音楽
Sizuk・俊龍「君の知らないこと」「bookmarks」インタビュー

Sizuk 14thシングル「君の知らないこと」&15thシングル「bookmarks」作曲家・俊龍さんインタビュー|1stアルバム発売や2ndライブ開催など、昨年末以降の活動を振り返る。「言い訳Maybe」を弾き語り楽曲に選んだ理由とは

「bookmarks」は、“自分史上一番”アレンジしてもらった楽曲

――続いて、4月15日(火)にリリースされた「bookmarks」について。こちらも4月より放送中のTVアニメ『ざつ旅-That's Journey-』のED主題歌となっています。ボーカルの春茶さんは今回初めてご一緒された方ですよね?

俊龍:そうですね。制作担当と一緒に「こういう方がいいんじゃないか」というやり取りは常にしていて、今回お声がけさせていただきました。

――レコーディングに立ち会って感じた印象などを教えてください。

俊龍:レコーディングに立ち会わせていただいたんですが、ミステリアスというか、言葉で語らないけれども、ボーカルブースを自分の空間に整えて歌われる方だなと。座って歌いたいとか、少し照明を暗くしたいといった、ご本人のやり方で没入していただいて、歌っていただきました。

――この曲の持つ「旅、孤独」といった世界観を作るのにすごく合っている方だなと感じました。

俊龍:温かくもあるし、寂しくもあるし。聴いている人が例えば、孤独だったり、ネガティブなことがあったとしても、そこに寄り添ってくれるような、そういうものを感じさせる。喜怒哀楽の真ん中とかも分かっていらっしゃるのだろうな、という歌声、佇まいだと思いました。

――どのようなイメージで制作されたのでしょうか?

俊龍:いつものように「オラァ!」って作る感じではなく(笑)、メランコリックで力んでいない感じなので、ちょっと跳ねているリズムが多いです。

満開の桜の下で、シートをひいて「イエーイ!」と花見をするのではなく、その脇を自分が一人で散歩している感じ。完全に孤独、世界に一人というわけじゃないけれど、集まって宴会をしている人よりかは、一抹の寂しさを感じるみたいな。

なんとなく浮かんでいたけれど、今まで出す機会がなかったメロディがあって、今回それを選んでいただいて、ビックリしましたね。

――曲が自分と一緒に歩いているような、そんな感覚を覚えました。

俊龍:主人公のちかは、ずっとネガティブというわけではないし、友達や先輩の漫画家、そして旅先で知り合う人がいて、孤独でもない。でもやっぱり人生には苦戦しているというのが、絶妙なキャラクターだなと思いました。

――また、アレンジもかなり印象に残りました。

俊龍:北川勝利さんのアレンジですね。たぶん自分史上、(いい意味で)一番いじっていただいたんじゃないかと。大先輩の指導を受けながら、編曲していただいたみたいな(笑)。

「ここ食わないほうがいいんじゃないですか」とか「コードこっちだからメロディ上に行くのはどうですか」みたいな感じで、北川さんからご提案いただいて、「原曲通りはこっちなんだけど、それでお任せしてみようかな」と。最後の転調も北川さんのアイデアです。

――歌詞はやなぎなぎさんが書かれていますが、歌詞とメロディで、お気に入りはどこでしょうか?

俊龍:2番のAメロ「気づいたんだ すぐ隣の歩調 たまにピタリと合う」ですかね。ここだけじゃないですが、ここは明らかに自分プラス一人、誰かの存在を近く感じるので、「完全な孤独じゃない」のがいいなと。暗いとまでは言いませんが、この部分は明るさがほぼないメロディなので、そこにちょっと温かみを注いでいただきました。

あと、仮歌をやなぎさんに歌っていただいて。「これ、売れちゃうじゃん!」と思いました(笑)。

あとはイントロも、フレージングというか、メロディの楽器があって、オケがある、という構成を、北川さんが雰囲気で心地いいなと感じるものにけっこう変えてくださったので、そこもぜひ聴いていただきたいところですね。

――俊龍さんは、ちかのような突発的な「ざつ旅」はされますか?

俊龍:旅はしたいなと思いますが、なかなかできないので、TVでそういう番組を見ることが多いですね。

でも一回、結構前の話になっちゃうんですが、山口県にある「俊龍寺」というお寺に一人で行ったことがあります。ここには、豊臣秀吉の供養塔があって、秀吉の戒名に「俊龍」と入っていることから、俊龍寺という名前になったらしくて。僕の名前と同じなのは偶然ですし、意識して付けたわけではないんですけど(笑)。のどかで、すごくいいところでした。

1stアルバム、2ndライブを振り返る。5月に控える全曲“俊龍曲”のライブへの意気込みは?

――昨年末(2024年12月25日)には、1stアルバム「es」をリリースされましたが、心境や反響などはいかがでしたか? また、皆さんにどういう風に聴いてもらいたいかも教えてください。

俊龍:自分の曲しか入っていないアルバムって考えると、すごいことだなと思います。

「この曲とこの曲を連続で聴くと、よりアツくなるよね」といった流れは、マスタリングのときに自分で考えたので、ぜひ通して聴いてほしいです。

――2月には、アルバム名を冠した2ndライブ「es」がありました。1stライブ以上に多くのファンが会場に集まりましたが、お客さんが増えた理由はどういったところにあると思いますか?

