〜……。

——そうですかね……? 改めてじっくり聴いてみます。

ムロ:いや、今喋ってるから!(笑) ともあれ、今回の作品もぜひ注目して聴いてみてください。(声に)自信はないんですけどね……。「いい声だね」と言われたことはありますが、鵜呑みにしたことはないです。

——今お聞きしていても素敵な声だと思いますよ。

ムロ:ホントですか!? 僕、声に自分の個性があまりないと思っていたんですよ。でも、以前友人と一緒にタクシーに乗った時に「バレるから喋るな」と言われましたね。「マスクしてても声とか話し方で分かる」と。バレてないと思っていたんですけど、友人からしたらすぐ分かるみたいですね。

そんな声でも、今回の『こてつくん』もそうですが、NHKさんでもナレーションをお願いしてくださるので、自信は持とうかな、と思っています。

——それだけ自信がないとは、逆に驚きです。だとすれば今回のオファーをもらったときもけっこう驚かれたんじゃないですか?

ムロ:今回は驚きよりも、子ども向けの作品に関わることができるなら素敵だな、と感じましたね。すごくいい声の役とかなら確かに驚いたかもしれませんけど。

一回おじいさんの役をやったこともあったんですけれど、もっとおじいさんっぽい声の人もいらっしゃると思いましたし。いい声の人っていっぱいいるじゃないですか。傍で高橋一生の声を聴いてごらんなさい? 「いい声だあ〜」ってなりますよ。

一同:(笑)。

ムロ:玉木宏さんも。「どっから声(音)出てんだよ!?」ってなりますよ、実物聴いたら。すごいんだから!! 毎日一緒にいたら大変だよホントに。

 

 

——それだけいい声の人もいる中、選ばれると嬉しいですね。

ムロ:僕も子どもになにか届けたいと思っていた時期でもあったので、そういう意味でも嬉しかったですね。どうにか子ども目線というものを持っていたい、と30代のときよりも思い始めていたので。Eテレさんの中に自分がいるというのも嬉しかったです。

——ナレーションの楽しみというか、面白いと思う部分はどんなところでしょうか?

ムロ:楽しみかあ……。ドキュメンタリーだと、その内容が面白いときに、ちょっとだけ自分の感情を入れたりするのは楽しいですね。台詞とは違うので、自分の思いを入れられるというか。

一回、NHKさんの『ドキュメント72時間』という番組で、雪国の銭湯の回があったんですけど、番組内でおじいさんが倒れたときはすごくドキドキしました。「ホントのドキュメントじゃねーか!」と(笑)。ちゃんと無事だったから良かったですけど。

あそこはすごく心配したというか、自分の感情が入っちゃいましたね。考え方としては、本来ナレーションは感情入れちゃいけないんですけれど、僕は入れちゃうタイプです(笑)。

 

作品全体に漂う“ゆるさ”

——ここまでナレーションやDAXAくんについて伺ってきましたが、『宇宙なんちゃら こてつくん』という作品自体の魅力についても伺えればと思います。どんなところに作品の良さを感じますか?

ムロ:コメントにも出させていただいたように、キャラクター含め、この作品の良さは“ゆるさ”だと思います。

こてつくんが宇宙飛行士という夢を持って、学校で生活していく様子を主に描いていますが、それが押し付けがましくないというか。仲間たちとゆるく楽しいやりとりをしながらも、それぞれの夢、やりたいこと、立場を目指している雰囲気がいいな、と思います。

なんというか「夢を持とうぜ! 目標を持とうぜ!」という感じではなく、夢を持っているゆるいキャラクターたちが、ゆるく前に進んでいく、というのがこの作品の魅力かなと。

——その“ゆるさ”を受けてナレーションの方向性も決まっていったんでしょうか?

ムロ:そうですね。僕も最初はもうちょっと真面目にやろうと準備していたんですけれど(笑)。キャラクターたちも活きる“ゆるさ”、なんちゃって感というのを大事にして。棒読み加減というか、イントネーションを意図的に少しおかしくしたり。

ナレーションも毎回少しずつ変えているんです。4話以降なくなっちゃっていたりもするんですけれど(笑)。今はまた迷路に入りましたね。そういった「あ、こいつ迷ってんな」という雰囲気も楽しんでいただけたらと思います(笑)。

——原作のWEBまんがを読まれたときの印象はいかがでしたか?

