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カナタの新シリーズ「トライアングル」いしいのりえ×岩田光央 特別インタビュー【前編】

多様化する人間の愛し方に愛交物語を大幅リニューアル――いしいのりえさん・岩田光央さんが“大人の女性の恋愛”をテーマに活動するカナタ、11年目の新シリーズ「トライアングル」特別インタビュー【前編】

カナタ11年目の新シリーズ「トライアングル」がいよいよ始動

――「トライアングル」はどんなシリーズになりそうですか?

岩田:まず前提として、いままでのカナタで掲げていた「18歳以上の女性限定」の決まりをやめました。

――カナタの特徴のひとつだったのに、その理由は?

岩田:「もういいのではないかな」と思ったからです。18歳以上の女性を限定にしていたのは、「大人の女性に向けて作り続けている作品」と伝えたかっただけ。他の作品と差別化したかったから宣言していたんです。そのおかげで、実はいろんな弊害があったんですけどね。

――どのような弊害ですか?

岩田:企画を立ち上げた当時に一番困ったのは、18歳以上と言った瞬間「18禁」というワードを連想させてしまい、同時に「エロ・下品」と言われてしまったことです。

始動してから5年間くらいは、よく「なんかエロいことやってるらしいじゃん」と言われていました。僕らはそのたびに「そうじゃない、僕らは大人の女性向けの上質な作品を心がけている」と説明してきました。

――それは苦労しそうです。

岩田:さらに、年齢制限を設けている公演は、市立とか国立の会場は使わせてもらえないんです。あとはメディアも同じです。大人が読む冊子に公演情報を掲載してもらおうとしたら、年齢制限をかけた公演は掲載できないと言われたこともありました。

――苦難続きで、よく10年もやってこられましたね!

岩田:いまだから言えますが、本当に大変でしたね(笑)。僕らのなかではしっかりとポリシーを持ってやってきたんですが、裏では弊害がたくさんあったんです。

ですが、ちゃんと上質な作品作りを5~6年続けていたら、徐々に変わってきたんです。おかげさまで最近では僕らのメッセージがちゃんと根付いてくれて、いまでは「エロ、いやらしい」という見られ方はなくなりました。

――ですが「トライアングル」では、せっかく時間をかけて作ってきたルールをやめてしまうのですね。

岩田:むしろ、根付いてくれたからやめられるんです。10年かかって「カナタ=大人の上質な空間」というイメージがついたと判断したので、年齢制限を外してもいいと思いたったわけです。

――なるほど! もう説明しなくても理解してもらえると。

岩田:一度でもカナタの公演を見てくださった方にはわかっていただけていると思いますが、実際は18歳未満が見てもまったく問題ない作品です。それより、普通にテレビ放送で見られる作品の方が、よっぽど激しい描写をしています。

いしい:そうなんです。異なる点としたら、カナタで描いている世界観はリアルを追求しているところだと思います。BLはファンタジーとして楽しめますが、カナタの作品はリアル。なので、なかには「どういう見方をしていいのかわからない」と思う方もいらっしゃると思います。

岩田:そうね。18歳くらいの女の子は、そういう意見の方もいます。ですが年齢が高くなるにつれて、どんどん共感してくれるんです。

――若い子が読んだら、恋愛の勉強になるのでは?

岩田:それはあるかもしれませんね。ある種の教本になってくれたらいいと思います。恋愛って綺麗事じゃないし、汚いけどピュアだったり、いろんなことがあって、とても素敵なことです。苦労もするし、泣きもする。でも心が豊かになることなんだよ、と。

だからいま、「18歳以上の女性限定」のルールを取っ払いました。いちおう「中学生以上推奨」とは謳いますが、僕らが作る作品はいままでと変わらず「大人の女性に向けた作品」のままです。コンセプトは何ら変わりません。

――いままでのカナタのファンも安心ですね。

いしい:いままでと同じ私が書いているので、それは心配しないでください。変わらないというか、変われませんから(笑)。

作家・いしいのりえさんの作風の変化10年間で変わったスタイル

――とはいえ、10年書き続けてきて作風に変化はありませんか?

いしい:どうかなぁ? 年齢を重ねても恋愛小説を生み出せる人って、すごいと思います(笑)。

岩田:いやいや、のりえちゃんも書いてるから(笑)。僕が読ませてもらって感じる変化は、客観性を求めるようになっているのかもしれない。

いしい:あぁ、そうかもですね。周囲を眺められる余裕ができてるのかなぁ。

岩田:作家さんに対して本当に失礼ですが、言葉を選ばずに言わせてもらえば「深みが出た」と思います。恋愛に対する向き合い方とか、いわゆるやりとりとか、言葉の裏にある何かの感情が動いているように感じます。

――岩田さんが読んで、そう感じますか?

岩田:僕はカナタでは演出と役者をしているのですが、のりえちゃんの作品の行間を読むんですね。特に演者としての自分は、作家さんが書いたセリフとセリフの間にある人間の感情を読み解いて表現します。そうしないと、薄っぺらい表現になってしまいますから。そういう観点でも言わせてもらうと、のりえちゃんの作品は10年前と比べて「深み」が増したと思います。

――具体的な例はありますか?

岩田:そうですね。例えば「セックス描写」ですが、セックス描写が少なくなればなるほど、僕らがちゃんと行間を読み取らなければならないと思うんです。逆に言えば、ある程度具体的なセックス描写があると楽なんです。セックス描写がなくなった「トライアングル」は、僕ら演者がちゃんと作家の意図を読み込まなければ表現できない。いい意味でハードルが上がってきています。

後編は時代に合った「愛交物語」について

インタビューの後編は、新シリーズ「トライアングル」が描く「愛交物語」について語っていただきました。10年間で変わってきた恋愛のスタイルを、作品にどのように反映されているのか? 9月18日から始まる公演は、どのようになるのか? 岩田光央さんといしいのりえさんが語ります!

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