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『BLEACH 千年血戦篇』黒崎一護役・森田成一が第1話を振り返る。10年ぶりのアニメは「もののあはれ」

秋アニメ『BLEACH 千年血戦篇』黒崎一護役・森田成一さんインタビュー「1話の卍解、月牙天衝は、声の成分を30%に抑えています。まだ本気じゃない」

『BLEACH』を令和の映像で

──作品に対する感情を「もののあはれ」という表現に集約するのが、森田さんらしいなと思いました。

森田:確かにそうですね(笑)。しみじみとしてしまうといいますか。終わりがある物語を最後まで演じる経験はほぼ初めてなんです。長くやっている『BLEACH』が最初に終わっていくのが、「あはれ」というか。それと同時に「をかし」でもあると思います。

若いうちであればすぐに答えを出そうと、シャカリキになっていたと思うんですけど(笑)、年齢を重ねて、必ずしも答えを出すことが正解ではないなと。答えを出さないのも答えのひとつだと思うんです。そこと今回は向き合っていければいいのかなと思います。

──ある意味、森田さんとしては良い時期に今回のお話が来たとも言えますか?

森田:どうなんでしょうか(笑)。僕、来月で50歳になるんですよ。

──本当に、まったく見えないですけども……。

森田:CGですから(笑)。最新の映像です。これからの取材は写真も含めてVRでも良いんじゃないかなと(笑)。

──(笑)。でも本当に時代が変わってきましたよね。それは今回の映像を見ても感じたことです。

森田:そうでしょ? 僕も驚きました! ここまでになったのかと。『BLEACH』のアニメが放送されていた頃ってスマートフォンが出始めたタイミングだったんです。当時はスマホでできることも限られていましたけど、今はスマホで映画を撮ることも可能な時代。

当然、アニメーションの在り方も変わりますし、映像も格段にレベルが上がっているわけですよね。どの作品も、もうすごいレベルになってきましたから。

時代が変化している中で『BLEACH』は「さあ、どうするの」と。ビックタイトルゆえにスタッフさんたちもかなり気合いが入っていました。studioぴえろさんの熱の入れようがすごいんですよ。

──愛情がすごいんですね!

森田:『BLEACH 千年血戦篇』が始まる頃、studioぴえろの本間(道幸)社長とお会いして、いろいろとお話をしたんです。「マジか!」と圧倒されるほど、本間さんの気合いがすごかったです。

同じくぴえろさんが制作している『キングダム』もものすごいクオリティの映像じゃないですか。その中で『BLEACH』はどうするのかと思ったら、とんでもない映像になっていたので「すごいぞこれは!」と驚きました。皆さんも確実に驚きます。

もはや週間アニメというより「劇場版」という印象がありました。しかも普通の劇場版ではなく「お金をすごいかけた劇場版クオリティ」。これを毎週やるの!?と。そこにセリフを乗せられることもすごく嬉しいです。

映像の時点で一護たちが生き生きと動いているんですよね。絵だけでも、ものすごく良い演技、感情表現がされていますす。じゃあ「そこにどう一護を乗せるの?」と。そういう新たな戦いもありました。

──制作陣の気合い、技術の進化によって、令和ならではの最新映像となるとともに声優として新たな戦いが生まれたと。

森田:声優としての表情の付け方を、すごく考えさせられました。今までは、声でその(表現の)部分を補完してきたところがあると思うんです。そこまでアニメーションを動かすことができないから、声で表情をつけて、映像の表現を補ったり、もちろん声だけでは表現できない部分を映像で補完することもありました。ですが、今はCGでガンガン動く。本作でもCGは使っていますけど、アニメーションの絵としてそれを作っていて。新しいアニメーションの表現の仕方を打ち出しているんですよね。

そこに対し、声優としてどうアプローチをして、どう演技を構築するのか。今までの演技とは違うやり方をしないと、絵とマッチングしないんじゃないかと。自分にとっても、新たなターニングポイントを作り出すきっかけになるのが、『BLEACH 千年血戦篇』ではないかなと思っています。完全な自画自賛ですけどね(笑)。

