『東京カラーソニック!!』Unit.3とUnit.4のストーリーをレビュー｜環境の差が大きい永久と未來、1人を好む海吏と神楽。胸に響く、本当の“バディ”になるまでのお話【ネタバレあり】

「喧嘩するほど仲がいい」この言葉がぴったりハマる海吏×神楽

ユニットCDのラストを飾るのは、“鬼才×奇天烈”のボーカル学科3年・倉橋海吏（CV：武内駿輔）と“理事長息子×一匹狼”の作詞作曲学科3年・高槻神楽（CV：江口拓也）ペアです。

筆者自身、このペアがどんなやり取りを繰り広げるのか1番想像がつきませんでした。ボイスドラマを聴き終わった今、「なるほど……！こう来るのか！」と衝撃を受けています。

ふざけたような態度を取る海吏にいつも怒っている神楽。この図がこの2人の通常コミュニケーションと言っても過言でないほど、終盤まで同じようなやり取りをしています（笑）。

▲（左）海吏（右）神楽

そんな2人の様子に芦野先生も田所先生もお手上げ状態。神楽はツンツンしていてプライドが高い高飛車な人なのかな？と思っていましたが、意外と純粋で素直な一面もあるんです。

「色ノ葉音楽学院」の理事長である父から「自由を恐れている」「臆病な自分に気づかない限り永遠に同じ曲を作ることになる」と指摘され、自身の曲作りに悩みます。

一方、ボーカル担当の海吏は、プロになってもおかしくないレベルと田所先生から言われるほどの腕前の持ち主。

周りから変人扱いされているように変わった人ではありますが、友達との約束を果たすために「カラソニ」に参加していることが発覚します。見かけによらず友達想いで、しっかりとした“信念”を持っているんです。

フェスまでの時間が差し迫っている中、なかなか思い通りに曲作りが進まない神楽。作り直した楽曲を海吏に聴いてもらいますが、「音に心がない」「焦りが出ている」と図星を突かれブチ切れてしまいます。

おそらく、神楽は自分でわかっているんでしょう。自覚しながらも素直に認められない、自分でもどうすればいいのかわからないという悪循環にハマってしまっているんですね。田所先生から「どうして優勝したい？どうして音楽を作っている？」と聞かれ、返事に躊躇してしまうシーンも印象的でした。

そんな神楽が抱えている悩み、不安、焦りを解消してあげるのが、海吏の歌なんです。あんなにぶつかり合っていた2人なのに、海吏の歌声を聴いて素直に実力を認め「すごい」と本人に伝える神楽。ここで彼は真面目で素直な子なんだなと強く感じました。

その神楽の反応が意外だったのか、少し照れ臭そうに「お前はお前の音で俺を表現すればいい」と話す海吏もすごく良い。

2人は似た者同士なのかもしれない……と思いましたし、1人で何とかできるとペア制度に反対していた子たちが、少しずつ相手を認め距離を縮めていこうとするシーンはたまりません。（最初はいがみ合ってた者同士が徐々に心を通わせていく過程が大好きなんです）

音楽が楽しいものであったことを思い出した神楽は、駿河大臣の色ノ葉音楽学院廃校計画を知り、学院を守りたいと海吏に協力を求めます。ここのやり取りが“2人らしいなぁ”と筆者が感じたポイントでもあるので、ぜひ注目して聴いていただきたいです。

そして、学院と「カラーレーション」を守るために海吏と神楽は動き始めるのですが、やっと音楽の楽しさを思い出して目が輝き始めている神楽を巻き込むわけにはいかないと、海吏が1人で行動します。

「なんで1人で行動するの！？」「せっかく2人で力を合わせようとしていたところなのに！」と筆者自身思いましたが、これには海吏の親友だった“ますみ”が深く関係しているんです。

「悔いのないように一瞬を大切に生きて欲しい」と交わした約束。海吏なりに考えて、自分が後悔しないように、相方である神楽を守りたい気持ちから行動を起こします。すごく良い子ですよね、海吏……。

あんなにお互いを認め合おうとしなかったのに、今度はそれぞれが相手を守る立場で動こうとしている……そんな2人の関係が、ユニットCDのジャケットにも現れているように思えて仕方がありません。

【ドラマCD】東京カラーソニック!! Unit.4 海吏×神楽

　
打ち解けたかと思えば、すぐに言い争いを始める2人も2人らしさを感じて、終盤では自然と微笑ましく感じられるようになります。終盤の2人の言い争いは、もう夫婦漫才に見えてきます（笑）。

まさに、それぞれの大きな分岐点となった2人の出会い。神楽の音楽に対する熱い気持ちに影響され、自分も魂を入れて歌いたくなったと海吏がレコーディング前に話します。

2人の魂が入っている楽曲「Don't back down」は、ぜひストーリーを踏まえた上で聴いて欲しい楽曲です。