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劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』音楽担当・橋本由香利インタビュー

劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』音楽担当・橋本由香利さんインタビュー|幾原監督との仕事は「魔法をかけられたよう」【連載第6回】

劇場版でできた音楽の"挑戦”

ーー劇場版で橋本さんはどのようなお仕事をされているのでしょうか。

橋本:劇伴については、8割くらい新たに手を加えています。一度作った曲をこんなふうに再編集すること、特に映画でーーというのは初めてのことで。そもそも、最初に劇場版の話を聞いたときは「音楽はサントラの音源を編集するくらいかな」と思っていました。けれど劇場版用に新しくレコーディングができることがわかってとても嬉しく、その機会を作ってくださった皆さんにはとても感謝しています。映像に合わせて再編集する作業はとてもエキサイティングでした。

ーー「映像に合わせて」とは?

橋本:劇場版はもともとのTVシリーズを編集しているので、映像の尺が決まっています。音楽をどこに当てるかを監督が全て決めていたので、はじめから映像に合わせて音楽を組み立てていきました。エピソードとエピソードのつながりを曲でつなげるためのオーダーが多く、TVシリーズとは違う使い方をしている曲や、曲の後半を作り替えて新しく足した曲がかなりあります。また、よりシリアスな印象を抱いてもらうような再編集が多かったと思います。

ーーTVアニメと劇場アニメでは、音楽の作り方に違いが生まれてくるのでしょうか?

橋本:かなり大きな違いがありますね。TVシリーズの劇伴は、どこでもある程度使える長さにするなど、フォーマットや汎用性を意識しながら作るんです。また音も、TVやデバイスで聞かれることを前提にした音量や調整を行います。

一方劇場では、サラウンド用の音響を考えて、映えるものを作っていきます。音響面の違いは大きくて、低音を出せたり、立体感を出せたりしますね。ここはすごく面白かったです。TVではLR(左右のスピーカー)しかなかったところ、横にも後ろにも広がるサウンドのトライができる。TVでは「TVだとうまく出せない音だな」とカットしていたような音を使うことができました。

ーー橋本さんの中で今回「挑戦」できた曲を教えてください。

橋本:サウンド面では「もうひとつの世界」です。もともとシーケンス・パターン(シーケンサーに打ち込んだ演奏パターン)に元からいろいろSE音が入っている曲なんですが、劇場版ではさらにいろいろな音をいろいろな箇所に当てはめているので、音響的に面白い感じになっているのではないかなと。オーケストラ的なアレンジもしているので、迫力と音像を楽しんでいただきたいです。

ーー再度『ピングドラム』の世界に向き合う中で、新たな発見などはありましたか?

橋本:「『ピングドラム』って、こんなシリアスな話だったのかしら?」と思いました(笑)。曲をつけるシーンがほぼシリアスで。そこを監督に聞いてみたら、「コミカルなシーンは今回あまり音楽をつけないようにしたんだ」と。

ーーなるほど! 劇場版前編では、晶馬と苹果とカエルをめぐるシーンが笑いどころのあるシーンでしたが、音楽としてはコミカルな感じではないですね。

橋本:「タマホマレ・ヒメホマレ」ですね! あれはより強烈な感じを補充していくようなオーダーでした。ストリングやコーラスを入れて、よりワイドでシリアスなテイストを目指しています。こうやって作り込んでいくと、TVシリーズでまずあった「汎用性」はなくなるのですが、劇場版の場合「このシーンのための音楽」というふうに作れました。

ーートリプルHにも新カバー曲がありましたが、そのアレンジも橋本さんが担当していらっしゃいますか?

橋本:トリプルHの曲は、劇中で使うシーンに合わせて私が基本的なアレンジをしています。今回劇場版公開に合わせてCD(劇場版「RE:cycle of the PENGUINDRUM」MUSIC COLLECTION)が発売になるのですが、そこに収録の「YELLOW BLOOD」「ファクトリー」などのフルサイズ版は、劇中アレンジにさらにアレンジを加えていただきました。

ーー新曲のこだわりをお聞きしたいです!

橋本:「YELLOW BLOOD」は冠葉がペンギン帽子を追いかけるシーンでかかる歌。元のオリジナルも早いテンポの曲ですが、車の速さに合うようなスピード感を出すことを重視しました。アップテンポにするとコミカルな印象になってしまって、どうシリアスにできるのかを考えて今のアレンジになりました。

「ファクトリー」は、剣山と幼い冠葉とのシーンにかかりますが、今風のエレクトロな音を入れてオリジナルとの差をつけつつ、悲しく感じられるようにアレンジしました。

ARBの石橋凌さんはすごく音域の広い方なんですよね。それをカバーするので、歌うトリプルHの3人は高音も低音も出さなくてはいけなくて大変だったんじゃないかな。たとえば「YELLOW BLOOD」はAメロパートを低く歌いつつ、1オクターブ上での歌も重ねて、スピード感が出るように歌ってもらっています。

ーーそれぞれシーンにぴったりでした。歌詞もそのシーンに当てはまる、響くところを感じます。

橋本:そうですね、監督も歌詞で歌を選んでいたように思います。できるかぎり、きりのいいところまで歌詞を入れられるサイズ感は意識しました。手前味噌ですが、音楽はサウンドの調整のおかげもあり、映画館で観る価値のあるものにできたのではないかと思っています。

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