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ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使インタビュー【前編】

『ドラゴンボール』ではヤジロベーがお好き!?――SNSで日本とジョージアへの愛を発信するティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使が語る「日本とジョージアのアニメ・オタク事情」【前編】

松屋で人気の"世界一にんにくをおいしく食べるための料理"ことシュクメルリ、『スター・ウォーズ』のジェダイの服装のようだと話題になった民族衣装のチョハなど、ここ数年で目にする機会が増えた「ジョージア」という国。

そんなジョージアの魅力をX(旧Twitter)を中心に発信しているのがティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使。その投稿はジョージアの話題のみならず『ドラゴンボール』『ハピネスチャージプリキュア!』『シン・ゴジラ』といった、様々な日本のコンテンツをネタにしてバズを生み出しています。

今回、そんな知っているようで知らないジョージアという国について、ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使にインタビューする機会をいただきました。前編となる本稿では「大使から見た日本のアニメ」をテーマに、大使が愛してやまない『ドラゴンボール』などについてお話いただきました。

大使館史上初(?)在日ジョージア大使館のゆるキャラ「ザザ」

――まずはアニメイトタイムズの読者も、まさか駐日ジョージア大使がインタビューに登場するとは思っていなかったと思います。簡単に自己紹介をしていただいても宜しいでしょうか?

ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使(以下レジャバ):ティムラズ・レジャバと申します。

私はジョージアという国の駐日大使として日本で過ごしていますが、まだまだ日本でジョージアのことは知られていません。しかし、両国には多くの共通性があり、その両国が仲良くなることで多くの恩恵があると思い、とにかくジョージアを知ってもらおうとSNSなどで発信をしています。

こういった活動を通して、松屋で「シュクメルリ」が流行ったことで、多くの方にジョージアの料理に触れていただく機会ができました。

また、昨年には宝塚歌劇でジョージアをテーマにした公演『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』が行われたりと、私の想いが徐々に響いてきているのを感じています。

――たしかにここ数年でジョージアの名前を耳にする機会が増えた印象があります。

レジャバ:日本では多くの市町村が「ゆるキャラ」と呼ばれるキャラクターを作っていますよね。アニメもそうですが、ゆるキャラというコンテンツパワーで日本のみなさんの心を掴みたいと思い、在日ジョージア大使館のゆるキャラを公募する企画を立ち上げました。

最初、この話を大使館でした時、みんなかなり消極的で「それはちょっと大使館としては……」とか「公募で集まるわけない」と言われたんです。でも、やってみなければわからないだろうと説明して公募したところ100件近くの応募がありました。これには大使館の職員もビックリしていましたね。その中から一番に輝いた、この「ザザ」というキャラクターを大使館の公式キャラクターとして採用しました。

駐日ジョージア大使と『ハピネスチャージプリキュア!』

――レジャバさんは色々とXで発信されていますが、個人的に一番気になったのが「ハピネスチャージプリケツ」というポストです。この元ネタは『ハピネスチャージプリキュア!』ですよね……?

レジャバ:そうです(笑)。

――まさか駐日大使のXに『プリキュア』の名前が出てくるとは思いませんでした。

レジャバ:まあ、私が言っているというよりは、Xのユーザーがそういうことを言ってくれているんです。この時もユーザーが「ジョージア大使がこれについて触れないかな」と投稿していたので、思わず「可愛いな」と思って反応してしまったんです。

――ちなみに『ハピネスチャージプリキュア!』はお子様と見ていてご存じだったのでしょうか?

レジャバ:そうではないのですが、ただ『プリキュア』という存在は知っていました。「ハチャプリ(※)」という料理を投稿すると、必ず誰かが「これは要するにハピネスチャージという意味ですか?」と聞いてくれるんです。

それで自分から「そうです、ハピネスチャージのためにハチャプリを食べてください」と戻すと、更にそれに反応してくれるという感じですね。

※編集部注:ハチャプリはジョージアの国民食で「ハチャ」=チーズ、「プリ」=パン、を意味するチーズ入りのパン。地域によって様々なバリエーションがある。

――この投稿の件もそうですが、所謂「エゴサ」みたいなものは、よくされるんですか?

レジャバ:ちょこちょことやっています。と言うのも、みんながどんなことに対して興味を持っているのか知らないといけないと思って、みんなの声を拾うためにやっています。

――Xでのエゴサも公務の一つみたいな感じなんですね。

レジャバ:一番最初に私のポスト(当時はツイート)がバズったのも、エゴサからきているんです。

――たしかジョージアの民族衣装が『スター・ウォーズ』に出てきそうというやつですよね?

レジャバ:そうです。テレビで報道されていたことは知っていたので、みんなの反応を確かめるために検索したら、やはり誰かが話題にしていました。

誰かがそれについて話しているということは、同じような感想を持っている人がたくさんいるということなので、それに対して反応すれば多くの共感を得られると思って投稿しています。

駐日ジョージア大使の推しキャラはヤジロベー!?

――過去にもインタビューなどで『ドラゴンボール』が好きと公言されています。今回もフィギュアをご用意いただいていますが『ドラゴンボール』を好きになったきっかけは何ですか?

