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春アニメ『アストロノオト』2話放送後:高松信司(総監督)×春日森春木(監督)インタビュー【連載02】

春アニメ『アストロノオト』インタビュー連載:高松信司(総監督)×春日森春木(監督)|スタッフ陣が考える時代が移り変わっても普遍的なものとは

80年代を彷彿させる懐かしさ、ラブコメ、SF、コメディ……全部が詰まったオリジナルアニメ『アストロノオト』がスタート! 木造アパート"あすトろ荘"の可愛すぎる大家さん・豪徳寺ミラ(CV.内田真礼)。そしてアパートに引っ越してきた料理人・宮坂拓己の恋の行方は?

連載第2回は、総監督の高松信司さんと監督の春日森春木さんによる対談をお届け。作品が作られた経緯から、第1話でのこだわりを聞いた。

 

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アストロノオト
料理人・宮坂拓己が新たな就職先として面接に訪れた、木造アパート"あすトろ荘"。そこは"朝食付き"が売りなのだが、可憐な大家・豪徳寺ミラの料理に耐えきれなくなった住人の要望もあり料理人を募集していたのだ。ミラと出会った拓己はその場で一目惚れ。急遽作ったアジフライは大評判。拓己の住み込み料理人としての生活がスタートする。しかし、それは穏やかな日々とはいかなかった。癖のある住人たちとの、ご近所より近く、家族より遠い距離感の中、次々と巻き起こる不可思議な現象。ふとしたことで知った、ミラが宇宙人だったという秘密。拓己が抱くミラへの恋心はどうなってしまうのか。また、不可思議な現象の謎は解明されるのか?食卓から宇宙にまで広がる、新感覚SFアパートラブコメディ!作品名アストロノオト放送形態TVアニメスケジュール2024年4月5日(金)~TOKYOMX・BS朝日ほかキャスト豪徳寺ミラ:内田真礼宮坂拓己:斉藤壮馬若林蓮:釘宮理恵若林富裕:杉田智和山下正吉:三木眞一郎松原照子:降幡愛上町葵:小倉唯ナオスケ:諏訪部順一ショーイン・ジンジャー:福山潤おばちゃん:くじらスタッフ総監督:高松信司監督:春日森春木シリーズ構成:うえのきみこキ...

 

前回のインタビューはこちら

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時代が移り変わっても普遍的なものは恋心

――この作品は、8年前の企画が再始動したものだそうですね。

高松信司総監督(以下、高松):そうなんです。8年前に一度企画書を作って、その時に窪之内英策さんに、キャラクター原案も描いていただいているんです。でもそれが成立しなくて、一度企画を閉じちゃったんですね。

閉じちゃったんだけど、何年か経って同じプロデューサーが「せっかくこんなに良いキャラクターのデザインがあるんだから、やりましょうよ」と話を持ってきてくれて、僕としても心残りがあったので「じゃあ、やりましょう」と新たなにスタートしたんです。

 

 

――最初はどのような話だったのですか?

高松:8年前の企画はロボットものだったんです。1話から毎話ロボットが出てきて、バトルをやる中にラブコメがある話だったんですけど、今はそれではないということになったんです。

でも、キャラクターありきで企画は作っていたので、新たに始めるときも、そこからシナリオを作り直しましょうと、またシナリオ会議が始まったんです。台本の3話を作っているくらいで、春日森さんが監督で入ってくれることがわかったので、脚本会議に参加してもらい、プロデューサー陣とライターさんと監督2人で、「ああでもない」「こうでもない」ってシナリオを作っていった感じでした。

――大きく変わったというところだと、ロボットものラブコメになったということなんですね。

高松:そうですね。SFラブコメの「SF」の比重が高かったものが「ラブコメ」の比重が高くなっただけなので、それじゃあ、まんまじゃんって言われたんですけど(笑)。

――春日森さんは、どのような形で参加していたのですか?

春日森春木監督(以下、春日森):私は第3話から入りまして、その前に、窪之内さんが最初に描かれたキャラクター原案も見ていたんです。そこにはオリジナルの設定がみっちり書かれていたので、それもちゃんと読み込んだ上で参加しました。

基本的には、シリーズ構成のうえのきみこさんが脚本を1話1話上げてくださって、それに対して皆さんで意見を言い合って、そこで僕もアイデアを出させてもらった形です。でも、そうやって作っていくのが、本当に面白かったんですよね。

 

 
高松:普通は、最終回までのプロットを作ってからシナリオを書いていくんですけど、このアニメは「送り書き」で1話ずつ脚本を上げて、終わったら次の話を書くという形にしていたんです。だから先があまりわからないまま進んでいくんですよ(笑)。ぶっちゃけてしまうと、ミラ(CV.内田真礼)が鍵を探しているところから始まるんですけど、鍵がどこにあって、どんな形をしているのかは、途中まで我々もわかっていなかったんです。

