映画
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』水木&かつての目玉おやじ人物考察

「あれから70年」の真相、水木の年齢は30代? かつての目玉おやじは人を愛した? 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』水木&かつての目玉おやじ各々の人物背景を考察してみた!

2023年11月17日(金)より公開中の映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(ファンの間では『ゲ謎』とも呼ばれています)。鬼太郎の2人の父たちの出会いや鬼太郎誕生までのストーリーが描かれるなど、これまで『ゲゲゲの鬼太郎』では語られていなかった新たな物語が話題となっています。

公開から1ヶ月が経ち、まだまだ勢いが止まらぬ本作はSNSを中心にさまざまな考察がされています。キャラ同士の関係性や各々のキャラの背景が緻密に設定されており、「一度見ただけでは考察しきれない!」という方も多いはず。ストーリーの至るところに伏線があり、それを取りこぼさぬようにと映画館へ足繁く通う方も見受けられます。

そこで今回は水木&かつての目玉おやじ各々の人物背景を考察しました!

※本稿には『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の背景・人物設定など、ネタバレが多分に含まれております。完全初見で楽しみたい方は本作をご覧になったあとに本記事をご覧ください。
※あくまでも考察のひとつとしてお楽しみください。

目次

考察1:水木という人間

水木の年齢は「30歳」?

本作では水木の“年齢”は明らかとなっていませんが、おそらく「30歳」であると私は考えています。

作中でも描かれている通り、水木は戦争経験者です。(以下、太平洋戦争へ徴兵された体でお話しします)赤紙は満17歳〜満45歳以上が対象となっていて、太平洋戦争は1945年に終結しています。このことを踏まえた上で、逆算すると昭和31年(1956年)-1945年(終結)=10〜11(*1)+17(満17歳で兵役したと仮定)=27 となります。

*1…作中で水木は「あれから10年、せっかく拾った命だ」と話しています。

本作のキャラクターデザインを担当された谷田部透湖先生がSNSにて水木は「青年(15~24歳)」という歳ではないと仰っていたので、先の仮説が誤りだったとしても25歳以上であることは確定かな?と思っております。

ここからは、昭和31年の水木は(25歳〜)27歳以上であるということを念頭に、目玉おやじの発言からさらに深掘りしていきます!

ストーリー冒頭(動画の1:00あたり)で目玉おやじが空を見上げながら「あれから70年ついにこの時が来たか。あの男も今日はここに来ておるかもしれんのう」と発言しており、「あの男」が指すのは水木だと考えています。

話は逸れてしまいますが、この発言は水木の記憶が戻っていたことを示唆しているとも捉えられますね!(終盤でも「水木よ、見ておるか」と上を見つめながら言う台詞があります)

「あれから70年」という言葉が気になる部分かと思いますが、昭和31年から70年経つと水木は97歳以上。目玉おやじが“空を見上げながら”先の言葉を発したことで、「水木は生きているのか」という疑問が生まれました。「魂が来ておる……ということ?」と。

また、水木という人間は水木しげる先生を完全に投影しているわけではないけれど、戦争体験など水木先生に通ずるものもあるのは確かだと思います。

そして、本作『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は水木しげる先生の生誕100周年を記念して公開されましたよね。個人的には水木しげる先生の生誕100周年と水木の年齢は共通しているのではないかと考えていて、目玉おやじの言う70年経った(作中の)現代パートが水木が生きていたら100歳の年だとしたら、70年前(昭和31年)の水木は30歳ということになります。

目玉おやじの「あの男も今日はここに来ておるかもしれんのう」「水木よ、見ておるか」は水木しげる先生に向けても言われていたのかも知れませんね。

水木を通して見えた昭和の時代背景

本作では現代社会ではあまりない描写もありました。それは「煙草」です。

水木は言わずもがな愛煙家で、社内や電車の中などあらゆる場所で煙草を吸っています。ポイ捨ても平気でします。今日のアニメーション作品ではあまり見ないほどヤニタイムが多く(水木以外のキャラの喫煙シーンもある)、電車の中で女の子が咳き込んでいるのにも関わらず煙草を吸おうとする姿は、令和のエチケット的感覚からすると違和感を感じてしまいますよね。

ですが昭和は本当にこのような風景が日常茶飯事な時代だったと思うし、あの時代のことを知っている方からすると「昔はこうだったよね」と感じるのではないでしょうか。水木自身もそれが当たり前のように振る舞っていて、昔は大らかだったのだなと思う反面、現代って何かと「配慮」を気にする(気にしなくてはいけない)時代なんだと気付いたりもします。

そして水木には時代からなるドライな部分があると思います。戦争中に部下を自己都合で殴り、自身は死ぬ気など更々なかった上官が戦後に美味しい思いをし、懸命に努めた部下ほど辛い思いをするという社会の皮肉を身をもって体験しているし、だからこそ勝ち組になりたいという強い野心を持っています。(自身のことを捨て駒だと話していましたが、帝国血液銀行に勤めているので平均よりは稼いでいるはず)

ゲゲ郎が囚われて目の前で殴られていた際も、ゲゲ郎たちの運命と自身の命を天秤にかけ一度は乙米に服従しています。立ち向かうではなく諦めるここの描写はかなりリアリティがありましたよね。力や権力には敵わないと知っているからこそ見ないふりをしようとしたし、上官と同じ乙米の共犯者にならざるを得なかった。こういった人間間で起こる権力での優劣や絶妙な駆け引きって現実世界でも実際にあったりするので共感や理解した方も少なくはないはずで、視聴者に訴えかけているシーンだったと思います。

水木は結局はその後、ゲゲ郎を助けに行くのですが、ここでもドライさを感じる描写がありました。沙代が消えた後、四つん這いになりながら懺悔した水木ですがゲゲ郎に「待っておったよ」と言われるとすぐに立ち上がり次に向かいます。この場面、同情しつつもあまり沙代が亡くなったことへの余韻がなくて「立ち直り早くない?!」と感じた記憶があります。

しかし、そもそも水木は沙代を利用しようとしていたし、そんな冷たさや(特に生死に関する)切り替えの速さがなければ過酷な戦場から生き残ることは出来なかったのだと思います。

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