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春アニメ『群青のファンファーレ』矢野奨吾(有村優役)インタビュー【連載第1回】

春アニメ『群青のファンファーレ』有村優役:矢野奨吾さんインタビュー|アイドルのセンターからジョッキーを目指す少年へ。人生をかけて競馬学校へ入学する彼らの成長物語【連載1回目】

群像劇だけじゃない、競馬学校ならではのシビアな面にも注目してほしい

——矢野さん演じる有村優について、最初はどのような人物だと思われましたか?

矢野:幼い頃から芸能界という大人たちがたくさんいる社会で育ってきているので、良い意味でも悪い意味でも周りをよく見られる、ちょっと大人びている印象を受けました。

なので、最初は自分の意思や意見を表にあまり出さない子で、一歩引いているような感じなのかなと。PVを見ると分かるように、あんなに大きな記者会見で芸能界を辞めて競馬学校に入学する報告をするということは、アイドルとして地位のある子だと思うんです。

その地位を捨てて、ゼロから始まる競馬学校に行くことが本当にすごいですし、仮に自分が声優を辞めて、ゼロから何かを始めることができるかと考えたら、絶対にできないと思います。

そこを考えると、有村優は一度決めたら実行する芯の強さみたいなものがある子なんだなと思いました。

——確かに。今の地位を捨てるほど、騎手になりたい気持ちがとてつもなく大きいのでしょうね。

矢野:意思の強さはもちろん、若さ故の根拠のない自信も絶対あると思います。僕が15歳の頃は、優のような人生を左右する決定をしたことがなかったので、大人になった今では尚更すごい決断ができる子なんだなと思いました。

——そんな優が競馬学校でどのような成長を遂げるのか気になるところですが、他の登場人物たちとどのように絡むのかも気になります。

矢野:想像していただけると分かると思いますが、アイドルだった人間が何の実力も知識もなく競馬学校に入って「俺は騎手になるんだ」と言ったところで、もっと早い時期から騎手を目指していた子たちからすると「何だこいつ」となると思うんです。

最初は「お遊びで来ているんじゃないか」と見られたり同期生と衝突することもあります。でも、少しずつ彼の本質であるストイックな面が認められ、みんなに受け入れてもらえる過程に注目していただきたいなと。

——優の成長過程は見どころの1つですね。

矢野:はい。すべてを投げ打ってでも自分のやりたい夢に出会い、新しい世界に飛び込む覚悟をしているとは言っても周りからの目は気になりますし、やっぱりしんどいことかと。よっぽどの強さがないと乗り越えられないと思います。

でも、アイドルの“音無優”ではなく“有村優”として、周りに認めてもらうために自分を認めたり、そういう姿勢が周りの心を動かしたり、少しずつ認められていく過程を見ていただきたいです。

もちろん、そこまでには大きな壁もありますが、だからこそ仲間が大きな存在になっていきます。

——脚本を読ませていただきましたが、騎手になる道は相当険しいのだと感じました。青春群像劇ではありますが、本作ではそのシビアな面も描かれていますよね。

矢野:そうなんです。僕も資料をいただいたとき、そこに“ブラッド・スポーツ”と書かれていて、「ブラッド・スポーツって何だろう?」と。

競馬において馬の血統はとても大事なことで、やっぱり血統が良くて早い馬が勝つというイメージがあると思うんですが、馬の血統だけじゃないんです。“人馬一体”という言葉があるように、馬の気持ちを理解していかなければいけない、人間側にも“ブラッド・スポーツ”のブラッドが関わってくると思いました。

たとえば、騎手になるためには体重制限があるので、身長が高ければそれだけ体重を落とすのも大変だと思うんです。“じゃあ小柄のほうが有利だよね”と思いますが、体型は自分の意思ではどうしようもないですし。

そういう意味では、“血”というものを誇れる瞬間もあれば呪う瞬間もある。そういうところが本作ではかなりシビアに描かれています。他のスポーツの厳しさとはまた異なる、努力ではどうすることもできない厳しさを感じていただけるんじゃないかなと思います。

——この作品を通して騎手のバックグラウンドを知ることができるので、競馬自体の印象がガラリと変わりそうですね。

矢野:本当にその通りです。この作品で騎手になるまでの過程を知ってレースを見ると、泣けてくると思います。

馬についても、引退式にたくさんの人が集まる様子などがメディアでも取り上げられていますが、最初は正直あまりよく分からなかったんですが、この世界のことを知れば知るほど、そういった場にたくさんの人が集まったり感動したりする理由がわかりますし、レースで1着になって騎手がインタビューで涙する姿もすごく胸が熱くなると思います。

この前、初めて東京競馬場に行ったんですけど、すごく設備が整っていてびっくりしたんです。たぶん、皆さんが想像しているよりもとても大きくてテーマパークのようになっていました。

そこでレースができるのは本当にすごいことで、まさに夢の舞台だなと一瞬で感じられる光景でした。

——そう思うと、この『群青のファンファーレ』は物語や登場人物たちを通して競馬の世界を知ることができる入門編のような作品になりそうですね。

矢野:そうですね。競馬ファンの方たちからどういう目で見ていただけるのか、どのように感じて貰えるのかもすごく楽しみです。

(C)Fanfare Anime Project
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