でもそれくらい、すごい映像になっています。アニメ関係の制作に携わっている方がこの作品を見たら、当然「これはすごい」と絶賛されると思います。これから先のアニメーションの在り方に一石を投じるような作品になると思いますし、なってほしいなとも考えています。

──このインタビューが掲載されるのは1話放送後なので、きっとものすごい反響があると思います。

森田:そう思います。先行上映会のときに、すでにファンの方が驚いてましたから。

──SNSでも驚きの声をたくさんお見かけしました。

森田:すごかったでしょ? PVの時点でも反響は大きかったんですが、その時にエゴサーチをしたら「これはPVだけのクオリティだろ」「このままいくわけないだろ」といった意見も目にしました。それは当然そう思うだろうな、無理もないな、と僕も思っていて。

ところが蓋を開けてみたらあのクオリティじゃないですか(笑)。「おいおいおい!」と。ファンの方たちもすごく驚いていたし、同時にすごく喜んでいて。昔から応援してくださっている『BLEACH』ファンの皆さんの中には、あの先行上映会で涙された方もいたようです。

──先行上映会だと大画面ですし余計に迫力があったでしょうね。

森田:そうなんです。あの大画面で画質が破綻せずに、4DXでも大丈夫なくらいのクオリティだったので、それをお茶の間でもご覧いただけるのはすごいことだと思います。最近はお茶の間って言い方しませんけども(笑)。

音場(おんじょう)もすごいです。1話の中で、流魂街で弓親と一角が調査をしているときにボロ屋が出てきます。表にいるときの声はもちろん、そのボロ屋に入ってくる一角の声や室内にいるときの音もものすごくリアルな音声で。

──私はイヤホンで聞かせてもらっていたので臨場感に驚きました。

森田:すごいでしょう? まるでその場にいるかのような音場を作っていて。ものすごく計算して作ってらっしゃるんですよね。劇場のサラウンドスピーカーでそれを聴けるのは分かるのですが、家のテレビ、さらにイヤホンでも分かるのはすごいことです。それが毎週ですから。「スタッフさん大丈夫かな?」と心配です(笑)。

──1話で印象的だった場面は他にはありますか?

森田:よく喋っていることではあるのですが……行木竜ノ介役の山下大輝くんと、斑目志乃役の瀬戸麻沙美さんと一緒に収録をしまして、ふたりがあまりにもみずみずしい演技をするんです。

その時、井上織姫役の松岡由貴ちゃんと、石田雨竜役の杉山(紀彰)くんもいたんですが、別の収録ブースで。てっきり既存のキャストとのアフレコだと思っていたんですよ。そうしたら僕だけ別のブースに入ることになり、そこに新しく入ってきた山下くん、瀬戸さんがいて。ずっと続いている作品ではありますが、新番組をやるときのような気持ちでした。まるで僕が転校生のように「はじめまして」と(笑)。

──2対1だから(笑)。

森田:そう。だから余計に緊張するわけですよ(笑)。ふたりとも「子どもの頃に見ていたアニメだ」と話してくださっていて。『BLEACH 千年血戦篇』には、若い声優さんもたくさん参加されています。なので「子どもの頃に見ていました」って皆さん言われるんですよね。「見てい“ました”」って言われると年齢や月日を改めて感じてショックでしたね(笑)。

……それは冗談なんですけれども、新しいメンバーと一緒にやることになって「どうなるんだろうな」と思っていたら、本当に、すごくみずみずしい演技だったんです。それでアフレコ中に「すみません、今のふたりの演技なんですけど……」と言ったら……僕の前置きの言い方がよくなかったんですね、一瞬場が凍ったんです。

