『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』関智一さん＆木村昴さんインタビュー｜師弟関係の二人がコンビ役！ 関さんが2人の関係を語る「切っても切れない間柄」

関さん＆木村さんだからこそ伝わる、ある作品との意外な共通点

ーー脚本を読んだ時の印象、映画を見た感想をお聞かせください。

関：海原神というキャラクターは、アニメの中ではずっと描かれてきていなかったんですよ。原作ファンとしては、いつかアニメでもやってもらいたいと待ち望んでいたので、今作は嬉しかったですね。

今回の作品は海原が出てくるけど、原作にはないオリジナルエピソードだったので、逆に期待が膨らんでしまって、すごくワクワクする台本でした。

ーー木村さんは脚本を読んだ時の印象について、どのように感じられましたか。

木村：前作を拝見した時の『シティーハンター』の世界観というのは、今作でも充分に味わえるテイストになっています。そこに新キャラクターが登場するということが新鮮で、しかもその役を僕たちがやらせていただけるというので、脚本を読む時から「どんな感じで演じようか」とか、他のキャラクターたちを想像しながら、お芝居を考えていくのが楽しかったですね。

ーー脚本を読まれる時には、関さんと木村さんのキャスティングだとご存知でしたか。

木村：知っていました。ふと思ったのが、「今回は普段僕が演じそうなキャラクターを関さんが演じていて、関さんが演じそうなキャラクターを僕が演じているな」と感じました。どちらかというと、パッと見て『ドラえもん』のジャイアンとスネ夫のようなキャラクターがね。

関：うん。（二人が揃った時に）逆なんですよ。でも、スネ夫はこんなに（エスパーダのように）イカれてはいないですけど……。

木村：（爆笑）。

関：ちょっと子分的な感じね。

木村：ちょっと見た目もシュッとした感じ。

関：そうそう。ピラルクーはドッシリしている感じ。

木村：そういうところも新鮮だなと思いました。関さんがどんな感じでくるのか想像しながら、「もしこうきたら、こうしてみようかな」とか想像を膨らませていました。

関：あと、収録したスタジオが『ドラえもん』と同じスタジオだったんですよ。

木村：うんうん。

関：僕ら二人だけがスタジオの中にいたので、景色は『ドラえもん』と全く変わらなかったです。

木村：場所も同じで、違うのは『ドラえもん』がいないくらい（笑）。

関：不思議でした。

関さん＆木村さんが初挑戦したこだわりのシーン

ーー今作は冴羽獠役・神谷明さん、槇村香役・伊倉一恵さん、アンジー役・沢城みゆきさんといった豪華キャストがそろっていますが、共演されていかがでしたか。

木村：関さんがはしゃいでいましたね。

関：（笑）。

木村：とにかく嬉しかったみたいで。

関：嬉しかったです！

木村：僕にもそれが伝わってきました。

関：みなさんとは、それぞれの作品のどこかではお会いしてはいるんですけど、この顔ぶれで、この役柄として会うというのが僕にとっては格別でした。

木村：関さんが「ちょっと緊張するなぁ」と言っていて、珍しいなと思いました。僕たちが新キャラだから、収録現場へ行って、ひと言しゃべって、神谷さんから「全然違うな」とか言われたら、どうしようとか……。

関：「お引き取りください」とか言われたら嫌だよね。

一同：（爆笑）。

ーー神谷さんと伊倉さんは、関さん、木村さん、沢城さんとの共演について「共演できて光栄でした」とおっしゃっていました。

関：本当ですか。ありがたい。こちらも光栄です。では、こちらも「光栄」返しでお願いします（笑）。

ーー沢城さんとはご一緒に収録されましたか。

関：一緒でした。アフレコスタジオへ向かっている時に、僕と沢城さんが途中で会って、一緒にスタジオへ歩いていきました。途中で、沢城さんが僕と木村くんのコーヒーも買ってくれて、助かりました。そこで木村くんにも会ったよね。

木村：途中で、僕も合流して3人でスタジオに向かいました。

ーーこれまでも沢城さんとは共演されていますよね。

関：はい。『ドラえもん』（『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団～はばたけ 天使たち～』）でも共演しました。沢城みゆきといえば、若手中堅の中では、トップ女性声優ですからね。

木村：確かに。

関：我々の役にとって、アンジーは妹みたいなものですよね。どこか対立しながらも愛していて……。

木村：そうですね。

関：アンジーとエスパーダは、同じコーヒーが好きなんですよ。アジトでピラルクーがエスパーダにコーヒーを渡すシーンがあるんですけど、エスパーダが「あいつが好きなやつじゃねえか」と言うと、ピラルクーが「お前も好きだろ」と言葉を返したりして……。そういうところで3人の関係性も見えてくるので、むとうやすゆきさんの台本もお上手だなと思いましたよ。

木村：アジトでのシーンは、ピラルクーとエスパーダの独特な空気もあって、「この2人はどんな関係なんだろう？」と面白かったですね。いつもは素っ気ない感じなんだけど、ピラルクーがエスパーダの傷を手当するシーンでは、急に距離がキュッと縮まるようなところもあって、ちょっと不思議な感じがしました。