俊龍:やっぱり、AYAMEさん、Kotohaさんに楽曲を歌い繋いでいただいて、忙しさで大変なときもありつつ、休憩せずにリリースし続けたことですかね(笑)。そういった環境を与えてくれた制作に感謝しています。

あとは、自分で言うのもなんですけど、1stライブが意外と面白かったというか、お客さんが楽しんでくれたのかなと(笑)。

――ライブはもちろんですが、俊龍さんによるトーク、生演奏&歌唱も盛り上がりましたよね。今回はAKB48の「言い訳Maybe」などを、アコギで披露されましたが、どういった経緯だったんでしょうか?

俊龍:近年は鍵盤で曲を作ることが9割なので、アコギを知りたいと思って、数年前から練習を始めたんです。というのも、ギタリストとかギターが得意な人が曲を作る時は、アコギのいい音を直に聴けるじゃないですか。鍵盤の場合は、さすがに家にグランドピアノは置けないので、良い音源・シンセを使っても、どうしても電気を通った音になってしまいます。

いい音を直に聴きながら、家で曲を作れたらいいなということで、アコギをやっていくうちに、自分の曲はある程度弾けないとだし、自分でも「ギターならこういう動きなんだ」とか「自分で歌って気持ちいい」とか感じたいなと思って。そういった状況を制作担当が知っていて、ああいう無茶ぶりが来た形です。MCの鷲崎健さんの前で演奏するのはすごく緊張しましたけど(笑)。

――選曲はどういったところを重視したのでしょうか?

俊龍:Sizukのライブに来てくださる方は、コンテンツやシンガーが好きであると同時に、自分でそう思ったことはないんですが、いわゆる“俊龍節”というか、クセ、味わいも好きになってくださっているのかなと思ったので、それが濃い曲を選びました。「初恋の棘」(Pyxis)もそうですね。

――3月には、ポニーキャニオンのレーベルライブ「P’s LIVE! 08 ~P’s GR∞VE~」にも出演されました。こちらはいかがでしたか?

俊龍:リハに立ち会って、バンドさんと少しやり取りもしました。去年の11月に「Lemino presents ANIMAX MUSIX 2024 FALL」で生演奏をバックにAYAMEさんが歌う、という経験をさせていただいたのが大きかったです。それがなかったらすごく緊張していたかもしれないですね。

――AYAMEさんのボーカルはやっぱりすごいなと、改めて感じました。

俊龍:やっぱり歌うのが本当に好きなんだなと。歌以外の激しい動きとかも、いわゆるアイドルがグループでやるような振り・ダンスではない、“自分から出たもの”という感じで。初見で圧倒されて、後で改めて映像を見たり、聴いたりして「いいかも」とお客さんが思ってくださるようなパフォーマンスだったと思います。

――最初にガッチリとお客さんの心を掴んで、どんどん巻き込んでいったなと。

俊龍:「Dystopia」とか、「ここ飛びポイントだよ」というのをワザと作った曲ではないんですが、聴いていて「ここ飛びたくなるよね」となるというか。以前から、軽くそういう感じで、誘う感じでMCをしたらどうなんだろう?、とチームで話していて。AYAMEさんもお客さんの反応が欲しいタイプなので、やってみましょうかと。上手くいったと思います。

――そのお客さんの反応によって、AYAMEさんがさらにパワーアップしていって。

俊龍:すごくお客さんの反応を栄養にする人なので。おそらくバンドの時もそうなんだと思います。

――5月11日(日)には、俊龍さんの20周年を記念した、全曲“俊龍曲”のライブ「俊龍F~死ぬほどあのコールさせてやるよ~」が控えています。最後に、こちらの意気込みをお聞かせください。

俊龍:出てくださるアーティストの方には、カッコいい曲も明るい曲も、笑顔で披露していただきたいなと思っています。

また、20周年とは謳っていますが、「祝ってくれ」とかではなく、今まで楽曲提供してきた各アーティストのファンの方々とお会いして、コール(声)をたくさん聴けることを純粋に楽しみにしています。

[インタビュー/杉田裕孝]

リリース情報

君の知らないこと

・CREDIT
歌: AYAME
作詞:しほり
作曲:俊龍
編曲:ANCHOR

・CONTENTS
M1. 君の知らないこと ※TVアニメ『中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。』ED主題歌
M2. 君の知らないこと Instrumental
M3. 君の知らないこと TV size ver.

Streaming & Download

bookmarks

・CREDIT
歌:春茶
作詞:やなぎなぎ
作曲:俊龍 
編曲:北川勝利

・CONTENTS
M1. bookmarks ※TVアニメ「ざつ旅-That's Journey-」ED主題歌
M2. bookmarks Instrumental
M3. bookmarks TV size ver.

Streaming & Download

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