──それは緊張の一瞬でしょうね(笑)。

森田:スタッフ陣は「昔から座長をやっている森田が今回は演出にまで……!?」とざわっとして、ブース側にいるふたりもビシっとして(笑)。

で、僕が言ったことは……「おふたりがものすごくみずみずしい演技をされているので、それと比べたときに、僕の演技、いらんベテラン感出てませんか?」と(笑)。

そうしたらスタジオ中が爆笑(笑)。悲しかった〜!(笑) でもそれくらい、年齢の差を感じたんですよね。行木竜ノ介と斑目志乃って死神なので何百年も生きてはいるんでしょうけど。ただ、設定的にはそんなに年齢が変わらないので、これだけの差が出るのはどうなんだろうと。考え方を変えれば、一護がそれだけ強くなったことが分かるのかなとも思うんですけど、その差を意識して演技しなければいけないというのは、1話の僕の中の大きなトピックでした。

あと、1話のときに卍解、月牙天衝をやっているんですが、この間、(studio
ぴえろの)本間さんに会ったときに「あの1話の月牙天衝、すごく抑えている感じでいいね。あれ本気じゃないよね?」と聞かれて。僕は「30%です」と答えました。

実は1話の段階ではあえて30%くらいに抑えているんです。また、声の出し方も今までとは変えています。卍解も月牙天衝も、これまでとは違う深さ、厚みの成分をちょっとだけ増やしました。それを全体の30%くらいの声で出していたんですが、それに気づいた本間さんはさすがだなと。本間さんは社長になる前、前シリーズの『BLEACH』を担当されていたので、よく分かっていらっしゃって。

──そのパーセンテージがどんどん上がっていくというのは、今後の見どころになりそうです。

森田:そうですね。今後、声の成分を足していくと思います。キャストの中には「昔と(自分の声が)変わってしまったんじゃないか」と心配されていた方もいたんです。でもみんなスタジオに入って演じていくとすっかり役に戻って。とはいえ、『BLEACH』のキャストはベテランばかりなので(笑)。むしろベテランしかいない。これからキャラクターが成長していくので、ベテラン勢がそれをどう乗せていくのかは楽しみにしていてほしいです。

また、今回は隊長格のキャラクターたちも、今までにないくらい追い込まれますから。そういう隊長の姿って見たことがないので、そこも大きな見どころですね。

──楽しみにしています。ありがとうございました!

【インタビュー:逆井マリ 撮影:MoA】

 

TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』作品情報

放送情報

テレビ東京系列・BSテレ東 10月10日(月)より 毎週月曜 24:00~
仙台放送 10月10日(月)より 毎週月曜 25:30~
新潟放送 10月11日(火)より 毎週火曜 25:30~
広島テレビ 10月11日(火)より 毎週火曜 25:29~
テレビ静岡 10月16日(日)より 毎週日曜8:30~
AT-X 10月17日(月)より毎週月曜23:00~
※リピート放送 毎週水曜11:00、毎週金曜17:00

配信情報

○10月11日より 毎週火曜12:00最新話配信
<見放題配信>
dTV / アニメタイムズ / Disney+ / アニメ放題 / U-NEXT / dアニメストア/ バンダイチャンネル /TELASA(見放題プラン) / J:COMオンデマンド メガパック / milplus 見放題パックプライム / auスマートパスプレミアム / Amazon Prime Video / Hulu / Paravi / FOD / ABEMA

<都度課金配信>
バンダイチャンネル / TELASA / J:COMオンデマンド / milplus / ひかりTV / RakutenTV / ニコニコチャンネル / Google Play / HAPPY!動画 / MOVIEFULL / Amazon Prime Video

○10月15日より 毎週土曜24:00最新話配信
<無料配信>
ABEMA / GYAO! / TVer / ネットもテレ東 / ニコニコ生放送 / ニコニコチャンネル

