
『僕の心のヤバイやつ』連載インタビュー第5回:遠藤一樹プロデューサー×秋田書店担当編集・髙橋圭太さん&福田裕子さんインタビュー|「市川が自分の力で頑張って山田の心を動かして、成長していく物語なんです」
尊死”続出で大反響! 今一番応援したくなる、青春初恋ラブコメがついに幕開け――『僕の心のヤバイやつ』がテレビ朝日系全国24局ネット“NUMAnimation”枠・BS朝日・CSテレ朝チャンネル1にて放送されています。
桜井のりお先生が『マンガクロス』(秋田書店)で連載中の『僕の心のヤバイやつ』は、SNSを中心に人気を集め、コミックス累計発行部数 300 万部を突破中の話題作です。
アニメイトタイムズでは連載インタビューを実施中。第5回はテレビ朝日プロデューサー・遠藤 一樹さんと、秋田書店の髙橋 圭太さん、福田 裕子さんが登場です。『僕ヤバ』アニメ化に至るまでの道のりから、その舞台裏、最新話に至るお話までをおうかがいしました。
『僕ヤバ』がアニメーションに至るまでの道のり
――本日は『僕ヤバ』のアニメ化に至るまでの舞台裏をおうかがいできればと思っていますが、まずは皆さんがどのようなポジションで『僕ヤバ』に携わられているかを教えて下さい。
秋田書店・髙橋:さん(以下、髙橋:):僕と福田は『僕ヤバ』の担当編集です。もともと『僕ヤバ』立ち上げ時から担当編集をしていた福田が、しばらくお休みに入ったタイミングで、2代目担当編集として僕が入りました。その後、福田が復帰をして、今は2人体制となっています。現在は、桜井先生との主なやり取りを福田が、アニメやグッズ関連の連絡窓口、デザインチェックなどを僕がやっています。
テレビ朝日・遠藤プロデューサー(以下、遠藤):僕はアニメのプロデューサーとして企画の立ち上げから、制作面、宣伝面などを中心に作品全体を担当させていただいています。
――アニメイトタイムズでは、以前桜井先生にインタビューさせていただきました。4巻発売時のタイミングでしたが、当時からアニメ化のお話というのはあったのでしょうか。
髙橋:実はアニメ化のお声がけはたくさんいただいていました。
遠藤:問い合わせが殺到していたとうかがっています。
――『僕ヤバ』を立ち上げ当初から見てきた福田さんとしても、やはりアニメ化は考えていましたか?
秋田書店・福田さん(以下、福田):私が担当していた時から桜井先生は「アニメ化したい!」とおっしゃっていたんです。実際お話をいただくこともあったのですが、なかなかスムーズにいきませんでした。「でも、面白ければ絶対にアニメ化すると思うから頑張りましょう!」って桜井先生に話していました。
そしたら、私が休んでいる間にすぐ決まって(笑)。「このマンガがすごい!」や「マンガ大賞」で話題になってからお声掛けが増えた印象です。
髙橋:遠藤さんは何かきっかけがあって、企画をされたのですか?
遠藤:僕の場合、受賞がきっかけというわけではなく、作品自体はずっと気になっていました。それで2、3巻が発売されたタイミングでしっかり読ませていただいて。そしたら、とてつもなく面白くて、「これはアニメにしたら絶対に良い作品になるな」と思い、お問い合わせしたという次第です。なので、読み始めた時期は他の方に比べるともしかしたら遅いかもしれません。
――たくさんお声掛けがあった中で、遠藤さんにお願いした理由というのは?
髙橋:そのあたりのお話は僕よりもライツ企画部(秋田書店の作品のアニメ・ドラマ化、グッズの商品化などの契約交渉を行っている部署)の人間のほうが詳しいとは思うのですが、ざっとお話すると、キー局で放送されるということ、『からかい上手の高木さん』のシンエイ動画さんが制作に携わるということ。それと、いちばん大きかったのは遠藤さんの熱量ではないでしょうか。
各社様どこも愛を込めてくださっているのを感じていたので決めあぐねてしまい、話し合いが難航して。桜井先生も「判断が難しい」といったことをおっしゃられていました。
そうした中で、遠藤さんに「キャラのラフイラストを急ぎで見せてほしい」というお願いをしたんです。そしたら準備してくださって。そのイラストが最終的な決め手になりました。また、その前に遠藤さんがくださった企画書にも、ものすごく愛情を感じていたんです。企画書って熱意が出るものだと思っていて。
遠藤さんからいただいた企画書は「作品を大事にしてくれそうだな」と思えるもので、かつ、ボリュームがあったんです。桜井先生とお話しつつ、遠藤さんにお願いすることにしました。
遠藤:うれしいですね。実際、企画書にはめちゃくちゃ熱量を込めました。僕としてはもっと書きたいことはあったのですが、シンプルな方向性でまとめて提出した記憶がありますね。
髙橋:確か……僕、当時の企画書を持ってますよ(と、パソコンを開く)。
遠藤:えっ(笑)。
――企画書段階というのは、私もですが、読者の方もなかなか知ることができない部分だと思いますので興味深いです。
髙橋:あ、ありましたよ(笑)。見ますか?
(実際に当時の企画書を見せていただくことに)
――最初の企画書段階で、ここまで書かれているものなんですか!?
遠藤:はい。いや、でも各社さんベーシックにこれくらいは作られているのではないでしょうか。今見るとフォントやデザインが気になりますね。(頭を抱えながら)直したい……。
福田:全部ご自身で作っているんですよね?
遠藤:そうです。
福田:改めて拝見するとすごいですね。この段階で、監督さんや制作会社さんにまで集まってもらって、企画書を作り上げるって大変なことだと思います。
――最後のページには遠藤さんの選手宣誓のような言葉も。
髙橋:そこにいちばんグッときたんですよね。
――グッときます。遠藤さんの一部のお言葉だけ記事にさせていただいてもよろしいでしょうか?
遠藤:需要があるか分かりませんが、僕の言葉を抜粋していただく分には大丈夫です。
――ありがとうございます。では差し支えないと思われる範囲だけ読ませていただくと「「なんてキャラクターが生き生きしていて、しかも繊細な心の機微が描かれている作品なんだろう」と感銘を受けました。“もしもこの作品をアニメ化できるなら…”そう考えたとき、最大の魅力でもある、キャラクターをしっかりと丁寧に描くことが絶対に必要だと感じました」といった内容で……。
遠藤:あああ……。今あらためて読まれると恥ずかしいですね(笑)。
髙橋:特典にしてもいいと思うくらい素敵な内容です。どうです? 特典に。
遠藤:(笑)