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『キングダム』信(しん)の初期から現在までの成り上がりストーリーを解説

『キングダム』信(しん)の初期から現在までの成り上がりストーリーを解説! 仲間に馬鹿にされつつも正義の心を持った熱い思いで多くの人々を惹きつける豪傑

『キングダム』は、中国の戦国時代末期(紀元前245年頃から)を舞台にした、週刊ヤングジャンプで連載中の原泰久先生の漫画作品です。主人公は、信(しん)と、中華統一をめざす若き秦王 嬴政(えいせい)。彼らを取り巻くたくさんのキャラクターも魅力的です。
 
ここでは、信の成り上がりの過程をまとめるとともに、信の魅力をお伝えします。
 
 

目次

『キングダム』の信とは?

信は下僕の身でありながら、大将軍を目指す少年。物語開始時では10歳、アニメ第5シーズン放送中の2024年2月時点では22歳です。

アニメで信を演じていらっしゃるのは、森田成一さん。映画では山﨑賢人さんです。

信の略歴

信は戦災で親を失った孤児で、身分は下僕。下僕というのは、当時の身分秩序の最下層です。下僕は庶民以下の存在ですので、土地を持って耕作することも戦争に参加することもできません。(当時の身分には大きく分けると良民と賎民があり、良民は功績によって20等の爵位を登って出世していくことが可能。下僕は奴婢であり賎民にあたる。庶民は良民にあたる)

ここではアニメ第4シーズンまでを中心に、戦いを軸に信の歩みをまとめました。

・10歳 下僕として農家で奴隷同然の労働の毎日。
大将軍を夢見て漂(ひょう)と剣の鍛錬を欠かさない。

・14歳 
秦王 嬴政(えいせい)が異母弟 成蟜(せいきょう)の反乱により信の村近くに逃げてくる。漂は大将軍の夢を信に託し、政の身代わりとして死亡。信はこのことをきっかけに政と行動を共にすることに。

首都 咸陽(かんよう)で初の戦いを経験。政が王座を奪還。功績により平民の爵を獲得。   
 
「蛇甘平原(だかんへいげん)の戦い」(これが信の正式な初陣)。百人将になる。

・15歳 「馬陽(ばよう)の戦い」
李牧(りぼく)率いる趙が侵攻してきたので、王騎(おうき)を総大将に応戦。副将 蒙武(もうぶ)は、蒙驁(もうごう)の息子であり蒙恬(もうてん)の父である。王騎より「飛信隊(ひしんたい)」の名を拝受。王騎が死ぬとき彼の矛(ほこ)を貰い受ける。三百人将になる。

・16歳 信と同年代のライバルであり仲間となる以下2人と出会う。
王賁(おうほん、玉鳳隊(ぎょくほうたい)を率いる)、蒙恬(もうてん、楽華隊(がくかたい)を率いる)の二人。

・17歳 「山陽(さんよう)攻略戦」
魏の山陽を、蒙驁(もうごう、蒙恬の祖父)を総大将に攻める。信と蒙恬と王賁は臨時千人将として活躍。秦軍の勝利、山陽を平定する。千人将に昇格。

・18歳
 「函谷関(かんこくかん)の戦い」楚、魏、趙、韓、燕、斉の合従軍が秦を攻める。ここが陥ちると首都咸陽に敵軍がなだれこむことになるので、絶対死守が求められる。総大将は蒙驁(もうごう)。信の飛信隊は麃公(ひょうこう)将軍の下で参戦。

「蕞(さい)攻防戦」秦王 政自ら戦地におもむいて、民の士気を高める。信は函谷関で疲弊した体でありながら蕞でも奮闘。三千人将になる。信の武器はここで剣から矛になる。

・20歳 「屯留(とんりゅう)の乱」
宰相 呂不韋(りょふい)が成蟜を首謀者と見せかけ反乱を起こす。成蟜は乱にあらがうも死亡。五千人将になる。

・21歳 「嫪毐(ろうあい)の乱」
政の母 太后と嫪毐が毐国(あいこく)を自称し咸陽を攻める。信は後宮を目指し、政の娘 麗(れい)を救う。
      
・22歳 「黒羊丘(こくようきゅう)の戦い」(2024年2月現在、アニメ第5シーズン放送中)
趙との戦い。信にとってはじめての密林地帯での戦いになる。

信の性格と魅力とは

ここからは、信の魅力的な性格がよく表れているシーンを挙げていきます。

正義感が強く弱い者の味方

信が、「馬陽の戦い」での功績を認められ三百人将に昇進し、王賁と蒙恬と知り合った後のこと。

戦いに勝利した秦軍のある隊が、負けた国の民の財を奪い、女性や子どもに乱暴行為をはたらいているところに出くわします。これを見た信は怒りにふるえ、その隊の将を斬ってしまうというシーンがあります。

