音楽
ReoNa×新生『月姫』コラボレーションの軌跡|ReoNa「生命線」インタビュー

絶望系アニソンシンガー・ReoNaが彩る、長編伝奇ビジュアルノベル『月姫』・新生主題歌「生命線」ロングインタビュー|作品の中にある絶望感、孤独感、痛み。想像していた以上に撃ち抜かれました

2021年、夏。ReoNaのお歌と共に伝説が蘇る――。奈須きのこ・TYPE-MOONがおくる伝奇ビジュアルノベル『月姫』。 リメイク版の『月姫 -A piece of blue glass moon-』の主題歌をReoNaが担当すると発表されてから約半年。新生『月姫』も、ReoNaの主題歌も、言葉通り“待望の”リリースである。

「死の線」を見る能力を持つ主人公・遠野志貴を中心に物語が展開する本作。『月姫 -A piece of blue glass moon-』は、“アルクェイド”シナリオ『月姫』と“シエル”シナリオ『夜の虹』の2篇で綴られる。作品を新生させるにあたり、奈須きのこ自らの手により分解し再構築された物語は2010年代の東京を舞台にアップデートした。

『月姫 -A piece of blue glass moon-』に続き、新主題歌「生命線」を筆頭に、“アルクェイド”シナリオ『月姫』と“シエル”シナリオ『夜の虹』の物語に寄り添った楽曲がパッケージされたEPが、9月1日(水)にリリースされる。

制作を手掛けたのは、ReoNa楽曲、『Fate/Grand Order』の音楽などを手掛けているLIVE LAB.所属のクリエイター・毛蟹。彼女と毛蟹の人生に新生『月姫』が交差するのはもはや必然だったのかもしれない――本作の制作について紐解いていくと、運命的とも言える軌跡があった。

「実は2018年の秋にはあった曲でした」

――デビューシングル「SWEET HURT」からあっという間に3年が経とうとしています。

ReoNaさん(以下ReoNa):ソロデビューから丸3年。毎年この時期になると「あれから1年、2年……」と振り返るんですけど、毎年こういう未来は想像してなかったなと感じることがものすごく多いんです。年が明けてからツアーがふたつあって、アコースティックツアーもあって、はじめてのライブBlu-ray/DVD(「ReoNa ONE-MAN Concert Tour "unknown" Live at PACIFICO YOKOHAMA」)のリリースもあって。今年はリリースが重なっていることもあって、それを強く感じる場面が多いなと思います。

――個人的な話で恐縮なんですけど、「生命線」の<掌に刻まれているツギハギのようなその線に触れて>というはじまりの言葉を聴いたときに、3年前の同時期にリリースしたデビューシングルの「SWEET HURT」<腫れた背中のかさぶた千切れた羽根が生えていた跡傷>という言葉が不思議と横切りました。

ReoNa:確かに。言われてみれば傷をずっと歌い続けているなという気持ちもあります。それと……いまお話を聞きながら「目に見えない何かを感じていただけたのかな」とも思ったんですが、実は「生命線」は遡ること、それこそ「SWEET HURT」のリリース直後にできた曲なんです。2018年秋ごろで。

 

 

――えっ! じゃあもうそのころから曲があったんですか!?

ReoNa:実は当時からある4曲なんです。「生命線」は2019年末には完成していて。他の楽曲も2020年の春には完成していました。制作、発表までの時間をたっぷり掛けていたので、だから待望の発表というか。ゲームができるまでの時間がものすごく長いものだとは知っていたんですが、その分、できあがって発表するまでのドキドキ、ワクワクの時間を長く味わせてもらいました。今はようやく発表されるんだなという思いです。

――つまり4曲ともデビュー後すぐからあったということですか!?

ReoNa:はい。そんなに驚いてもらえるとは思わず嬉しいです。当時はまだどの楽曲を主題歌に置く、というところが確定ではなく、ReoNaの楽曲を毛蟹(LIVE LAB.)さんに作っていただいて、この4曲をお渡ししていて。だから最初は「どの曲が主題歌になってもいい」といった気持ちで毛蟹さんが作ってくれていました。

私自身も「どれか主題歌に選ばれたらいいな」という気持ちだったんですが、「全曲ゲームに使用させてください」というお返事をいただいて。結果的に、この4曲全てが、新生「月姫」関連楽曲、となりました。

TYPE-MOONのサウンドプロデューサー・芳賀敬太さんとも、今回のE.P.に収録される楽曲や「月姫」という作品についてなど、毛蟹さんを交えてお話させていただく機会があって、たくさん楽曲の感想もいただきました。

――新情報が多すぎてビックリしています。芳賀さんとのお話はどこかに掲載されるんですか?

