マンガ・ラノベ
『葬送のフリーレン』フェルンとシュタルクの関係を考察してみた

彼らもまた「人を知る旅」をしている──『葬送のフリーレン』フェルンとシュタルクの関係について考察してみた

まだまだお子様なシュタルク……フェルンが考えてることわからなくて怖い!

自分の気持ちの変化に気付き始めているフェルンに対し、シュタルクはまだまだお子様。恋愛どころか女子の気持ちが全く分かりません。彼らのケンカの原因はシュタルクの不用意な発言や行動でフェルンの機嫌を損ねることがほとんどです。

年齢の割に子供っぽい内面のシュタルクですが、身体的には男性として成長していることをうかがわせる描写も登場しています。
 

シュタルクを怖いと思ってしまったフェルン

それは原作35話でのこと。寒波に見舞われたフリーレン一行は、一ヶ月間とある集落の小屋に滞在することに。食料調達に行ったフェルンが冷えた手をフリーレンに握ってもらっていると、冷たさを確かめようとシュタルクもその手を握ります。

邪な気持ちは全くなく手を握るシュタルクに対し、何か思うところがある様子のフェルン。冷えた手をシュタルクの顔に当て驚かせます。傍から見たらいちゃついているようにしか見えませんが、本人たちにそのつもりはないでしょう。

そのしばらくのち、シュタルクが先日の仕返しにと自分の冷たい手でフェルンを触り、彼女の機嫌を損ねてしまいます。フェルンはシュタルクに悪気がなかったことも、元は自分が原因だともわかっていました。しかし、「肩を押さえた腕の力が強くて、…ちょっとだけ怖いと思ってしまった」ため、怒っていたのでした。

育ての親はすでに老人だったハイターであり、その後はフリーレンと過ごしていたフェルンは、この時に初めて男性の腕力をまざまざと感じたのではないでしょうか。一方、シュタルク自身は強い力を込めたわけではないと思います。私は、男女間における力の強さの認識の違いがとてもリアルな描写だと感じました。

また、原作漫画では、よく見るとフェルンの手を握るフリーレンの手とシュタルクの手の大きさにも違いが。内面はまだまだ子どもでも身体は着実に男性として成長しているシュタルク。今は女心がわからないことが原因でフェルンの機嫌を損ねてしまうことばかりですが、今後訪れるであろう彼の内面的な成長が2人の関係に大きな変化をもたらしそうです。

 

ザインの加入で起こった関係の変化

2人の関係は僧侶ザインが加入したことで変化しました。フェルンとシュタルクのケンカが増えたのです。それはフェルンがパーティーの大人役を担わなくてよくなったからでしょう。
 
ザインは年齢こそフリーレンよりも若いものの、ちゃんと大人であり、恋愛や人間関係に関してはフリーレンよりも理解があります。そんな彼が仲間入りしたことで、これまではだらしがないフリーレンや情けないシュタルクを諫めていたフェルンが、年相応の子どもの振る舞いができるようになったのです。

その証拠に、ケンカをしてしまったフェルンはフリーレンではなくザインに相談しに行っています。また、ザインはケンカした2人から個別に話を聞いて仲裁するなど、まるで学校の先生のように世話を焼いてくれています。

ザインが仲を取り持ってくれるとわかっているから、フェルンは安心して感情を表に出してシュタルクとぶつかり合うことができるようになったのです。
 

フリーレンは気づいていない

一方、2人のことを出会いから見守っているはずのフリーレンですが、その関係には全く気付いていません。フェルンに関しては幼いころから知っているにも関わらず、その心情の変化にも一切気付いていないでしょう。

元々エルフは恋愛感情や生殖本能が欠落しており、とりわけフリーレンは人の感情に関心が薄く、鈍感な性格。勇者ヒンメルからのあからさまなアプローチにも気付くことのなかった彼女が2人の僅かな感情の変化に気づくはずもなく……。

原作を何度も読み返している私ですが、フリーレンの鈍感さにはいっそ清々しささえ感じるようになってきました。
 

今後の注目は「デート回」!

今後の二人の展開で注目したいのは原作第66話・67話の「デート回」です! フリーレンの希望で城塞都市ハイスに3日間滞在することになった一行。丸一日暇な日ができたフェルンとシュタルクがデートをすることになるのですが、その過程が可愛いこと!

自分からは誘わないものの、「明日暇だから構ってほしい」と言うフェルンと、いつもの仕返しのつもりで「デートしようぜ」と返すシュタルク。思わぬ返しをされたフェルンは読んでいた本を落としてしまい、頭がフリーズしているような様子で「……わかりました。では明日。」と言い残し、本を拾うこともなく部屋を出て行ってしまいます。

その後、フェルンに喜んでもらおうとデートコースを考えるシュタルクと、服に悩むフェルンの双方が描かれ、彼らの甘酸っぱい青春に見ているこちらがソワソワしてしまいます。

また、彼らのデートコースにもヒンメルの像があり、彼らの育ての親たちもかつてが訪れた街であることがさりげなくわかるのもこの話の好きなところです。アニメではまだかなり先の話になりますが、アニメ化を切望してしまいます。
 

フェルンとシュタルクも「人を知る旅」をしている

エルフであるフリーレンの「人を知るための旅」が描かれている『葬送のフリーレン』。しかしながら、フリーレンだけでなく実はフェルンとシュタルクも互いの心を知る旅をしているのです。

2人とも同年代の人間と接する機会が極端に少ない特殊な生育環境に加え、彼ら自身がまだまだ若年であるため、込み入った人間関係においては未熟な一面が目立ちます。彼らは共に旅する中でぶつかり合いながら互いの心を少しずつ知っていっているのでしょう。彼らの人間的な成長、そして恋の行方を楽しみに見守りたいですね。
 

 

この記事をかいた人

わたなべみきこ
出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。
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