音楽
待望の新曲リリース&楽曲配信解禁! 畑亜貴ロングインタビュー

畑亜貴が描く次なる世界は「魂の放浪」 いつか灰になるその日まで、なぜ生きるのかを自分自身に問いながら孤高の旅を続ける──新しいモードで表現した新曲「蜿蜒 on and on and」を語る 畑亜貴さんロングインタビュー

 

過剰なサウンドを求めていた

──「蜿蜒 on and on and」は“ここじゃないどこか”に誘われるような、妖しげなサウンドが魅力的です。どのように作られたのでしょうか。

畑:だいたい歌詞とメロディを同時に頭の中で描いて作っています。簡単なデモテープを作ってアレンジャーの加藤達也さんに「砂漠」「遠い世界」といった妖しいキーワードを出しながら「こういうところにもコーラスを入れたいんだよね」「(場所は)日本じゃない別の場所、無国籍な感じを出したい」って具体的に相談して。

──加藤さんとはお付き合いも長いですよね。

畑:そうですね。毎回新鮮なものを作ってくれます。加藤さんは世界観を分かってくれて「それそれそれ!」とお伝えした以上のものを描いてくださっています。簡単なデモを作ったあと、仮アレンジをしていただいて。

そこで全体の雰囲気を見ながら生の楽器を入れて最終的に歌を入れていくんですが……今回はいちばん大変だったのがスケジュールを合わせることで(笑)。なかなか合わなくて、そこで時間が掛かってしまったんですけど……なんとか……間に合って良かった(笑)。

──(笑)。加藤さんならではというか、「何の音だろう?」と思うような不思議な音が散りばめられていますよね。

畑:それが異世界感を出してくれてるなって。音を支えるドラム、ベースがかなり激しく展開していて、そこに激しくストリングスが鳴って、激しくコーラスが重なるっていう、この過剰なサウンド、異世界感というのが、自分が求めていたものだなと思っています。

──蜿蜒(えんえん)というのは、蛇がうねりながら行くさまや、うねうねとどこまでも続くさまの意味です。なかなか聞きなじみのない言葉ではあると思うんですが、畑さんの人生を表した言葉でもあるのでしょうか。

畑:蜿蜒とやり続けるしかないなと。それが曲がテーマになるんだろうなと思ったときに、タイトルで良いんじゃないかなと。あと、英語と日本語が合体したタイトルを作ってみたいなと思っていたんです。口に出しても面白いかなって。

「蜿蜒 on and on and」って「言いにくい」「みんな困れ」と思いながら(笑)。ソロでしか使えない言葉ですよね。さすがにキャラソンでは使えないだろうし(笑)。

 

 

あがいてもがいて。生きてる限り痛みは続く。

──日本語と英語の組み合わせのタイトルも新鮮でしたが、2曲目の「砂海パラソル」も不思議な組み合わせですよね。

畑:以前「透明なパラソル」という曲を熊田茜音さんに書いたんですけど、そのときに「彼女には透明なパラソルって雰囲気が合うな。自分だったらもっとエグいものかな」って考えていて。それが頭に引っかかっていたんです。

「砂海」という言葉は浮かんでいたので、パラソルを使えるのは今かもしれない……! ほかに誰も使っていないはず!と思って、このタイトルになりました。

──なるほど、そこに繋がるんですね……!

畑:今回もタイトルで遊んでみました(笑)。「蜿蜒 on and on and」「砂海パラソル」は、砂漠の昼と夜のようなイメージで。動のサウンド、静のサウンドで、対になるようなシングルにしたいなと思っていました。

2曲ともいろいろな音が散らばっているので、それを拾う楽しみもあるのかなと。「砂海パラソル」は西岡正通さんのギターの飛び道具フレーズ的なものがたくさん入っているので。

──「これギターの音なのかな!?」と思うような不思議な音色が入っていますよね。

畑:そうなんですよね。ひよ~ん、ぶよ~ん、びゅわ~んといった不思議な感じの音をいろいろ入れてくださったので(笑)。ぜひそこを楽しんで欲しいです。

──畑さんの歌声は浮遊しているかのような、ゆったりとした歌声です。

畑:「蜿蜒」でイキりすぎて疲れちゃったのかもしれません(笑)。

──(笑)。<なぜ生きる 毎日想う でも生きる きっといつか答えがわかる 答えがわかる わかるの?>という自己への問いかけは、畑さんの今のモードを感じさせます。<痛みは日々心を濡らす 私が私である限り>という言葉にはハッとさせられました。

畑:痛みって生きてる限り消えないなって。その言葉ってもう自分の一部なんです。自分が自分の感受性で生きてるから、常にその痛みは産まれ続ける。それを認めることで生きてるって実感が沸いてくるというか。悩みなき人生なんてないんですよね。

 

 
自分がたとえ憧れている誰かになったとしても、その人にはその人の悩み、痛みがあって。それを理解できることができたときに、歳をとって良かったのかなと思いました。痛みと同居できるようになったというか。

──できるように……なるものなんですね。

畑:なりますね。痛みだって認めちゃえば。その痛みを癒そうって考えちゃうと難しい。痛みは痛みのまま、ここにあります、以上!って思うと「まあそういうことよね」って受け入れられるようになりました。

──自分がたとえ憧れている誰かになったとしても、とおっしゃっていましたが畑さんはいろいろな方の憧れでもあって。

畑:ええ!? 言っときますが痛み多い人生ですよ(笑)。私の人生をもう一回やることはしんどいです(笑)。曲を作れたこと自体喜びであるけど、望まないこともいろいろあり過ぎました。求めても手に入らないものもあるし。

──確かに。というか、さきほどから「確かに」としか言葉が出てこないです……!