春日森:しかも、忘れかけていたんですよね(笑)。

高松:そうそう(笑)。忘れかけていて、途中で鍵をどうしようみたいな話になって、改めて美術設定を見て、ここにあることにしよう、みたいなことを決めたんです。だから第2話の段階で、ミラは鍵を探していますけど、私たちも一緒に鍵を探していたんです。

――そんなスリリングな作り方だったのですね。

高松:昔のTVアニメって、1クールものがあまりなかったので、たとえば1年のシリーズだったら最終回がどうなるのか、わからないまま作っていたりするんです。原作モノであっても、並行して作っていると「このキャラは、どうなっていくんだろう」ってわからないまま作っていたりするので、昔の、ゴールデン(19時~22時付近)でTVアニメがやっていた時代の作り方をしていた気がします。

――ただ、アニメでは伏線もかなりありますよね?

高松:そうですね。シナリオを送り書きしていく中で、急に新たな事実がわかったりするんですよ(笑)。「こいつ、こんな奴だったんだ!」とか「ここ、こうだったんだ!」っていうのがわかるから、そこから遡って脚本を直したり、絵コンテの段階で直したりすることができたんです。今回は制作に時間的な余裕があったので、そういうことができたんですよね。

昔のTVアニメは、何だかわからないまま作っていき、先まで行っちゃってから「こうだったんだ!」って気づく。そこで辻褄を合わせをするんだけど(笑)、この作品は、最終話までの完パケ納品だったので、検証しながら作れたし、そういった部分は丁寧に作れたのかなと思います。

 

 

――上映会では、令和の時代に人と人とのつながりを描くことをテーマにしていたとおっしゃられていましたが、80年代テイストや作品のテーマは、どこから生まれたのでしょうか。

高松:80年代というのは、窪之内さんの『ツルモク独身寮』とか、あの時代のああいうものが作りたいと思っていたからです。ただ、それをノスタルジーで作るのではなくて、今の時代で作る。

こういう人たちがアパートで共同生活をしていて、そこでの人間模様やひとりひとりが持っている問題も、今日的な、令和の時代に合ったもので描いていこうと思ったんです。ただ、その中で恋心とか、そういう普遍的なものはあるんじゃないの?っていうところで、80年代テイストで、令和の時代のアニメを作ることが面白いのかなと思ったんです。

――今後、そういう問題も描かれていきますし、今はシェアハウスも主流にはなってきていますからね。春日森監督は、80年代後半から90年代にかけてのアニメがドンピシャな世代だと思いますが、どんな魅力を感じていますか?

春日森:あの当時のアニメ自体が、僕は好きだったので、それを今、その時代にアニメを作っていた高松さんと一緒に作れたということが、とにかく楽しかったです。あと、最近のアニメはゲームの前提知識がないと楽しめなかったりすることが多いように感じているんですけど、あの頃のアニメって、前提知識がなくても基本的に楽しめるところがあるんですよね。しかも、どんな世代でも。

だから、そういうアニメを作れたら、どんな方にも勧められるし、そういうアニメを作れたらいいなと思いました。

高松:深夜アニメって、コアなアニメファンに向けてアニメを提供する感じですけど、あの時代はゴールデンで、お茶の間で、みんなでご飯食べながら、お父さんもお母さんも子供も、おじいちゃんもおばあちゃんもいるの中でアニメを見ていたんですよね。そういう意味で言うと、子供たちでも、今はお年を召した、あの当時子供だった方でも楽しめるアニメを作るのがいいのかなと思いました。

 

 

――その意味で、窪之内さんは80年代に青春を生きた方にも、そして今を生きる若者にも受け入れられる絵ですよね。個人的には、子供やお年寄りに特徴があるのかなと思ったのですが。

春日森:当然女の子は可愛いし、男の子もかっこいいんですけど、おじさんやおじいちゃんが独特の魅力を放っているんですよね。年輪を感じさせるような絵を描くというか。僕はそこがすごい好きで。若林富裕(CV.杉田智和)もそうだし、山下正吉(CV.三木眞一郎)みたいに3頭身くらいのキャラクターもいたりする。いろんな頭身のキャラクターがいるアニメって、最近では少なくなっている気がするんです。

――確かにそうですね。

高松:昔のアニメって、おじいちゃんとかおばあちゃんが小さかったからね(笑)。でも今って、背景がリアルなので、正吉さんみたいなキャラクターは、なかなか難しいんですよ。

――確かに正吉さんの顔、大きいですよね(笑)。

春日森:最初に3Dレイアウトを作って、それでアニメーターさんに体の対比が間違いないように描いていただくんですけど、小吉さんは大きすぎて(笑)。

高松:対比通りにやると変なことになっちゃうんです。でもそれはそれで面白いからいいんです。

春日森:いびつな感じが、なんか楽しめるんですよね(笑)。

 

 

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