ぼくたちはなぜ“あの夏の日”に焦がれるのか──『サマーウォーズ』が7月16日に金曜ロードショーにて放送！　放送に向けて作品の魅力を2つのポイントから振り返り！【注目ワード】

『竜とそばかすの姫』の公開を記念し、金曜ロードショーにて細田守監督作品が3週連続で放送されることが決定！　第一弾は7月2日放送の『おおかみこどもの雨と雪』、第二弾として『バケモノの子』が7月9日に放送されます。

そして、第三弾は7月16日に放送される『サマーウォーズ』。数々の名作を生み出し続ける細田守監督ですが、細田監督といえば本作の名を挙げる方も多いのではないでしょうか。

1人の少年と、とある大家族が大切なものを護るために戦った、ある夏の日を描く本作品。その人気は高く、本作の放送時には終盤の名シーン「よろしくお願いしまぁぁぁすっ」の場面になるとTwitterでは多くの方が同セリフをツイート。2015年放送時にはその年のTPS（1秒間に世界中でツイートされた数）1位を獲得しています。

また、放送が発表された本日もTwitterでは『サマーウォーズ』がトレンド入り。『サマーウォーズ』が上映されたのは12年前の2009年ですが、いまもこれだけ愛され続ける本作品。作品の持つ多くの魅力の内、「夏」と「家族」の点からあらためてその魅力を振り返ります！

　
※本記事は『サマーウォーズ』のネタバレを含みます。ご了承ください。

作品に広がる夏の空気

　
『サマーウォーズ』といえば、タイトルにもある「夏」の印象が強く残る作品です。それはキャラクターたちが季節を語るから、だけではないでしょう。

まず冒頭の場面、主人公・小磯健二（声：神木隆之介さん）と佐久間 敬（声：横川貴大さん）が物理部の部室でバイトをしているシーン。ここで学校という場所特有の暑さを感じ、大人たちは在りし日の青春を想起させられます。

まるで自分たちの城かのように私物に溢れる部室、恐らく生温い風を送っているであろう首振り扇風機。それらは見る人を徐々に作品が持つ「夏」に引き込んでいきます。

そして、「夏」という印象を最も鮮烈に与えてくるのは、ヒロイン・篠原夏希（声：桜庭ななみさん）の田舎に広がる風景でしょう。山に囲まれた空に満ちる青空に、山から生えるように浮かぶ入道雲、そこらから聞こえる虫たちの声。それらは言葉よりも雄弁に「夏」を語っています。

ある種の郷愁を覚える「夏」の表現は、作品が世代を問わず多くの人を魅了する魅力の1つなのではないでしょうか。

作品を通して描かれる家族の絆

『サマーウォーズ』に登場する陣内家は戦国時代から続く名家です。作中では親戚一同が介しているため、陣内家関係者27人が登場しており、まさに大家族。そして、そんな大家族の絆が世界を救うわけなのですが、その絆の描かれ方は本作品の魅力の1つだといえるでしょう。

陣内家の当主であり夏希の曾祖母でもある陣内 栄（声：富司純子さん）はもちろん、彼女を中心に回っていた陣内家。そんな彼女を失った大家族は、池沢 佳主馬（声：谷村美月さん）と陣内侘助（声：斎藤 歩さん）の成長など、様々な形で家族の絆を見せます。

特に、いじめを受けた経験から引きこもりがちだった佳主馬が、もうすぐ生まれる妹を思い兄へと変わっていく場面には思わず涙腺を刺激された、という方も多いのではないでしょうか。

最後のシーンに至るまで、家族の温かさを見せる陣内家。作品を見終えたあとに残る心地よさは、彼らの優しさがくれたものかもしれません。

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