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春アニメ『群青のファンファーレ』橘龍丸(桜庭惣司朗役)インタビュー【連載第4回】

春アニメ『群青のファンファーレ』桜庭惣司朗役:橘龍丸さんインタビュー|豊永利行さんと1対1で収録した印象深いシーンとは? 青春の中にも大人のような葛藤がある競馬学校の世界【連載4回目】

豊永さんと一発録りをした海辺のシーン

――オーディションは惣司朗だけ受けたのでしょうか?

橘:2役受けさせていただいたんですけど、やっぱり自分の中では惣司朗の印象が強く残っています(笑)

――それだけ惣司朗の印象が強かったんですね。すんなり役にも入ることができたんですか? あるいは、いろいろ考えたり気持ちを作ったりされたのでしょうか?

橘:テープオーディションのときは、いただいた資料に書かれたことを踏まえて考えながら表現しました。いつもは複数のパターンを録って比較しながら路線を決めていくこともありますが、惣司朗に関しては1回録った時点で「これだな」と。これで違うなら、元から自分の惣司朗の捉え方が間違っているだろうなという気持ちでテープを出しました。

その後、現場でやらせていただいたときも、これはこうしてほしいという監督からの要望などはなく、なんだったら“好き放題やってください”みたいにおっしゃっていただいているので、“では好き放題させていただきます”って感じです(笑)

――その“好き放題”が求められているのですね。

橘:尺や間の間隔も監督は気にしなくて良いと言ってくださるので、のびのびとキャラクターのいいところを出させてもらえてるなと思っています。やりすぎたら止めてくれるんだろうなっていう思いでやっていますが、今のところ、止められていないので良いんだろうなと(笑) 基本的に、オーディションテープ時の印象と惣司朗の印象は変わっていないです。

――では、最初に感じた惣司朗の印象はどうでしたか? 

橘:惣司朗は競馬一家で育ったサラブレッド。自分でサラブレッドっていうのはおこがましいですけど、僕も幼い頃から父親と一緒にお芝居をしてきました。声優としては3年目くらいですが、役者としてだと21年くらい経つので、そういった意味ではこの業界でも長いとは思います。

生き方としては、場所は違えど、惣司朗と僕は似てるかなと。まだ掘り下げられていないので、惣司朗と父親がどういう関係値になっているのかわかりませんが、その関係性も気になります。

――橘さん自身は、仕事場が同じお父様とどのような関係だったのでしょうか。

橘:うちの劇団では父が座長で僕が二代目、若座長的な花形のポジションだったので、基本的には父には敬語でした。「本日もよろしくお願いします。」みたいな。

親子であっても仕事中に関してはメリハリをつけるというか。そういった意味で父との距離感をつかみかねるときもあったので、惣司朗くんもそういう時期もあったんだろうなと。昔の自分を思い出しながら演じている部分もあります。

――やはり、家庭での父親と劇団での姿では全然違うものなのでしょうか?

橘:そうですね。僕が劇団を抜けて上京して、こうやって声の仕事をさせて頂いてる中で父との関係値はだいぶ変わりました。昔は仕事仲間という感じだったんですけど、今はちゃんと親子になったというか。いい意味で父親とくだけた関係になった感じがします。

正直、昔は父の好きじゃない部分もありました。自分自身も大人になってみると「父の言動って僕のためだったんだな」とか「あのときの言葉はこういう意味だったんだな」ってわかることもあって。

1つ距離を置いたからこそ、当時は冷たく感じた父の態度を改めて解釈することができるようになったことを、惣司朗を演じる中で思い出せたような気がします。

僕も親父とギスギスしたときがあったし、何を言ってもこの人は僕の話を聞かないなって思った時期もありました(笑)

――大人になってから親の言っていたことが理解できることって結構ありますよね。また、惣司朗はお調子者ではありますが、意外と周囲を観察している子だと思いました。

橘:そうですね。テキトーにチャラついてはいますけど、実際は俯瞰して周りを見ていたりするので僕も演じながら「ここで惣司朗は俯瞰しているんだ」って思ったりしています。

この場面で惣司朗は何を思って周りの子達を見ているんだろう?って気になるシーンは、「過去になにかあったのかな……?」と思わせる部分でもあったり。あくまで今は憶測ですが、その答え合わせが自分の中でもできるようにしておきたいと思っています。

――先ほど、宝生迅人役の豊永さんにインタビューさせていただきましたが、「惣司朗は美味しい役!」だとおっしゃっていました。

橘:(笑) 迅人くんと絡むシーンが結構ありますが、僕自身、まさかトシさんと絡めると思ってなかったのですごく嬉しいです。それこそ、惣司朗のそういう一面や誰も気づいていない部分に迅人がいち早く気づいたんだろうなって。

やっぱりお互いに親の代からっていう部分があって、通じ合うものがあったんだろうなって思うと感慨深いです。第4話で惣司朗に迅人が気を使ってくれるんですよ。

そのシーンがすごく印象的でした。このシーンは生っぽくやりたいなって思っていたので、もしかしたらセリフが被っちゃって申し訳ないかもと思いつつ、トシさんのセリフを聞きながら自分のセリフを言いました。

尺の問題もありますし、画のタイミングも考えると自分のやり方は良くないだろうなと思っていましたが、監督から“ここはパク(尺やキャラクターの口の動きに合わないこと)とか何も気にしないでやってください”と言っていただいて。

なので、そのシーンに関しては、1回も止めずにセリフの被りも全部そのままでやることができました。個人的に、ものすごい良いシーンになってるのではないかなと思っています。

そこでトシさんともかなり繋がった感じがします。トシさんの長年やられているスキルというか、技を見させていただきました。それに負けじと行こう!という感じで突っ走っていったら、いつの間にかシーンが終わっていましたね。

――どのような仕上がりになっているのか、そのシーンが楽しみですね!

橘:はい。画を作ってくださっているスタッフさんにはご迷惑をおかけしたと思うんですけど、かなり攻めたお芝居をさせてもらったなと。音響さんやミキサーさんも音を調節するのが大変だろうなと思いながらもお芝居させていただきました(笑)

ある種、舞台をやっているかのような、一対一で映画のワンシーンを撮った感覚に近いかもしれません。それができたのはやっぱりトシさんのおかげだと思います。僕が吐いた言葉を全部飲み込んでくださるんですよ。

(豊永さんがインタビュー現場に顔を出す)

豊永:橘さんの言うとおりです。

橘:噂をすれば……!(笑)

一同:(笑)

――惣司朗と迅人の関係性って、すごく良いですよね。

橘:ですよね! 迅人と絡むシーンがすごく好きになりました。だから、迅人がある問題を抱えて悩んでいるときは、すごく辛く悲しい気持ちになって。これから収録していくシーンなので、その後2人がどうなるのかすごく気になっています。

これからどういう風に惣司朗が関わっていって、迅人はどうなるのかが気になります。最初にいただいたオーディション資料の中に、迅人が抱える問題のことも書かれていましたが、惣司朗はどういう気持ちでどんな行動を起こすんだろう?と。この作品は本当にリアルな描写が多いので、そこにも注目していただけたらと思います。

――確かに。現実を突きつけられている感じもしますよね。

橘:夢を与えるばかりがアニメではないとも思うので、リアルな人間性を見せるのもアリかなと。10代が競馬学校という1つの場所に集まって、リアルな葛藤を見せてくれるのはなかなかないのではと思います。

序盤ではまだ深掘りされていないキャラクターもいるので、その辺りの子たちも葛藤や困難にぶつかるのかな?と気になっています。

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