イントロダクション

最後の聖戦、迫る――。

『週刊少年ジャンプ』で連載され、シリーズ累計発行部数は1億3000万部を超えるなど、完結後も世界中で根強い人気を誇る『BLEACH』。

2004年10月より放送を開始したTVアニメは、これまでに360話以上が制作され、長編劇場アニメも4作を数える。

そしてついに、シリーズの最終章 “千年血戦篇”のアニメプロジェクトの幕が上がる

監督とシリーズ構成は、数々の作品で卓越したビジュアルセンスを発揮してきた田口智久。

キャラクターデザインの工藤昌史、音楽の鷺巣詩郎は、最初期からアニメ『BLEACH』を支え続けるオリジナルメンバー。

アニメーション制作もこれまでのシリーズ同様、studioぴえろが担当する。

まさしく「最終決戦」にふさわしい実力派スタッフ陣で挑む、ファイナル・シリーズ。

はたして、黒崎一護がたどり着くのは――。

ストーリー

偶然か、あるいは必然か――
とある出会いから死神の力を手にし《死神代行》となった黒崎一護は、現世で死した魂魄が集う場所・尸魂界(ソウル・ソサエティ)の動乱に巻き込まれ、熾烈な戦いの中、仲間と共に大きく成長を遂げてきた。

そんな一護の暮らす空座町(からくらちょう)で異変が起こる。新たなる死神と、新たなる敵の出現。そして救いを求める声。一護は再び斬魄刀を取り、戦場へと旅立つ。

一方、尸魂界では、現世における突然の虚(ホロウ)の連続消失が観測され、この地へ導かれた魂が暮らす流魂街での住民達の失踪が発生、さらには死神たちの住む霊屋・瀞霊廷が賊軍に襲撃される。

賊軍の正体は、滅却師(クインシー)の始祖・ユーハバッハが率いる《見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)》。

《見えざる帝国》は、死神たちに宣戦布告する。

「5日後、尸魂界は"見えざる帝国"により殲滅される」

千年の長きにわたり死神たちが背負っていた因縁。その宿業と秘められた真実がついに紐解かれる。

全ては終焉へ。黒崎一護の、最後の戦いが始まる――。

スタッフ

原作・総監修:「BLEACH」久保帯人(集英社 ジャンプコミックス刊)
監督:田口智久
シリーズ構成:田口智久、平松正樹
キャラクターデザイン:工藤昌史
総作画監督:長谷川亨雄、小松原聖、高柳久美子
アクション・エフェクト作画監督:酒井智史、菅野芳弘、鄭泳勲
美術監督:谷岡善王
美術設定:天田俊貴
色彩設計:合田沙織
編集:三嶋章紀
撮影監督:山田和弘
CG監督:佐々木俊宏、後藤和史
音響監督:長崎行男
音響制作:ザック・プロモーション
音楽:鷺巣詩郎
アニメーション制作:studioぴえろ

キャスト

黒崎一護:森田成一
朽木ルキア:折笠富美子
石田雨竜:杉山紀彰
井上織姫:松岡由貴
茶渡泰虎:安元洋貴
阿散井恋次:伊藤健太郎

浦原喜助:三木眞一郎
四楓院夜一:ゆきのさつき

山本元柳斎重國:高岡瓶々
砕蜂:桑島法子
鳳橋楼十郎:樫井笙人
卯ノ花烈:久川綾
平子真子:小野坂昌也
朽木白哉:置鮎龍太郎
狛村左陣:稲田徹
京楽春水:大塚明夫
六車拳西:杉田智和
日番谷冬獅郎:朴璐美
更木剣八:立木文彦
涅マユリ:中尾隆聖
浮竹十四郎:石川英郎

兵主部一兵衛:楠見尚己
二枚屋王悦:上田燿司
麒麟寺天示郎:志村知幸
修多羅千手丸:佐藤利奈
曳舟桐生:恒松あゆみ

ユーハバッハ:菅生隆之
ユーグラム・ハッシュヴァルト:梅原裕一郎
アスキン・ナックルヴァール:武内駿輔
バンビエッタ・バスターバイン:竹達彩奈
バズビー:小野友樹
キャンディス・キャットニップ:内山夕実
グレミィ・トゥミュー:花江夏樹
リジェ・バロ:日野聡

公式サイト
公式ツイッター(@BLEACHanimation)
公式Instagram

(C)久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ
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