レジャバ:小学校一年生の頃、日本にいた時に『ドラゴンボール』が流行っていたんです。『ドラゴンボール』のカードやゲームも好きだったし、毎週テレビで放送されていたので、もちろんそれも欠かさず見ていました。それ以来、ずっと『ドラゴンボール』に没頭していて、再来日した時もアニマックスなどでいつも見ていましたね。

『ドラゴンボール』はストーリー性はもちろん、色々なキャラクターがどんどん出てきて、エピソードを通してみんな成長していくじゃないですか。あと、誰か強いキャラクターが現れたら、それ対してどういう風に戦っていくのかという展開の醍醐味を感じていました。

ただ、ちょうど『ドラゴンボールGT』が放送している頃にジョージアに戻ることになったのですが、当時のジョージアでは見ることができなくて続きがすごく気になっていました。

――レジャバさんの一番好きな『ドラゴンボール』のキャラクターは誰ですか?

レジャバ:悟空は当然好きですが、ベジータとかヤジロベーとかが結構好きですね。

――ヤジロベーがお好きなんですね。

レジャバ:いないと寂しい、そんな存在のキャラクターじゃないですか。いてもいなくてもあまり変わらないけど、いるからこそ『ドラゴンボール』と言えるのは面白いです。

――ちなみにご自宅にフィギュアと飾ってあるソフトが、子供の時にプレイされていたものですか?

レジャバ:そうです。

――スーパーファミコンの『ドラゴンボールZ 超武闘伝』ですね。

レジャバ:隠しキャラクターが登場する裏技(※)とかもありましたよね。あれはすごく練習しました。

※編集部注:『ドラゴンボールZ 超武闘伝』はオープニングデモ中に特定のコマンドを1回入力すると「同キャラ対決」が、2回入力すると「隠しキャラクター」が使用できるようになる裏技がある。

――やはりジョージアの方にも、ジャンプ作品は人気ですか?

レジャバ:ジャンプ作品は人気ですね。最近ジョージアでは『呪術廻戦』も放送されて、映画も公開されています。

――ジョージア国内で日本のアニメ放送される際、キャラクター名など固有名詞は日本と同じなんですか?

レジャバ:そうです。『ドラゴンボール』であれば「かめはめ波」とかもそのままです。

――そうすると主題歌も日本のアニソンのままということでしょうか?

レジャバ:歌もそのままですね。主題歌がジョージア語に訳されたことはないと思います。

ジョージアでも大人気の『NARUTO -ナルト』

――ジョージア国内で一番人気のあるアニメは何ですか?

レジャバ:『NARUTO -ナルト』か『ONE PIECE』のどちらかだと思います。特に『NARUTO -ナルト』はジョージア国内ですごく流行りました。

ジョージア国内にインターネットが普及してグローバルな情報が入ってくるようになったのが最近なので、日本で90年代に放送されていた『幽☆遊☆白書』などはあまり入ってきていないのが残念です。どうしても最近の作品が先に入ってきてしまうんです。

ただし、『SLAM DUNK』は私と同年代・同世代(レジャバさんは1988年4月12日生まれの36歳)の作品ですが、この作品はジョージアにも入ってきていてよく知られています。

――やはりスポーツものはルールなども親しみがあるから人気なんでしょうか?

レジャバ:おそらくそうだと思います。バスケが好きであればまずは『SLAM DUNK』を見ると思います。

――同じスポーツものだと、日本では『キャプテン翼』も有名です。

レジャバ:『キャプテン翼』はあまり知られていません。そういったスポーツものの作品だと『テニスの王子様』もあまり知られていないと思います。

――ちょうどいま日本では『ハイキュー!!』の映画が大ヒットしていますが、バレーボールの人気はどうですか?

レジャバ:競技としてのバレーボールはそんなに人気はありませんが、でも『ハイキュー‼』のアニメはジョージアでも人気でよく知られていますね。

――そういった日本のアニメがジョージア国内で放送される時は、テレビのチャンネルで放送されたりしているんですか?

レジャバ:私も詳しくはわかりませんが、インターネットで見る人もいれば、テレビで放送されているものもあります。

ジョージア独自のチャンネルというよりも、ヨーロッパや近隣諸国のチャンネルをジョージアで見るなど、そういった形が多いのかもしれません。

――ちなみに日本で生活しているレジャバさんのお子様は、どんなアニメがお好きですか?

レジャバ:私の子供はみんな5歳以下だから、あまりアニメを見ていません。ただ、一番小さい子が『シナぷしゅ(※)』が好きでいつも見ていてTシャツも持っています。あと『アンパンマン』のキャラクターも凄く好きですね。

※編集部注:『シナぷしゅ』は「赤ちゃんの世界がぷしゅっと広がる」をテーマにした民放初の赤ちゃん向け番組。テレビ東京にて毎週月~金 あさ7時30分~8時00分放送中。

――『シナぷしゅ』や『ドラゴンボール』もそうですが、日本では街中でアニメと様々な業種がコラボしている光景が見られます。こういった光景はレジャバさんからすると、どういう風に映るのでしょうか?

レジャバ:日本では市町村でそういった作品とコラボすることもあれば、飲食店やブランドがコラボすることもありますよね。こういうのはジョージアには無いので非常に賢いなと思っています。それと同時に、日本人はキャラクターに対して自分たちと同じ人間のように接していて、そういう見方があるというのは面白いし、ある意味で器用だなと思います。

ジョージアにも国産のアニメがあるので、そういった作品をもっと上手く広告に取り入れたら良いなと思います。また、既に有名なキャラクターをブランドアンバサダーみたいに使うという発想は、もっとジョージアでもできたら良いですね。

後編ではジョージアの国産アニメやオタ活事情などについて伺います!
(10月30日(水)公開予定)

[企画・取材:岩崎航太、編集:石橋悠、写真:二城利月]

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