畑:(笑)。でも、そうですね……。そんな痛みを歌にすることによって、痛みが同居していることが楽しくなったというか。

──それってまさに最初の「つまらない」と一緒! 

畑:そうなんです!子ども時代の私が「つまらない」って歌を作ったときの感覚と一緒。あ、でも結局そこなんだなって気づいたんです。もうそういう人生なんでしょうね(笑)。もがいてあがいて。自分の心に誠実に向かい合って作る、それしかないなと。

──畑さんの人生観がこの2曲に詰まってるといっても過言ではない。

畑:もう包み隠さず全部詰まっています。もういい意味で開き直ってるというか(笑)。「そういう人生だからさ!」って。自分に素直になるしかないなと。

 

畑亜貴の概念とは

──話が変わるんですが、以前畑さんの中には11人いるとおっしゃっていましたが……今も変わらず11人ですか?

畑:そうですね。女子高生とか(笑)。そうじゃないと『ラブライブ!』とか書けないですから(笑)。

──畑さんの中に女子高生がいるのはとてもとても感じています……! また、HPのタイトルの「畑亜貴という概念」についても、いつかおうかがいしたいと思っていました。どんな思いを込められているのかなって。

畑:ドヤ感あって恥ずかしいなと最近思うんですけどね(笑)。自分という実態があることを……歌詞を読む人には伝わらなくていいかなと思っていて。実際仕事で作っている曲に関しては自分らしさを入れようと思ったことがなくて、そこに自分はいないんですよね。

それが概念っぽいなというか。自分の存在は忘れてもらって良いのですが、聴いてる自分の好きな曲を見たときに「作詞:畑亜貴」って書いてあるって現象が起こるとちょっと面白いかなって(笑)。

──その概念ってソロのときはどうなんです?

畑:私の歌を聴いてというより「この曲良いよね!」って一緒に言いたい感じです(笑)。

──友だちに話しかけるような感じで。

畑:まさに! 「最近私気に入ってる曲なんだけどさ」って感じで(笑)。心はその立ち位置です。だから「聴いて聴いて!」って思うんですけど「でも私は見ないで」という感じでややこしい(笑)。じゃあミュージックビデオどうなるの?っていう。

──聴いて欲しいけど見ないでほしい(笑)今回もミュージックビデオがありますが……。

畑:ミュージックビデオは見て欲しいんですけどね。私という個体はあまり意識しないですけど。

──個体(笑)。今回のビジュアルイメージはどのように固められたんですか?

畑:砂漠に行きたいと。でも日本から出られない。じゃあ鳥取に行こう!と。

 

 

──これ鳥取なんですか!? 海外のような異世界感がありますね。

畑:鳥取砂丘です(笑)。めちゃくちゃ良いところでした。私、らっきょう大好きなので、合間にらっちゃん(鳥取県のらっきょうのマスコットキャラクター)と写真を撮りました。MVは場所を変えて千葉で撮ってます。

10年前に「断崖の己惚れ屋」(2010年12月リリースの4thシングル)のMVを撮った場所と一緒で。意図したわけではなく、たまたま映像チームが選んだ場所がそこだったんです。

──運命的ですね。今回の2曲を聴いてアルバムを聴きたいなと思ったんですけど……。

畑:ああ、作りたいですね。年単位が必要になるので、ちょっとずつ曲は書いているんですけど。いつできるかなって感じですけど、考えてはいて……(と、ランティスの担当を見る)。

ランティス担当者:いつでも歓迎です(笑)。

畑:そういうことなら次の目標にしたいなと思います(笑)。

──楽しみにしています。ありがとうござました!

[取材・文/逆井マリ]

 

配信情報

「蜿蜒 on and on and」

 
畑 亜貴がランティスで過去にリリースした楽曲をサブスクリプションサービスにて、ストリーミング配信解禁! これを記念しニューシングルを配信リリース!

 

収録曲

蜿蜒 on and on and
 (作詞・作曲:畑亜貴 編曲:加藤達也)

CW/ 砂海パラソル
 (作詞・作曲:畑亜貴 編曲:西岡正通)

2021年8月13日より配信中

 

配信リンク

「蜿蜒on and on and」再生はこちら:https://lnk.to/LZC-1688
各種ストリーミングサービスはこちら:https://lnk.to/000149

 

関連動画

【MV「蜿蜒 on and on and 」】
https://youtu.be/Xs82H3Y3QRU

【全曲動画「蜿蜒 on and on and / 砂海パラソル」(short size with making video)】
https://youtu.be/rzHQoGsxpKQ

 

<What's Aki Hata?>

TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』『ラブライブ!』等の作詞をはじめ数多くのアニメやゲームソングの作詞・作曲で、これまでに提供した曲数は1800曲を越える。2015年から田代智一、黒須克彦、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)とともにプロデュースチーム・Q-MHzを結成。ソロアーティストとしては、NHKみんなのうた「図書館ロケット」TVアニメ「ビッグオーダー」ED主題歌「毀レ世カイ終ワレ」など。

 

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