ReoNa:CDのブックレット(全形態のCDに同封)に、私と毛蟹さん、芳賀さんとのインタビューが掲載されています。

 

 

――見どころも聴きどころもたっぷりですね。ReoNaさん自身、『月姫』のお話が決まったときはどのような心境だったのでしょうか。

ReoNa:幻、伝説と言われている20年間も愛されてきた作品のリメイクの主題歌。制作されている皆さんの熱量、愛情、想いもものすごく深いものでしょうし、皆さんの期待が大きいことは感じていたので、正直不安もあったんです。でも想像以上に温かく迎えていただいて。

――ReoNaさん自身は『月姫』はご存じでした? 最初の販売は1999年で、しかも入手困難な作品なので、手に入れるのは難しいとは思うんですが……。

ReoNa:20年前に発売された作品ということもあり、タイトルは聞いたことがあったのですが、実際にゲームはプレイしたことはありませんでした。最初は物語のあらすじすらも分からない状態でした。今回お歌を歌わせていただくにあたってコミカライズ版を読んでみたり、いろいろ調べて。いろいろな情報を知れば知るほど、プレイすることを心待ちにされている方がたくさんいる作品なんだなと感じました。また、『Fate』シリーズでTYPE-MOONさんを好きになって、掘っていったら源流に『月姫』があったという方もいらっしゃるだろうなと。

自分と同じ年くらいの作品に携わらせていただくということもなかなかなくて。不思議なご縁だなと思っています。

――ReoNaさん、『月姫』、共通する世界観があるように思います。ReoNaさんは『月姫』に触れられて、どのような印象を持ちましたか?

ReoNa:コミカライズ版を読ませていただいて、作品の中に絶望感、孤独感、痛みがあって。『月姫』というタイトルからは想像ができないところもあって、想像していた以上に撃ち抜かれました。「こんなに泣かされると思わなかった」というくらい泣いて。読み終えてしばらくは『月姫』ロスのような状態に。「早く他のルートを読みたいな」と思いました。

――今作を作っているのは全曲毛蟹さんです。毛蟹さん自身は『月姫』がお好きだったのでしょうか?

ReoNa:大ファンだったそうです。だから最初のデモ音源を作るときから、深い思いと情熱があって。毛蟹さんをはじめReoNaチームの中に『月姫』ファンが多いんです。だからこそご縁も感じています。

3曲目に収録されている「Lost」という楽曲は、毛蟹さんが十数年前、TYPE-MOONさんの世界観に傾倒している時期に、二次創作のような形で、『月姫』のイメージして創作したものなんです。当時は日本語詞もありましたが、新生『月姫』ということで、「Lost」も新生「Lost」にと、全部英語詞になりました。

――お話を聞いていて鳥肌が立ちました。ReoNaさんにとってもですけど、毛蟹さんにとっても運命的とも言えるご縁があったんですね。

ReoNa:本当にそう思います。このゲームがふたたび出ることを心待ちにされていた方のひとりだと思うので、計り知れないほどの熱があるんだろうなと。

TYPE-MOONさんの作品って “沼に引きずり込む力”があるというか。こんな世界が自分の日常の隣にあったらいいなと思わせるような、自分の世界が広がるようなものを持っていて。シナリオご担当の奈須きのこさんはじめTYPE-MOONのチームの皆さんは、いったいどんな目でこの世界を見ているんだろうと思うくらい、現実世界に近いにも関わらず、とんでもないSF世界、ファンタジーでもある。そうしたものに毛蟹さんは影響を受けてきたんだろうなと思いました。

――ReoNaさんファンにとっても、毛蟹さんの楽曲が好きな方たちにとってもたまらない内容ですね。

ReoNa:今回は楽器のレコーディングだけじゃなく、ボーカルのレコーディングのディレクションも毛蟹さんにお願いしているんです。レコーディング現場の最前線に立ってメインでやりとりさせていただいて、毛蟹さんの想いをお歌にたくさん乗せる事ができた特別な制作でした。

(C)TYPE-MOON
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