ムロ:やっぱり“ゆるさ”ですかね。僕もジャンプの漫画とか読んできている人間なので「頑張る」とか「力を合わせて」というのも、もちろん大事だとは思います。

でも、そことはまた違う雰囲気というか、人ではないキャラクターたちがなんとなく力を合わせ、なんとなく支え合いながらという、ふわっとした雰囲気がいいな、と思いました。

あーじゃない、こーじゃないと話し合ったり、校長先生みたいな人が出てきていろんな角度で物事を伝えたりと、このゆるさがすごくいいですね。キャラクターとしては校長先生が大好きです。

 

 

——絵柄の可愛さやゆるさがありつつも、意外と本格的というか、リアリティがあるというか。

ムロ:人じゃないキャラクター、というのもこの作品の良さなのかもしれませんね。

——ものごとが単純に成功していくわけでもないですし。

ムロ:そうですね。すべてがすぐに上手くいくわけではなく、少しずつ知っていくというか。あといろんなことに疑問を持つという姿がいいですよね。その感覚を忘れないように、というのは大人が見て気付かされることかもしれないです。

——確かに、大人になると知った気になって深く考えなくなってしまいますよね。

ムロ:そう。歳をとればとるほど「なんで?」と聞きづらくなるじゃないですか。特に少し知っていたり、携わる側であればあるほど。そういうことをずっと聞けるようにありたいなあ、と思います。

——ちなみに、校長先生がお気に入りのキャラクターということですが、どんなところに惹かれたんでしょうか?

ムロ:校長先生がこてつくんたちをホルモン焼き屋に連れて行ってくれるんですよ。それがすごくいいなって。こういうのを僕は“粋”な人間だと思うんです。

——確かに。すごく気さくというか。

ムロ:普通に現代的に考えれば「贔屓だ贔屓だ!」となりかねないんですけれど、そういうことは抜きにしている感じがいいですね。だって普通連れていかないでしょ? 校長先生が。

——そんな経験まずないですね(笑)。

ムロ:そういう大人になりたいな、と思います。

——人間性にすごく惹かれたんですね。

ムロ:そうですそうです。今はホントに“粋”な生き方、選択がすごく少なくなっていると思うので。失敗が怖いというか、失敗しない発言みたいなものが多い中で、校長先生はそういったことを考えていないと思うんですよ。一個間違えれば大失敗、みたいなことをやっているとは思うんですけど(笑)。

一同:(笑)。

ムロ:そういう“粋”な行動だったり、選択ができるようになりたいな、と思います。悲しいかな、目指している時点で“粋”にはなれないんですけどね。

——自然にできないといけないんですね。また、先ほどから“ゆるさ”というワードがたびたび出ており、この作品のキーになっていると感じます。ムロさんご自身も、福田雄一監督の作品などでそういったゆるい笑いを誘う姿を度々見せていますが、そういったゆるさを自身に内包していると思いますか?

ムロ:内包している部分? どうだろう? もしかしたら人前に立つときはあえてこういう雰囲気を出しているのかもしれないですね。本当の自分はあんまり喋んなかったりします。

でも確かに、自分が演じる側に立ったときはゆるいお笑いのほうが好きかもしれませんね。もちろんハイテンポなお笑いも見るのは好きですが、間をずらすといったようなことは小劇場でずっとやっていたことでもありますし。

ただ、今でも緊張に負けて早口で喋ってしまうこともあるので、その辺は直していきたいですね。褒めてもらったので、内包しているゆるさはこれからも大事にしていきたいと思います(笑)。

——ムロさんほど舞台を重ねていても緊張されることはあるんですね。

ムロ:そりゃしますよ! 日々緊張しています。緊張しなくなったら終わりだと思っています。

——舞台上に立つムロさんは緊張を感じさせないので驚きました。

ムロ:舞台はやっぱり毎回緊張しますね。ドラマとかの場合は画面が寄ったりするので、役者がずっと緊張していたら観ている側が疲れてしまうんです。なので、できるだけそういったものを捨てるようにいろいろ考えています。

舞台は、緊張していない奴の自信あるお芝居なんて観ていられないですからね。僕がそんなことしたら笑えもしない。お客さんにはすべてバレるということを毎回肝に銘じています。

人前に立つことに意識が追い付いていないような、緊張に負けている状態では、たとえ普段贔屓にしてくれている方でも笑わないですし。お客さんよりも精神的にかなり下に立つと笑ってくれるというか。

下に見てあえて笑って、いつの間にか「コイツ面白いな」となるんですけど、中途半端なところにいると客席に座ってくれる方が信用してくれなくなるので。そういう意味では緊張感は常に忘れないようにしています。

緊張がないときはホントに危ないから気を付けます。過去に大失敗したことをすごく思い出しますね。

 

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