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映画『るろうに剣心』アクション監督・谷垣健治さんインタビュー

映画『るろうに剣心 最終章』二部作公開記念 アクション監督・谷垣健治さんインタビュー|『アニメとの違い、実写ならではの良さを感じてもらえたらな、と思います』

2021年4月23日に、ついに公開となった映画『るろうに剣心 最終章』二部作の第1作目『るろうに剣心 最終章 The Final』。2021年6月4日には最終章第2作目となる『るろうに剣心 最終章 The Beginning』が公開されることもあり、多くの人が映画『るろうに剣心』に注目しています。

映画『るろうに剣心』シリーズ第1作目が制作開始されたのは2011年。今から10年前に始まった第1作目では、精巧に作り上げられた明治時代の日本を舞台に繰り広げられる激しいアクションシーンなども話題に。

今回は映画『るろうに剣心』の魅力の1つである、アクションシーンを支えるアクション監督・谷垣健治さんにインタビューを行いました!

谷垣さんが映画『るろうに剣心』シリーズにおいて、どういったことを担当されていたのかをはじめ、最終章において意識されたことなど、アクション監督といった立場であるからこその視点から両作のお話をお伺いしました。

 

映画『るろうに剣心』におけるアクション監督の仕事とは?

——まずは、アクション監督というお仕事がどういったものなのか教えてください。

谷垣健治さん(以下、谷垣):ざっくりいえばアクションシーンの責任者という感じですね。

——アクションシーン全般、すべて細かく決められているのでしょうか?

谷垣:そうですね。もちろん監督と一緒に決めていくんですけれど、監督は全体を見ているので。今回のようなアクションに特化した部分がある作品では「アクション監督」というものを立てないと、アクションシーンがちゃんとアクションとして成立しにくくなると思います。

よく「アクションシーンもドラマのひとつなんだから」ということを言われますが、それはまあ正論だとして、アクションというのはエンタテイメントであるからこそドラマの中に埋もれさせてはいけない。

だからこそ、そのアクション部分に専門の人を立てて、俳優をサポートしたり、撮影の現場を運営したり、できあがった素材を編集して監督と編集部とやり取りしたり、といったことが必要になるんです。

今回でいうと、去年の7月くらいまで音の仕上げ作業がありましたから、その現場にも出入りしていました。監督は全体を俯瞰する必要があるので、その中でアクションの面をとにかく隙がないように徹底して見る、というのがアクション監督ですね。

——本作で言えば、刀の振り方ひとつとっても違いが生まれますが、「ここではこうする、次はこの斬り方」といった立ち回りの細かい部分も、谷垣さんが担当されているのでしょうか?

谷垣:そうですね。そこはアクションチームが提案してくれたものも生かしつつ、役者と相談します。その上でショットリストを書いて現場に臨む感じですね。

 

役者とともに、動きを“役に近づけていく”。

——以前、ほかのインタビューで「まずは役者さんのフィジカルを見る」と仰られていましたが、谷垣さんから見て、今作から参加されている新田さんの印象はいかがでしたか?

谷垣:そりゃ素晴らしかったですよ。最初からすごく動けていたし。ただ動けてはいたけど、当然ながらまだ“縁ではない”んですよね。なので彼を『どう縁にしていくか』、というのが僕たちの一番大事なテーマです。細かく指示を出すというよりは新田さんと一緒に作り上げていくという感じでした。

アクション練習のときは監督がいないことが多いんですけれど、練習で撮ったものを監督に送って、やりとりをして調整していくという毎日でした。

「アクション練習」ってね、よく勘違いされることが多いんですけれど、役者さんが何人も並んで「1!2!」って素振りをする、みたいな世界ではなくて、それぞれの役者さん単独で僕らアクションチームとそのキャラクターに合わせた練習をするという感じです。僕らと役者さんのセッション。みんなで役者さんの良いところを伸ばしていく、という作業なんです。

とはいえ、撮影前の限られた時間ではせいぜい数十回しかできないので、それだけで達人の動きができるようにはなりません。でも、その人のポテンシャルを見出して、さらにその役の方向に近づけることはできます。

例えば、武道では「右も左もできるようにしましょう」となるもしれませんが、映画では「あ、この役は左利きなんだ」ということが分かれば、左を伸ばして、右をなるべく使わないようにしたり。ほかにもジャンプ力や柔軟性がある、といった特性を見て、その部分を伸ばしていくということですね。

「アクション練習においての僕らはトレーナーというよりはカウンセラーに近い」と大友監督が以前仰っていて。「今日はこういう動きができたからいいよね! じゃあ次回はこれやろう」と処方箋を出していって、役に近づけていく、という感じですね。

それを監督が見て、「これ、カッコいいよね!」というのがあったら、僕らはそれを覚えておいて、無理やりではなく、自然に組み込めそうだったらその動きも組み込むこともあります。

役者さんも練習時に映像撮ってすぐ見せると良いかどうかすぐ分かったりするので、そういったきっかけを作って、役作りに活かしてもらうというのが『るろうに剣心』という作品での、僕らの仕事の大きな部分かもしれないですね。

 

『The Final』と『The Beginning』、その違いはアクションシーンにも。

——動きを“役に近づけていく”というお話があったように、『The Final』での流浪人の剣心と、『The Beginning』の人斬りの剣心で、アクションにも違いが感じられました。その違いを出すためになにか意識されたことはあったのでしょうか?

谷垣:動きの違いが生まれたのは、話自体もありますし、剣心の年齢…でも一番大きいのは武器の影響ですかね。根本的に違いますから。一言で言えば「斬れる刀と斬れない刀」の違いです。

当然ですけど逆刃刀は刃と峰が逆さになっているので、「叩く」武器です。過去の「るろうに剣心」でも詳しい人から「あれは日本刀の使い方じゃない」という指摘がありましたが、だって日本刀じゃないですから(笑)。

叩く武器だからこそ「連撃」という概念を入れて、一発で倒れなくても「パン! パン! パン!」と立て続けに食らわせるようにしました。だから2作目、3作目では手数が増えたように感じたと思います。

 

 
それに対して『The Beginning』では、人斬りの刀ですから。斬ればすぐに死んでしまう。ですから斬る刃筋や斬り方などを特に気にしました。簡単に言うと、この2作品の差は「ヒット」と「スライス」の差ですね。逆刃刀はどこを叩いてもいいわけですけど、日本刀は首筋や手首など肌の露出しているところを狙ってシュッと斬るようにしています。

当然のことながら刀は斬ったら斬れるわけで、「斬れたらこうなるんだよ」というのは『The Beginning』の中で腕が落ちたりするシーンなどを入れて意識的に表現しています。腕も落ちるし血も噴き出る。それだけでもこれまでと見え方がまったく違うと思います。

——確かに、「叩く」と「斬る」では全然違う動きになりますね。テンポ感も変わっているように感じました。

谷垣:そうですね。だって、日本刀は斬れば終わりで、2回斬る必要ないですからね。

——流浪人の剣心は勢いのあるスピード感、人斬りの剣心は鋭いスピード感というか。

谷垣:人斬りの頃は「殺す」という目的ですからね。迷いがなくて、一撃必殺。対して、流浪人のほうは不殺の誓いを立てている。殺さずに、でも相手は倒さねばならないということは当然手数も多くなってきます。その目的の差によってテンポにも違いが生まれていると思います。

 

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