関：ほっぺに付いたナルトを取ってあげたりしてね。

木村：そうそう（笑）。車でカップ麺を食べるシーンです。この2人の関係性もいろいろな見方ができるなと思って、そこがミステリアスで良かったなと思いました。

ーーピラルクーとエスパーダの見どころのシーンでもありますよね。

関：そうですね。

木村：カップ麺のシーンは、実際にカップ麵を買ってきて……。

関：そう。食べながら、収録をやっているんですよ。

木村：（食べないで）1回トライしたんですよね。

関：落語的なアプローチをね。

木村：でも、いいシーンだし……。

関：そう。「もうちょっとリアリティーがほしいよね」と思って、提案したらOKが出て、カップ麺を用意してもらいました。

ーー食べながら収録をされたんですか？

木村：はい。実際に食べながら、収録しました。

関：そうなんですよ。

木村：あそこは、こだわりのシーンでした。

ーー今までに実際にカップ麺を食べながら収録することはありましたか？

関：カップ麺はないですね。ポテトチップスとかはありました。ただ、難しかったのは、持ち方です。カップ麺を用意してもらうまで、すっかり忘れていたんですけど、アフレコの時は台本を持たなくてはいけないから、手が1本足りないんですよ。

一同：（爆笑）。

木村：確かにそうだった（笑）。

関：そうなんですよ。カップ麺を持ったら、箸を持つ手がないんですよ。あれ、どうやってやったんだっけ？

木村：カップ麺を置いて、台本を開いてね……。

関：そうそう。

木村：わずかなセリフの分量だったから、セリフを覚えてやったりとかね。

関：そういう難しさもけっこうありましたね。

木村：あと、麺を食べて口の中でモグモグしているんだけど、次のカットでは（キャラクターが麺を）飲み込んでいて、口の中にないという顔になっているから、リアルな咀嚼だと間に合わなくて……。

麺を食べてしゃべって、すぐ麺を飲み込んで、次のシーンでは普通にしゃべるということをしました。

関：そうそう（笑）。

ーーそれは大変でしたね。

関、木村：（同時に）大変でした！

ーーこれは大きな聞きどころですね。

関：何味のカップ麺を食べてアフレコしたのか。映画を見た人が当ててもらえると嬉しいです！

木村：当ててほしい！

ーーお二人は同じ味ですか？

関：いや、どうですかね（笑）。そこは秘密ですよ。芝居に関わってくるので……。

木村：そうですよね（笑）。

ーーその辺りも注目して見てもらいたいですね。

木村：エスパーダのカップ麺は、キャラクターがヒントになっています。エスパーダはスペイン語でメカジキという意味なので、これも大いなるヒントになっています。

関：（笑）。

ーー作品を楽しみにしているファンに向けて、メッセージをひと言お願いします。

木村：期待されていて、楽しみにしてくだっているファンの方々に、ご満足いただけるように心を込めて演じましたので、楽しんでいただけたらと思います。

また、この『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』を機に、『シティーハンター』という作品に触れる方もいらっしゃるかもしれませんので、今作を見て、面白いと思っていただけましたら、前作の劇場版やアニメシリーズもたくさんあるので、ハマってもらえたらなと思います。楽しみにしていてください！

関：僕も『シティーハンター』ファンとして、本当に待ちに待っていたエピソードの幕開けといいますか、ここから最終章が始まるという形になっています。

みなさんがこの映画をたくさんご覧になって、応援していただけると、みなさんのより見たかったラストに向かって、『シティーハンター』の背中を押していけることになると思いますので、より一層の熱い応援をよろしくお願いします！

ーーありがとうございました！

[取材・文/宋 莉淑（ソン・リスク）]

作品情報

あらすじ

冴羽獠は裏社会ナンバーワンの実力を持つ始末屋（スイーパー）“シティーハンター”。

新宿を拠点にパートナーの槇村香と様々な依頼を受けている。

新たな依頼人は動画制作者・アンジー。その依頼は…何と逃げた猫探し！

獠はアンジーの美貌に、香は高額の報酬に胸を躍らせる。

警視庁の野上冴子は海坊主と美樹の協力を得てバイオ企業ゾルティック社の発明について捜査する。それは謎の組織の依頼で作られた戦場の兵士を超人化する闇のテクノロジーで、かつて獠を蝕み、パートナー槇村秀幸を死に追いやった「エンジェルダスト」の最新型だった。

猫探しに奔走する中、アンジーの命が狙われる。

依頼の真意を語ろうとしないアンジーは動画に映る獠を見つめ、ひとり呟く。

「これがあなたの『最高傑作』なのですか？」

「エンジェルダスト」を求めて現れる暗殺者たち。

壮絶な戦いに巻き込まれていく獠たちを遠く見つめる男。

それは獠の育ての親・海原神――

海原がその銃口を定める時、宿命の対決が始まる！

キャスト

冴羽獠：神谷明
槇村香：伊倉一恵
野上冴子：一龍斎春水
海坊主：玄田哲章
美樹：小山茉美
来生瞳：戸田恵子
来生泪：深見梨加
来生愛：坂本千夏
ピラルクー：関智一
エスパーダ：木村昴
アンジー：沢城みゆき
海原神：堀内賢雄
ナンパ好きな男：山里亮太（南海キャンディーズ）
モヒカンの容疑者：世界（EXILE/FANTASTICS）

(C)北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会

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