「アニメを信じ続けてきた結果、今がある」春アニメ『EDENS ZERO』の主題歌に込められた西川貴教の願い

西川貴教さん約1年ぶりのシングル『Eden through the rough』が、4月10日（土）より放送のアニメ『EDENS ZERO（エデンズゼロ）』オープニングテーマに起用された。

約25年間、様々な活動（T.M.Revolution、abingdon boys school、西川貴教など）で多くのアニメ主題歌を担当してきた西川さん。自他共に認めるほどアニメファンとしても有名だが、どのような思いを抱えアニメの近くに寄り添い続けてきたのだろうか。

アニメイトタイムズでは二度目となるインタビューの機会。新曲へ込めた意気込みや願いと共に、西川さんが抱くアニメへの熱い思いについて話を聞いた。

アニメイト通販での購入はこちら

『EDENS ZERO』の幕開けに相応しい曲を

ーーアニメ『EDENS ZERO』主題歌のオファーが届いたときの心境をお聞かせください。

西川貴教（以下、西川）：『EDENS ZERO』は日本テレビが新しく設けたアニメ枠で放送されます。作品の主題歌を担うことと同時に、テレビ局がアニメの新しい挑戦をするタイミングで僕を選んでいただいたことに責任を感じました。

ーー責任、ですか。

西川：ありがたいことにこれまでも様々なスタートアップに携わらせていただく機会がとても多かったのですが、毎回なんとしてでも結果を出さなければというプレッシャーが大きいです。

その分、結果が出た時は大きな喜びを感じますし、スタートアップの一員を担わせていただけるのは期待されている表れだとも思いますので、それをエネルギーに変えて取り組むようにしています。

ーー『EDENS ZERO』のために書き下ろした『Eden through the rough』もまた、そういった思いをエネルギーに変えて制作に取り掛かられたのでしょうか。

西川：関わらせていただけるなら突き抜けた作品をつくりたい、と制作に取り掛かりました。『EDENS ZERO』のような「宇宙と冒険」をテーマに扱う作品は、最近ではありそうでなかったと思うんです。これまでの真島（ヒロ）先生の作品ともまた少し違う魅力を感じました。

原作もまだ14巻（2021年3月時点）までしか発売されていないのにアニメ化すること、先ほど申し上げた日本テレビが新しいアニメ枠をつくること、どちらも勇気ある挑戦です。その中で僕に期待してこのチームへお声がけいただけたわけですから、僕にしかできないような形で作品に貢献できたらという思いはすごく大きくて。

そして、できれば1～2クールで終わりでなく、きちんとシリーズ化されて息の長い作品になってほしいという思いもあります。僕自身、もしかしたらセカンドシーズン、サードシーズンと楽曲を提供し続ける機会があるかもしれない。これまでもそういった機会がありましたから。

そういった様々な思いを込めて、『EDENS ZERO』の独自の魅力を僕なりに表現しつつ、幕開けに相応しい楽曲にしようと制作を進めました。

ーー『Eden through the rough』について「こんな時だからこそ自分の出来ることで、皆さんに少しでも元気を届けたい」 と思いを綴られていました。作品に対する思いだけでなく、今の世の中に少しでも活力を与えたいといった思いも？

西川：ありますね。世界中がこんなことになるなんて誰も想像していなかったじゃないですか。足並みを揃えることでしか安全に生きていく方法のない状況が今あります。

意識しないようにしても周りの空気感が気になって、一歩踏み出そうとしてもその一歩を躊躇う人が多いような気がして。特に人と人との関わりはどんどん希薄になっていますよね。

そんな今の時代に逆行するかのように、『EDENS ZERO』の主人公であるシキ（・グランベル）は友だちをいっぱい作ろうとしている。積極的に人と人との関わりを作ろうとしているんですよね。

ーー時代に逆行している一方、人との関わりが希薄になった今だからこそより人との関わりの大切さを感じられる作品です。

西川：やっぱり人は一人で生きていけないですから。何かを成し遂げていく時、たった一人でできることなんてたかが知れているんですよ。

先日放送されていた庵野（秀明）先生のドキュメンタリー（NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』）を見ていても感じましたけど、自分の想像を越えた次元を目指すために仲間やチームが必要なんじゃないかと。

僕も何かを作り上げる時、いかに上の次元へ到達していくかを考えています。チームであれば1＋1が2ではなく何倍もの力に変わり、自分の想像以上の次元を目指せる。今の時代だからこそ人との繋がりの大切さを表現できるのではないかと、楽曲制作をしていましたね。