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ファイルーズあいが『怪異と乙女と神隠し』菫子と向き合ったことで得たもの、感じたこと【インタビュー】

「菫子を通して、自分を奮起させる機会を得ることができるんじゃないかなって」『怪異と乙女と神隠し』緒川菫子役・ファイルーズあいさんインタビュー|菫子と向き合ったことで得たもの、感じたこと。

菫子の心情に寄り添いながらのお芝居

──菫子について、ファイルーズさんはどのように捉えて演じられたのでしょうか。

ファイルーズ:私たち役者、原作者、マンガ家、小説家など、芸で食べていこうとする夢を持っている人たちの想いを代弁してくれるキャラクターだと思っています。それが如実に表れるのが第一怪。菫子は15歳のときに小説で新人賞を取って、神童と呼ばれていた子です。ただ、その後は才能が振るわず箸にも棒にも掛からない状態が続いていて、本屋さんでアルバイトしています。

誰しも夢を持っていて、その時はキラキラ輝いて、たまたま上手くいくこともあるけれど、それを維持するのがいちばん難しくて。フリーター生活を経ていると、どこかで自分の夢と現実に折り合いをつけなければいけない時がくるじゃないですか。菫子は、その間にいる子なんですよね。自分でもわかってるんですよ。「このままじゃダメだ」って。

第一怪の中で、やりきれない感情を爆発させて、吐露するシーンがあるんですけども、その中で、私は今たまたま上手くいって、こうやって菫子という素晴らしい役をやらせていただけるようになったけれど、同じ年の子でどんどん活躍している人がいる中で、自分は置いてきぼりで、バイトを続けていて……という状況だったらどうなったのかな、とか。バイトしていた当時のことを思い出して、泣いている菫子の気持ちに寄り添って演じました。

──ファイルーズさん自身の初心を思い出すように。

ファイルーズ:その時のアフレコが終わったあとに、担当編集の方が「僕もアフレコブースの外で聞きながら泣いてしまいました」と声をかけてくださって。ある意味、担当編集者さんも世に出るお仕事じゃないですか。そういった人の気持ちも代弁できたんだ!という達成感もありました。

──化野蓮を演じる山下大輝さんとはこれまでも共演をされていますが、本作での掛け合いのご感想などを教えて下さい。

ファイルーズ:第一怪を見ていただくと分かると思うんですけども、間が独特なんですよね。小説の句読点をそのまま落とし込んだみたいな間の取り方で、すっごく難しかったんです。だから山下さんと打ち合わせをしたり、逆に何も打ち合わせをせず、山下さんが投げてきたパスを私が受け止めたり、その逆も然り。

一緒にアフレコした経験があったからこそ、何も言わずとも「こうくるかな」というテレパシーのような水面下でのやりとりができたんじゃないかなと思いました。山下さんが面白いツッコミをしてくれるとわかっているからこそ、安心してこちらもパスを投げることができましたね。分かっていても、ボケが面白かったです(笑)。

──私は第一怪を拝見させていただいたのですが、いまおっしゃっていた句読点を落とし込んだ間の取り方は、まるで行間を読むかのような表現方法だなと感じていました。ボールドが決まっている中で演じるのは苦労があったんじゃないかなと。

ファイルーズ:そうですね。だから最初は探り探りでした。「なんでこんなに間が空いているんだろう?」とは思ったんですけれども、そこにはしっかりとした意図があるだろうなと。アフレコしていた時は正直分からないところもありましたが、完成した映像を見たときに「ああ、こういうことだったのか」と。最初のシーンで劇伴が流れていないんですよね。本当に環境音と、菫子と化野の声だけ。ああ、これがこの作品の空気感を作っているんだなと思いました。

確かに日常会話を落とし込んだら、間が空くのも自然だよな、こういう喋り方になるよなって。アフレコの時には分からなかった質感を完成映像から感じました。

──そのほか、完成映像を見たときに演技以外の要素で印象に残っている点はありますか?

ファイルーズ:原作に対するリスペクトをすごく感じました。アフレコは仮の絵の状態でするんですけれども、そのときも原作のコマをそのまま出すことが度々あって、「あ、その表情に合わせて演じるんだな」と。そして、そのままアニメ化するのではなく、アニメだからこそ見せられる躍動感や温度、そういうものもしっかり閉じ込められている印象です。

──第1話で楽しみにしてもらいたいところというとどうでしょうか?

ファイルーズ:この作品がどんな作品なのかは第1話で分かると思います。それと、現在だけではなく、過去の菫子についても知ってもらえるんじゃないかなと。菫子って皆さんが今見ている姿以外にも、いろいろな面があって。その演じ分けはオーディションの対象セリフでもありました。そこにぜひ注目してもらいたいです!

(C)ぬじま・小学館/「怪異と乙女と神隠し」製作委員会
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