当時、こうした行為は広く行われていたことで、勝った側の権利であり楽しみという考え方は普通にありました。しかし、信はこれを嫌います。民は、自分の意思とは関係なく国どうしの戦いに巻き込まれる弱き立場。信は敵味方関係なく民を同等に見ているのです。

将の地位が剥奪されることを承知で、略奪している三百人隊の長を斬った信。同国の隊長に立ち向かったですから、もちろん罪に問われることになります。

蒙恬のとりなしで減刑になりましたが、本来なら今までの頑張りをすべて捨てて、歩兵からやり直さなければならないところでした。自らをかえりみない正義の行為です。

バカバカ言われてはいますが

尾平(びへい)など、飛信隊の古参メンバーに、「おまえバカだからな」と茶化され、信が「うるせー」と返すシーンが多々あります。でも本当はバカではありません。実は、人の気持ちをよく汲み取っているのですから。

例えば、飛信隊 副長の羌瘣(きょうかい)が、使命としている仇討ち(姉的存在であった象(しょう)のかたきをとる)を果たすべきなのに「山陽の戦い」に参加しているときのこと。

先の「馬陽の戦い」で生まれた信たちとの縁と未知の心のままに「山陽の戦い」に参加している今の自分、理性では使命と決めたことにまっすぐ進むべきだとわかっている、仇討ちが終わったら?、自分には帰る場所がない、と心が晴れない羌瘣。

そんな彼女に対して信は、仇討ちが終わったら飛信隊に帰ってこい、帰る場所はここだ、ということを伝えるのです。

これは、この時の羌瘣が一番欲しい言葉だったのではないでしょうか。そんな言葉をさらりと言える信はある意味天才です。

いつでも良いふうに

「山陽攻略戦」の前夜、大将軍の蒙驁は、一兵卒の格好でひとり空を眺めています。自分は明日戦う相手に子どもの頃から一度も勝ったことがない、と不安になっています。

そこに偶然出くわした信。相手が大将軍だと気づかないまま、相手をじいさん呼びしながら、喧嘩に勝つチャンスが訪れてよかったじゃないか、と偉そうに勇気づけます。

これには、蒙驁もフォッフォッフォッと大笑い。そう言われればそうだなと、不安が明日の戦の力の源になったのでした。

このように信は、逆境や不安も良い見方でとらえることができる、前向きな心の持ち主なのです。

漂から受け継いだ希望

また、信はどんな逆境にあっても、行動の先にはかならず良い結果が待ち受けていることを確信しています。いつでも未来の希望を信じることができる信は、現代風にいうなら、強いメンタルの持ち主ということになるでしょうか。

希望を信じる強さは、元々の資質もあるでしょうが、幼馴染の漂から受け継いだ、とも考えられます。信は漂を近くに感じながら、漂の夢でもあった大将軍を目指していることが、物語のところどころに出てきます。信にとって、自分が大将軍になることが疑いようのない決定事項なのは、漂がそう信じていたからではないでしょうか。

信(李信)は実在したのか?

信は実在はしたものの、『キングダム』と同じ出自と功績なのかは謎。よくわかっていない人物なのです。

歴史書の中の信

『史記』は、前漢 武帝の時代に司馬遷が編纂した約53万字の紀伝体(年代順ではなく人物や国ごとに出来事をまとめた形式)の歴史書です。武帝の時代とは、前141年から 前87年。つまり、秦が滅んでから100年ほどのちに書かれたということであり、司馬遷の生きた前漢の時代には、すでに信は藪の中だったのでしょう。

司馬遷『史記』には、信個人の列伝は立てられておらず、列伝の「白起王翦列伝第十三」にその名が見えるのみです。

〈こうして秦の始皇(始皇帝)は三晋(趙・魏・韓)を滅ぼし、燕王を敗走させ、しかも、しばしば荊(楚)の軍を破った。秦の将に李信という者がおり、年少で血気の勇があった。かつて兵数千をもって、燕の太子丹(たん)の軍を追撃し、衍水(えんすい)の水中で撃って丹を捕虜とした。始皇は李信を賢明で勇敢だと思っていたので、李信に問うた。
「わしは荊を攻め取りたいのだが、将軍の判断では、どれだけの兵力があれば、事たりよう。」
「二十万人もあれば十分であります。」
(この後、王翦は六十万人が必要だと言う)〉
(司馬遷『史記5 列伝一』、小竹文夫・小竹武夫訳、ちくま学芸文庫、1995、パーレン内は筆者の補記)

李信の子孫は漢代まで続いているようですが、信本人と同じく詳細はよくわかりません。今後、地下からの新資料発見でわかる日がくることを期待しつつも、キングダムの信のイメージが崩れるからやめてくれという気持ちも拭えないところです。

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